論点を示さないと議論は始まらない。
大学には議論すべき問題がたくさんあります。教育活動のこと、学生のこと、研究活動のこと、大学運営のこと、挙げていけばきりがありません。しかもたいていの場合、これらは複雑で正解がないため、そもそも何が問題なのかということすら曖昧なことも多々あります。さらに、状況によって問題の見え方も変わってきます。例えば、一般的な大学であれば学生のフランス語能力は問題にならないでしょうが、関西学院大学のようにカナダの諸大学との関係を重視する大学にとっては問題になり得ます。
問題を解決する場の一つが学内会議です。その場ではよく「問題の解決策が書かれたこの資料について何か意見がありませんか」という問いかけがなされます。このような問いかけはあまり良くないですね。日頃から会議運営や関係部局照会をしていて思うのは、論点を示さないことには問題解決に向けた議論が始まらないということです。
冒頭にも述べたとおり、我々が直面している問題は複雑であり、そもそも何が問題なのかということを共有しなければ解決への道にも立てません。そこで、私が会議運営等でよく使っているのは、どのような点を検討すれば良いのかという論点を示すことです。「〜〜について、十分な効果が挙げられる体制となっているか。」などざっくりとした問を投げかける形で論点を示し、議論を進めています。論点とは問題意識でもあり、論点を共有するということはチームとして問題を定義することだと考えます。ここから課題解決への道が始まると思っています。
もちろん、論点を示すまでには、そもそも何を論点として設定するかという論点整理の段階があります。この段階がなかなかやっかいで、対象に関する様々な問題のなかからどれを選びどれを選ばないのか、これまでの知見や今の状況等を考慮して検討する必要があります。複雑な問題の解決に"効く"部分は何なのか選ぶことは、なかなか容易ではありません。例えば、一つの案を出して意見をもらう方法や、関係者で問題意識を言い合いブラッシュアップしていく方法などが考えられますね。何にせよ、適切な課題設定ができれば問題解決に大きく近づけますので、ここは力を入れたいところです。
会議には、単なる報告事項である議題もありますが、そこにいるメンバーに考えてほしい議題もあります。議題の趣旨によってうまく手法を使い分けながら、以前の弊BLOG記事と合わせ、より良い会議運営を目指しています。