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結局、国立大学の運営費交付金はどう配分されているのか。

大学一般

国立大交付金100億円、特色競わせ配分 3分類で評価:朝日新聞デジタル

国立大学の収入の3~4割を占める「運営費交付金」の配分が決まり、文部科学省が9日、発表した。2016年度からは、大学を目的別に3分類し、取り組みに応じて交付金の一部約100億円を配分する。

 平成28年度の国立大学運営費交付金の配分が話題になっています。ただ、運営費交付金全体が何割削減されるみたい誤解のある理解も目にしますので、改めてこの配分の位置付けを考えてみます。

 今回の発端となったのが、3月9日に出た文部科学省の発表です。

平成28年度における国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について:文部科学省

この度、平成28年度における国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について、別紙のとおり取りまとめましたので、公表いたします。

 ここでは、

第3期中期目標における国立大学法人運営費交付金(以下「運営費交付金」という。)については、第3期における国立大学の機能強化の方向性に応じた取組をきめ細かく支援するため、予算上、3つの枠組みを設けて重点支援を行うこととしており、各国立大学法人は、それぞれの機能強化の方向性や第3期を通じて特に取り組む内容を踏まえていずれかの枠組みを選択することとなっている。

として、

平成28年度の運営費交付金の重点支援に当たっては、重点支援の枠組みごとに、各法人から提案のあった取組構想の評価を有識者の御意見を踏まえて行った上で配分することとしており、その評価結果を公表するものである。

と書かれています。

 その結果として各大学が提案した戦略が評価され、それを踏まえ、運営費交付金の配分割合が決定されています。(配分率は下図及び下表を参照。なお、旭川医科大学は配分を要求していません。)

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 ここまで、幾つか確認が必要な言葉が出てきました。まず、「重点支援の枠組み」です。これについては、以前弊BLOGでも言及したので繰り返しませんが、簡単に言えば国立大学を第3期中期目標期間に担う主たる役割に合わせて3つに分類しそれを踏まえた運営や予算措置をしましょうということです。だからこそ、重点支援の枠組みごとに結果が公表されているのでしょう。

 次に「反映率」です。この割合により運営費交付金が増えたり減ったりするということは想像できるとは思いますが、何に反映される割合なのか、わかりにくいですね。これを平成28年度予算資料の中から読み解くには、文部科学省公表資料ではなく、財務省公表資料を見た方がわかりやすいです。

平成28年度予算政府案 : 財務省

平成28年度文教・科学技術予算のポイント P8

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 ここから、基幹運営費交付金(従来の一般運営費交付金+特別運営費交付金)の1%程度をあらかじめ拠出し、それを反映率に応じて再配分していると考えられます。ものすごく簡略化すると、図2のようであると想像できます。

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 拠出した1%程度の基幹運営費交付金に反映率を反映した金額が再配分として大学に戻ってきているというイメージですね(「戻ってくる」という表現は適切ではありませんが。。。)。これを見れば、運営費交付金全体を対象としているわけではないことがわかってもらえると思います。この考え方が正しいとすると、75.5%と一番反映率が低い京都教育大学の場合、運営費交付金が4分の3になるのではなく、拠出金のうち4分の3しか戻ってこないということになります。つまり、仮に重点支援①の拠出割合が1%だとすると、再配分後の基幹運営費交付金は本来その年度に受け取るはずだった交付金の99.75%になるということですね。(ただ、各大学の拠出金額及び再配分金額が公表されていませんので、この考え方が正しいのかは不明です。)

 私は完全に感覚が麻痺しているので、毎年1%づつ削られていたことに比べるとなんと平和なことかと思ってしまいます。ただ、平成29年度以降、財務省は再び1%づつ削減する気もあるようですので、状況は読めません。また、平成29年度以降のこのような予算制度つまり機能強化経費も、将来の基盤経費化も含め文部科学省の中で検討されていると聞いています。

 気になるのは配分された予算の使途ですね。元々配分総額が決まっており割合に応じて各大学に配分するものですから、通常の補助金にあるような予算計画などは立てにくいだろうと考えます。一方、あくまで各大学の戦略の評価に応じて配分した以上は、その戦略に関連性がないものには支出しにくいでしょう。各大学で特別事業経費みたいな枠を設け、担当部署の裁量である程度動かしていくのかなと想像しています。

 また、確かにこの方法は第3期から新たに導入されたものですが、基盤的経費を削ってプロジェクト型経費に回すという路線は継続されているように思えます。結局しばらくはこういう方向でいくのかなと改めて感じました。(それでも、毎年1%ずつ削減よりは天と地ほども違いますが。)

 平成28年度の国立大学運営費交付金について、簡単にまとめてみました。なお、裏を取ったわけではなく、諸々の資料を踏まえた私の考えのみに留まっていることを申し添えます。