教職課程の履修は4段階で整理する。

 最近、教職課程の履修について相談を受けることがままあります。その場合、4つの段階で整理し、どの段階の問題なのか、どの段階で対応すべき話なのかを考えるように助言しています。

 以下の図は、それらの段階を図示したものです。もし問題が発生した場合、第1段階と第2段階は文部科学省との調整、第3段階と第4段階では自大学内での調整が必要でしょう。

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 第1段階:教育職員免許法等に定められている事項

 教職課程の根拠法は教育職員免許法や同施行規則(以下、「同法等」という。)です。免許状の取得に必要な所要資格は同法等で規定されていますので、免許管理者(都道府県教育委員会)などと免許状の授与について調整する場合は同法等を参照することになります。

 同法等に規定される基準は最低限のものであり、これらを充足することは当然のことです。むしろ、充足していなかったら、場合によっては、新聞沙汰になるほどの大問題になるでしょう。

第2段階:教職課程認定申請等で認定を得ている事項

 多くの場合、教職課程認定申請等では、同法等に規定される基準以上の内容を申請し認定を得ていることと思います。例えば、教育職員免許法別表第1では、専修免許状の取得には24単位以上の修得が必要です。一方、課程認定申請において、24単位の必修科目のみを以って教育課程とするのではなく、他の授業科目も含めて24単位より多い必修科目単位数を設定していることも多かろうと思います。

 このように、同法等で定められた最低限の基準以上に、学科専攻等の教育課程を考慮した教職課程を構築していることでしょう。なお、この段階には、変更届による教職課程の変更も含みます。

第3段階:学科等の卒業要件単位数等で定められている事項

 教職課程認定申請等に記載した必修科目等は、あくまで当該学科等の教職課程における必修科目等であり、当該学科等全体の教育課程における必修科目等の取り扱いとは異なる場合があります。この違い(あるいは違いがないこと)を認識しなければ、教職課程を把握することはできません。学科等全体の教育課程・卒業要件と教職課程認定申請等で提出した書類(様式第2号)を見比べ、各授業がどのように取り扱われているか確認することが必要です。

 当然、第1段階の同法等に定められた所要資格には学位の取得が含まれているため、卒業要件単位数等を無視することはできませんね。

第4段階:学生への履修指導等により対応する事項

 例えば、前述の通り必修科目の取り扱いが異なっていた場合、学生が履修する際に注意を促さなければなりません。ガイダンス・履修の手引きでの周知や対面での指導など、様々な方法が考えられます。