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大学職員に能力開発は必要なのか?

大学一般

大学分科会(第123回) 配付資料:文部科学省

  • 大学運営の一層の改善・充実のための方策について(案) (PDF:187KB) PDF
  • 大学運営の一層の改善・充実のための方策について(案)(参考資料) (PDF:248KB) PDF

  中央教育審議会大学分科会(第123回)の配布資料が公表されていました。以前から大学教育部会で審議されていた大学職員の専門職化や事務組織のあり方について、審議の状況としてまとめられていますね。

大学運営の一層の改善・充実のための方策について(案)

1.「専門的職員」の設置

②今後の検討の方向(案)

  • 学長が適切なリーダーシップを発揮できるような大学運営体制を構築する上で,また,大学の教育研究機能の一層の高度化を図る上で,専門的職員は極めて重要な役割を果たすものである。
  • 一方,我が国においては,大学の専門的職員に求められる職務,資格(求められる能力)等が明確でないとの指摘や,大学における専門的職員の養成の場が不十分で あるとの指摘,高度な専門性を有する者であっても,一般的な職員と同様の取扱とされてしまうことによる課題についての指摘などがある。
  • これらを踏まえ,今後,大学における専門的職員の活用を促進するため,専門的職員に関する活用の事例を収集しつつ,専門的職員に関する職務等を,例えば,管理運営,教育研究活動の支援,学生支援などの観点から整理すること,あわせて,大学に,専門的な知見を有する職員を置くことができることを,法令等において明確にすることが考えられる。

  とりあえず、「専門的職員」について何も決まっていないことはわかりました。大学教育部会の委員には事務職員や技術職員は含まれておらず、何度か関係者の意見を聞いただけで、どうにもリアリティがないような感じを受けます。審議している者ですら、職員が専門性を持って大学を運営するということの具体的なイメージ、あるいはそのような職員の姿が共有されていないのではないかと邪推するほどです。私としては、なぜ今の職員がこのような働きができないのかという点が最も気になっている点であり、具体化されていないニーズからスタートするのではなく、そのあたりの現状の問題を考えて欲しいと思っています。

 そういえば、日経新聞にも大学職員の能力開発、いわゆるSDに関する記事が出ていましたね。

大学職員、研修進まず 法務や会計 全員参加6.6%どまり :日本経済新聞

18歳人口が減少する「2018年問題」が迫り、大学のガバナンス(組織統治)と人材育成の重要性が指摘されるなか、すべての事務職員が法律や会計などの知識を高める研修に参加している大学は全体の6.6%にとどまっていることが1日、文部科学省の調査(速報値)で分かった。3割超の大学では職員の半数以上が研修に参加していなかった。

 この記事だけ見ると大学職員は危機感なく全く勉強しない堕落した職業であるというめちゃくちゃメガティブな印象を与えるだろうなと思いつつ、隅から隅まで全く違うとは言い難い部分もあるのも事実でしょう。ただ、改めて考えてみたいんですが、大学職員に研修等を通じた能力開発って必要なんでしょうか。

 職員の能力開発については、弊BLOGでもたびたび言及してきました。

 職員の能力開発とは、大きく分けて「組織的」なものと「個人的」なものに分けられると考えています。個人的な能力開発は100%個人の意欲に依存するものですし、ちょっと探せば様々な機会が与えられていますので、ご自由にというところでしょう。日経新聞に書かれているのは組織的な能力開発の話であり、いわゆる職場で行う「研修」の話です。以前弊BLOGでも研修についての思いを書きましたが、組織で仕事をしていく上でその必要性を感じないのであれば、こういった能力開発や研修の参加率ややる気が下がっても当然でしょう。

 基本的には、必要性を感じなければ能力開発への意欲はわきませんし、使用できなければ能力は向上しないと考えます。能力を活かせるような働き方ができなければ、あるいはそこに誘導されるような枠組みがなければ、組織的に能力を向上させる、つまり職員を研修等に参加させ、その結果として職務能力を底上げすることは困難だろうと思います。特に国立大学においては、国の教育行政の一翼を担っていたこともあり、「人が代わっても誰でもできる仕事」であることが求められていた時代もあったと聞きます(今もそのような価値観は決して無くなっていないと推測しますが。。。)。これでは仕事のやり方はMinimum Requirements になり、そこに能力を活かせる余地はありません。そりゃ、能力開発とは無縁ですわ、となりますね。

 「大学職員として知っておくべきことがある」ということも言われますが、誰がどのような内容をどの程度の水準で要求しているのか、いまいち釈然としません。むしろ、各大学で「本学の職員として知っておくべきことや身につけておくべき能力の内容や水準はこれです。」といったほうが、よっぽど説得力があります。国立大学法人職員であれば、国立大学協会が発行する職員必携を与え、ペーパーテストをしてもいいんじゃないかと半ば本気で考えています。

 ネガティブな感じて書いてきましたが、組織的な能力開発が必要でないと思っているわけではありません。きっと組織的な能力開発がなければ自主的に研修や勉強会等に参加する者は少ないでしょうし、研修の機会を与えるという点では(たとえ参加者側がどう思っていようとも)大きな意味があると思っています。ただ、その内容や方向性あるいは目的などは、もっともっと研修担当者が考え、転換を図る必要があるでしょう。ある意味で、研修担当者自身こそが能力開発により業務を開拓していけるポジションなのかもしれません。

 ということで、タイトルにある「大学職員に能力開発は必要なのか?」の答えは、「組織的な能力開発については、組織がそれを求める必要性があり、構成員がその必要性を認識しているのであれば、必要。」というトートロジーみたいな感じに考えています。