平成30年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会に参加してきました。

 本日開催された「平成30年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会」に参加してきました。会場となっためぐろパーシモンホールクラシック音楽のコンサートで訪れたことがあり、懐かしい気持ちになりました。また、もともとのホールの用途で脇机がなく、キーボードをたたくのに苦労しました。そういえば、事前の案内では16時30分までとあったのが配付資料の次第では15時50分となっており、結局16時頃に終了しました。

 以下に記録を示します。なお、私が理解できた部分を記録したうえに、文章での記載が冗長になる部分は一部省略しています。内容の正確性は保証しません。(毎回思うんですが、質疑応答がないなら同時ネット配信か録画して後日配信してほしいですね。全国から一箇所に集めるのは働き方改革に逆行している感があります。)

教育職員免許法等の改正と新しい教職課程への期待

  • 教員養成を取り巻く背景として、教員の年齢構成と需給対応(教員不足、採用試験の倍率低下)が大きな問題となっており、質の問題が表出化し教員養成に対する様々な批判が生じている。大学の外からは学内の取組が見えにくく、教職課程で学んだ学生が学校現場の課題に対応できることが期待されていることを踏まえ、その対応を可視化していく必要がある。このような状況により、コアカリキュラムなどが策定されてきた。再課程認定申請は、それらに対応できる教育課程や教員組織であることを確認してきた。引き続き、各大学の教育活動により、教職課程の不断の見直しに取り組んでほしい。
  • 法令改正により各大学が取り組めることが増えた。科目の区分を大くくり化したことにより、複合科目などを配置できるようになっている。これらの科目を配置することにより、学校現場で教えることをより意識した教育課程を設定することができる。また、大くくり化により、教科全体を俯瞰した教育活動も展開できるであろう。教科と教職を大くくり化した中で、新しい学習指導要領に対応できるように学生の教育に取り組んでほしい。
  • 学校体験活動を教育実習に含むことができるようにした。学校体験活動により、学生が学校現場の様子をよく知り教師としてのやりがいや使命感を再認識する機会を設けることもできる。教育委員会が策定した教員としての資質の向上に関する指標でも、教師の自主性・自発性を掲げているところも多い。
  • 小学校課程における外国語も新たに位置づけられた。改正前の学生にも積極的に指導していってほしい。
  • 教職課程コアカリキュラムについて、各大学が教職課程の質向上に取り組む際に、ベンチマークとして利用してほしい。コアカリキュラムは、全国どの大学であっても教職課程で学ぶ学生に身に着けてほしい事項を示したものであり、教員養成や教員採用に関わる関係者に対する共通言語の役割を果たしうるものである。ただし、必要な事項の全てを示したものではなく、地域社会のニーズや各大学の自主性を加えることで、充実した教職課程とすることができる。画一化を目指しているものではない。
  • 地域や学校のニーズを踏まえて教職課程を構成する際に、教特法改正により作成された教育委員会のが策定した教員としての資質の向上に関する指標や協議会を活用してほしい。
  • 課程認定後も、継続的に教職課程の質保証・質向上に向けた取り組んでほしい。全学的に教職課程を統括する組織の設置や自己点検・評価、FDなどにより、自主的な取組を期待したい。
  • 新法に伴う経過措置の取り扱いについて多々質問を受けている。Q&Aも公表しているが、この場でも改めて特に質問が多かった事項について説明する。また、学力に関する証明書の様式について、近日中にホームページで公開する予定である。
  • 法令改正により履修内容を充実させ、新たに履修が必要な事項が設定された。新法適用学生は履修が必要である。また、事項が追加されたものは、新法適用学生は授業履修や旧課程科目の読み替えにより対応することになるだろう。指導法科目の増加もあり、履修指導には注意してほしい。
  • 経過措置に該当する者は、旧法により所要資格が規定される。経過措置の対応を大きく分けると、①平成30年度以前に入学し卒業までに所要資格を得た者、②平成30年度以前に入学し卒業までに所要資格を得なかった者、③平成31年度以降に入学した者に分かれる。①の者は旧課程適用、②・③の者は新課程適用である。科目等履修生も該当する。間をおかずに別の課程に在学したか否かに関わらず、所要資格を得ずに卒業・退学した者は、新課程適用となる。科目等履修の在学について、各大学の在籍管理状況により判断し、学力に関する証明書に記載してほしい。
  • 編入学とは課程を修了し別の課程に入学すること、転入学とは学位課程の学修が継続した状態であることである。学位課程の在籍と科目等履修の在籍が混在している場合にも経過措置が適用される場合がある。
  • 科目の読み替えについて、学生の不利益にならないように弾力的に対応してほしい。旧課程の科目を新課程の科目としてみなすことができる。読み替えは新課程を維持している大学のみができる。また、授業名称やシラバス、担当教員が同じであれば、新課程と旧課程を兼ねた科目として開設することができる。
  • 指導法科目など新課程と旧課程で単位数が異なるものは差分の履修を求める。また、追加された含む事項については、旧課程で同様の区分の科目を修得していれば、新課程で履修したものとみなすことができる。一方、新規で設置された区分(「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」「総合的な学習の時間の指導法」)は新規で履修が必要である。まずは読み替え対応、その後追加履修という対応で判断いただきたい。
  • 幼稚園課程の領域に関する専門的事項について、平成34年度までに入学した学生は、小学校課程の授業科目を修得することで幼稚園の領域に関する専門的事項を履修したものとみなすことができる。また、履修した単位を合算することもできる。なお、次年度以降の課程認定についてはこの経過措置の対象にならず、領域に関する専門的事項を開設・履修する必要がある。
  • 免許法認定講習について、経過措置がないため、新法で所要資格を満たす必要がある。ただし、読み替えにより、旧課程の科目の修得を新課程の履修とみなすことはできる。また、「総合的な学習の時間の指導法」や「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」については、必ず含む必要はない。
  • 在外施設における教育実習に関する省令改正を行い、31年4月1日から施行するところである。日本人学校で教育実習を行う際の留意点についても公表する予定であるので、実施する大学は留意いただきたい。また、免許外教員担任制度について、協力者会議の報告を公表したところである。大学間の連携協力で教職課程を設置することや大学での複数免許状を取得しやすいカリキュラムの開発、認定講習の開設への協力など、提言を行っている。
  • 幼保連携型認定子ども園の保育教諭に関する特例について、5年間延長する方針を決定している。
  • 文部科学省の組織再編により、新たに総合教育政策局が生まれ、教職員課も教育人材政策課に編入された。教員免許状更新講習の開設についても引き続き協力いただきたい。

教職課程認定基準等について

  • 教員免許状は公教育の担い手である教員の資格を定め、その資質能力を保証する制度である。大学における養成の原則、開放制の原則がある。各大学においては、教育職員免許法等の最低基準を満たしたうえで、質の高い教員養成に向け不断の改革に取り組んでいくことが重要である。各大学からの教職課程認定申請は、文部科学大臣から中央教育審議会に諮問され、その答申を踏まえて文部科学大臣から教職課程の認定を行うこととなる。その審査の際には、各学科等の目的・性質と免許状との相当関係を確認することになる。教科専門科目は学位プログラムの科目とほぼ同一であり、学科の専門科目にうまく溶け込んでいる必要がある。これらの判定について客観的に基準を示すことは難しく、学位分野や科目構成等により、総合的に判断することになる。
  • 教育課程について、必要な授業科目を自ら開設し、体系的な教育課程を構成しなければならない。教職課程の授業科目は、原則として自学科等で開設されている科目である必要があるが、共通開設等も可能となっている。
  • 各科目に含めることが必要な事項について、教職専門科目においては含めることが必要な事項が定められているが、教育課程の意義及び編成の方法については第4欄の科目に含めることが可能となっている。また、修得単位数が決まっている事項以外は、同欄の他の事項を含めた授業科目の開設が可能となっている。複数の事項を含む授業科目の場合には、各事項が含まれているとわかる授業名称であるか、内容の偏りがないか、各事項の授業時間数は確保されているかを確認する。
  • 各教職専門科目にコアカリキュラムの到達目標が含まれているのかを、コアカリキュラム対応表やシラバスにより確認する。各大学の確認が適切に確認されているかを審査することとなり、コアカリキュラムの文言がシラバスに含まれているのかを審査するものではない。全ての授業回でコアカリキュラムの到達目標を満たす必要や1つの授業回が1つの到達目標に対応する必要はない。
  • 「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」や「総合的な学習の時間の指導法」、「外国語(英語)」授業科目の審査の考え方(シラバスや授業名称など)について、整理したところである。
  • 幼稚園課程の領域に関する専門的事項について、一種免許状は5領域、二種免許状は4領域以上の科目開設が必要である。小学校課程の教科に関する専門的事項と共通開設はできないが、1人の専任教員をそれぞれの課程の専任教員としてカウントできる。指導法科目は開設単位数を明記したところである。複合科目の開設も可能とした。
  • 学校体験活動について、大学が独自に設定する科目、又は、教育実習の一部として開講することが可能である。大学が独自に設定する科目について、基本的には従来の教科又は教職に関する科目と取り扱いは同様であるが、様式第2号には教職専門科目や教科専門科目に位置づけられない”準ずる科目”しか記載することができない。また、従前のとおり、単位の流用も可能である。
  • 教員審査について、活字業績のみではなく、学校現場の経験など総合的に判断することになる。コアカリキュラムの個々の到達目標やシラバスの個々の授業回に関する業績まで求めるものではない。実務家教員の審査について、学校現場等での経験をより評価しやすくするため、様式の変更などを行ったところである。ただし、実務家教員であっても活字業績は必要である。「総合的な学習の時間の指導法」「小学校の外国語(英語)指導法」の教員審査に関する特例を設けている。特例により認定を得た場合は、平成34年度末に事後調査を行う。また、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」や「総合的な学習の時間の指導法」、「外国語(英語)」の教員審査における考え方も整理したところである。
  • 専任教員の考え方について、共通開設している場合はそれぞれの教育課程で専任教員とするとこが可能である。また、他学科開講科目であっても、条件により、他学科等の専任教員を自学科等の専任教員とみなすことが可能である。
  • 変更届について、旧課程と新課程で対応が異なるので留意すること。また、業績の事後調査については、変更届ではなく、認定書の通知の際に対応方法を連絡する。変更届作成の際は、手引きをよく確認のうえ作成してほしい。変更届により、重大な過失が判明した事例もある。確認事項1(1)③に基づく変更届について、従前の学科等の教職課程と概ね同一であることが必要である。

教職課程認定申請手続きに係る留意事項について

  • 平成31年度開設分の手引きとの変更点について、様式第2号、コアカリキュラム対応表(一覧)、様式第4号、チェックリスト及び変更届の様式を変更した。また、審査の考え方について一部の追加等を行った。記入要領も一部変更した(変更箇所は弊BLOG記事を参照)。元号について、2020年は平成32年度として取り扱う。
  • 必須ではないが、申請書類の記載方法等を中心として事前相談を行っている。明らかに指摘されるであろう点については助言することができる。
  • 教育研究業績書について、上限は両面3枚であり、同一論文であっても授業科目の関連箇所が異なれば(再掲)ではなく概要欄を新規に記載してほしい。執筆箇所がない場合は、活字業績としてみなすことができない。本人の執筆ページ数が抽出できない場合は、概要欄に執筆内容を記載してほしい。出版社又は発行雑誌等の名称は正確に記載してほしい。
  • 教育課程について、公認心理士や保育士資格を兼ねる授業科目名称が不適切である事例や数字のみで区別されている授業科目が異なる科目区分に配置されている事例、取り扱う事項が科目名称から読み取れない事例などがあった。
  • シラバスについて、コアカリキュラムとの対応関係が不明瞭である事例や内容に偏りが見られる事例、授業回が数字のみで区別している事例、評価方法に出席点が含まれている事例、同一科目で各クラスにおいて大幅にシラバスが異なる事例などがあった。
  • 事務的確認においては、一般的包括的科目が選択科目にあてられている事例やコアカリキュラム対応表のページ数が誤っている事例、コアカリキュラム対応表の作成方法が誤っている事例、シラバスにオムニバス科目の各回の担当教員が記載されていない事例、様式間の記載の不一致などの間違いが多かった。申請書の提出に当たっては、責任のある体制で十分な確認作業を行ってほしい。申請書の提出後は、大学の都合に伴う変更は認められない。

幼稚園教諭免許法認定講習等推進事業について

  • 幼稚園教諭免許法認定講習等推進事業を次年度から開始する予定である。他の学校種に比べ、幼稚園教諭は二種免許状の保有者が多い。法律上、二種免許状は一種免許状への上進が努力義務として定められており、園長も機会があれば上進してほしいという意見が多い。予算案が閣議決定されれば、2月から公募を開始したい。都道府県教委や幼稚園団体と協議したうえで、申請を検討してほしい。認定講習と更新講習を合わせて開催することもできる。