修学支援新制度は給付型奨学金と授業料等減免の2本立てで整理する。

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 前回、説明会の記録を記した修学支援新制度について、自分の整理も兼ねて、制度の解説等に関する記事をしばらく続けたいと思います。本日は、大まかな制度の整理です。

1.根拠法

大学等における修学の支援に関する法律 抄

第三条 大学等における修学の支援は、確認大学等に在学する学生等のうち、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものに対して行う学資支給及び授業料等減免とする。

第四条 学資支給は、学資支給金(独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律第九十四号)第十七条の二第一項に規定する学資支給金をいう。)の支給とする。

第八条 確認大学等の設置者は、当該確認大学等に在学する学生等のうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認められるものを授業料等減免対象者として認定し、当該授業料等減免対象者に対して授業料等の減免を行うものとする。

独立行政法人日本学生支援機構法 抄

第十七条の二 第十三条第一項第一号に規定する学資として支給する資金(以下「学資支給金」という。)は、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)第二条第三項に規定する確認大学等(以下この項において「確認大学等」という。)に在学する優れた学生等であって経済的理由により修学に困難があるもののうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認定された者(同法第十五条第一項の規定による同法第七条第一項の確認の取消し又は確認大学等の設置者による当該確認大 学等に係る同項の確認の辞退の際、当該確認大学等に在学してい る当該認定された者を含む。)に対して支給するものとする。

2.制度の大枠

 制度の大枠を捉える上で特に重要な条文は、大学等における修学の支援に関する法律(以下、「修学支援法」という。)第3条です。ここでは、

  1. 支援対象者:確認大学等に在学する学生等のうち、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難がある者
  2. 支援方法:学資支給及び授業料等減免

と整理できます。

 また、修学支援法第4条及び第8条並びに独立行政法人日本学生支援機構法第17条の2により、

  1. 学資支給金(給付型奨学金):独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が支給する。
  2. 授業料等減免:確認大学等が減免する。

と整理できます。

 特に今回の修学支援法及び関連省令により、今まで各大学でバラバラだった減免等基準が統一されます。この基準は、学資支給金(給付型奨学金)と授業料等減免で同一です。つまり、一方で認定を受ければもう一方も受給できる、学資支給金(給付型奨学金)と授業料等減免はセットであると理解できます。文部科学省が出したQ&Aにも、一方のみを受給することは想定されていません。

Q 給付型奨学金は申し込まず、授業料減免のみ申し込むことは可能ですか。

A 基本的に、授業料減免と給付型奨学金の支援を併せて受けていただくことを想定しています。例えば、他制度による支援を受けるために、授業料減免のみ受給したいというケースにおいても、他制度による支援がなくなるなど状況が変わった場合に円滑に対応できるよう、授業料減免と給付型奨学金をあわせて申し込んでいただくことを想定しています。

 また、各基準についても、説明会の資料で以下の4点であると説明されています。

  1. 家計の経済状況に関する要件
  2. 学業成績・学修意欲に関する要件 (採用時)※ 認定後は、適格認定の基準(資料6参照)により学業成績等を確認し、これに基づき支援の継続の可否を判定する。
  3. 国籍・在留資格に関する要件
  4. 大学等に進学するまでの期間に関する要件

 これらの基準に適合しているかの判定について、JASSOと大学とで結果を共有し、転用するとしています。実質的には、JASSOの判定により、確認大学等は授業料等免除の判定を行う場面が多くなるでしょう。

3.概念図

 以上を踏まえ、まずは制度の大枠の概念図を以下の通り整理しました。

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 このように、修学支援新制度の大枠は、まずは給付型奨学金と授業料等減免の2本立てで整理することがわかりやすいのではないかと考えています。

 次回は、機関確認について整理してみます。