ローカルルールはなくなってもルールはなくならない。

www.taro.org

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 前回の弊BLOGで言及した河野太郎衆議院議員の動きがだいぶせわしなくなっていますね。行政事業レビューチームの提言では、

 しかし、いまなお各大学・研究機関等が独自のローカルルールを設けていることにより、エクセルで作成された申請書のフォーマットが使いづらい、電子申請が出来ず書類を郵送しなければならない、申請のたびに業績等の研究者情報を入力しなければならないなど、非合理的な制度が存在するとの指摘が、現場の研究者等から多数、寄せられている。

 研究者が不必要な事務負担に多くの時間を費やしていることは、本来の目的である研究活動の生産性を阻害し、人件費に換算すれば無駄な支出ともなる。研究費に係る制度について、研究者ファーストの目線での早急な改革が必要である。

  • 研究費に関しては、研究者目線での不合理なルールの廃止を徹底すべき。
  • ローカルルールを全廃し、少なくとも全ての国立大学・国立研究機関等で制度を統一すべき。
  • リサーチマップ等のポータルサイトを活用し、研究者情報を共有すべき。
  • 旅費については、合理化すべき。
  • 官民データ活用推進基本法で定められた「デジタルファースト」の方針に従い電子申請を基本とすべき。

 と威勢の良い言葉が並びます。

 個人的には河野議員のこれらの言葉は100%信用できないと思っています。弊BLOGで言及した疑問点は未だにわからないままですし、将来的な姿がよく見えないままです。(もっと言うと、河野議員の質問に答えた文科省会計検査院の言葉も信用できません。文科省や検査院がローカルルールの存在を知らないなんてことはありえないでしょう。)

 機関ごとのルールは機関の教員と職員が話し合って見直していけば良いと思っていただのですが、予想以上に動きが早かったです。ローカルルールを全廃する代わりに、より細かく各機関の事情にマッチしないコモンルールと、より細かく明文化されていない各機関の運用上の定めができる可能性も否定できません。もともと基礎研究費が少ないという話から始まってたかと思いますが、いろいろな意見を受けるうちに迷走している感はあります。ひっそりと、行政事業レビューチームの提言には、

国立大学法人運営費交付金が削減される一方、競争的資金等を加えた研究費予算は、少なくとも横ばいになっているにもかかわらず、わが国の基礎研究の成果が上がっていないという声が根強い。それについてはしっかりとした検証が必要だが、2020年度のプライマリーバランス黒字化という目標に鑑みると、今後、研究費の大幅な増額は期し難い状況である。

と、基礎研究費はこれ以上増えないと明言されてますね。

 もう一点、

しかし、事務部門に関してはパフォーマンスで評価するということがこれまでなかったため、不合理非効率的な規則を作成して、研究部門の効率を落としても咎められませんでした。

事務部門のパフォーマンスをきちんと評価して、人事に反映していくシステムを、これも文科省が策定します。

という点も気になります。

 これって、うまくいけば良い取り組みだとは思います。が、学生の授業評価アンケートと全く同じ構造であり、信頼性妥当性が問題になるでしょうね。ローカルルールを巡る言説には被害者根性丸出しのものも見受けられ、感情的な攻撃になっては(授業評価アンケートと同様に)改善に繋がらない可能性があります。教員個人が評価するのではなく、学部長や副学部長が学部事務部を評価するような、組織的な取組にしなければならないと感じています。(もっと言うと、職員が教員を評価することもしなければフェアではないとも思いますね。ある程度大学教育に知見を持った職員が授業見学をして教員の教育活動を評価することもあり得るのではないでしょうか。)

 教員が絶賛していた科研費申請書類の罫線問題にしても、未だどのような様式になるかは不明なままです。何も成果が見えていない状況で(行政機関からの公的な文書や様式が出ていない状況で)河野議員の発言のみを信頼することはできません。なんにせよ、河野議員周りの動きは、今後とも注視する必要があると感じています。