認証評価は誰のために行うのか。

「負担の割に活用されない」 大学の認証評価で議論 | 教育新聞 電子版

大学の認証評価を巡って、現状の制度では、用意しなければならない膨大な資料の準備による教員の負担増加、日程などが制約される実地調査の有効性などの問題点が挙げられた。また、労力が多い割に、大学のステークホルダーや社会に対するアピールにつながっていない点も指摘された。

  中央教育審議会で認証評価に関して審議されたようです。当日の議事録はまだ公表されていませんが、大学側のコストが高いと言った話が出たようですね。これは当然で、私自身としては認証評価は行政のために行なっていると考えています。

 弊BLOGでも、認証評価については過去に言及してきました。

 一貫して考えていることは、現在の認証評価(特に大学機関別認証評価)の制度では、受審結果が大学の改善に繋がることは難しいのではないかということです。詳しい話は上記のエントリーに書きましたが、第三者評価として透明性を確保するという建前のもと、評価者と被評価者の関係性を皆無にしてきたため、大学側に認証評価結果を改善に繋げる内発的モチベーションが発生しにくくなっていると考えます。

 どちらかと言えば、透明性の高い評価により説明責任を果たすという行政側の立場に沿った制度であり、制度そのものが大学に利する可能性はそれほど高くないと思っています(本来は異なる組織が判断すべき設置認可時留意事項の対応状況の確認などもその証左でしょう)。一方で、自己評価書の作成を通じ課題を見出し大学が自発的に改善を行なっていることもあり、制度の枠組みに沿った大学の取り組みは決して悪いものではないと感じています。

 第3サイクルを迎え、形式的な事象はある程度各大学ともクリアしてきていると思いますので、やはり大学評価基準のさらなる厳選は必要だろうと考えています。そのうえで、認証評価の役割の優先順位を明確化し、それに合った形で制度を検討する必要があるでしょうね。

 そう言えば、改めて高等教育評価機構の受審の手引きを確認しましたが、訪問調査実施時に大学が宿泊先予約等を行うことは、私の感覚ではちょっと信じられないですね。

項目 内容 条件・備考
宿泊施設の手配 部屋の予約(宿泊者名の施設への連絡を含む) ・人数分(評価員+評価機構の担当者、最多で 8 人)の部屋(原則 2 泊)
・大学までのアクセスを勘案(片道 30 分以内が望ましい)
・1 部屋あたり朝食込みで原則 15000 円以内 /1 泊
宿泊施設での会議室の予約 ・宿泊場所と同じ施設であること
・原則、第 1 日(移動日の翌日)の 18 時~ 20 時
※夕食は評価機構で予約、支払いします。
担当者へ連絡 ・施設名、会議室名、担当者名を評価機構担当者へ連絡
移動手段の手配 評価員の移動手段の手配 ・第 1 日、第 2 日分の手配

(出典:公益財団法人 日本高等教育評価機構 平成29年度大学機関別認証評価 受審のてびきP49)