京都大学の改革案に思う 〜学長のリーダーシップとはなにか〜

京都大学新聞社/Kyoto University Press » 〈特集〉 「学域・学系」構想の現在 第二編 ~改革をめぐる本部の姿勢を問う~(2013.10.16)

 今年3月に明らかとなった「学域・学系」構想(当初は「ファカルティ」という呼称が使われていた)について、京大新聞では3月16日号で初めて報道した後、7月16日号で続報を取り上げ、最近の9月16日号では「学域・学系」構想に対して部局側から提示された3つの対案、及びそれを受けた本部側の骨子案を掲載した。

 京都大学の改革案が京都大学新聞のHPに掲載されていました。全学的な改革を推進するため、まずは教員組織と教育組織を分ける形にするようですね。筑波大学を始めとして、教員組織と教育組織と分離する大学は一定程度あり、ある調査によれば国立大学の24%が分離する形式にしているようです。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/kondannkai/__icsFiles/afieldfile/2011/03/02/1301683_03.pdf(教育組織と研究組織を分離している大学の事例)

http://www3.he.tohoku.ac.jp/cahe/wp-content/uploads/2011/06/1db9e65d4ff06ea00f14a8e98080c9fd.pdf(平成24年度 IDE大学セミナー 大学の教育改革と組織編成)

 組織分離の功罪については、別の機会に書き散らすとします。と言うのも、私自身はこの京都大学の改革案自体にはあまり興味がありません。それよりは、この改革案等に対する構成員の受け止め方の方が気になります。各部局からのリアクションも当該HPに掲載されていますが、概ね分離後の教育研究組織の改革像が示されていないことに不安をいただいているようです。

 本件は、言うまでもなく、学長のリーダーシップに関わってくる問題です。ただ、大学のような組織では、トップダウンのみのリーダーシップの発揮では上手くいかないことは自明です。教員は(少なくとも業務上は)明確な上司がいるわけではなく、また、教員自身もそれを望んでいるわけではないでしょう。そんな中では、結局は「対話」が重要になってくるという認識です。常々、学長のリーダーシップを計測する指標の1つとして、「学長が部局長等幹部職員以外の者と対話した時間」が有効なのではないかと思っています。それも、公式な会議等への出席時間などではなく、実際に言葉を交わした時間です。

 そんなことしている学長いないですって?前三重大学長の豊田先生は、生協食堂で教員や学生の隣に座ってご飯を食べていましたよ。

三重大学 学長ブログ ついに"愛妻弁当"を断る!!~三重大生協の"パセオ"は、とってもすばらしい出会いの場~ - ある地方大学長のつぼやき

 学長のパーソナリティ次第だと言われればそうなのですが、大学を良くするという目的の前では、個人のパーソナリティなど些細な問題に感じます。京都大学総長が、現在どの程度構成員と対話を行っており、このような結論に至ったのか、大変気になります。