教職コアカリ対応表様式(仮)及び再課程認定教育研究業績書様式(仮)を作りました。

 前回の記事に引き続き、教職課程再課程認定に関連し、教職コアカリキュラム対応表様式(仮)及び再課程認定教育研究業績書様式(仮)を作りましたので、共有します。例によって、利用の際は自己責任でお願います。

 教職コアカリの対応表は、あまりセンスがない様式だなと思いつつ、手引きを踏まえ類似した形で作成しました。なお、外国語(英語)コアカリキュラム対応表は作成する予定はありません。

 教育研究業績書には「職務上の実績に関する事項」欄が追記されましたので、それに合わせて様式(仮)を作成しました。業績等を記入する欄は無色罫線の表により作成していますので、課程認定担当者が一度はイライラしたことがあるであろう、改行連打による高さ合わせを行う必要はありません。業績等を追記する場合は、上か下に行を追加してください。

 様式第2号(概要)はそんなに急いで作るものではないですし、シラバスは変更された箇所はないように感じます。また、様式第5号は「学校体験活動」を加えれば良いだけですね。前回の記事と合わせて、作業開始できる程度の様式(仮)は揃ったかと思います。(繰り返しですが、外国語(英語)コアカリキュラム対応表は作成しません。)

 様式を再構成するのはなかなか勉強になるのですが、ほんとはこんな単発の様式ではなく、もっと作りたいものがあります。それは、様式間をリレーショナルに繋いだ課程認定申請様式セットです。

 教職課程認定申請の手引きやチェックリストには「〜〜が同一か確認すること」などといった注意が頻出しますし、実際私も指摘を受けたことがあります。人の目で注意深く確認をするのですが、特に申請書が長大なものになると、見落としが全くないとは言いがたい状況になります。だったら、そんなところにコストをかけるよりは、機械的に様式間の記述が合致する仕組みを作れないかと考えています。一つのデータシートに入力した数値・文字列が、複数の様式の該当箇所に自動入力されるものを、VBAやアクセス、WEBアプリなどにより構築できないでしょうか。なかなか私の技術が追いつかないのですが、少しずつ実現していきたいと思っています。

 コストがかかる業務をこなすためだけではなく、判断をし成果を出すために仕事をしているわけですし、行政コストや業務コストはできるだけ削減していきたいと思っています。今回の様式(仮)の共有が少しでも教職課程申請担当者の業務コスト削減につながれば幸いです。

再課程認定に係る新旧対照表様式(仮)を作成しました。

 教職課程再課程認定については、前回の記事にて説明会の様子を記したところです。その際申請様式の公表については施行規則確定後になるとの説明がありましたが、8月後半の様式公表を待って作業開始ではいかにも遅い対応になってしまいます。

 特に、再課程認定においては、現状と平成31年度以降の比較という点がとても重要な視座となります。そのため、先立って作業ができるよう、再課程認定に係る様式第2号(新旧対照表)様式(仮)を自分用に作成しましたので、共有します。(※全てエクセルファイルです。)

 当然ながら文科省の確認も経ていませんし、誤りが含まれる可能性が多分にあります。利用は自己責任でお願いします。なお、誤りを発見された場合は、コメント欄にて指摘いただければ大変助かります。

(以下、ただの愚痴)

shinnji28.hatenablog.com

 松宮さんから身にあまるもったない言葉をいただきました。ただ、私は別に褒められるような職員ではなく、教職課程の仕事はどちらかと言えば嫌いですしやりたくもないと思っています。もっと言うと、養成学部以外の教職課程を取り下げればお互いに楽になるのにと思っているような、極めて意識の低い職員です。

 複雑でツギハギだらけの制度は欠陥品だと思っていますし、その制度の解釈をありがたがるような人たちは好きではありません。文科省に対しても、省令改正等対応の遅れや説明会の2ヶ月弱もの開催日の離散、コアカリと教員審査の関係など、不信感はそれなりに大きいです。

 そんなdisgustingな思いの中で、面倒ごとが起きないように、直前になって慌ただしくならないように、(イヤイヤながらも)制度をよく理解し迅速に動けるように対応しているつもりです。あわよくば、文科省をも出し抜けるようにと思っています。前回の記事を説明会終了後数時間でアップしたのは、文科省ホームページに資料が掲載されるまでに内容を公表したいと言う、まったくどうでもいい個人的な思いがあったからです。

 今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

教職課程再課程認定等に関する説明会(東京ブロック・7月10日)に参加してきました。

 本日7月10日に開催された教職課程再課程認定等に関する説明会に参加してきました。全国で順次開催される予定ですが、東京ブロックはもっとも早い開催ということで、会場となった一橋講堂はほぼほぼ満員でしたね。本説明会の資料は、後日、文部科学省のホームページで公開される予定だそうです。

 説明会で発言があった内容について、以下に記します。なお、私が理解できた部分のみ記載しており、内容の正確性は保証できませんのでご了承ください。というよりも、運用がまだ固まっていない部分がありそうでしたので、説明会を重ね各大学と質疑応答等を繰り返すことで、具体的な運用が明らかになっていくのだろうと思います。

(1)教育職員免許法・同施行規則の改正及び教職課程コアカリキュラムについて(文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長)

  • 今回の再課程認定は全ての教職課程が対象となる。各大学においては、学生に教員としてふさわしい資質を身につけられるように教職課程の内容を検討してほしい。教職課程に関する質向上の取組をより可視化し、社会に対して教職課程の意義を伝えていきたいと考えている。再課程認定の過程においては、各大学等としっかりと意見交換・意思疎通をしていきたいと思っている。
  • 平成27年度の中教審答申では、採用や研修段階の充実に加え、養成段階への期待が述べられている。実践的な体験や学習の実施、教科と教職の融合などが挙げられており、それを踏まえ、教育職員免許法(以下、「免許法」)や同法施行規則(以下、「施行規則」)が改正された。
  • 免許法では、科目区分を大くくり化し、各教科の専門的内容と指導法を一体的に学べるようにし、新たな教育課題に機動的かつ弾力的に対応できるようにした。施行規則の改正では、アクティブラーニングの視点を踏まえ、授業改善やチーム学校への対応、特別支援教育など新たな事項を追加し、履修内容の充実を図ることとしている。また、学校インターンシップも各大学の判断により実施できるようにし、積極的な取組を期待している。併せて、養護・栄養教諭の教職課程に係る見直しなどを行う予定である。
  • 科目区分の大くくり化について、現行の8つの科目区分を5つに整理し、融合科目の開設も可能としている。養護・栄養教諭についても、同様に5つに整理している。施行規則の改正案では改正箇所が多いように感じるかもしれないが、多くは科目区分の大くくり化に伴い文言を置き換えた箇所である。
  • 科目に含めることが必要な事項を改正し、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」(以下、「特別支援科目」)の内容を含む科目を1単位以上習得するものとし、また、チーム学校への対応などを新たに含めることとする。各科目区分に含まれる科目にはアクティブラーニングの視点等を取り入れることとしている。教育実習に学校体験活動の単位を含めた場合は、他の学校種の免許状取得における教育実習の単位の流用はできないことに留意いただきたい。
  • 幼稚園教諭の教職課程について、「教科に関する科目」(小学校の国語、算数、生活、音楽、図画工作、体育)から「領域に関する専門事項」と名称を変更し、幼稚園教育要領で定める健康、人間関係、環境、言葉、表現の5領域を定める。ただし、平成34年度までは、従来の「教科に関する科目」による課程の開設も可能とする。
  • 小学校教諭の教職課程について、「教科に関する専門的事項」に外国語を追加する。
  • 中学校教諭・高等学校教諭の教職課程について、「教科に関する専門的事項」のうち英語における「英米文学」を「英語文学」と改める。併せて、「各教科の指導法」の履修方法として、中専修免・中一種免は8単位以上、中二種免は2単位以上、高専修免・高一種免は4単位以上とした。
  • 「大学が独自に設定する科目」は、免許法改正前(旧課程)の「教科又は教職に関する科目」の考え方を継承している。養護・栄養教諭の教職課程についても、同様である。
  • 改正免許法の施行(新課程)は平成31年4月であり、それ以降に教職課程の維持を希望する大学は、平成30年度中に再課程認定を受ける必要がある。改正に伴う経過措置として、①旧課程で習得した単位について、各大学が適当と判断すれば、新課程における単位としてみなすことができること②施行日の前に在学した者であれば、旧課程により免許を得ることができること③幼稚園教諭の教職課程(旧課程)について、「領域に関する専門的事項」に係る単位の修得は、平成34年度までは、旧課程の「教科に関する科目」の習得により可能とすることなどを設けている。
  • 教職課程コアカリキュラム(以下、「教職コアカリ」)について、中教審の答申を受け、コアカリキュラム検討会などで検討を行っているところである。これまで大学の自主性自立性に基づき教員養成が行われており、学芸と実践の融合により高い水準の教員養成が求められているところである。しかし、現在の教員養成に対する批判等もあり、教職課程に係る教育活動の可視化が必要であると考えている。そこで、共通的に習得すべき能力を可視化し、教職コアカリを作成することとした。教職コアカリという共通の土台のうえに、地域のニーズや大学の独自性を踏まえ、教職課程が構築されることとなる。教職コアカリは、教職課程の質保証を目指し、教職課程に関する社会的な理解を得るためのものである。
  • 教職コアカリは主として旧課程の「教職に関する科目」について作成しており、旧課程の「教科に関する科目」や「養護に関する科目」に関するコアカリは今後の検討事項としている。教職コアカリは各科目における一般目標とそれに伴う到達目標で構成されているが、到達目標の数が授業の回数等を規定するものではないことに留意いただきたい。今後、教職コアカリは必要に応じて改正を行っていくこととなる。
  • 各大学においては、教職コアカリの内容を踏まえ、それに大学や担当教員の創意工夫を加え、体系的な教職課程を構築してほしい。その際は、教職コアカリに定める目標を習得できるようにしてほしい。授業の構成にあたっては、①到達目標の内容を扱わない授業回があっても良いこと②全ての授業回において横断的に扱う到達目標があっても良いこと③到達目標と各授業回が一対一対応する必要はないことに留意いただきたい。目標に達する資質をどのように育成するのかということを考えてほしい。教職コアカリに記載された文言一つ一つがシラバスに明記されていることを審査するわけではなく、総合的に授業内容の審査を行う。
  • 外国語(英語)コアカリキュラムについては、英語教育有識者会議において提案され、新しい学習指導要領を踏まえ、作成しているところである。外国語(英語科)の指導法などについて、小学校教員、中・高等学校教員の養成課程において、学習項目等を明記するものである。教職コアカリと同様に大学の創意工夫を否定するものではなく、学習項目の順序や単位数などは目安にとどまっている。課程認定審査において厳密に適用されるものではない。
  • 幼稚園教諭の養成課程のモデルカリキュラムについては、必要に応じて参照できるように、教育課程を例示したものである。
  • 独立行政法人教員研修センター法の改正により、教員免許状更新講習や免許法認定講習の認定業務の一部を機構が行うこととしている。教員免許状更新講習については、平成30、31年度に受講者の増加が見込まれるところであり、各大学においても対応を検討いただきたい。

(2)教職課程認定基準の改正及び再課程認定申請要領について(文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 免許法や施行規則の改正を踏まえ、平成31年度以降にも教職課程の継続を希望する大学は、平成30年度中に再課程認定を受ける必要がある。特別支援学校教員の養成課程以外が対象となるが、特別支援学校教員の養成課程においても、学校体験活動を追加する場合は、課程認定申請が必要となる。
  • 授業科目の審査は、教職コアカリが対象とする科目を中心に行う。シラバスは、改訂後の学習指導要領を踏まえた内容であることが必要である。教職コアカリの定める到達目標が習得できる授業内容であるか、シラバスに教職コアカリの内容が含まれているか確認する。言及されていない到達目標があれば、事務的に指摘することになるだろう。
  • 教職コアカリの内容やその他各大学の創意工夫を踏まえた授業の構成は各大学にて検討することになるが、全ての授業回において教職コアカリの到達目標が含まれている必要はない。教職課程認定審査では、教職コアカリの文言がシラバスに含まれているかということを確認するわけではなく、教職コアカリの全ての内容が含まれていることをシラバスの記載全体として確認できるかということを審査を行う。
  • 例えば、シラバスの記載が抽象的で教職コアカリの到達目標が含まれていることが確認できない場合や教職コアカリの内容をそのまま転機したのみであり授業内容が判然としない場合、教職コアカリの到達目標が含まれた授業回が明らかに少ない場合などは、不適切であると指摘する可能性がある。
  • 教員審査について、業績のみではなく経歴や教育活動等を踏まえて総合的に判断するが、全く活字業績がないことは不適切である。教職コアカリの到達目標一つ一つに対応する業績を求めるわけではなく、シラバスに記載された各授業の主たる目的を踏まえ、授業担当者であることが適切かどうか総合的に判断する。全ての到達目標、全ての授業内容について、網羅的に業績が必要なわけではない。
  • 実務家教員の審査について、職務上の実績を記載する欄を新たに設けている。教育実践記録等の欄も活用してほしい。
  • 教員審査のイメージとして、研究の領域と研究実績が授業内容をカバーするものであれば良い。領域や実績が授業の一部のみをカバーしている場合は、業績を追加するかオムニバスで授業を担当することが考えられる。特に実務家教員について、活字業績が授業内容の一部のみをカバーしている場合は、職務上の実績を加えて授業内容全体をカバーできれば良い。
  • 新設科目の教員審査の取り扱いについて、「総合的な学習の時間の指導法」は、特例として、「総合的な学習の時間の指導法」に関する10年以上前の活字業績を記載可能とし、また、「各教科の指導法」「道徳教育の指導法」「特別活動の指導法」のいずれかの業績でも記載可能とする。ただし、これらの特例を用いる場合は、平成34年度末に「総合的な学習の時間の指導法」に関する業績の事後調査を行う予定である。
  • 小学校の「外国語の指導法」については、「外国語活動の指導法」や中高の「外国語の指導法」の業績でも記載可能とする。ただし、後者の場合は、平成34年度末に「外国語の指導法」に関する業績の事後調査を行う予定である。
  • 特別支援科目については、活字業績が「障害の特性及び心身の発達の理解」のみであっても、研修講師の経験や特別支援学校での教員としての実績など、職務上の実績等で「教育課程や支援の方法の理解」が確認できれば良い。
  • 他の大学で開設する授業科目も含めて、授業科目の開設が可能である。この場合は、再課程認定の際に、単位互換協定書の提出が必要である。
  • 複合科目の教員審査について、授業内容を構成する主たる内容から見て、担当教員としてふさわしいか総合的に判断する。教科に関する内容と教職に関する内容をともに含む複合科目の場合、例えば、教科と教職のそれぞれの業績がある教員2名で授業を担当することや、教科に関する活字業績と教職に関する実務経験がある者が授業を担当することなどが考えられる。なお、過去の教員審査において、「教科に関する科目」または「各教科の指導法」を単独で担当することを可とされた者については、その結果を尊重し審査を行うこととする。
  • 学校体験活動の教員審査について、平成30年4月時点における教育実習科目と同一の教員が学校体験活動を担当する場合は、その者に係る教員審査は行わないこととする。
  • 必要専任教員数や共通開設の取り扱いは従前と同様である。特別支援科目、「総合的な学習の時間の指導法」、「道徳の理論及び指導法」は共通開設が可能であり、学校体験活動は教育実習と同様の取り扱いである。
  • 幼稚園教諭の教職課程における「領域に関する専門的事項」について、一種免は5領域中5領域、二種免は5領域中4領域の開設が必要である。小学校教諭の教職課程との共通開設はできないが、それぞれの課程の専任教員とすることは可能である。特例により、小学校教諭の「教科に関する科目」を充てる場合は、現行の審査基準を適用するが、平成34年度末に「領域に関する専門的事項」の事後調査を行う予定である。
  • 小学校教諭の教職課程における「教科に関する専門的事項」や「各教科の指導法」について、外国語が新設されたことに伴い、10教科の開設が必要である。また、中学校・高等学校教諭の教職課程における「教科に関する専門的事項」ついて、一種免は20単位以上、中二種免は10単位以上の開設が必要である。
  • 新たに複合科目の開設を可能とした。複合科目については、「教科に関する専門的事項」の専任教員に含めること、また、教科指導法と同様に共通開設することが可能である。幼稚園教諭の教職課程における「複合領域」の専任教員については、「領域に関する専門的事項」の専任教員に含めることができる。
  • 学校インターンシップや学校ボランティアなどの科目について、「大学が独自に設定する科目」として位置づけて実施することが可能である。また、教育実習の一部として学校体験活動の科目を開設することもできる。
  • 学校体験活動の実施にあたり、教育実習の一部として実施することを踏まえ、大学と学校との連携や学校教育全般に関する支援活動や補助業務であること、学校の指示の下に学生が行う活動であることが必要である。
  • 「大学が独自に設定する科目」は、従来の「教科又は教職に関する科目」と同様の考え方である。この科目区分では、新たに「「教科に関する専門的事項」に準ずる科目」を開設することができ、複数の教科を横断した科目や異なる学校種を横断した科目が想定できるところである。なお、専修免における「大学が独自に設定する科目」は従前の「教科又は教職に関する科目」と同様の取り扱いとする。
  • 再課程認定の申請書類については、一部の書類の提出を省略することとなるが、大学側で課程認定基準等を満たしていることをしっかりと確認してほしい。シラバスについては、法改正に伴い新たに設定される科目や教職コアカリに記載された科目が提出対象となる。これ以外の科目について、平成30年4月時点と同一教員が担当する場合は、提出の対象ではない。同じく、業績書の提出対象となる教員についても、新規事項以外の事項を含む授業科目について、平成30年4月と同一教員が担当する場合は提出の対象ではない。また、全ての教職課程について、平成30年4月時点と平成31年度以降との新旧対照表を提出する必要がある。
  • 科目区分の変更に伴い、専修免の教職課程では、新たな科目区分に応じて新旧対象表上に授業科目を再配置する必要がある。この際、授業科目新設や教員変更を行う場合は、シラバス及び業績書の提出対象となる。
  • 教職コアカリや外国語(英語)コアカリの対象科目のうち必修・選択必修科目は、コアカリの内容と授業内容との対応表を提出する必要がある。
  • 業績書には、新たに「職務上の実績に関する事項」(資格・免許、学校現場等での実務経験など)を記載できる欄を設けた。特に、実務家教員については、同欄を活用いただきたい。なお、「教育上の能力に関する事項」欄は大学生に対する教育活動を記載することとする。
  • 教育実習について、様式第5号は必ず提出することとなるが、実習校の受入承諾書は不要である。ただし、学校体験活動を開設する場合は、受入承諾書の提出が必要である。なお、教育実習の一部として学校体験活動を行う場合は、様式第5号に学校体験活動に関する成績評価方法や事前事後指導の内容を記載する必要がある。
  • 再課程認定のスケジュールについて、8月に施行規則改正・課程認定基準確定・再課程認定手引きの確定版配布、10月下旬から2月まで事前相談、3月に申請書提出、平成30年度に審査、平成31年度から新課程の実施を想定している。

(3)事前質問への回答について(文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

課程認定基準について
  • 旧課程と新課程が並存する場合の専任教員は、重複してもかまわない。
  • 「各科目に含めることが必要な事項」について、単位数が明記されていない事項であれば、複数の事項を含んで一つの授業科目を開設しても良い。また、一つの事項を2科目に分けて開設することも可能である。
  • 教育実習について、課程認定審査では隣接する学校種での実施を認めていない。
  • 「進路指導」を含めた科目について、養護教諭の科目との共通開設は原則できない。
  • 認定後の変更については、これまでと同様の取り扱いを想定している。具体的な取り扱いは検討中である。
  • 新規に追加された「各科目に含めることが必要な事項」は、必ず新規科目を開設しなければならないのではなく、すでに開設されている科目を利用することも可能である。その際、必ずしも名称変更が必要ではないが、教職課程にふさわしい名称としてほしい。
  • 科目名称の例は検討中である。
コアカリキュラム・シラバスについて
  • 到達目標や一般目標を複数の授業科目で構成することは可能だが、それらの構成科目は必修科目とすることとなる。
  • 養護・栄養教諭のコアカリキュラム(以下、「コアカリ」)は今後の検討課題である。
  • 英語以外の外国語は、コアカリ対応表の提出対象外となる。
  • 各科目に含めることとなっている「アクティブラーニングの視点」は、コアカリ対応表でシラバスに含まれることを確認することとなる。
  • 「各教科の指導法」の単位数は、施行規則の範囲において、大学側で決定してほしい。
  • 一部の教職コアカリには到達目標が17個ある科目がある。教職コアカリの到達目標への対応について、一つの授業回で複数の到達目標を取り扱っても良い。
  • 学則上定められていれば、15回の授業回数でなくても良い。
幼稚園教諭の教職課程について
  • 幼稚園教諭の教職課程における「領域に関する専門的事項」について、小学校教諭の教職課程における「教科の専門的事項」科目で開設するのであれば、現行の基準が適用される。
  • 「保育内容の指導法」についての取り扱いは現行のとおりとする。
  • 幼稚園教諭の教職課程における「領域に関する専門的事項」と小学校教諭の教職課程における「教科の専門的事項」を共通開設することはできないが、専任教員はそれぞれの課程の専任教員とすることができる。
  • 「領域に関する専門的事項」は、幼稚園指導要領やモデルカリキュラムを踏まえ検討してほしい。
  • 「領域に関する専門的事項」と「保育内容の指導法」を合わせた科目を「複合領域」として開設することが可能である。
特別支援科目について
  • 特別支援科目について、他の「各科目に含めることが必要な事項」と合わせて授業科目を開設することはできない。ただし、保育士資格科目や介護等体験実習と併せて開設することは可能である。
  • 特別支援科目は、旧課程では「教科又は教職に関する科目」として開設することとなる。
総合的な学習の時間の指導法について
  • 「総合的な学習の時間の指導法」を含む科目を単独に開設することは必須ではない。
  • 担当教員の業績について、どの教科の指導法に係る業績、どの学校種に係る業績でも可能である。ただし、隣接する学校種に係る業績が望ましい。 学校体験活動について
  • 教育実習の一部として学校体験活動を実施する場合は、教育実習と同様の取り扱いである。その場合、教育実習とは別に、学校体験活動の授業科目を開設することとなる。
  • すでに学校体験活動を開設している場合も、再課程認定の際に受入承諾書を提出する必要がある。
  • 「大学が独自に開設する科目」として学校体験活動を開講する場合は、受入承諾書等は不要である。
大学が独自に設定する科目について
  • 旧課程の「教科又は教職に関する科目」と同様に、他の授業科目区分の単位数を以て充足させることが可能である。
  • 各科目区分に順ずる科目の開設が可能である。
  • 新規開講科目や担当教員の変更がある場合はシラバス・業績書の提出が必要である。
複合科目について
  • 科目の開設が必須ではないが、積極的な開設が望まれる。
  • 複合科目については、「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位数に加えることができる。
  • 「各教科の指導法」と「教科に関する専門的事項」をともに取り扱う複合科目を開設することは可能だが、「各教科の指導法」のみの科目と「教科に関する専門的事項」のみの科目もそれぞれ開設する必要がある。
教員審査について
  • 教員審査の対象となる活字業績については、現行と同様の取り扱いである。執筆ページ数が極端に少ない場合は、業績追加などの指摘を行う場合がある。演奏活動等は活字業績としてみなせない。
  • 審査会での指摘があった場合は、業績追加・教員変更・教員追加の対応が必要であり、その後の再審査でも認定が困難である場合は、当該科目を教職課程からはずしてもらうことになる。
  • 教員の年齢制限はない。
提出書類について
  • 新課程の教員は平成31年4月以降に担当する教員であり、退職が確実である場合は後任者を記載する必要がある。
  • 担当教員未定で申請書を提出することは認められない。後任の担当教員を必ず確保してもらう必要がある。
  • 施行規則66条の6に定める科目について、再課程認定の際に書類提出は不要である。
  • ゲストスピーカーについて、業績書の提出は不要である。
  • 平成30年度に教職課程を取り下げる場合は、再課程認定の書類にその旨を明記すれば、取り下げ届けの提出は不要である。
  • 再課程認定申請と通常の課程認定申請は別ファイルで提出となるため、それぞれ業績初頭を提出する必要がある。
指定教員養成機関について
  • 再課程認定は5年後ごと再指定に含まれる。
免許法施行規則について
  • 高等学校教諭免許状(工業)の特例措置は、施行規則において引き続き規定する予定である。
  • 新旧課程の単位の読み替えは、施行規則に定める予定である。
  • 新旧課程の単位の取り扱いについて、特別支援科目は改めて習得する必要がある。また、「各科目に含めることが必要な事項」で追加された括弧書きの部分や「道徳の理論及び指導法」など名称が変更となった事項は、改めて習得することを要しない。
  • 短期大学から間をおかず専攻科に入学した場合は、旧課程により免許を取得することが可能である。
その他について
  • 質問回答集について、他のブロックのものを含め、各大学に送付する予定である。

(4)質疑応答

Q:同一名称の教職科目を複数開設し異なる教員が担当している場合、教職コアカリの対応表はそれぞれの科目について作成するのか。

A:それぞれの科目について作成することになる。

Q:「教科に関する科目」は大学レベルの専門的な内容という話だったと思うが、その制限はなくなったのか。

A:従前と取り扱いは変わらない。

Q:①新旧課程の接続について、科目等履修生の場合はどのように対応するのか。②「教科に関する専門的事項」は各学科で開講されている専門科目を記載するのか。

A:①旧課程で入学し旧課程中に単位を修得した場合は旧課程での要件を満たすこととなる。旧課程で入学し在学中に施行日を迎えた場合は旧課程での要件を満たすこととなる。旧課程で入学し施行日以降に単位を積み残して卒業した場合は、施行規則の読み替えにより、新課程での単位とすることとなる。一部科目は新規履修することになると思われる。②基準は現行通りであり、様式の記載方法が変更になったのみである。

Q:幼稚園教諭の教職課程に係る移行措置について、平成34年までに卒業する者が対象となるのか。

A:平成30年度入学生が卒業するまでに新課程にあった科目を開設してほしい。入学年度や卒業年度との関係は、整理をして改めて回答する。

Q:①平成29年度末の変更届は従前のとおり提出してよいか。②各教科の指導法8単位は開設する単位数か修得する単位するか。③特別支援学校教員の教職課程における開設科目を特別支援科目として利用することは可能か。

A:①平成29年度末に提出する変更届は従前のとおり対応いただきたい。②習得単位数である。③特別支援科目は一般の学校での対応を学ぶものであり、特別支援学校教員の教職課程における開設科目の内容とは異なるため、共通開設はできない。

Q:旧課程で入学した学生が免許を取得できずに卒業した場合、直後に専攻科に入学した際は旧課程、科目等履修生となった場合は新課程と回答があったが、平成10年の再課程認定時と取り扱いが異なるのか。

A:確認して改めて回答する。

Q:手引きのP8上段には、再課程認定おいて平成30年度の科目新設等も該当することとなっているが、どのように考えれば良いか。

A:整理して改めて説明する。

Q:教育実習に関するシラバスについて、様式第5号があるが、提出する必要はあるのか。

A:様式第5号を提出いただければよい。

Q:再課程認定の様式はホームページにアップロードされるのか。

A:その予定であるが、施行規則確定後に公表することとなる。

 以下、個人的な所感です。

  • 気になっていた高等学校教諭免許状(工業)の特例措置(附則11)は、施行規則において継続される予定であることがはっきりしました。
  • 教職コアカリの在り方は非常に曖昧なものであると感じましたし、なんども「各大学や教員の創意工夫」という言葉が出たのは気になりました。特に、授業内容に到達目標を網羅的に含めることを求めながら、担当教員の業績審査ではそれを求めないということは、従来の原則であった授業内容に合致した教員業績という点とは異なるものだと感じました。(現状に配慮いただいた結果だとも思いますが、そんな実現可能性がないコアカリはどうなんでしょうか
  • どのような場合にシラバスと業績書を提出しなければならないのかということについて、各担当者が手引きを読み込んで十分に理解する必要があります。併せて、シラバスとコアカリとの関係性は担当者レベルで精査しなければならないでしょうね。

課程認定申請には学位規則が必要・・・らしい

 先週末で平成30年度開設用教職課程認定申請書の提出が終了しました。提出された担当者の皆さん、お疲れ様でした。事務チェックや審査はまだまだこれからとはいえ、一段落といったところでしょうか。

 私も提出に行ったのですが、その際、

学則に学位名称が記載されていない場合は学位規則も併せて提出してください。

と言われました。私だけではなく、前の時間帯の大学の提出者や隣の大学の提出者など、同様のことを言われていたので、統一的な対応なのでしょう。

 ただ、これって「教職課程認定の手引き(平成30年度開設用)」に書いてないんですよね。手引きP115の「4.その他の書類(1)学則・履修規程等(課程認定申請を行う全大学が提出) 」には、

 学則に、認定を受けようとする課程の授業科目・単位数及び履修方法等が規定されていれば、学則のみを提出することで差し支えない。一方、学則にこれらが規定されていなければ、学則に加えて、これらが規定されている規程(例:履修規程など)を提出すること。
 いずれにおいても、認定を受けようとする課程の授業科目・単位数(様式第2号に記載の科目)について、該当箇所に下線を引くなどして強調し、教職課程の科目を明確にすること。
 なお、申請書の提出時点では、(案)の提出でも差し支えない。
(学則確定後の差替えは、別途指示する。)

とのみ記載されており、学位云々には言及がありません。もしかしたらメール等での連絡を私が見落としているのかもしれませんが、どうにももやっとしたところです。許認可行政の手続き上必要な書類ならば、 手引き等に明記してほしいですね。(本当はその場で言えればよかったのですが、チキンな私は言えなかったのでここにメモしておきます。。。)

 なお、インデックスは「学則」→「学位規則」→「履修規程」となるようです。

ローカルルールはなくなってもルールはなくならない。

www.taro.org

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 前回の弊BLOGで言及した河野太郎衆議院議員の動きがだいぶせわしなくなっていますね。行政事業レビューチームの提言では、

 しかし、いまなお各大学・研究機関等が独自のローカルルールを設けていることにより、エクセルで作成された申請書のフォーマットが使いづらい、電子申請が出来ず書類を郵送しなければならない、申請のたびに業績等の研究者情報を入力しなければならないなど、非合理的な制度が存在するとの指摘が、現場の研究者等から多数、寄せられている。

 研究者が不必要な事務負担に多くの時間を費やしていることは、本来の目的である研究活動の生産性を阻害し、人件費に換算すれば無駄な支出ともなる。研究費に係る制度について、研究者ファーストの目線での早急な改革が必要である。

  • 研究費に関しては、研究者目線での不合理なルールの廃止を徹底すべき。
  • ローカルルールを全廃し、少なくとも全ての国立大学・国立研究機関等で制度を統一すべき。
  • リサーチマップ等のポータルサイトを活用し、研究者情報を共有すべき。
  • 旅費については、合理化すべき。
  • 官民データ活用推進基本法で定められた「デジタルファースト」の方針に従い電子申請を基本とすべき。

 と威勢の良い言葉が並びます。

 個人的には河野議員のこれらの言葉は100%信用できないと思っています。弊BLOGで言及した疑問点は未だにわからないままですし、将来的な姿がよく見えないままです。(もっと言うと、河野議員の質問に答えた文科省会計検査院の言葉も信用できません。文科省や検査院がローカルルールの存在を知らないなんてことはありえないでしょう。)

 機関ごとのルールは機関の教員と職員が話し合って見直していけば良いと思っていただのですが、予想以上に動きが早かったです。ローカルルールを全廃する代わりに、より細かく各機関の事情にマッチしないコモンルールと、より細かく明文化されていない各機関の運用上の定めができる可能性も否定できません。もともと基礎研究費が少ないという話から始まってたかと思いますが、いろいろな意見を受けるうちに迷走している感はあります。ひっそりと、行政事業レビューチームの提言には、

国立大学法人運営費交付金が削減される一方、競争的資金等を加えた研究費予算は、少なくとも横ばいになっているにもかかわらず、わが国の基礎研究の成果が上がっていないという声が根強い。それについてはしっかりとした検証が必要だが、2020年度のプライマリーバランス黒字化という目標に鑑みると、今後、研究費の大幅な増額は期し難い状況である。

と、基礎研究費はこれ以上増えないと明言されてますね。

 もう一点、

しかし、事務部門に関してはパフォーマンスで評価するということがこれまでなかったため、不合理非効率的な規則を作成して、研究部門の効率を落としても咎められませんでした。

事務部門のパフォーマンスをきちんと評価して、人事に反映していくシステムを、これも文科省が策定します。

という点も気になります。

 これって、うまくいけば良い取り組みだとは思います。が、学生の授業評価アンケートと全く同じ構造であり、信頼性妥当性が問題になるでしょうね。ローカルルールを巡る言説には被害者根性丸出しのものも見受けられ、感情的な攻撃になっては(授業評価アンケートと同様に)改善に繋がらない可能性があります。教員個人が評価するのではなく、学部長や副学部長が学部事務部を評価するような、組織的な取組にしなければならないと感じています。(もっと言うと、職員が教員を評価することもしなければフェアではないとも思いますね。ある程度大学教育に知見を持った職員が授業見学をして教員の教育活動を評価することもあり得るのではないでしょうか。)

 教員が絶賛していた科研費申請書類の罫線問題にしても、未だどのような様式になるかは不明なままです。何も成果が見えていない状況で(行政機関からの公的な文書や様式が出ていない状況で)河野議員の発言のみを信頼することはできません。なんにせよ、河野議員周りの動きは、今後とも注視する必要があると感じています。

ローカルルールの話はよく分からない。

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 河野太郎衆議院議員の対応が話題になっています。もともと会計周りの話には明るくありませんが、いろんな人がいろんなことをいろんな観点から言及しているので、どう進むのよく分からない状況ですね。河野太郎議員と言えば無駄撲滅プロジェクトというイメージですので、ルール一つ変えられない事務職員は無駄→事務職員削減→ルールは変わらず事務職員の仕事は教員が担う→教育研究時間が減る、というシナリオもチラつくところです。

 分からないなりに何が分からないのか、整理してみました。

1.「ローカルルール」の定義が分からない。

 そもそもローカルルールとは何を指すのか、明確な定義が不明です。そのため、どのようなルールが当該「ローカルルール」として分類されるべきなのか、それにどのように対応すれば良いのか、全くわかりません。ちょっと考えてみると「各機関に共通する当該公的資金のルール(適化法、科研費の使用ルールなど)以外に、各機関の裁定において定められる公的研究費の会計に関するルール」といった具合でしょうか。

 コモンルールに対するローカルルールという像を明確にしなければ、全てのルールを撤廃しましょうという話になりがちです(それはそれで別に良いのですが・・・)。ローカルルールはコモンルールを細分化したものなのか、コモンルールとは全く別のものなのか、と言ったルール間の相関もルールの改正・廃止には重要な視点でしょうね。

2.どの公的資金に係るルールなのか分からない。

 公的資金と言っても様々です。いわゆる公費と言われるものなのか、科研費なのか、寄附金なのか、それぞれの公的資金によりコモンルールがあり、それに対応する形でローカルルールが設定されている場合もあります。資金の性質が違う以上、一概には言えない部分もあるなと感じています。

3.誰が権限を有しているのか分からない。

 財務会計は当該機関のみで完結するものではなく、文科省財務省会計検査院、もちろん広く国民にも関係してくるものです。長年の経緯による明文化されていないルールもたくさんあるであろう中で、誰がどの程度ルールを変える権限を有しているのか、大学がどの程度までルールを策定することができるのか、全くわかりません。このあたりは会計に長けた方ならばなんとなくわかるのかもしれませんが。。。

4.「〜〜できない」という範囲がわからない。

 河野議員のサイトでは、「〜〜〜ができない」とたくさん出てきますが、それが全く不可能なのか、不可能に近いほどの条件なのか、ちょっと手を動かせばできる程度の難易度なのか、「できない」の程度が良くわかりません。個別事例を直ちに一般化してる可能性もあるため、当該事例の背景と明文化された規則等と見比べて、判断する必要があると考えています。

 以下は、本件に係る個人的な見解です。

 国立大学法人へ流入する資金の多くは、例え教員の科研費であろうとも、基本的には国等から一時的に預けられているものであるという認識です。これは、国立大学法人会計基準*1補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条*2からも明らかです。そのため、入手直後の資金は大学のものでも教員個人のものでもなく、資金の執行に当たっては一定程度の留保・判断が生じるというのは十分にあり得ると考えます。公的資金で行なわれている機関委任経理とは、この留保・判断を一定程度機関が行うということでしょう。

 逆に言えば、留保・判断のルールを各機関で定められるからこそ、各機関ごとにルールが異なるのでしょう。であれば、これをきっかけとして、教員と職員がワーキンググループを組んで全学的に経費執行の改善を進めていけばいいのではないでしょうか。あるいは、国大協が中心になるか、せめてまずは旧帝大だけでも研究費に係るルールを統一するということも考えられます。(もしくは国が直接何かを決めてくるかもしれませんが・・・)

 その中でできることやできないことがわかってくるでしょうし、権限の範囲もわかってくるかもしれません。本件は、ルールの緩和に係る権限の範囲が全く不明確で非常に検討しにくい案件だと感じています。そのうえで、教員と職員が溝を作るのではなく、何かしら前向きに対応できればいいなと、ぼんやり考えています。なお、本件は組織的な対応が必要だと思いますので、教授会等で徒党を組み全学組織に公的に訴えていくというやり方が良いのでしょうね。

PS 大学の経費執行に関する論文を探したのですがうまく見つけられませんでした。各大学の具体的な経費執行ルールの比較検討を行った論文や書籍をご存知の方はご教授願います。

*1:国立大学法人会計基準では、受け入れた運営費交付金は一旦「運営費交付金債務」という負債として整理され、その後の業務進行に応じて収益化されます。

*2:各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては、報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し、適合すると認めたときは、交付すべき補助金等の額を確定し、当該補助事業者等に通知しなければならない。

「平成28年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会」に参加してきました。

  本日12月9日に開催された平成28年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会に参加してきました。教員免許法の改正を受け、施行規則はどのように改正されるのか、また、既存の教職課程の再課程認定はどのように行われるのか、その点の新たな情報開示が期待されるところでした。現在検討中とは言え、いろいろと方針等が示されたので参加してよかったです。(質疑応答がないならばあらかじめビデオ撮影してYouTubeにでもアップしてもよいのでは、と思わないでもないですが。。。)

 以下に当日の議事要旨を示します。なお、私が理解できた部分のみ記載したものであり(特に英語教育に関するコアカリの部分は省略が多いです)、内容の正確性を保証するものでありません。

1.制度改正等について(山下 文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長)

  • 本日の説明では、中教審答申等を踏まえた教職課程の改善の方向性について、その後、15,6年ぶりに行われる再課程認定の現時点でのスケジュールや方針などについても説明する。併せて、英語教育に関するコアカリキュラム策定の進捗状況についても説明を行う。
  • 中教審答申では、教員養成の具体的な改革の方向性が指摘されており、特に、教科に関する科目や教職に関する科目区分の撤廃や学校インターンシップの導入などが言及されている。また、教職課程の質保証として、全学の教職課程を統括する組織の設置や自己点検評価の実施、FDの実施、教科に関する科目と教職に関する科目の連携などが掲げられている。
  • 答申のなかでは、教職大学院を中心とした大学院レベルにおいて現職教員の研修・養成等に活用することも述べており、履修証明制度や科目等履修制度などを活用して現職教員を受け入れていくことなどが想定されている。
  • 答申にあるイメージでは、幼稚園に関する科目について、指導要領に書かれた領域に合わせた専門的事項を教授する科目を設置することが示されている。一定の経過措置により、現状の科目配置でも対応できるようにしていきたい。詳細は検討中である。
  • 小学校に関する科目の見直しイメージについても、科目区分を変更し、教科及び教科の指導法に関する科目を設置している。「イ.教科に関する専門的事項※「外国語」を追加。」は現在の教科に関する科目が該当するという認識である。外国語の指導も見込んで30単位が示されているが、科目区分を大くくり化し各大学で弾力性や柔軟性を持つことを狙っている。従前の科目区分の割り振りに基づき科目を配置することも可能であるが、教科と教職に関する事項を融合した科目の配置も可能であるように見直しを進めていく。また、発達障害のある児童生徒や外国人の児童生徒などへの対応について重要になっているため、教育の基礎的理解に関する科目について、「ホ.特別の支援を必要とする幼児、児童並びに生徒に対する理解」を新たに追加した。さらに、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談に関する科目についても「ロ.総合的な学習の時間の指導法」を追加した。教育実践に関する科目については、学校インターンシップを含むことができるようになっているが、教育実習の一部分を利用することも可能であるように検討している。
  • 中学校についても、小学校と同様の考え方である。指導法に関する科目8単位を含め28単位としているが、単位の配分や科目の配置は自由度を高めることを想定している。高等学校についても同様であるが、中学校に合わせて、指導法4単位を合わせて24単位としている。
  • 教特法の改正により、各都道府県や政令市において教員の養成に関する協議会を設置し、教職課程を持つ大学等をメンバーに含め、現職教員の資質向上のための指標やそれを踏まえた研修計画を策定することになる。来年度の4月から施行されるため、大学等においては教育委員会等との連携について対応を検討してほしい。
  • 免許法の改正により、小学校の特別免許状の授与や科目区分の変更、教育研修センターへの事務移管を定めた。
  • 現在、中教審答申を受けて教職課程コアカリキュラムを検討しており、特に教職に関する科目を中心に進めているところである。大学の種類に限らず、共通的に最低限取り扱うべき内容を示していきたい。来年度の早い段階には確定・公表する予定である。

2.教育職員免許法改正に伴う再課程認定・指定について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 改正免許法が公布されたが、施行規則の改正は本年度中を予定している。平成31年度から新教職課程が開始し、これは平成31年度入学生から対象となる。平成31年度までに認定を受けなければ教職課程の認定が消滅する。教職課程は現在23000課程ほどあり、全て再課程認定の対象となる。
  • 平成29年度は、施行規則の改正や教職コアカリキュラムの策定(H29.6公表予定)、学習指導要領の改定などを踏まえた対応に取り組む。平成29年度には、教職課程認定基準の改正やブロックごとの再課程認定説明会の開催(7,8月)、10月下旬からの事前相談開始などを経て、3月中下旬に申請書の提出締め切りを設ける。なお、実地視察は中止する。平成30年度は事務局による申請書の確認、委員会審査などを経て2月3月には認定通知を行う予定である。
  • 教職課程のコアカリキュラムについて、答申を踏まえ検討を進めている。また、英語教育についてもコアカリキュラムの検討が答申にて示されたため、併せて検討を進めている。
  • 再課程認定審査の基本方針として、シラバスにおける「各科目に含めることが必要な事項」の確認や改定後の学習指導要領との対応関係の確認、「各科目に含めることが必要な事項」に関連する教員の業績の確認、総合的な学習の時間の指導法担当教員の業績確認(例外あり)を想定している。なお、「特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」の業績審査の方法については検討中である。
  • 科目の開設について、共通開設基準の従前とおりの適用、幼稚園の教職課程における領域に関する専門事項への対応、融合科目の開設可能性について検討している。
    再課程認定について、一部提出書類の省略を検討している。ただし、通常の申請は全ての書類が必要である。シラバスについて、科目区分の名称変更にとどまる場合については省略するが、科目の新規開設は対象となる。施行規則にて細かい部分を定める。なお、今後の検討によっては、法令改正と直接関係ない科目であってもシラバスの提出対象となる可能性がある。
  • 業績書について、認定済みの課程について、新旧で科目名称・内容が同一であれば、省略する。科目の新規開設は担当教員の業績書の提出が必要となる。
    学校インターンシップの開設については、実習の計画書及び受入承諾書が必要である。しかし、認定済みの教育実習については、実習校の受入承諾書の提出を省略する。

3.次期学習指導要領に向けた英語教育に関するコアカリキュラム等について(圓入 文部科学省初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室長)

  • 学習指導要領の改訂について、12月中に答申が出され、本年度中に学習指導要領の内容を改訂し、平成30年度から先行実施を行う。先行実施を希望する教育委員会も多く、かなり大規模な先行実施になると思われる。
  • 英語教育について、社会的な要望もあり、平成26年度から英語教育改革に取り組んでいる。背景として、中学校や高等学校の英語学習の未定着や諸外国の小学校での取組の進展などがあり、読み書きも含め系統的な教科として小学校の教育課程に位置づける。それに伴い、中学校や高等学校の教育課程も変化する。
  • 平成26年度から英語教育推進リーダーの養成や補助教材の作成などを教育委員会との連携により進めており、今後も補助教材の作成・配布やそれを利用した研修等に取り組んでいく予定である。
  • 小学校英語については、平成26年度の有識者会議の審議報告などを踏まえ、コアカリキュラムの開発・策定を進めている。学習指導要領の改訂や先行実施の状況から、現在の学生が小学校教諭となったとき新学習指導要領を踏まえた授業を求められる可能性があるため、先立ってコアカリキュラムを策定しているところである。本年度末には、コアカリキュラムを公表したい。
  • 英語教員に対する研修に関するコアカリキュラム等についても、検討を行ってきたところである。
  • 全国の拠点校116校に教材を配布し、外国語教育に関する取組を進めている。デジタル教材については、大学へ対して貸し出しをしているが、新しい指導の内容や在学生に対する新学習指導要領の紹介の依頼とともに、本年度中に小学校英語コース等がある各大学等へ届ける予定である。
  • 調査の結果、4技能の指導など、今後重要だと思っていることや次期学習指導要領で扱われている内容が大学が授業で扱っていない内容も多くある。また、小中の教職課程において、コミュニケーションの指導ができる力を身につけてほしいといった声もある。

4.教職課程認定基準の改正について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 学習指導要領の改訂を待って施行規則を改正するため、施行規則の改正が平成29年度になることもあり得る。
  • 教員免許状取得希望者は大学等における教職課程を履修しなければならない。大学の多様性と資格の標準性の双方を両立させることが求められている。教職課程の設置のためには課程認定審査を経なければならず、各学科と免許状との関係などが審査される。
    各大学等では学位プログラムと教職課程の双方の体系性を維持しなければならない。基本的には、学位プログラムと教科に関する科目が近しいことが求められている。
  • 教職課程認定審査の確認事項が改正され、学位の種類及び分野の変更が伴わないものは、条件を満たせば審査を要しないこととした。この際は、学科等の設置であること、概ね同一の教職課程であること、旧課程が教職課程認定基準を満たしていることが必要となる。学科等の分割により専任教員が大幅に減少する場合は同一とみなされないこと、学部や学科等の目的が変更となり教育課程が大きく変更される場合は同一とみなされないことに留意が必要である。必ずしも変更届の提出が必要ではなく、申請を行うこともできる。なお、変更届での対応が認められなかった場合は申請を行うことになる。これらについては、認定年度の2年半前までに届け出る必要がある。
  • 小中学校の共通開設範囲を拡大することとなったが、これは同一学科のみの特例として設けたものである。この際、既設学科で適用する場合は変更届を提出する必要があること、小学校と中学校の両方の授業内容を実施する必要があることに留意いただきたい。
    課程認定のスケジュールが2ヶ月ほど早まったが、認定後の変更(専任教員の変更)については別途教員審査や授業科目の審査を行うこととした。
  • 実地視察規程において、私立学校の実施視察を行う際に知事部局が参加できないなどの問題があったため、規程を改正した。

5.教職課程認定申請手続に係る留意事項について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 手引きの変更点について、様式第2号(幼少の共通開設欄の削除)や様式第4号(学会発表は業績として認められないことを明確にするため)、様式第8号ア(認定を受けようとする学科のみとした)、変更届のかがみ(本文の変更)、変更届の新旧対照表(新旧欄の追加)を様式変更した。また、事前相談の時間帯(一時間前倒しした)、様式第4号の記載方法、変更届の提出方法(種類ごとに提出)を変更した。併せて、認定基準の改正に伴う確認事項1(1)③関係の取り扱いも明記した。様式第3号の並び順や研究業績の詳細な記載例も記したところである。
  • 平成30年度の確認事項①(1)③に係る判断については、約半数の大学が申請となる見込みである。
  • 事前相談は必ず行わなければならないものではないが、事前相談を行わない大学は書類の不備が多い。事前相談は記載事項を中心に確認するが、教員の業績については事前相談にて判断することが難しい場合もある。事前相談の際には、質問したいことを明確にしてほしい。そうでないと、事前相談を断ることもある。
  • 業績書について、枚数に上限があるため、担当授業科目に関連する業績を精選して記載してほしい。本人の活字業績が必要であるが、実務家教員については実践的・実証的な研究成果の記録や著作などが必要である。編集や監修、巻頭言などについては、本人の活字業績としてみなせない。
  • 研究業績について、共同研究であり執筆が不可分である場合は、担当部分を明記したうえで、~~~を執筆したなどと記載してほしい。名称欄に大学側の判断で区分を設けることはできない。各大学の担当者においても担当授業科目と業績との関連をしっかり確認してほしい。
  • 学科等の目的と免許状との相当関係については、学部等の複雑化により、しっかりと確認しているところである。教科別免許状においては、学科等の教育内容・専門性・学位の分野や名称と当該教科との関係について十分な相当関係を確認してほしい。審査では学科等の教育課程と免許状の種類について確認することになる。
  • 教科に関する科目について、コアとなる科目であることまでは求めていないが、免許状取得希望者の履修モデルを体系的に編成することが必要である。
  • 複数免許種の申請にあたっては、学科等の教育研究分野や教育課程と免許状の種類との関係や履修モデルの構築などがポイントとなる。
  • 平成28年度に行った課程認定申請の審査において、シラバスに試験のみの授業回があること、テキスト・参考書として学習指導要領等が指定されていないこと、評価方法と授業計画の記載に相違があるもの、出席点が含まれているもの、テキスト・参考書がともに「なし」となっていること、同一科目において各クラスで大幅に内容が異なるシラバスであること、他大学のシラバスをコピペしたと推測されること、66条の6関係の科目の内容が適切でないことなど、不適切な事例があった。
  • 教職に関する科目について「研究」という名称は不適切であると考える(発展的な内容ならば可)。科目名称例を踏まえて科目名を検討してほしい。また、科目区分の内容や授業計画から読み取れないもの、本来の科目区分の内容が少ない授業科目、明らかに特定区分に偏っている授業科目などもあった。
  • 様式間の記載内容の不一致や合計単位数の誤りなどがあるため、大学側でしっかりとチェックしてほしい。
  • 変更届の提出にあたっては、変更の実施前に提出する必要がある。事前相談は行わないが、届出を行って終了ということにはならない。
  • 変更届の記載不備の事例として、直近の認定年度の不適切な記載(教職実践演習の認定年度は該当しない)があった。また、教職に関する科目の単位数不足などが判明した例や一般的包括的な内容の科目が選択科目に移動している例、専任教員数が必要数を長期に満たされていない例、共通開設科目の上限を超えた例などがあった。在学生がいる間に対応できるよう、変更届を提出し終えた夏などに改めて変更届の内容を確認してほしい。