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高度専門職の能力水準に思う 〜スペシャリストはどのように働くのか〜

大学一般

 前回に引き続き、「高度専門職」に関連した大学職員の職業能力について考えてみます。

 当たり前ですが大学職員とは職業の1種であり、その能力開発とは所謂職業能力開発に属すると理解しています。職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)では、職業能力開発の理念等について以下のとおり整理しています。

(定義)

第二条 2 この法律において「職業能力」とは、職業に必要な労働者の能力をいう。

(職業能力開発促進の基本理念)

第三条 労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすることが、職業の安定及び労働者の地位の向上のために不可欠であるとともに、経済及び社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、この法律の規定による職業能力の開発及び向上の促進は、産業構造の変化、技術の進歩その他の経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び転職に当たつての円滑な再就職に資するよう、労働者の職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われることを基本理念とする。

 しかし、厚生労働省職業能力開発局が所管する職業能力開発の今後の在り方に関する研究会にて審議された「職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」報告書では、

 職業能力開発の状況を見ると、産業構造のサービス経済化、技術革新、顧客ニーズの変化等が進み、労働者に求められる職業能力が変化している中で職業能力開発の必要性が高まっているにも関わらず、平成25年度能力開発基本調査によると人材育成に「問題がある」とする事業所割合は7割に達しており、さらに、企業・個人が職業訓練にかける費用・時間や企業を通じて職業訓練を受けた労働者の割合は減少傾向にある。

としつつ、

 具体的には、これまでも対人サービス分野等を含め幅広い業種を対象に、職業能力評価やこれに基づく職業能力開発、人事労務等を行う基盤として職業能力評価基準を整備してきたものの、労働市場における活用は必ずしも進んでいない状況にあり、これまでの職業能力評価基準の蓄積を反映しつつ、より実践的で、具体的な検定等の職業能力評価の「ものさし」の整備が求められる。

と国家としての取組が十分に進展していないことを指摘しています。

 また、平成25年度能力開発基本調査の結果の概要では、7割以上の企業が正社員の能力開発の責任主体は企業であると回答しています。

 このような状況もあり、駒川(2013)は、

日本において労働ならびに労働者の技能育成・キャリア形成を強く規定するのは企業である。

と指摘しています*1

 このような背景を承知していたこともあり、大学教育部会(第31回)資料1-1にて、

国は「高度専門職」の質保証の観点から、最低限必要な基準を定めるものとする

とあったのは意外でした。大学教育部会(第32回)資料2-1にて各委員の意見がバラバラなのは、各大学の文脈の中で活躍すべき人材の基準を国家が決めることに対する違和感もあるのだろうと推測しています。私自身も、国家が基準を定めることについては反対の思いがあり、本来ならば職能団体の中で決めるべき話でしょう。その代表的な例が、URAにおけるスキル標準の設定でしょうか。国家が最低限の基準を策定すれども受け手側はそれを最大限と目して戦略的にコスト削減を行うことになるのは、基準大綱化以降の大学設置の状況を見れば言うまでもありません。

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 さて、大学教育部会(第31回)資料1-1にある上図について、どうもどこかでみたことがあると思っていましたが、これは中央職業能力開発協会が平成20年に作成した「包括的職業能力評価制度整備委員会〔事務系職種メンテナンス〕活動報告書」にある事務系職種における「キャリア形成の例示」とほぼ同様ではないかと考えています(下図参照)。

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 同報告書では、内外の労働市場で職業能力を適正に評価できる“ものさし”となる客観的な指標として事務系職種に関する「職業能力評価基準」を定めています。なお、ここでいう「事務系職種」とは、

おおむね「ホワイトカラー」に近い概念

と考えているようです。

 一口に事務系職種と言ってもその職務内容は様々ですので、その職務内容等に応じて9職種19職務に区分し、職務の別によらず職種に共通して求められる能力である「共通能力ユニット」及び各職務の遂行のために固有に求められる能力である「選択能力ユニット」をレベル(スタッフ、マネージャー、スペシャリストなど)毎に定めたようです。また、能力ユニットをさらに細分化し、の仕事を確実に遂行できるか否かの判断基準となる典型的な行動例や技能・技術を「職務遂行のための基準」、前提として必要となる知識を「必要な知識」として列挙しています。

 前述のとおり、大学教育部会の「キャリアパス・処遇(イメージ例)」と中央職業能力開発協会の「キャリア形成の例示」が同一であると仮定すると、「高度専門職」は職業能力レベルでいう「スペシャリスト」に該当します。つまり、企業等でのスペシャリストに必要とされる能力基準を参照すれば、全く同じとまではいかずとも、「高度専門職」がどのような働き方をすれば良いのか推測できると考えます。そのため、特に大学職員でも該当する可能性が高い職務である「経営戦略」「人事」「総務」「広報」「経理」及び「全職務共通」について、スペシャリストの「職務遂行のための基準」を確認してみましょう。

共通能力ユニット

①企業倫理とコンプライアンス

  •  担当部門の諸規定、マニュアル等の立案もしくは策定指導を行っている。
  •  企業人としてのプロ意識、社会的責任感、職業倫理を有し、周囲の模範となるような行動をとっている。
  •  率先してルールや倫理規程に沿った行動をとるとともに、下位者がこれらに反する行動をとっている際には的確に是正指導している。
  •  セクハラ、パワハラなど、自分のもつ職務上の権限が周囲のハラスメントにつながることがないよう細心の注意をもって行動している。
  •  自社のコンプライアンスに影響を与える関係法令の施行や改正動向に気を配り、その内容を見据えたうえで行動している。
  •  担当業務の結果が社会経済に及ぼす影響を考慮し、それが法令や公共の利益と矛盾する場合には、たとえ大きな成果が期待できる場合であっても着手を見送っている。
  •  個人情報の漏洩、不正取引、クレーム隠しなど職場における潜在的な諸問題の発生リスクを想定し、回避策を講じている。
  •  事故、不祥事の発生など不測の事態に直面しても冷静な現状分析と判断を行い、適切な問題解決を図っている。
  •  自己の経験や能力を超える判断が求められる場合には、適宜、経営層など上位者の支援を得ている。

②関係者との連携による業務の遂行

  •  部分最適でなく全社最適の視点から、率先して他の組織長等との連絡調整を行い、協力体制を構築している。
  •  必要なタイミングや順番で、事前調整や関係者への説明を行い、社内コンセンサスの構築を推進している。
  •  自組織だけでは解決できない組織横断的課題に対し、社内関係先との調整をスピーディに行って解決策を見出している。
  •  社内外のキーパーソンと本音で交渉できる信頼関係を構築している。
  •  社内のみならず社外に対しても幅広い人的ネットワークや情報収集ルートを構築している。
  •  下位者に対して人的ネットワークを拡大するための場やノウハウを提供するなど、組織全体としての情報収集力や人的ネットワーク構築力の向上を図っている。
  •  周囲に明確なビジョンを示して自ら率先行動するなど、組織メンバーの目標達成に向けたモチベーションを喚起している。
  •  各人の能力と適性に鑑み効果的な業務分担を行うことで、やる気を引き出しながら全体最適を実現している。
  •  会議や打ち合わせにおいて議論をリードし、下位者に対して指示・依頼事項等を明快な形で伝えている。
  •  組織メンバーへは分け隔てなく情報をオープンにし、組織全体の一体化を高めている。

③課題の設定と成果の追求

  •  事業環境を見極め、優先的課題や中長期的な重要課題等の洗い出しを行い、これをブレイクダウンして業務目標を設定している。
  •  目標達成のための複数のアプローチを提示し、不測の事態が発生した際のオプションも含めて業務計画を策定している。
  •  単に現状を追認するのではなく、「本来どうあるべきか」という問題意識から挑戦的な課題設定を行っている。
  •  下位者に対して、その能力と適正に合致した課題・目標の設定を助言、指導、決定している。
  •  目標設定当初と異なる事態が発生した場合には、当初案に固執することなく環境変化を踏まえて優先順位を柔軟に判断し、目標とスケジュールの最適化を実現している。
  •  仕事の進め方そのものを変革するための具体的なアプローチを下位者に明示するとともに、自らもそれを実践している。
  •  組織内の定期ミーティング等を通じて業務全体の進捗管理を行い、スケジュールに深刻な遅れが生じる前に必要な対策を講じている。
  •  得意なフィールドを拡張することのみならず、前例のない未知の領域に果敢にチャレンジしている。
  •  強い意志や意欲を周囲に示し、組織の中で課題達成の求心力となっている。
  •  既に確立しているやり方を踏襲するだけでなく、新しい方法を採り入れるなど、ブレイクスルーへの工夫を常時行っている。
  •  下位者の成果評価に際して、結果だけに拘らずそこに至るプロセスも把握し、的確な助言・指導を行っている。

④コンセプト構築

  •  社内・社外の勉強会等を率先して主催するなど、情報源の確立を推し進めている。
  •  専門ビジネス誌や経営関係の学術誌を通じて最新のマネジメント・ツールを把握するとともに、その有効性を批判的に検証している。
  •  新規事業の動向や顧客ニーズの動向等について、コンサルタント、アナリスト、顧客、提携先などのネットワークを通じて最新の詳細情報を入手している。
  •  統計解析等によりデータを体系的に分析し、データの背後に隠れていた事象を明らかにしながら因果関係をまとめている。
  •  ポートフォリオ分析等を通じて自社製品のマーケット内での位置づけを明確化している。
  •  必要に応じてコンサルタントやアナリストを選定し、経営環境の分析を行うとともに、その結果に対する評価を下している。
  •  個別データや分析結果を統合し、意味あるパターンや相互関係を引き出しながら経営戦略上の仮説を導いている。
  •  論理的分析を踏まえつつも、前例や従来の発想にとらわれない自由な構想により経営企画に関する新しいコンセプトを生み出している。
  •  ステークホルダーのニーズに応え企業の社会的地位にふさわしい組織のミッションやバリューを策定している。

⑤業務効率化の推進

  •  全体最適の視点をもって、組織内の業務全体について問題点や改善の余地を分析している。
  •  仕事の進め方のみならず、組織風土や暗黙のルールなど幅広い範囲で変革の必要性がないか検討・分析している。
  •  他組織の関係者の意見も取り入れながら、多面的に業務改善や効率化のための分析を進めている。
  •  全体業務の効率化やコストダウンの観点から、アウトソースの要否など改善に向けた業務分析を行い、実行している。
  •  同業他社の業務の進め方をある程度把握し、常にベンチマークすることで効率化策を策定している。
  •  業務効率化に向けた組織横断的な取組みを推進するなどリーダーシップを発揮している。
  •  不要な業務や有効性を失った仕組み・手続等について改廃を決断し、実行している。
  •  過去の成功事例・失敗事例の共有化を図るなど、組織全体の生産性向上のための仕組み作りを行っている。

職務:経営戦略

  •  内部及び外部の経営環境、競争環境等を多角的に分析し、これに基づき中長期経営計画、組織体制、事業再構築等の方策を作成している。
  •  経営トップ、関連会社のキーパーソン、社内関係者などとの間で意見調整や利害調整を先頭に立って行い、スケジュールに沿って実効性のある戦略策定を行っている。
  •  前例や慣行にとらわれることなく、斬新なアイデアで計画を策定している。
  •  作成した計画をわかりやすくビジュアル化し、経営トップなど関係者に対して効果的にプレゼンテーションしている。
  •  複数の業務計画間の調整を図りながらその最適化を実現している。
  •  部下や後輩に対して経営企画に関する専門的実務指導を行っている。
  •  戦略の進捗状況を確認するための指標やチェックポイントを設定し、定期的にモニターして問題がある場合には適当な対応策を講じている。
  •  戦略実行による企業価値の外部評価及び内部評価を行い、戦略の評価と将来に向けた課題を抽出している。
  •  財務的効果、シナジー効果、従業員モラールの変化など多角的な側面から戦略の評価を行い、一定の結論を導いている。
  •  期初の方針や目標に照らして業務全体の達成状況を評価し、次期に向けた課題とその解決策を抽出している。
  •  戦略の実行・運用に関する問題点を整理し、経営トップに提言して具体的なアクションに結び付けている。

職務:人事

  •  人事部門長と意思疎通を図りながら、人事戦略の方向性に沿った人事制度の個別戦略やアクション・プランを策定している。
  •  雇用・労働情勢、競合他社の人事賃金制度の動向などの専門情報を体系的に収集・分析し、これに基づき人事諸制度の枠組みを策定している。
  •  前例や慣行にとらわれることなく、斬新なアイデアで人事諸制度の企画立案を行っている。
  •  複数の業務計画間の調整を図りながらその最適化を実現している。
  •  人事戦略策定や人事賃金制度改定のための体系的な情報収集や調査分析を実施もしくは指揮している。
  •  人事制度、評価制度、昇進・昇格制度などの解釈・運用において前例のない問題が発生した場合にも、関係者と調整しながら合理的な解決策を導いている。
  •  評価制度や賃金制度の適用において例外的取扱いを行う必要性が発生した場合には、その是非や方針を迅速に判断している。
  •  解雇や出向・転籍等をめぐる係争が生じた場合には、判例や過去の類例を踏まえて人事部門長等と意見交換し、解決を図っている。
  •  部下や後輩に対して人事・賃金をめぐる専門的・体系的な実務指導を行っている。
  •  期初の方針や目標に照らして所管する業務全体の達成状況を評価し、次期に向けた課題とその解決策を抽出している。
  •  人事賃金制度やその運用に関する問題点を整理し、経営層や人事部門長に提言して具体的なアクションに結び付けている。

職務:総務

  •  総務部門長と意思疎通を図りながら、事務合理化・システム化、IR(インベスター・リレーションズ)、リスクマネジメント、社内資産管理など、担当する総務関連諸施策に関する基本方針や計画を策定している。
  •  法令の改正動向、競合他社の動向等の専門情報を体系的に収集・分析し、これに基づき担当する総務業務の枠組みを策定している。
  •  前例や慣行を尊重しつつも、斬新なアイデアで総務関連諸施策の企画立案を行っている。
  •  複数の業務計画間の調整を図りながらその最適化を実現している。
  •  対株主諸施策や社内資産の管理・運営など、担当業務に係る情報収集や調査分析を実施もしくは指揮している。
  •  リスクマネジメント、資産管理、株主施策など、担当業務の運営において前例のない問題が発生した場合には、関係者と調整しながら解決を導いている。
  •  社内規定の適用において例外的取扱いを行う必要性が発生した場合には、その是非や方針を迅速に判断している。
  •  株主や顧客等の社外関係者とのトラブルが生じた場合には、過去の類例を踏まえて総務部門長等と意見交換し、解決を図っている。
  •  部下や後輩に対して総務をめぐる専門的・体系的な実務指導を行っている。
  •  期初の方針や目標に照らして所管する業務全体の達成状況を評価し、次期に向けた課題とその解決策を抽出している。
  •  担当する総務業務の問題点を整理し、経営層や総務部門長に提言して具体的なアクションに結び付けている。

職務:広報

  •  広報部門長と意思疎通を図りながら、対株主、対マスコミ、対消費者などを念頭に企業価値や企業ブランドを高める観点から戦略的に広報計画や広報予算を策定している。
  •  経営トップの広報マインドを十分把握し、それを広報活動に的確に取り入れている。
  •  他社において過去問題となった事例を分析し、非常時のマスコミ対応に関する方針を策定している。
  •  前例や慣行にとらわれることなく、斬新なアイデアで広報諸施策の企画立案を行っている。
  •  複数の業務計画間の調整を図りながらその最適化を実現している。
  •  広報計画作成のための体系的な情報収集や調査分析を実施もしくは指揮している。
  •  常に企業イメージの向上を念頭に置きながらマスコミ等の社外対応を遂行している。
  •  人的ネットワークを駆使してマスコミ等から多くの情報を得て、社内に向けて発信している。
  •  マスコミ対応の必要な緊急事態が生じた場合には、広報部門長等と連携して経営トップに対してコメントや発言内容に関する助言を行っている。
  •  部下や後輩に対して広報をめぐる専門的・体系的な実務指導を行っている。
  •  自社の広報体制が経営環境や世間動向に照らして適当かどうかを検証・評価し、問題がある場合には解決策を提案している。
  •  期初の方針や目標に照らして担当業務の達成状況を評価し、次期に向けた課題とその解決策を抽出している。
  •  広報計画やその運用に関する問題点を整理し、経営層や広報部門長に提言して具体的なアクションに結び付けている。

職務:経理

  •  会社の経営戦略及び経理戦略に沿った経理・会計分野の個別戦略やアクションプランを策定している。
  •  経理・会計関連の基準の改定動向や競合他社の会計基準方針の変更などの専門情報を体系的に収集・分析し、これに基づき会計基準、予算管理、原価計算などの枠組みを策定している。
  •  前例や慣行にとらわれることなく、斬新なアイデアで経理諸制度の企画立案を行っている。
  •  経営トップや関係者との間で意見や利害の調整を円滑に行いながら、実効性のある経理諸制度の設計を行っている。
  •  複数の業務計画間の調整を図りながらその最適化を実現している。
  •  経理の個別戦略策定や経理制度改定のための体系的な情報収集や調査分析を実施もしくは指揮している。
  •  経理業務の解釈・運用において前例のない問題が発生した場合にも、関係者と調整しながら解決を図っている。
  •  原価計算や連結決算の適用において例外的取扱いを行う必要性が発生した場合には、その是非や方針を的確に判断している。
  •  原価標準の設定及び差異分析を行い、原価低減策を立案・実施している。
  •  税務をめぐる係争が生じた場合には、判例や過去の類例を踏まえて経理部門長等と意見交換し、解決を図っている。
  •  部下や後輩に対して経理・会計に関する専門的実務指導を行っている。
  •  自社の経理制度が経営環境や競合・市場環境に照らして適当かどうかを検証・評価し、問題がある場合には解決策を提案している。
  •  期初の方針や目標に照らして業務全体の達成状況を評価し、次期に向けた課題とその解決策を抽出している。
  •  経理制度やその運用に関する問題点を整理し、経営トップに提言して具体的なアクションに結び付けている。
  •  検討している新制度の妥当性について、全社または他部門に及ぼすインパクトや影響を考慮し、既存の制度・システムとの整合性も踏まえながら検証している。

 長々と引用しましたが、企業におけるスペシャリストの基準について、どのように感じられたでしょうか。私自身はスペシャリストという地位にいませんが、それでも幾つかはできているかなと感じた点はありました。ただ、全ての基準を満たすとなるとまだまだ不足しているものはたくさんあるなと思っています。なお、これら基準はあくまで行動面を示したものであり、必要な専門知識はまた別に修得が必要です。今回は代表的と思えるもののみ抜粋しましたが、人材開発や労務管理、財務管理、国際系などの職務についても、最低職位であるスタッフレベルから必要な能力等が整理されていますので、興味があれば職業能力開発基準をご確認ください。

 引用した職業能力開発基準は企業での取組を前提に定められていますので、必ずしも全て大学にあてはまるわけではありません。しかし、これらの基準を確認していくと、スペシャリストであろうともあくまで組織の中で仕事をしているのであって、部下や上役、他部署との調整・指導が必ず含まれていることに気付きます。一方で、URAや特任ポジションの者が孤立無援で悪戦苦闘している話も聞き及んでいるところです。大学の中で「高度専門職」をどのように活用できるかは組織として検討すべきことであり、またそれは大学職員全般の働き方にもあてはまるのだろうなと思っています。

 

*1:駒川智子(2013),「職業能力開発論」における労働視角から教育への照射,北海道大学教職課程年報,3,43-54.