「平成28年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会」に参加してきました。

  本日12月9日に開催された平成28年度教職課程認定申請に関する事務担当者説明会に参加してきました。教員免許法の改正を受け、施行規則はどのように改正されるのか、また、既存の教職課程の再課程認定はどのように行われるのか、その点の新たな情報開示が期待されるところでした。現在検討中とは言え、いろいろと方針等が示されたので参加してよかったです。(質疑応答がないならばあらかじめビデオ撮影してYouTubeにでもアップしてもよいのでは、と思わないでもないですが。。。)

 以下に当日の議事要旨を示します。なお、私が理解できた部分のみ記載したものであり(特に英語教育に関するコアカリの部分は省略が多いです)、内容の正確性を保証するものでありません。

1.制度改正等について(山下 文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長)

  • 本日の説明では、中教審答申等を踏まえた教職課程の改善の方向性について、その後、15,6年ぶりに行われる再課程認定の現時点でのスケジュールや方針などについても説明する。併せて、英語教育に関するコアカリキュラム策定の進捗状況についても説明を行う。
  • 中教審答申では、教員養成の具体的な改革の方向性が指摘されており、特に、教科に関する科目や教職に関する科目区分の撤廃や学校インターンシップの導入などが言及されている。また、教職課程の質保証として、全学の教職課程を統括する組織の設置や自己点検評価の実施、FDの実施、教科に関する科目と教職に関する科目の連携などが掲げられている。
  • 答申のなかでは、教職大学院を中心とした大学院レベルにおいて現職教員の研修・養成等に活用することも述べており、履修証明制度や科目等履修制度などを活用して現職教員を受け入れていくことなどが想定されている。
  • 答申にあるイメージでは、幼稚園に関する科目について、指導要領に書かれた領域に合わせた専門的事項を教授する科目を設置することが示されている。一定の経過措置により、現状の科目配置でも対応できるようにしていきたい。詳細は検討中である。
  • 小学校に関する科目の見直しイメージについても、科目区分を変更し、教科及び教科の指導法に関する科目を設置している。「イ.教科に関する専門的事項※「外国語」を追加。」は現在の教科に関する科目が該当するという認識である。外国語の指導も見込んで30単位が示されているが、科目区分を大くくり化し各大学で弾力性や柔軟性を持つことを狙っている。従前の科目区分の割り振りに基づき科目を配置することも可能であるが、教科と教職に関する事項を融合した科目の配置も可能であるように見直しを進めていく。また、発達障害のある児童生徒や外国人の児童生徒などへの対応について重要になっているため、教育の基礎的理解に関する科目について、「ホ.特別の支援を必要とする幼児、児童並びに生徒に対する理解」を新たに追加した。さらに、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談に関する科目についても「ロ.総合的な学習の時間の指導法」を追加した。教育実践に関する科目については、学校インターンシップを含むことができるようになっているが、教育実習の一部分を利用することも可能であるように検討している。
  • 中学校についても、小学校と同様の考え方である。指導法に関する科目8単位を含め28単位としているが、単位の配分や科目の配置は自由度を高めることを想定している。高等学校についても同様であるが、中学校に合わせて、指導法4単位を合わせて24単位としている。
  • 教特法の改正により、各都道府県や政令市において教員の養成に関する協議会を設置し、教職課程を持つ大学等をメンバーに含め、現職教員の資質向上のための指標やそれを踏まえた研修計画を策定することになる。来年度の4月から施行されるため、大学等においては教育委員会等との連携について対応を検討してほしい。
  • 免許法の改正により、小学校の特別免許状の授与や科目区分の変更、教育研修センターへの事務移管を定めた。
  • 現在、中教審答申を受けて教職課程コアカリキュラムを検討しており、特に教職に関する科目を中心に進めているところである。大学の種類に限らず、共通的に最低限取り扱うべき内容を示していきたい。来年度の早い段階には確定・公表する予定である。

2.教育職員免許法改正に伴う再課程認定・指定について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 改正免許法が公布されたが、施行規則の改正は本年度中を予定している。平成31年度から新教職課程が開始し、これは平成31年度入学生から対象となる。平成31年度までに認定を受けなければ教職課程の認定が消滅する。教職課程は現在23000課程ほどあり、全て再課程認定の対象となる。
  • 平成29年度は、施行規則の改正や教職コアカリキュラムの策定(H29.6公表予定)、学習指導要領の改定などを踏まえた対応に取り組む。平成29年度には、教職課程認定基準の改正やブロックごとの再課程認定説明会の開催(7,8月)、10月下旬からの事前相談開始などを経て、3月中下旬に申請書の提出締め切りを設ける。なお、実地視察は中止する。平成30年度は事務局による申請書の確認、委員会審査などを経て2月3月には認定通知を行う予定である。
  • 教職課程のコアカリキュラムについて、答申を踏まえ検討を進めている。また、英語教育についてもコアカリキュラムの検討が答申にて示されたため、併せて検討を進めている。
  • 再課程認定審査の基本方針として、シラバスにおける「各科目に含めることが必要な事項」の確認や改定後の学習指導要領との対応関係の確認、「各科目に含めることが必要な事項」に関連する教員の業績の確認、総合的な学習の時間の指導法担当教員の業績確認(例外あり)を想定している。なお、「特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」の業績審査の方法については検討中である。
  • 科目の開設について、共通開設基準の従前とおりの適用、幼稚園の教職課程における領域に関する専門事項への対応、融合科目の開設可能性について検討している。
    再課程認定について、一部提出書類の省略を検討している。ただし、通常の申請は全ての書類が必要である。シラバスについて、科目区分の名称変更にとどまる場合については省略するが、科目の新規開設は対象となる。施行規則にて細かい部分を定める。なお、今後の検討によっては、法令改正と直接関係ない科目であってもシラバスの提出対象となる可能性がある。
  • 業績書について、認定済みの課程について、新旧で科目名称・内容が同一であれば、省略する。科目の新規開設は担当教員の業績書の提出が必要となる。
    学校インターンシップの開設については、実習の計画書及び受入承諾書が必要である。しかし、認定済みの教育実習については、実習校の受入承諾書の提出を省略する。

3.次期学習指導要領に向けた英語教育に関するコアカリキュラム等について(圓入 文部科学省初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室長)

  • 学習指導要領の改訂について、12月中に答申が出され、本年度中に学習指導要領の内容を改訂し、平成30年度から先行実施を行う。先行実施を希望する教育委員会も多く、かなり大規模な先行実施になると思われる。
  • 英語教育について、社会的な要望もあり、平成26年度から英語教育改革に取り組んでいる。背景として、中学校や高等学校の英語学習の未定着や諸外国の小学校での取組の進展などがあり、読み書きも含め系統的な教科として小学校の教育課程に位置づける。それに伴い、中学校や高等学校の教育課程も変化する。
  • 平成26年度から英語教育推進リーダーの養成や補助教材の作成などを教育委員会との連携により進めており、今後も補助教材の作成・配布やそれを利用した研修等に取り組んでいく予定である。
  • 小学校英語については、平成26年度の有識者会議の審議報告などを踏まえ、コアカリキュラムの開発・策定を進めている。学習指導要領の改訂や先行実施の状況から、現在の学生が小学校教諭となったとき新学習指導要領を踏まえた授業を求められる可能性があるため、先立ってコアカリキュラムを策定しているところである。本年度末には、コアカリキュラムを公表したい。
  • 英語教員に対する研修に関するコアカリキュラム等についても、検討を行ってきたところである。
  • 全国の拠点校116校に教材を配布し、外国語教育に関する取組を進めている。デジタル教材については、大学へ対して貸し出しをしているが、新しい指導の内容や在学生に対する新学習指導要領の紹介の依頼とともに、本年度中に小学校英語コース等がある各大学等へ届ける予定である。
  • 調査の結果、4技能の指導など、今後重要だと思っていることや次期学習指導要領で扱われている内容が大学が授業で扱っていない内容も多くある。また、小中の教職課程において、コミュニケーションの指導ができる力を身につけてほしいといった声もある。

4.教職課程認定基準の改正について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 学習指導要領の改訂を待って施行規則を改正するため、施行規則の改正が平成29年度になることもあり得る。
  • 教員免許状取得希望者は大学等における教職課程を履修しなければならない。大学の多様性と資格の標準性の双方を両立させることが求められている。教職課程の設置のためには課程認定審査を経なければならず、各学科と免許状との関係などが審査される。
    各大学等では学位プログラムと教職課程の双方の体系性を維持しなければならない。基本的には、学位プログラムと教科に関する科目が近しいことが求められている。
  • 教職課程認定審査の確認事項が改正され、学位の種類及び分野の変更が伴わないものは、条件を満たせば審査を要しないこととした。この際は、学科等の設置であること、概ね同一の教職課程であること、旧課程が教職課程認定基準を満たしていることが必要となる。学科等の分割により専任教員が大幅に減少する場合は同一とみなされないこと、学部や学科等の目的が変更となり教育課程が大きく変更される場合は同一とみなされないことに留意が必要である。必ずしも変更届の提出が必要ではなく、申請を行うこともできる。なお、変更届での対応が認められなかった場合は申請を行うことになる。これらについては、認定年度の2年半前までに届け出る必要がある。
  • 小中学校の共通開設範囲を拡大することとなったが、これは同一学科のみの特例として設けたものである。この際、既設学科で適用する場合は変更届を提出する必要があること、小学校と中学校の両方の授業内容を実施する必要があることに留意いただきたい。
    課程認定のスケジュールが2ヶ月ほど早まったが、認定後の変更(専任教員の変更)については別途教員審査や授業科目の審査を行うこととした。
  • 実地視察規程において、私立学校の実施視察を行う際に知事部局が参加できないなどの問題があったため、規程を改正した。

5.教職課程認定申請手続に係る留意事項について(山口 文部科学省初等中等教育局教職員課専門官)

  • 手引きの変更点について、様式第2号(幼少の共通開設欄の削除)や様式第4号(学会発表は業績として認められないことを明確にするため)、様式第8号ア(認定を受けようとする学科のみとした)、変更届のかがみ(本文の変更)、変更届の新旧対照表(新旧欄の追加)を様式変更した。また、事前相談の時間帯(一時間前倒しした)、様式第4号の記載方法、変更届の提出方法(種類ごとに提出)を変更した。併せて、認定基準の改正に伴う確認事項1(1)③関係の取り扱いも明記した。様式第3号の並び順や研究業績の詳細な記載例も記したところである。
  • 平成30年度の確認事項①(1)③に係る判断については、約半数の大学が申請となる見込みである。
  • 事前相談は必ず行わなければならないものではないが、事前相談を行わない大学は書類の不備が多い。事前相談は記載事項を中心に確認するが、教員の業績については事前相談にて判断することが難しい場合もある。事前相談の際には、質問したいことを明確にしてほしい。そうでないと、事前相談を断ることもある。
  • 業績書について、枚数に上限があるため、担当授業科目に関連する業績を精選して記載してほしい。本人の活字業績が必要であるが、実務家教員については実践的・実証的な研究成果の記録や著作などが必要である。編集や監修、巻頭言などについては、本人の活字業績としてみなせない。
  • 研究業績について、共同研究であり執筆が不可分である場合は、担当部分を明記したうえで、~~~を執筆したなどと記載してほしい。名称欄に大学側の判断で区分を設けることはできない。各大学の担当者においても担当授業科目と業績との関連をしっかり確認してほしい。
  • 学科等の目的と免許状との相当関係については、学部等の複雑化により、しっかりと確認しているところである。教科別免許状においては、学科等の教育内容・専門性・学位の分野や名称と当該教科との関係について十分な相当関係を確認してほしい。審査では学科等の教育課程と免許状の種類について確認することになる。
  • 教科に関する科目について、コアとなる科目であることまでは求めていないが、免許状取得希望者の履修モデルを体系的に編成することが必要である。
  • 複数免許種の申請にあたっては、学科等の教育研究分野や教育課程と免許状の種類との関係や履修モデルの構築などがポイントとなる。
  • 平成28年度に行った課程認定申請の審査において、シラバスに試験のみの授業回があること、テキスト・参考書として学習指導要領等が指定されていないこと、評価方法と授業計画の記載に相違があるもの、出席点が含まれているもの、テキスト・参考書がともに「なし」となっていること、同一科目において各クラスで大幅に内容が異なるシラバスであること、他大学のシラバスをコピペしたと推測されること、66条の6関係の科目の内容が適切でないことなど、不適切な事例があった。
  • 教職に関する科目について「研究」という名称は不適切であると考える(発展的な内容ならば可)。科目名称例を踏まえて科目名を検討してほしい。また、科目区分の内容や授業計画から読み取れないもの、本来の科目区分の内容が少ない授業科目、明らかに特定区分に偏っている授業科目などもあった。
  • 様式間の記載内容の不一致や合計単位数の誤りなどがあるため、大学側でしっかりとチェックしてほしい。
  • 変更届の提出にあたっては、変更の実施前に提出する必要がある。事前相談は行わないが、届出を行って終了ということにはならない。
  • 変更届の記載不備の事例として、直近の認定年度の不適切な記載(教職実践演習の認定年度は該当しない)があった。また、教職に関する科目の単位数不足などが判明した例や一般的包括的な内容の科目が選択科目に移動している例、専任教員数が必要数を長期に満たされていない例、共通開設科目の上限を超えた例などがあった。在学生がいる間に対応できるよう、変更届を提出し終えた夏などに改めて変更届の内容を確認してほしい。