就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業オンライン説明会に参加しました

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 第三次補正予算にかかる事業として公募される「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業」のオンライン説明会に参加しました。本事業については各大学等からの反応はあまりよくないとの話も聞いていたのですが、同時接続数は180程度とそこそこの数がありました。特に、質疑応答の時間を長くとっていたのは非常に好感を持ちました。

 以下に、当方が理解できた範囲で記録を記します。

<説明概要>

  • 157大学・短大・高専に参加申し込みをいただいた。学びなおしを開始する人が多くなっていることも聞いており,第三次補正予算においてはデジタルトランフォーメーションを担う人材育成や生産性向上を推進することとしている。非正規雇用労働者,失業者,希望する就職ができていない若者等の支援として,教育から就職まで,入口から出口までを支援するため,就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業を実施する。
  • 算額は最大5千万円で25の採択を予定しているが,プログラムの内容を鑑みて各公募金額を設定している。
  • 公募は2月中旬から3月末まで行い,4月末には採択結果を公表する予定である。その後,1月末までに各大学にてプログラムの開発・実施を行うこととなる。
  • 本事業は3つのコースにより実施するが,共通の要件として,失業者を主な対象としており非正規雇用労働者や希望する就職が出来ていない若者,転職希望者等も受講対象としていること,事業に3つのコースを設けること,就職や転職に資するプログラム設計とすること,労働局やハローワークなどと連携すること,社会人が受講しやすい環境とすること,受講料は無料とすること,受講生に対する就職相談や支援を行うことが挙げられる。
  • 本事業は,a)求職者支援制度の職業訓練受講給付金対象コース,b)職業実践力育成コース,c)地域の実情に応じたコースの3つに分類する。
  • aコースは受講者数30名程度,1拠点3500万円を想定している。本事業の趣旨に鑑み,他のコースに優先して採択を行う。総授業時間数は1か月60時間以上であり,最短でも2か月間のプログラムとする。対象は主として失業者を想定しているが,非正規雇用労働者や希望する就職が出来なかった若者も対象とし得る。職業訓練給付金の受給も可能であるが,事務処理が発生する。
  • bコースは受講者数30名程度,1拠点1000万円を想定している。総授業時間数は60時間以上であり,対象は主に失業者に加え,非正規雇用労働者,転職希望者等も想定している。職業実践力育成プログラムへの移行も見据えていただきたい。
  • cコースは1拠点650万円,総授業時間数は60時間程度を想定している。60時間未満や以上の提案も可能である。対象は失業者,非正規雇用労働者,転職希望者,起業希望者等幅広い層を想定している。
  • 「1か月で60時間以上」について,aコースの場合は2か月で120時間を行う必要がある。4か月の場合は240時間以上となる。
  • e-Learningによるオンライン教育を含めてもよいが,aコースの場合は双方向型に限っている。
  • 次年度以降の継続について,本事業は令和4年3月までの取り扱いとなっている。
  • 成果物は大学等に帰属するよう検討している。
  • 事業期間終了後の取り扱いについて,期間終了後の事業実施を義務付けているものではない。
  • 1プログラム当たりの目標人数であるが,cコースについては複数回プログラムを実施し合計を人数とすることも検討している。
  • 目標人数に達しなかった場合,委託費の減額は検討していないが,目標人数に達するように努力してほしい。必要に応じて,委託費の返納が生じる。
  • ハローワークとの連携について,ハローワークや労働局のいずれか一方の連携でも可とする。
  • 連携の程度について,受講者の就職・転職につながるような連携を行ってほしい。事業実施委員会において労働部局の担当者に加わってもらうことも想定できる。厚生労働省に協力を依頼しているところである。
  • 厚生労働省からハローワークに協力依頼を行う予定であり,申請に際しては事前にハローワークや労働局と相談し,採択後速やかに事業が実施できるようにしてほしい。
  • 各コースに予算額を設定している。
  • 当該年度に必要な物品を購入するための委託費であり,より経済的な使い方をしてほしい。
  • 補助対象経費は事業終了まで対象となり,事業実施期間は令和4年3月20日までを予定している。
  • 広告費を計上することは可能だが,過度な広告にならないよう必要最小限となるよう配慮いただきたい。
  • プログラムに必要な経費は計上可能であるが,各大学において適切に処理してほしい。再委託の条件などは現在検討中であり,別途提示する予定である。
  • 資格取得に係るプログラムが優先的に採択されるわけではない。分野に関して制限は特にない。
  • 公募期間開始後に募集説明会を開催する予定である。

<質疑応答>

Q:「自己負担」とは受講者が負担するのか,大学が負担するのか,どちらか。

A:受講者が負担することを想定している。実費に係る部分は募集要項に記載してもよい。

Q:他のリカレント事業に採択されていることは本事業の採択に影響があるのか。

A:これまでの取り組みも審査の際の判断材料になり得る。

Q:再来年度以降は,大学の裁量で受講料を徴収することは可能か。

A:可能である。

Q:受講生に貸し出すPCを委託費で購入することは可能か。

A:検討中であるが,レンタルか購入かいずれか安価な方で対応いただきたいと考えている。

Q:各コースの予算額はどのように想定されているのか。

A:総授業時間数などが異なるため,ある程度の費用の差が生じると考えている。

Q:各コースの組み合わせ申請も許可されているが,複数のプログラムの内容をまとめてbコースとして申請してもよろしいか。1拠点あたり複数の申請は可能か。

A:可能である。それぞれのコースに対して所定の予算額を申請いただければよい。

Q:すでにBPに認定されているプログラムから抜粋して本事業のコースに組みなおして申請することは可能か。審査に影響はあるのか。

A:可能である。審査への影響はない。

Q:各コースの採択件数の目安を教えてほしい。

A:現時点では設定してないが,予算上限に応じて採択する予定である。

Q:aコースについて,4か月で120時間以上となるプログラムは申請できるか。

A:申請できない。2か月120時間が下限値である。

Q:連携体制の構築について,大学の立地自治体でない自治体等と連携することは可能か。

A:可能である。

Q:申請時点で成果目標を明確にする必要があるのか。

A:就職率を成果目標とすることを想定している。これには,非正規労働者正規雇用になった場合も含むと思っている。

Q:成果目標が達成できなかった取り扱いは想定しているか。

A:達成できなかった場合には,その理由を確認することはあり得る。事業報告書によりフォローアップを行う。

Q:公募要領などはいつ公表されるのか。また,どのように公表されるのか。

A:文部科学省HPに公表する予定であり,公募が開始した旨を各大学等に周知する。なるべく早く公募要領を公表したい。

Q:aコースはキャリアコンサルティングが必須とのことだが,企業と個人どちらを想定しているのか。

A:キャリアコンサルタントなどの有資格者と連携し,受講者のキャリア相談を可能といただきたい。

Q:他の職を持っている受講者が副業のためにプログラムを受講することは可能か。

A:対象となり得る。

Q:総授業時間数について,講座全般に係るオンライン教育の上限はあるか。

A:特段設定していないが,aコースは双方向で行う必要がある。

Q:既存のキャリアセンターとは異なる体制により,受講者のキャリア支援を行えばよいのか。

A:本事業の対象者は失業者などであり一般的な学生への就職指導とは異なる面もあると思うが,既存の体制で対応可能であれば活用いただきたい。

Q:aコースの双方向オンライン教育について,LMS等で本人確認を行うことは可能か。

A:リアルタイムでの出席確認を行っていただきたい。合理的に学生管理を行っていることを説明いただきたい。

Q:受講者の年齢制限はあるのか。

A:年齢制限はない。

Q:プログラムの質保証に係る基準はあるのか。

A:事業実施委員会の中でプログラムの成果検証等を行ってほしい。

Q:外部講師をクロスアポイントメントで招聘することは可能か。

A:大学分の経費を委託費で支出することは可能である。

Q:bコースやcコースではオンデマンド型教育は許されるのか。

A:可能であるが,受講確認等の体制は必要である。

Q:ハローワークとの連携について,受講者の居住地のハローワークと連携する必要があるのか。

A:受講者の増加に伴い,連携先が増えていくことは想定されるところである。

Q:労働局とハローワークとの連携の違いなどはどのように想定されているか。

A:労働局を中心としてハローワークとの連携を拡充していることを想定している。

Q:受講者の募集について,各大学等に委ねられているのか。

A:その通りである。広く大学として公募している形が必要である。

Q:民間人材紹介業を利用して職業あっせんを行うことは可能か。

A:可能である。

Q:プログラム終了後に就職するまでの期限はいつか。

A:終了後3か月以内に就職いただくことを想定している。

Q:総授業時間数の算出について,演習の時間を含めることは可能か。

A:実授業時間数を算入いただくことになる。通常の授業科目と同等の設計で実施いただきたい。