大学評価基準をそのまま内部質保証に用いるのは困難ではないか。

※本稿では、大学改革支援・学位授与機構が行う大学機関別認証評価を想定して記述しています。

 教育の内部質保証活動においては、大学機関別認証評価の評価基準を活用する場合も多かろうと思います。それはそれでよいのですが、評価基準を内部質保証にそのまま使えるほど簡単な話ではありません。

内部質保証のモデル図

 内部質保証をいかにして表現するか、さまざま考えてきたのですが、最近は以下のとおり考えています。

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 要素としては、以下のとおり整理しています。

  • Focus:保証すべき質を決定する
  • Monitor:各種アセスメント手法を用いて状況を観察する
  • Feedback:観察結果に基づき、フィードバックを行う
  • Reaction:フィードバックに応答し、行動する

 弊ブログでも何度も言及してきましたが、内部質保証の実践においては、保証すべき「質」の検討が最も重要かつ困難であると考えています。そのため、まず保証すべき「質」を決定するFocusが必要です。また、Focusの結果、何を「質」として定めたかは、内部質保証を構成する組織間で共有する必要があります。
場合によっては、Reactionの結果により、Focusの見直しや別分野への移行などもあり得ますね。

 アセスメントを行っていれば内部質保証になるといった話も聞き及びますが、アセスメントはあくまでMonitorの一手段ではなく、それのみでは内部質保証を構成したことにはなりません。

大学評価基準の特徴

 一般的に、評価の方法は水準判定と到達度判定の2つに大別できます。

  • 水準判定:特定の水準を超えているかで評価する方法。Yes/Noで判定できる。大学設置基準における必要専任教員数の判断などが該当。
  • 到達度判定:目標等に対しどの程度到達できたかで評価する方法。国立大学法人評価などが該当。

 大学評価基準は、基準を満たしている/満たしていないで判定する水準判定に分類できるでしょう。

 一方、同基準のなかには目指すべき水準を明記していない場合が多く、判断する水準自体を大学が考える必要があります。これは、認証評価自体が大学の自己点検・評価を基盤にしている証左でしょう。

大学評価基準をそのまま内部質保証に用いる危険性

ここまでの話を以下の2点にまとめます。

  1. 内部質保証には「質」の検討が重要である
  2. 大学評価基準には目指す水準が明記されていない

 大学評価基準に明記されていない「水準」とは「質」のことでもあると考えられ、その前提では、大学評価基準には「質」が明記されていないと言えます。そのため、大学評価基準をそのまま内部質保証の基準として用いる場合、拠り所となる多数の基準において向上させるべき「質」が不明であり、大学の質保証の取組が迷走することも想定できます。大学評価基準にはゴールが書かれていないのですから。

 一方、改正された学校教育法第109条第6項では認証評価の認定を受けるように努力することとなっており、大学評価基準を無視することもできません。

 そうなると、学内の他の事項(中長期計画や事業計画など)と認証評価基準とを関連付け、それを踏まえて内部質保証に対応することがよいのではないかと考えています。特に、私立大学であれば、改正された私立学校法により事業に関する中期的な計画の作成が義務付けられたこともあり、既存の計画も含め、しっかりと関連付けていきたいところです。(カバーできない基準は落穂拾い的に対応していくことになるでしょう)

内部質保証の本質

 ところで、内部質保証の本質は、組織間の対話・交渉であると考えています。この前提に立つと、一般的に調整役になることが多い事務職員にとっては、活躍できる場面もあるのではないでしょうか。逆に言えば、没交渉である組織が存在する場合の内部質保証をどのように担保すべきかは、考えなければなりません。