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「研修」という言葉にあるどうしようもないほどのネガティブ感。

 最近では、学外の研究会等の企画のみならず、学内業務としての研修企画にもちょこちょこと携わるようになりました。本務とは全く異なる研修事業に関わっていく中で感じるのは、「研修」という言葉は構成員に対してネガティブな感情を与える可能性が非常に高いということです。意味もないのにやらされている、上司から出ろと命令されたから来たくないのに来ている、仕事が忙しいのに何で出なければならないんだ、などなど、特に会が始める前にはちらちらと聞くフレーズです。これはこれでほんとの気持ちなんだろうと思います。

 もちろん研修内容が適切ではないということもありますが、「研修」という言葉自体がすでに「やらされ感」を付与されたものであり大抵の者にとって忌避される言葉であることを想像します。業務上の研修とは業務の一環であり、つまり平常業務と同様に、やらなくても良いならばやらない、意味のないものならばやらないというポジションにあるものです。なんだかよく分からない研修にでることは、意味や必要性が分からない業務を上司から押しつけられたのと同じことなのでしょう。多くの大学では職員育成計画や研修方針等を作成していますが、大抵の場合、ほとんどの職員はそれを知りません。業務フローのように、参加する前の段階で大学の全体像に対する研修の位置付けを明確にし、それを理解してもらうところから始めなければなりません。研修開催前に研修担当者が参加予定者一人一人を訪れ、研修の意義や位置付け、内容を説明して回るくらいケアしても良いくらいだと思っています。

 自主参加制にすれば良いのかと言えば、それはそれでうまくいかないでしょうね。人が集まらなかったり、各部署1名ずつ供出するルールで貧乏くじ引かされ感満載になったりと、結局は業務としての研修事業の効果は薄れる気がしています。そもそも、大抵の大学職員は能力開発をしたくない、する必要がない、しても意味がないと思っている可能性があります。また、能力を高めたいと思っている職員であっても、職場がやる研修はボトムアップ思考のためレベルが低く、研修事業を信用していないかもしれません。一方で、SD論を語るときに「少子化の中で職員の能力を高めてどうのこうの」という話もあり、それはそれで事実なのでしょう。この違いはなぜ発生するのか、単純に意識の低い職員が悪いというのではなくどのようにギャップを埋めていけば良いのか、気になるところです。

 業務としての研修事業を直ちに廃止せよと言っているわけではありません。大学設置基準におけるSDの義務化という話もありますし、いやいや参加してみて意識が変わった例もあります。研修事業を考える際には、「そもそも全ての職員は研修を必要だと思っていないし、出たくないと思っている」という前提から始めなければならないということです。このあたりは、学生のアクティブラーニングに対する「最初は出たくなかったけど、やってみたらいろいろ得るものがあった」という印象と似ているかなと思っています。

 では、どのように研修事業を定めていけばいいのか。一つの手段として、職員に研修事業のプログラムを提案させるプロジェクト・研修を実施するということを考えられます。通常、研修計画は人事担当部署が部署内で案を作成し、偉い人の許可を得て、学内に公表ということが多いと思います。ただ、それでは、学内のニーズや職員の思いなどが十分に反映されているかどうか分かりません。部課長から新任職員までを含めたチームにより、本学の職員とはどのような姿であるべきか、そのためにはどのような研修を行えば良いのかを提案できるプロジェクト、研修プログラムを考える研修を行えば、ある程度問題を解消できるかなと思っています。ちょうど先月くらいに、愛媛大学から、SPODのSDプログラムを見直すワークショップを開催するという案内が届きました。これはうまいやり方で、学内外の目線を入れたプログラムが作成できるとともにワークショップ参加者自身の能力向上にもなります。

 また、研修の内容を業務に反映させるためにも、個人で参加する研修ではなく、課やチームなどをまるごと参加させる研修にする方法もあります。一つの課やチームを丸ごと参加させることで、その間業務はストップしますが、チームとしての活動を高め研修内容を業務に活かせる可能性が高まると考えます。

 なんにせよ、従来の「教えてもらう」ような研修のみばかりではなく、「学び合う」ような研修への転換が必要なんだろうなと感じています。全部が全部、というわけではありませんが、少なくとも自大学に関連する内容であれば、職員自身が知恵を絞るような内容がいいのでしょうね。とりあえず、「研修」という言葉に代わる何かポジティブな言葉がないか、探しているところです。

 そう言えば、研修関係について論文を探した際におもしろそうなタイトルのものを見つけましたので、紹介しておきます。

新入社員研修におけるトイレ掃除の意味と意義についての研究

 本研究の目的は,企業において新入社員がトイレ掃除をすることの意味と意義を明らかにすることである.毎朝 , 掃除をすることによって,企業 を再生させたり成長させたりした事例がいくつもある.こうした企業では,経営者を筆頭にして, 従業員の多くがトイレ掃除をはじめとする掃除活動に注力している. 企業が注力する掃除の中でも,特にトイレを掃除する必要性を探究することが,本研究の第1の研究目的である.