平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)

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※学事歴を学事暦に訂正しました。

この件について、ウェブ上では通知本体が見当たらないので、通知全文をアップします。ブログのレイアウト上、すべて左詰めで表示します。また、全文そのままであるため、,と、の誤表記もそのまま表記してあります。なお、弊ブログに通知全文を掲載することは、著作権法第13条第1項第2号に該当すると認識しています。

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30ス庁第236号
平成30年7月26日

各国公私立大学長 殿
各国公私立高等専門学校長 殿

スポーツ庁次長
今 里  譲

文部科学省高等教育局長
義    本  博 司


平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)


 平成30年7月20日付け30ス庁第235号で通知したとおり,「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律」が平成30年6月20日に公布されました。

 この法律では,東京オリンピック競技大会の開会式前日等について,国内外要人や大会関係者の安全・円滑な輸送及び警備と経済活動や日常生活の両立を図るため,国民の祝日に関する法律の特例として,平成32年に限り,海の日を7月23日に,体育の日を7月24日に,山の日を8月10日にすることとしています。

 ついては,平成32年度の学事暦の設定に当たっては,この法律の趣旨を踏まえて,各大学等において適切に対応いただくようお願いします。

 また,平成28年4月21日付け28ス庁59号で通知したとおり,学生が,オリンピック・パラリンピック競技大会等に参加することは,競技力の向上のみならず,責任感などの高い倫理性とともに,忍耐力,決断力,適応力,行動力,協調性などの涵養の観点からも意義があるものと考えられます。さらに,学生が,大学等での学修成果等を生かしたボランティア活動を行うことは,将来の社会の担い手となる学生の社会への円滑な移行促進の観点から意義があるものと考えられます。この観点から,平成32年度の学事暦を変更する予定の大学もあるところです。

 各大学等において,例えば,学生の同大会等への参加や同大会に係るボランティア活動への参加のため,学事暦の変更等を行う場合は,下記の諸点にも留意していただくようお願いします。

1 各大学の学則において,授業日や休業日の変更等についての手続きがあらかじめ規定されている場合には,平成32年度の学事暦について,例えば,2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催期間中(平成32年7月24日~8月9日,8月25日~9月6日)に,授業・試験を行わないようにするため,授業開始日の繰上げや祝日授業の実施の特例措置を講ずることなどが可能であり、学則の変更や文部科学大臣への届出を要しないこと。

2 1の学則の規定に基づく特例措置によらず,学則の変更が必要となるような学事暦の変更により対応を行う場合には,次の諸点にも留意する必要があること。なお,(3)については,1の学則の規定に基づく特例措置による場合にも,留意する必要があること。

(1)平成25年3月29日付け24文科高第962号で通知しているとおり,各授業科目の授業期間について,10週又は15週にわたる期間を単位として行うことを原則としつつ,教育上必要があり,かつ,十分な教育効果をあげることができると認められる場合には,各大学及び短期大学における創意工夫により,より多様な授業期間の設定が可能となっていること。

(2)10週又は15週と異なる授業期間を設定する場合は,教育上の必要に加え,10週又は15週を機関として行う場合と同等以上の十分な教育効果を上げることができると認められることが必要であること。

(3)授業期間の弾力化は,単位の修得に必要な授業期間を変更するものではなく,我が国の大学の単位制度の国際的通用性の観点から,基準に適合するように十分留意すること。

(4)学期,授業を行わない日及び授業日時数については,学則に記載することとされていることから,学則の変更が必要となるような学事暦の変更を行う場合には,公私立大学にあっては,文部科学大臣への届出が必要となること。

【添付書類】
(省略)

その道は10年前に通った道

 超繁忙期に入ったので心身とも死んでいます。

 さて、twitterをちらと見ると、大学職員はプロデューサーか云々という議論(?)を目にしました。個人的には、その話は10年位前にいろいろ目にし自分自身でも考えた記憶がよみがえり、微笑ましくなりましたね。10年間大学職員をめぐる状況や考察が変化していないのか、新規参入者(新規入職者)により議論が再構築されているのかわかりませんが、話が繰り返されるというのはなかなかおもしろい状況だなと感じています。

 ”大学職員 プロデューサー”あるいは”大学職員 プロデュース”で検索すると、大まか以下のような結果が現れます。

大学職員の仕事をもっと知ってほしい! 立命館が新卒採用サイトを一新 -- テーマは「プロデュース」 - 大学プレスセンター

学校法人立命館人事課は2017年の職員新卒採用広報の一環として、職員採用情報サイトを全面リニューアルした。最大の特徴は多くの学生が普段ほとんど目にすることのない、「職員が教員や様々なステークホルダーと共に『学びの場』を“プロデュース”している姿」にスポットを当てている点だ。

asahi.com:経営改革職員が主役 勝ち残り戦略、担い手に - 全入時代 - 大学 - 教育

高橋教授は日本私学振興財団(現・日本私立学校振興・共済事業団)職員だった約30年前、私大に職員として出向。何事も教員中心で、職員は反論すらしない関係を変えようと職員の勉強会を始めた。「いまや職員が教育サービスをプロデュースしていかないと大学は立ちゆかない。“職員の時代”だ」と話す。

平安女学院大学の奇跡: 小規模大学の生き残り大逆転戦略 - 山岡景一郎 - Google ブックス

事務方の職員は戦略スタッフなのです。こうたとえると、わかりやすいかもしれません。教員は「役者」で、職員は「プロデューサー」です。テレビドラマや映画を製作するときは、花形は役者さんです。でも、役者だけでは素晴らしいドラマや映画はできません。

学校法人千葉学園 千葉商科大学 | 新卒採用・会社概要 | マイナビ2020

“大学職員”と聞くと、どのようなイメージが思い浮かびますか?様々あると思いますが、千葉商科大学(CUC)の大学職員は、一言で言えば「プロデューサー」。“この講義は学生にとってベストなものか”“社会で働く大切さをどのように知ってもらうか”“学生の自主性を伸ばすにはどうしたらいいか”など、学生が社会で活躍できる人材に育つためには、“何が必要か”“何をしなければいけないのか”を常に考え、行動できるプロデューサー思考のメンバーばかりです。

桜美林大学学術機関リポジトリ

大学職員の「教育支援力」の向上を目的とし、「大学と現代社会」において職員が「職員先生」として登壇し、授業をおこない学生と向き合う「場」をプロデュースした。

第4回国立大学法人若手職員勉強会発表資料

 

 冒頭にあった大学職員はプロデューサーか云々という話は、おそらく、「大学職員」と「プロデューサー」というともに正体がよくわからない言葉が組み合わさり、さらに各者の個人的な思い・感情も相まって、人それぞれなことになっているのでしょうね。私としては、真摯に業務に取り組み必要に応じて他の教職員と連携・協力や刺激しあえるのであれば、別になんでもいいと思います。ただ、他者をステレオタイプに分類し非難するのはちょっと違うよね、とは感じますね。

 そういえば、第5回国立大学法人等一般職員会議(コクダイパン会議)で「10年後のキーパーソン像」ということが話し合われたなと思い出し、懐かしさも含めて、報告書から全20班の検討結果を以下にまとめておきます。あくまで大雑把なまとめのみ記載していますので、なんのこっちゃわからないと思います。必要な能力なども整理されていますので、詳細は報告書をご覧ください。果たして、少しは近づいているのでしょうか。

国立大学一般職員会議(コクダイパン会議)-これまでのコクダイパン

  1. 今ある大学の組織力、個人の力を最大化するコンダクターみたいな大学職員
  2. 愛情と安心感に満ちあふれた大学を担っている大学職員
  3. 愛と勇気を持った(アンパンマン的)な大学職員≪キャスト≫
  4. 松下幸之助的な大学職員
  5. 面倒見の良いハイエな大学職員
  6. 愛校心をもった大学職員
  7. 自分の大学が大好きな大学職員
  8. 価値を理解し、高められる大学職員
  9. 愛し愛される大学職員
  10. オトナカッコイイ大学職員
  11. あきらめない大学職員
  12. こんな大学職員
  13. 肉食系インテリな大学職員
  14. 大学愛≪LOVE≫な大学職員
  15. なんかやってくれそうな大学職員
  16. いい係長
  17. この人に仕事を任せたい!と思わせる大学職員
  18. 冷静かつ情熱的な大学職員
  19. forever21な大学職員
  20. ホープ&クリエイティヴな大学職員

労働における成果とは何か。

www.itmedia.co.jp

――日本企業が取り組んでいる働き方改革を見ると、その多くは残業規制のための制度作りに注力しすぎている気がします。この点はいかがですか?

 日本の働き方において何が一番悪いかといえば、言うまでもなく残業ですよ。残業手当てという制度がある限り、問題は解消されません。

 働き方改革に関しては、あながち政府が言ってることも間違ってるとは思いません。裁量労働制にしたらいい。特にオフィスで働いている人たちは、「時間」ではなく「成果」で働いているのですから。

 カルビーの松本会長に対するインタビュー記事が若干バズっているようです。内容としては、残業手当が長時間労働を誘引しているので各者の働き方に合わせて制度を再構築すべき、といったところでしょうか。

 オフィスは最も危険な場所であり、快適な場所です。危険というのは、ここにいても何も情報が入ってこないからです。製造現場やスーパーマーケットの売り場を回ったほうがはるかに勉強になります。かたや、夏は涼しく冬は暖かい、こんな快適なところはないです。だから皆そのために集まって、残業だけして帰っていくのです。

 けれども、考えてみてください。自宅を快適にするほうがいいか、オフィスを快適にするほうがいいか。家に決まっていますよね。オフィスにかかる経費を減らして、その分を社員に払えばいいと思います。

 自宅で仕事するのであれば、朝起きてひげをそらなくてもいいし、ネクタイもしなくていい。満員電車に乗らなくてもいい。その代わり求めてるのは成果だよ、成果出さなかったら何をやっても駄目だよという状況を作ってあげればいいのです。そうすれば、多くの社員は自宅で働いたほうがいいと思うでしょう。与えないと分からないのです。

など面白いところもあるのですが、何度かでてくる「成果」という言葉に違和感を覚えました。そもそも、労働における成果とはなんなのでしょうか。

 時間ではなく成果で労働基準を定める場合、当然各労働者が果たすべき「成果」が定められ、かつ、それが外部測定可能でなければなりません。そうでなければ、特に労働者に自己決定権がない時には、曖昧な「成果」という言葉のもと、労働量が無限大に増加する恐れがあります。また、果たすべき成果が明確でないまま成果による評価を導入した場合、不当な処遇や解雇の温床にもなりえます。森島(2016)*1では、従業員調査の結果等を分析することにより、

 だが,現在私たちが知っている実証研究の結果からは,労働者の自律性が失われたなかで,成果主義的な処遇制度が導入されると,労働時間が増加し,労働生活の質が劣化する可能性が見えてくるのである。また企業にとってもそれほど素晴らしい結果が生まれない可能性もある。

 したがって,成果主義的処遇制度による賃金と労働時間との切り離しは慎重に行わなくてはならない。自ら目標を設定でき,スケジューリング等を決めることができる「真の」意味での業務型の労働者に限定した適用である。または労働者を不確実性からある程度遮断する仕組みが並行して導入されないと,労働者にとっては「労働生活の質」
の低下に繫がりかねない。

と結論づけています。

 私の感覚として、正確に言えば「業務の成果が何であるか定めることができる者」が少ないのではないかと思っています。特に大学職員の業務は成果が見えにくいことが多く、それに慣れた管理職はそもそも自分や部下が果たすべき成果を決めることができない(決めるという考えすらない)ということが容易に想像できます。ある程度譲って、自分の業務についてはそれが可能であったとしても、部下の業務の成果を当該者の意思・能力や組織のミッションとバランスを取りつつ設定するということはかなりの難易度ではないでしょうか。少なくとも、私はできません。おそらく、現在の大学事務組織で管理職にいる方は、そういったトレーニングを受けてきたことも少ないかもしれません。(この点について、そもそも上司が部下の成果を設定する必要はないと言う意見もあると思いますが、管理職として管理すべきは組織としての成果である以上は部下の成果についても(全権的ではないにしろ)ある程度は制御すべきではないかと考えています。)

 成果が明確になっていないから制度を変える必要はないと言う気もありませんし、全て管理職が悪いと言うのも少し違うかなとも思っています。ただ、自分がやっている業務の成果は何か、それと組織・大学のミッションとの関係性はどういったものかは常に考えていきたいと思っているところです。

教育活動において保証すべき”質”とは何か-質保証と多様性-

8月23日(木)、24日(金)FD・SDフォーラムを開催します | 大学コンソーシアム八王子

今回は、「教育の質保証」をテーマに各大学の取組みがより社会に認知され、実質的な成果をあげるための施策や方向性を考えるとともに、各大学がどのような取組みを行えばよいかを講師と参加者の皆さまが共に考える機会を提供します。

 大学コンソーシアム八王子が行う本年度のFD・SDフォーラムの開催テーマは、教育の質保証のようです。京都大学の松下先生やPROG関係の発表があるとの情報があり、質保証の理論や手法などについて話があるのではないかと想像しています。

 教育の質保証が叫ばれるようになって随分経つなと言う印象です。大学機関別認証評価の導入(平成16年度)からと考えると15年程度でしょうか。弊BLOGでも質保証については度々言及してきました。

 教育の質保証を巡る話でいつも不満に感じるのは、ルーブリックや調査・IRなどの手法が注目される一方、そもそも保証されるべき”質”とは何なのかという点への言及が少ないことです。満足度アンケートや就職先への調査、基礎力テストなどのツールを駆使してデータを集めても、果たしてそれは何の質をどのように保証しているのか、必ずしも明確でない場合もあります。

 教育活動において保証すべき”質”とは、ディプロマ・ポリシーの到達度・達成度なのだろうと考えています。この前提に立つと、各大学や学部研究科によってディプロマ・ポリシーが異なるため、”質”そのものの議論を総体的に展開することが難しく、方法論が主になっているのではないかと思っているところです。到達度テストや授業評価アンケート、カリキュラムマップなども、ディプロマ・ポリシーの到達度・達成度を測りその程度を向上させるための手段にすぎません。そのため、ディプロマ・ポリシー自体を到達度・達成度の検討が可能なものにしておく必要があるとともに、極論を言えば、ディプロマ・ポリシーとの関連性を明確にできないものを測定・把握しても大学全体の教育活動の質保証にはあまり関与しないとも言えるかもしれません。

 ・・・と正論を展開しましたが、最近はこの考え方もちょっといまいちだなと思っています。

f:id:samidaretaro:20180529194918p:plain ディプロマ・ポリシーの到達度・達成度を基準にすることは学位の質を担保することに繋がるのですが、学生自身の成長の多様性に十分に対応できるのでしょうか。ディプロマ・ポリシーは最低限の質保証でありその上に学生個々人の多様性が芽生えるという考え方(図に示す「花瓶モデル」)もできます。ただし、この場合も学生の多様性を確認する方法がないことや、そもそもディプロマ・ポリシーの到達度・達成度を測定すること自体が多大な労力を要するものであることなどから、結局はディプロマ・ポリシーの範囲内で質保証を展開することになり、学生の多様性まではカバーできないのではないかと考えています。せいぜい、在学時の受賞などの少数のエピソードにより担保する程度でしょうか。なお、古川(2017)*1では、質保証にも用いられるPDCAサイクルについて、"偶然性を排除することによって限りなく必然性を追求するシステムである"とし、PDCAサイクルの枠をはみだす偶然性や非合理性を含んだ様々な事象を論理的・合理的に正当化・説明することが大学における教育研究活動の質的な改善に必要であるとしています。この点も、教育の質保証に対し重要な示唆を与えてくれます。

 最近の大学改革では、各大学の特色化を進めるとともに、ディプロマ・ポリシーによる質保証を進めています。これにより、各大学ではある程度均一化された人材育成を従前に比べて進めることになるのでしょう。これは工業製品の工場分散化と同じではないかと感じています。ハンドルのみを作る工場、タイヤのみを作る工場などがあり、それら工場から製造物が出荷され集合することで車を完成させることができます。当然、この場合は工場間の流通が担保されていることが必要条件となります。翻って大学に当てはめると、流通経路とは卒業後の就職先や進路のことであり、各大学の卒業生が全国各地に分散し自らと異なる特色を有した他の大学の卒業生とともに物事をなし得るという姿が思い浮かびます。

 ・・・このような姿は人的移動コストを全く無視しており、明らかに無理があることは想像に難くありません。そもそも、政府が決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略(2017 改訂版)では新規学卒者の同一道府県内就職の割合を高めることが示されており*2、このような全国的なジグソーはできないようになっています。また、この前提に立つと、地域社会に輩出される人材は各地に立地する大学により規定され、各大学での人材養成が均一化されることで地域社会における人材の多様性が低下するのではないかとも懸念します。

 現在の大学改革は”各大学の特色を強め全体として多様化を進めるとともに、各大学の内的装置を均一化する”ように感じられますが、”大学の内部の多様性を認め、その多様性がどの大学でも発揮されるようにする”とできないかと考えています。これにより、均一化された工場ではなく多様な商品を備えたセレクトショップが各地に作られ、各地に多様な人材を輩出することができます。

 ただ、このような多様な人材を輩出することと教育活動の質保証を両立させることは、それほど容易なことではありません。最近の私の関心は、大学の多様な教育研究等活動と質保証活動をどのように両立させていくか、という点にあります。その意味では、やはり保証すべき”質”をどのように同定していくのかということが重要だと認識しています。

 ・・・実際には、ディプロマ・ポリシーの到達度・達成度を基準として均一化された人材育成を各大学において行うことは(程度にもよりますが)ほぼ不可能であり、単純に地域の人材の均一化が進む可能性は相当に低いと思います。ただ、政策の方向性がそのようにある以上、大学内部の多様性との間で苦悩しつつ、質保証に取り組んでいくことになるのでしょう。

*1:反「大学改革」論:若手からの問題提起 第1章 PDCAサイクルは「合理的」であるか

*2:まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017 改訂版)P62 "地方における雇用環境の改善を前提に、新規学卒者の道府県内就職の割合を平均で 80%まで高める(2015 年度道府県平均 66.1%)"

なぜ大学職員が部活の指導を行えるのか。

 日本大学アメリカンフットボール部の件が世間を騒がしています。本件は危機管理や広報など様々な側面から語ることもできるのですが、私が今一つ腑に落ちないのはなぜ大学職員が部活の指導を行えるのか、という点です。私の母校や勤務校(ともに国立大学)ではそのような例を聞いたことがありませんし、一般的に教育学部体育学科や体育系学部の教員が指導を行うことは想像できても、事務系職員が指導することは個人的には想像しがたい所です。

 報道で確認する限り人事担当理事が部の監督を務めていたようですが、これは業務の一環だったのでしょうか。人事担当理事の職務を全うしながらアメフト部の監督を行うことができるものなのでしょうか。労務処理はどのように行われていたのでしょうか。指導を行える根拠規程はあるのでしょうか。あるいは、ボランティアだったとしても怪我等に伴う労災関係や本務との関係はどのように整理されていたのでしょうか。不思議なことだらけです。

 アメフトや陸上競技など、大学として打ち出していきたい部活やサークルなどには、組織的に人的支援を行なっているということが想像できます。また、出身の部活やサークルなどを個人的に支援している例も考えられます。私の知人でも、母校の事務職員になり出身の体育系部活・サークルのコーチをしている者がいます。学生に職員を身近に感じてもらい大学への愛着を促進するという意味では良い取り組みなのかもしれませんが、学生と適度な距離感を保つという意味では良し悪しがあるなと感じている所です。特に、今回のように危機管理上の事案が生じた際には、色々と難しい問題が発生するかもしれません。

 このような職員と部活・サークル活動との関係は先行研究がそれほど多くなく、実態はまだまだ不明なところがあるなと感じています。どのような距離感が適切なのか、考えていく必要があるのかもしれません。

講習開設機関担当者から見た教員免許更新制の課題

教員免許の更新、講習に申し込み殺到 定員超えで追加開講の大学も|下野新聞「SOON」

教員免許の更新に必要な講習への申し込みが殺到し、受講しにくい状況が全国で発生している。2009年に更新制度が始まり、その制度で免許を取得した教員が本格的に更新時期を迎えたため、例年より更新対象者が増えた。県内は約3千人の更新対象者に対し、およそ1400人分の講習が不足しているという。更新しなければ教員免許が失効する事態に、宇都宮大は「異例の申し込みの多さ」として講習の追加実施を決めた。

 教員免許状更新講習の不足に関しての記事が出ていました。栃木県のことではありが、全国的に同様の状況であることは弊BLOGでも指摘したところです。

広島県で教員不足 公立小・中学校など35校 | 教育新聞 電子版

県教委によると県内の35校で、臨時採用の教員26人、非常勤講師12人の合わせて38人の教員が不足していた。このうち呉市の吉浦中学校では、18年度当初に必要な教員を確保することができず、国語と理科の授業を予定通り実施することができなかった。

 教員の不足についても数年前から全国各地で表出化してきました。この一因として教員免許更新制が導入されたことを指摘する方もいます。

ドキュメント「教員免許失効」~更新を忘れた教師の末路(田中 圭太郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

しかし、この制度が導入されてから、更新を忘れて免許を失効する教員が後を絶たないのだ。去る4月24日には、滋賀県の公立小学校の40代女性教諭が、手続きを忘れ免許失効となり、失職したことが発覚した。「間抜けな話」と片付けるのは簡単である。だが、その責任は本人だけにあるのか。実際に免許を失効した職員に話を聞いてみると、意外な落とし穴が見えてきた。

 教員免許状の更新手続き(免除申請)を忘れあわや失効というケースも紹介されています。

 私は教員免許状更新講習の開設機関担当者として、受講対象者である学校教諭や免許管理者である教育委員会、講習開設機関である他大学、教職員組合などに属する様々な当事者の方と、更新講習についていろいろな話を重ねてきました。そんな中で、教員免許状更新講習による教員免許更新制の課題をいろいろと感じているところです。今回はそれを書き記します。

教員免許状更新講習による教員免許更新制の課題

講習の開講数や開講定員が保証できない

 弊BLOGでもたびたび述べていますが、更新講習で最も重要な要素は定員(正確に言えば受け入れ人数)です。更新講習には学校教諭の職業人生がかかっており、講習内容も大切なのですが、まずは講習を受けなければ話になりません。

 更新講習を開設できる機関は教育職員免許法及び免許状更新講習規則で定められています。

教育職員免許法

(免許状更新講習)

第九条の三 免許状更新講習は、大学その他文部科学省令で定める者が、次に掲げる基準に適合することについての文部科学大臣の認定を受けて行う。

教員免許状更新講習規則

(講習開設者の資格)

第一条 教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号。以下「免許法」という。)第九条の三第一項各号列記以外の部分に規定する文部科学省令で定める者は、次に掲げる者とする。

一 免許法第五条第一項に規定する養護教諭養成機関、免許法別表第一備考第二号の三及び第三号に規定する教員養成機関、免許法別表第二の二備考第二号に規定する栄養教諭の教員養成機関並びに教育職員免許法施行規則(昭和二十九年文部省令第二十六号。第九条第一項第一号において「免許法施行規則」という。)第六十四条第一項の表の下欄及び同条第二項の表の第四欄に規定する特別支援学校の教員養成機関

二 都道府県又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市若しくは同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市教育委員会

三 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第四項に規定する大学共同利用機関

四 前三号に掲げる者のほか、文部科学大臣が指定する者

 また、教員免許更新制の実施に係る関係省令等の整備について(通知)(平成20年4月1日)では、講習の開設者として、教員養成の課程を有する大学がまず想定されています。

 教員養成の学部を置く大学をはじめとして教員養成の課程を有する各大学におかれては、教員免許更新制の目的である最新の知識技能の修得の場としての役割を果たすことについて、各地域において大きな期待が寄せられているところであり、免許状更新講習の開設に格段の取組をいただきますようお願いいたします。

第4 教育職員免許法及び教育職員免許法施行規則の改正並びに免許状更新講習規則の制定に関する留意事項

3 免許状更新講習規則の制定関係

1.講習の開設者に関する事項(更新講習規則第2条関係)
 免許状更新講習の開設主体については、主に教員養成の課程を有する大学をはじめとする大学が想定されるものであり、都道府県、指定都市又は中核市教育委員会(以下「都道府県等の教育委員会」という。)が免許状更新講習の開設を行うのは、教員養成の課程を有する大学における開設が不十分な場合、十年経験者研修等の現職研修の一部をなす講習を免許状更新講習として実施する場合、都道府県等の教育委員会が免許状更新講習の内容等について特に優れた知見を有している場合等、講習を開設する必要が特にあると都道府県等の教育委員会が判断する場合であること。 

 現状の講習開講を見ると、大学や短期大学が最も開講数が多く、その後に教育委員会や専門学校、各種法人と続くといった感じでしょうか。ただし、対面講習の開講状況を見ると、増加した受講希望者に十分に対応できていないことは以前の記事でも紹介したところです。

 大学にとっては、社会貢献活動の一部(場合によっては自己収入確保の一手段)として講習を開講していると考えられます。ただし、それは教育活動や研究活動よりも必ずしも優先されるものではありません。全ての大学が教員研修の全てに責任を負っているわけではなく、自らが可能な範囲以内で開講しているに過ぎないのでしょう。各大学を取り巻く環境が厳しくなっている中で、大学が開講する講習の数や定員は保証されているものではないと考えます。

学校教育に関する職種が多様になってきたため対象者の判断が困難

 更新講習は誰でも受講できるわけではなく、受講対象者が法令で定められています。

教育職員免許法

(免許状更新講習)

第九条の三 3 免許状更新講習は、次に掲げる者に限り、受けることができる。
一 教育職員及び文部科学省令で定める教育の職にある者
二 教育職員に任命され、又は雇用されることとなつている者及びこれに準ずるものとして文部科学省令で定める者

教員免許状更新講習規則

(講習を受講できる者)

第九条 免許法第九条の三第三項第一号に規定する文部科学省令で定める教育の職にある者は、次に掲げる者であって、普通免許状若しくは特別免許状を有する者、普通免許状に係る所要資格を得た者、教員資格認定試験に合格した者、免許法第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有する者又は教育職員免許法施行法(昭和二十四年法律第百四十八号)第二条の表の上欄各号に掲げる者とする。

一 校長、副校長、教頭、実習助手寄宿舎指導員、学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第七条に規定する職員その他の学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員のうち栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭並びに栄養教諭以外の者並びに教育委員会の事務局において学校給食の適切な実施に係る指導を担当する者並びに免許法施行規則第六十九条の三に規定する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園(以下「幼保連携型認定こども園」という。)(次項第一号において「学校」という。)において専ら幼児、児童又は生徒の養護に従事する職員で常時勤務に服する者

二 指導主事、社会教育主事その他教育委員会において学校教育又は社会教育に関する専門的事項の指導等に関する事務に従事している者として免許管理者が定める者

三 国若しくは地方公共団体の職員又は次に掲げる法人の役員若しくは職員で、前号に掲げる者に準ずる者として免許管理者が定める者

イ 国立大学法人法第二条第一項に規定する国立大学法人及び同条第三項に規定する大学共同利用機関法人

ロ 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人

ハ 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人

ニ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人(幼保連携型認定こども園を設置するものに限る。)

ホ 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人であつて、文部科学大臣が指定したもの

四 前三号に掲げる者のほか、文部科学大臣が別に定める者

2 免許法第九条の三第三項第二号に規定する文部科学省令で定める者は、次に掲げる者であって、普通免許状若しくは特別免許状を有する者、普通免許状に係る所要資格を得た者、教員資格認定試験に合格した者、免許法第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有する者又は教育職員免許法施行法第二条の表の上欄各号に掲げる者とする。

一 学校の校長、副校長、教頭又は教育職員であった者であって、教育職員となることを希望する者(前項第一号から第三号までに該当する者を除く。)

二 次に掲げる施設に勤務する保育士(国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第十二条の四第五項に規定する事業実施区域内にある施設にあっては、保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士)

イ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第六項に規定する認定こども園(幼保連携型認定こども園を除く。)

ロ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所

ハ 児童福祉法第五十九条第一項に規定する施設のうち同法第三十九条第一項に規定する業務を目的とするもの(幼稚園を設置する者が設置するものに限る。)

三 教育職員に任命され、又は雇用されることが見込まれる者

 例えば、現在学校教諭として働いておらず、過去においてもそうではない/今後においてもその予定がない者は更新講習を受講することができません。

教員免許更新制の実施に係る関係省令等の整備について(通知)(平成20年4月1日)

6.講習の受講対象者について(更新講習規則第9条関係)

 免許状更新講習の開設者は、受講申込時に、受講申込を行う者が更新講習規則第9条に規定する受講対象者に該当するか否かについて、証明者が証明した書類の提出を求めることなどにより確認すること。

 この受講対象者であるかの判断は一義的には講習開設機関が行うこととなっています。ただ、最近の受講者の状況を見ていると、学校支援員や児童支援職など、この対象者に該当するのか自明ではない者が増えていると感じています。これは学校教育に関する職種が多様化しているためと思われますが、市町村教育委員会での制度運用や登用も多く、確認に苦労します。

 この判断について、そもそも当該職種がどのような特性なのか(教員免許状が必要な職種なのか、その根拠は何か、更新講習受講対象者なのか、など)、教育委員会自身も明確に判断できないこともありました。講習対象者、というよりは”講習を受講できない者”を文部科学省が今一度明確にし教育委員会等に通知すべきではないかと感じています。

幼保関係者の受講が急増している一方、幼保に関する講習の開講が困難

教員免許更新制:文部科学省

目的

 教員免許更新制は、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。
※ 不適格教員の排除を目的としたものではありません。

免許状更新講習の受講対象者の拡大について

 このたび、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令(平成25年政令第193号)」が平成25年6月26日に公布され、同年7月1日に施行されるとともに、平成25年8月8日より「免許状更新講習規則の一部を改正する省令(平成25年文部科学省令第23号)」が公布され、同日から施行されます。

 この改正省令では、幼稚園教諭免許状を保有している認可保育所の保育士が、免許状更新講習を受講できるよう、受講資格が拡大されました。

 幼稚園教諭免許状を所持する者として、認定こども園や幼稚園、保育所勤務者も更新講習を受講することができます。保有免許状ごとの受講者数は公表されていませんが、保育所勤務者、特に幼稚園教諭二種免許状のみを所持する受講希望者が増加しているように感じています。

 従前より、教員免許更新制は小中高特別支援学校の学校教諭を主眼においた制度ではないかと思っていました。そんな中で、幼保の受講者が増加することは、講習の内容などを検討し直さなければなりません。そもそも、幼保の講習を担当できる者が少なく、場合によっては講習の開設自体が困難なのではないかと考えられます。

学校種 本務教員数 合計
幼稚園 118,095 1,359,190
幼保連携型認定こども園 86,905
小学校 459,155
中学校 293,086
義務教育学校 2,007
高等学校 307,019
中等教育学校 3,352
特別支援学校 89,571
     
保育所認定こども園 39,571 2,081,335
保育所 2,041,764

 上記の表は、各学校種の本務教員数を示したものです。幼稚園から特別支援学校までは文部科学統計要覧(平成30年版)から、保育所認定こども園以降は平成28年社会福祉施設等調査から数値を拾いました。ここから、学校教諭より保育所勤務者の方が合計数が多く、講習受講対象者のうち過半数保育所勤務者であると考えることもできます。保育所勤務者全員が講習を受講するわけではありませんが、幼保連携型認定こども園への移行が増加していることもあり、幼稚園教諭免許状を有効にしておきたい保育所勤務者は相当数に上ると想像しています。

 このような状況の中、各大学において幼保関係者に有益な講習を開講することは、当該大学の教育研究上の特性もあり、遍く全ての機関で対応できません(個人的には、講師がいないという問題が大きいのではないかと思っています)。また、幼保の受講希望者の急増に対応できる程度のキャパシティも必ずしも持ち合わせているとは限らないでしょう。職場環境や組織構造など小中高学校教諭と大きく異なる状況にある幼保関係者の講習受講への対応は、かなり難しい問題なのではないかと思っています。

 

 一担当者として、上記のような課題を毎日感じながら業務に当たっています。それでは、これを解決するにはどのような対応策が考えられるでしょうか。

対応策

更新講習以外による免許更新を可能とする

 免許更新制は教員職員免許法で定められており、それを廃止するためには法改正が必要です。一般的に、法改正は現状の制度をより良くするためになされるため、建前論として良い話だと思われやすい免許更新制を廃止することは難しいのではないかと思っています。そのため、免許更新制を廃止するのではなく、免許更新の要件を更新講習受講以外にも広めるべきではないか、ひいては更新講習を受講せずとも免許更新を可能とできないかと考えています。

 「その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指す」という教員免許更新制の目的は、果たして現在の更新講習の受講による免許更新により達せられているのでしょうか。また、現在教壇に立っている者と過去教職経験者、教員採用見込み者が同じ講習を受けることが最も良い方法なのでしょうか。例えば現職教員は更新講習受講以外の方法で免許更新を可能とするなど、更新講習によらない免許更新制を検討しなければ、持続可能な免許更新制を構築できないかもしれません。

国としてe-Learning教材を開発しテストを各地で行う

 特に幼保関係の講習開講を確保するため、教職員支援機構などが学校種別にe-Learningによる更新講習を開発することも考えられます。その上で、機構等から送られたテスト用紙を用いて各大学等でテストを実施し回答用紙を機構へ返送するといった、大学入試センター試験に近しい方式により講習を開講することもあり得るのではないでしょうか。各大学にとっては、講師の調達や内容の調整、申し込みの処理が最も手間がかかるところです。それを除いてテストのみ担当するとなれば、各大学も手を挙げやすくなるでしょう。

 

 これらの対応策は一担当者の妄想でありますが、なんにせよ、現状を見ていると教員免許更新制は持続可能な制度であるとは思い難いところがあります。何かしら抜本的な対応をしなければ、学校教諭も各大学等も不幸になるのではないかと案じています。

Webページから見る文科省と経産省の違い

産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック:文部科学省

文部科学省では、このたび、産学官連携活動に関する大学の取組を企業に対して紹介するため、一般社団法人日本経済団体連合会及び経済産業省とともに、「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」を改訂・公表しました。本ファクトブックの活用により、大学と企業とのマッチングが一層促進され、本格的な産学官連携活動の実現に資することを期待しています。
(同時発表:一般社団法人日本経済団体連合会経済産業省

 文部科学省のWebページに「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」が公表されていました。文科省における作成主体は科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課(産地課)のようです。

 本件については議論の経過を十分に追えていないので、そもそも誰がどのように活用し”本格的な産学官連携活動”(個人的には嫌な言葉です)に繋げるのかイメージがわきません。ただ、本件は経済産業省と同時発表のようですので、経済産業省のWebページではどのように公表されているのか、確認します。

「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」を取りまとめました (METI/経済産業省)

経済産業省では、このたび、産学官連携活動に関する大学の取組を企業に対して「見える化」するため、一般社団法人日本経済団体連合会及び文部科学省とともに、「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」を公表しました。本ファクトブックの活用により、大学と企業とのマッチングが一層促進され、本格的な産学官連携活動の実現に資することを期待しています。

 Webページを見ただけでも公表物の違いがわかると思います。以下表に両省のWebページでの公表状況の違いをまとめました。

  文科省 経産省
ファクトブックの公表方法 pdf20ファイルに分割 pdf1ファイル
その他公表資料 なし ・掲載項目ランキング(追補版)(pdfファイル)
・掲載データ総括表(Excelファイル)

  確か、文科省のWebページに掲載できるファイルにはファイルサイズの上限があったと記憶していますが、それにしても20ファイルに分割した上で”大学と企業とのマッチング”も何もあったもんじゃないだろうと思います。また、大学間を比較分析できるようになっていない点も、実務上大きなマイナスなのではないかと感じます。一方、Excelファイルを掲載している経産省は、具体的な運用などをある程度想定して掲載しているのかもしれません。

 大学技術移転など、産地課は文科省の中でも経産省に近しい業務内容だったと記憶しています。ただ、このように同じ業務を双方の視点から見ると、どうも業務の趣旨がズレているように感じますね。