なぜ大学職員が部活の指導を行えるのか。

 日本大学アメリカンフットボール部の件が世間を騒がしています。本件は危機管理や広報など様々な側面から語ることもできるのですが、私が今一つ腑に落ちないのはなぜ大学職員が部活の指導を行えるのか、という点です。私の母校や勤務校(ともに国立大学)ではそのような例を聞いたことがありませんし、一般的に教育学部体育学科や体育系学部の教員が指導を行うことは想像できても、事務系職員が指導することは個人的には想像しがたい所です。

 報道で確認する限り人事担当理事が部の監督を務めていたようですが、これは業務の一環だったのでしょうか。人事担当理事の職務を全うしながらアメフト部の監督を行うことができるものなのでしょうか。労務処理はどのように行われていたのでしょうか。指導を行える根拠規程はあるのでしょうか。あるいは、ボランティアだったとしても怪我等に伴う労災関係や本務との関係はどのように整理されていたのでしょうか。不思議なことだらけです。

 アメフトや陸上競技など、大学として打ち出していきたい部活やサークルなどには、組織的に人的支援を行なっているということが想像できます。また、出身の部活やサークルなどを個人的に支援している例も考えられます。私の知人でも、母校の事務職員になり出身の体育系部活・サークルのコーチをしている者がいます。学生に職員を身近に感じてもらい大学への愛着を促進するという意味では良い取り組みなのかもしれませんが、学生と適度な距離感を保つという意味では良し悪しがあるなと感じている所です。特に、今回のように危機管理上の事案が生じた際には、色々と難しい問題が発生するかもしれません。

 このような職員と部活・サークル活動との関係は先行研究がそれほど多くなく、実態はまだまだ不明なところがあるなと感じています。どのような距離感が適切なのか、考えていく必要があるのかもしれません。