第3期中期目標・中期計画ではIRはどのように言及されているのか。

 前回に引き続き、各国立大学法人の第3期中期計画(素案)を眺めていきます。今回はIRについてです。今流行のIRについて、第3期中期目標期間における各法人のスタンスを明らかにします。

1.仮説

  • 仮説1:大部分の法人がIR活動に関する中期計画を記載しているのではないか。
  • 仮説2:IR活動の目的・種類は学長の経営判断に資するような経営IRのみが多いのではないか。

 せっかくなので、調べる前に仮説を検討してみました。

 平成28年から33年までの6年間を見越した計画といえども、基本的にはその内容は現在の状況や言説に左右されます。大学業界全体のみならず国立大学協会が主催するような場でもIR活動の事例が紹介されるような昨今では、各法人においても第2期中期計画にはなかったIRという取組を第3期中期計画に取り入れようという思考になることが容易に想像できます。その根底にあるのは、IRならば何かやってくれそうだという期待であったり、バスに乗り遅れるといった焦りであったりするのでしょう(たしかにIRは「何か役立つことをやっている感」や「かっこいい感」が非常に強いと感じますね)。このような流れもあり、仮説1として、大部分の法人がIR活動に関する中期計画を記載しているのではないかと推測しています。

 私立大学のIR活動を見ていると、中退予防や学修成果把握など教学系の取り組みが多いですね。一方で、国立大学でも学修成果の可視化などにIRを活用しているところもありますが、経営陣の意思決定に資するということをより強く打ち出されているようにも感じます。これは経営資源の原資の性質によるものであり、私立大学は学生納付金が経営に影響を与える一方、国立大学は交付金という限られた資源をいかに配分していくかということが経営につながります(常々これは経営ではなくただの運営ではないかと考えているのですが、それはまたの機会に。)。そのため、国立大学の場合は資源配分の一助とするべく、経営系としてIRを利用していると考えます。このような考えもあり、仮説2として、国立大学法人の中期計画に記載されるIR活動の目的・種類は学長の経営判断に資するような経営IRのみが多いのではないかと推測しています。

 この2つの仮説から、第3期中期目標期間中は多くの法人でIR活動が行われる一方、「経営」という捉え処のない目的であるためなかなかIR活動が実質化せずに、笛吹けども踊らずという状態になることが予想できます。その予想が正しいのかどうか、まずは仮説を検証してみます。

2.方法

 文部科学省が公表している各国立大学法人の第3期中期目標・中期計画の素案において、IR(全角もしくは半角)、Institutional Research、インスティテューショナル・リサーチと明記されている中期計画を抽出しました。なお、IRという言葉の有無のみで抽出したため、「情報分析」などの本質的にはIR活動であるがIRという言葉を使っていない中期計画は除外されています。

 抽出したIR活動に関する中期計画は、中期計画の内容を確認の上、以下の基準により「教学IR」「研究IR」「経営IR」「評価IR」に分類しました。なお、抽出した全ての中期計画をこの4分類に当てはめたわけではなく、当てはめられない中期計画は4分類から除外しました。

  • 教学IR:教育活動や入試の改善などに資する目的で行うIR活動。
  • 研究IR:研究活動の重点化や競争的資金獲得などに資する目的で行うIR活動。
  • 経営IR:学長の経営判断や資源配分の最適化などに資する目的で行うIR活動。IR組織の設置も経営IRに分類する。
  • 評価IR:自己点検・評価や認証評価など評価業務に資する目的で行うIR活動。

3.結果

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 抽出した中期計画の一覧表を別表に示します。また、図1に第3期中期計画中にIR活動を明記してある法人の割合を示します。図1により、全86法人の8割に当たる69法人において、第3期中期計画中に何らかのIR活動を行うことが明記されていることがわかります。

 ここから、多くの法人においてIR活動が第3期中期計画中に記載されていると判断できます。それでは、この記載の有無には何らか傾向があるのでしょうか。

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 図2に、国立大学の財務分析上の分類とIR活動の明記の有無の対応を示します。図2より、大規模総合大学であるAグループではIR活動が明記していない法人が一定数あること、中規模総合大学であるG,Hグループでは概ね全ての法人がIR活動を明記していること、IR活動がある法人の割合は概ねB,G,Hグループ>C,D,E,Fグループ(単科大学、文系など)>Aグループであることがわかります。

 ここから、各法人が一律にIRを計画立てているわけではない(つまりIRについては文科省から何か言われているわけではない)ことが推測できます。また、中規模総合大学の中期計画においてIR活動の明記がほぼ100%であることから、中規模総合大学というミドル層が自らの方向性を探る手段を求めてIR活動に取り組もうとしていることが推測できます。それだけ、中規模総合大学にとっては切実な問題なのでしょう。

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 図3に、第3期中期計画中にIR活動を明記した69法人について、そのIR活動の種類を分類したものを示します。図3より、学長の経営判断やIR組織の設置など経営に関するIR活動が7割程度であること、教学に関するIR活動が5割程度であること、研究や評価に関するIR活動が3割程度であることがわかります。ここから、経営という大きな取組にIRを活用しようとしている法人が多い一方、教学や研究、評価などある程度取組範囲を明確にしたIR活動を行おうとしている法人も一定程度いると判断できます。また、経営IRと併せて教学IRを明記している法人もあり、法人ごとにIR活動の範囲が異なることも示唆されます。

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  図4に、中規模総合大学であるGグループにおいてIR活動の分類を示します。概ね図3と同様の傾向であることがわかります。中規模総合大学にとっても、法人による対応が異なるのでしょう。

 以降、特に気になった中期計画です。

IRに基づいた教育と研究を戦略的に推進するため、従来のIR及びHATOプロジェクトIR部門の成果を統合した全学的なIR体制を整備し、IR機能を高める。また、適正な業務運営を維持するため、平成30年度までにFD・SD推進本部をPD推進本部に発展的に改編し、IRに基づいたPD(ProfessionalDevelopment)を体系的に実施することにより、教員と事務職員が協働しながら大学の運営に参加するための意識統一と職能発達を促進する。(東京学芸大学

 IRに基づいたPDを体系的に実施するとはどのような取り組みを想定しているのか、気になります。

「情報活用IR室」を活用しつつ,財務状況の分析を踏まえ,予算執行状況とコストの分析・精査等を通じて,一般管理費比率を4.8%に抑制する。(東京工業大学

IR機能を強化して、財務情報を戦略的に分析し、経費を抑制するとともに経費抑制のための業務改善に取り組む。また、エネルギー経費や施設・設備の更新経費抑制に向けた戦略を策定し、実施する。(福井大学) 

 IRを直接的な経費節減を目的に用いるようです。従前から附属病院で行われていた診療情報分析やDPC分析なども広い意味ではIRに該当すると思いますし、それを応用できれば不可能ではないと思います。

地域企業のグローカル化に関するニーズ等を踏まえ、本学の国際化活動に関してIR分析を行い、地域社会のグローカル化支援に活用する。(岐阜大学

 国際化全般に関するIR分析ということで、どのような取り組みなのか気になるところです。

基金を含めた外部資金を増加させるため,IR室の分析データを活用した取組を計画的に進める。(長崎大学

 寄附者の動向に関する分析ができれば、今までにない良い取り組みになるのでないでしょうか。

事務機能が最大限に発揮されるように、業務全般の再点検・見直しをIR戦略室のデータを活用して行い、効率化・合理化を進める。また、事務の高度化やIR手法に対応するため、能力開発や専門的能力向上を目的とした研修を計画的に実施する。(鹿屋体育大学

 事務業務の効率化とIR活動をどのように結びつけるのか、気になるところです。

4.考察

 結果を受け、仮説の妥当性を考察します。

  • 仮説1:大部分の法人がIR活動に関する中期計画を記載しているのではないか。

 第3期中期計画中に何らかのIR活動を行うことが明記されている法人は全86法人の8割に当たる69法人でした。ここから、個性特色が異なる各国立大学法人において8割がIRに関連する記載があるということで、「大部分の法人がIR活動に関する中期計画を記載している」と判断します。よって、仮説1は成立します。しかし、その明記の有無については法人の規模感に応じて傾向が異なり、一律に記載の指定等があったわけではないことが示唆されました。

  • 仮説2:IR活動の目的・種類は学長の経営判断に資するような経営IRのみが多いのではないか。

 中期計画中に明記されたIR活動を教学IR・研究IR・経営IR・評価IRに分類したところ、学長の経営判断やIR組織の設置など経営に関するIR活動が7割程度であること、教学に関するIR活動が5割程度であること、研究や評価に関するIR活動が3割程度でした。ここから、IR活動の目的・種類は学長の経営判断に資するような経営IRのみではなく、それぞれの目的に沿ったIR活動に関する計画が立てられていると判断します。よって、仮説2は棄却します。

 仮説1が成立し仮説2が棄却した、冒頭で予想した「第3期中期目標期間中は多くの法人でIR活動が行われる一方、「経営」という捉え処のない目的であるためなかなかIR活動が実質化せずに、笛吹けども踊らずという状態になる」ということが直ちに成立するとは必ずしも言えないということが示唆されます。私が思っている以上に、各法人はIRの目的や手段を考えているようです。

 ただ、これはあくまで全体の傾向であり、個々の法人において直ちに適応されるものではありません。IR組織を設置することにとどまっている中期計画もあり、特に前述の通り中規模国立大学法人にとってはどのようにIR活動を実質化していくかというのは今後の課題でしょう。

 今回は6年間の行動を示した中期計画を分類したのみであり、より具体的な行動を把握するためには、各法人の年度計画や実績報告書を確認する必要があります。また、今回はIRというワードを抽出したものであり、それ以外の情報分析活動は十分に把握できていません。確かにIR活動の先の見えなさということもありますが、第3期中期目標期間にはどのようなGoodPracticeが出てくるのか、楽しみでもありますね。

別表

北海道大学 ●総長のリーダーシップの下、総長補佐体制の整備、監事による業務監査、経営協議会、海外アドバイザリーボード、大学力強化推進本部での学外委員の意見の活用等により、ガバナンス機能をより強化する。また、平成27年度に設置した「総合IR室」において、教育、研究、管理運営等の諸活動に関する情報を収集・分析し、経営戦略策定を支援する。
北海道教育大学 ●第3期においては,学長のリーダーシップが一層発揮できるよう,上記1から4の教育,研究,社会貢献及びその他の目標達成に向けて,学内組織の強みや弱みなどを分析するIRセンター(仮)と連携して,戦略を立案する「学長戦略室」を設け,大学経営を戦略的・効果的・機動的に進める。
帯広畜産大学 ●学長のリーダーシップに基づく運営体制を強化するため、第2期中期目標期間中に整備した運営体制(本部体制、学長補佐体制等)の点検・見直しを恒常的に実施するとともに、大学情報データベースの機能改善、情報収集・分析能力向上のための研修等を行い、大学情報分析室において提供する情報量を増加させ、大学のインスティテューショナル・リサーチ(IR)機能を強化する。
旭川医科大学 ●本学の運営に関する企画立案及び学内の意見調整を行う大学運営会議の運営体制を更に強化するため、平成28年度中に学長直属のIR室等を設置し、IR手法によるデータ分析に基づき迅速に政策を決定し法人全体にわたって財務運営を改善する体制を平成30年度までに構築する。
●平成30年度に医学教育分野別認証を受審するために、平成29年度までに大学IR部門を中心にして教学データの解析・分析を行い、教育の質保証を確立する体制を整備する。
北見工業大学 ●学長の意思を迅速に反映させるため、IR担当教職員等の高度な専門性を有する者の活用を行うなど、学長企画室を中心とした支援体制を整える。
弘前大学 ●学長のリーダーシップを発揮し,迅速な意思決定を可能にするガバナンス体制を確立するため,学長補佐体制の整備やIR(インスティテューショナル・リサーチ)機能を強化する。
岩手大学 ●問題解決能力形成の基礎となる学生の主体的学修を促進するための教室やラーニングコモンズ等の教学環境の改善退職教員や大学院生による学修支援体制の構築学生の学修状況や成果等の調査・分析を組織的に実施する教学IR体制の強化、等を推進するこれにより学士課程を中心に学生の授業時間以外の過ごし方として学修に使う時間を第2期中期目標期間に比べて増やす。
●評価室が中心となり、第3期中期目標期間における機能強化も含めた岩手大学の取組について、進捗・評価指標の設定、進捗に関するデータ収集、学内評価の実施とその報告の作成、評価結果を踏まえた次年度計画の策定等、IR的手法を活用しながら点検評価を行う。またこれらの取組と評価改善結果を反映させ、平成32年までに教育に関する大学機関別認証評価を受審する。こうした点検評価の取組とあいまって進捗した大学の機能強化の状況について、第三者評価機関から機能強化に関する適正な評価や大学としての適格認定を得る。
東北大学 ●全学的教育・学生支援体制として構築した高度教養教育・学生支援機構と部局等との緊密な協働の下で、大学IR(InstitutionalResearch)機能の活用及び教育実践に関する開発・実施を一体的に進め、全学的教学マネジメントを展開する。
●外部研究資金の拡充を図るため、リサーチアドミ二ストレーター(URA)機能、大学IR機能等を活用しながら情報の把握・分析・学内への提供を行うなど外部資金獲得の支援体制を強化する。
●グローバルな視点で教育研究の質の向上、大学経営の改善等を図るため、適正な評価体制の下で、全学及び部局に係る自己点検・評価にあっては毎年度実施し、教員個人に係る評価にあっては部局で定期的に実施するとともに、全学に係る機関別認証評価及び部局に係る外部評価を受審し、大学IR機能を活用して評価結果の検証及びフィードバック等を継続的に実施する。
宮城教育大学 ●アドミッションポリシーに適う入学者を迎えるため、アドミッションオフィスを設置し、IRに基づく戦略的な入試方法改善策(推薦枠の拡大等)を策定し、より多面的・総合的な選抜に転換することによって、教員への意欲の高い受験生を確保する。
●学長室の体制をより機能的な体制に強化する。大学運営上の基礎データを集約し、IR(InstitutionalResearch)機能を強化し、政策決定のために活用する。学長室には情報収集と戦略を担うため運営上の課題ごとに教職協同によるワーキング・グループを設置し、学長が機動的にスピード感をもって政策提案できるような体制とする。また、実効性、効率性等の観点から、学長室を中心に既存の法人室や各種委員会等の役割について検証し、常に自己点検・評価を行う。
●人事制度の見直しも含めた組織の点検・評価を効率的に実施するため、学長室のIR機能を活用する等、評価体制の整備を行う。
秋田大学 ●平成26年度に設置した学長直属の大学戦略室において,学長から諮問があった事項に関する企画・立案等を行うため,IR(インスティトゥーショナル・リサーチ)を活用した経営戦略の立案や業務改善,組織体制の見直し等を推進する。また,引き続き本学役員と監事,会計監査人,監査室で構成される四者協議会において洗い出した課題等に対して,学長のリーダーシップの下,業務改善等に向けた取組を実施する。
●各学部・研究科の実施する教育・研究がミッションの再定義に沿った内容及び成果が得られているかについて,外部委員を構成員に含む経営協議会及び連携運営パネル(教育研究カウンシル・運営カウンシル)が検証し,改善につなげる。また,地域や社会の要請が高い分野の人材を育成するため,学長のリーダーシップの下で活動する評価センター及び大学戦略室において,IRを用いた分析等を行い,教育研究組織や人員配置等の見直しを行う。
山形大学 ●学士課程教育における基盤教育の成果を把握・測定するため、平成28年度までに3年一貫の学士課程基盤教育プログラムにおける学生の習熟度を評価する「基盤力テスト(仮称)」を開発し、平成29年度以降の本格実施に向けた仕組みを整備するとともに、第2期中期目標・中期計画期間にIR(InstitutionalResearchの略。教育、研究、財務等に関する大学の活動についてのデータを収集・分析し、大学の意思決定を支援するための調査研究)機能の強化に向けて整備した「総合的学生情報データ分析システム」を活用するなどして、テストの実施結果を毎年度継続して検証・評価する。
●入学者選抜の改善を図るため、第2期中期目標・中期計画期間に強化したIR機能を有する「総合的学生情報データ分析システム」を活用して入学者の選抜及び評価手法に」係る追跡調査、入学後の成績調査、卒業者の進路調査などを定期的に実施し、客観的なデータを用いた入学者選抜の評価を行う。
●戦略的な大学経営を推進するため、第2期中期目標・中期計画期間に整備したIR機能としての教育・研究・社会貢献等に係る各種情報を有効活用できるよう分析を更に強化し、本学独自で実施している組織評価の結果や財務データを活用した財務分析結果等と併せて、効果的な意思決定及び経営資源の再配分のための基礎情報として活用する。
●各種評価の評価結果を不断の自己改革につなげるため、第2期中期目標・中期計画期間にエンロールメント・マネジメント部が中心となって展開してきたIR活動の更なる充実に向けて、平成30年度までに教育研究等の状況を可視化するダッシュボード・システムとして整備し、各種評価におけるKPI(KeyPerformanceIndicatorの略。主要業績指標)として活用する。
福島大学 ●IR(インスティテューショナル・リサーチ)を中心として、入試から在学中、卒業後・就職に至るまで、学生生活・学修行動を正確に把握・分析し、学修成果を可視化する。
●第2期中に実施したガバナンス総点検の結果を踏まえ、学長の下にIR室を設置するなど新たな機能を整備することによりガバナンス機能を強化する。また、監事の指摘や経営協議会学外委員の意見に加え、積極的に外部有識者等の意見を伺う機会を設け、それらの意見を反映させた大学運営を行う。
●客観的データの収集と分析に基づく意思決定のためのIR室の設置や、地元のニーズを踏まえた農学系人材養成組織の創設等の教育研究組織の改革に即応する柔軟な事務部門の資源の配分を行う。
茨城大学 ●また、IRの体制及び機能を強化して各教員に対し的確に教学情報を提供するとともに、後述の全学教育機構(仮称)などでの分析・評価、改善のための検討につなげていく。さらに、全学教育機構(仮称)に学生支援部門を設置することにより連携支援体制を強化し、学生への指導に生かす。
●そのため、以下のような体制の「全学教育機構(仮称)」を平成28年度に設置し、平成29年度より業務を行う。①質保証部門・共通教育と専門教育の一貫性の確保、専門教育間の連携調整機能・教育活動の評価・改善に係る企画、検証、指導提言・IR活動と結びついた総合的なエンロールメント・マネジメント
●具体的な数値等に基づき大学経営の課題を把握し、効果的な改革方策を検討・実施していくことを目指し、学内外の学術・教育情報、経営情報等(IR情報)を集約・分析し、活用する。そのため、平成26年度に設置した大学戦略・IR室の体制を強化するとともに、担当教職員の資質を向上させる。また、国内外の先進事例等も参考にしつつ、本学に適したIR手法の検討開発を実施する。また、学内の教学データ等の集約・活用、大学経営分析システムの開発、学術データ等に基づく教員評価システムの開発などを実施する。さらに、IR情報を通し番号8で掲げた教育、研究の改善や、学生への学修支援につなげる。
●研究に係る評価体制及び外部資金の獲得と管理のマネジメントを整備する。そのため、「研究企画推進体制」を見直し、「研究企画推進会議」の統括機能を強化するとともに大学戦略・IR室との協働による研究評価システムを確立する。また、URA(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)オフィスを設置して研究支援人材の活用を図り、外部資金獲得のプレアワード及びポストアワード業務を強化する。
●現在、業務目的ごとに独立して整備されている業務用システムについて、業務相互の一貫性や重複の解消、IRへの活用などを進め業務の効率化を図る。そのため、機器の更新の機会をとらえてシステムの統一化、クラウド化を進めるとともに、業務の必要性を精査し、アウトソーシングを進める。これと併せて、事務組織における事務分掌の恒常的な見直し等を行い、事務組織間の業務の平準化及び業務フローの効率化等を実施する。
筑波技術大学 ●政策の立案等各種意思決定に必要なデータ等を情報収集するとともに,適時提供できるような機能を有した学長直属の「情報管理室(仮称)」を平成28年度中に設置する。また,収集した情報については,学長や「筑波技術大学改革促進ボード(仮称)」へ提供することにより,施策立案に活用し大学改革を推進する。
宇都宮大学 ●IRに活用されるデータの集積・管理及び加工・合成等にかかる体制を一元化するため、データを有する各事務部門の担当者を組織化する。
埼玉大学 ●リサーチ・アドミニストレーター(URA)オフィスを中心としたインスティテューショナル・リサーチ(IR)による本学研究活動の状況分析等により、新たな強みや特色のある研究分野を特定し、全国的な研究拠点化を図るとともに、さらには世界水準の研究分野へ推進する。
●各研究科等は、URAオフィスとの連携により、IRによるデータ指標を活用し、研究の質を向上させる仕組みを充実する。
●学長のリーダーシップにより推進する大学マネジメントを支えるため、法人運営組織の役割分担の明確化、IRを管理し総合的な政策立案機能を有する学長室の強化・拡充、副学長・学長補佐機能の強化を行う。
●一層の機能強化を推進するため、IRを活用した財務分析に基づき、学長のリーダーシップのもとで、学内資源を安定的に確保し、学部事務の一元化など、戦略・重点的かつ弾力的に学内資源の再配分等を行う。
●IRを活用し、効率的にデータ収集を行うとともに、客観的指標による自己点検・評価を行い、その結果を学長室及び各部局へフィードバックする。
千葉大学 ●教育IRを活用し、全学及び各学部・研究科(学府)における組織的な教育改善を継続的に推進するとともに、学生の参画による教育改革体制を構築する。
●免疫システム調節治療学、キラリティー物質科学分野等、先駆的・先端的な世界水準の研究分野への重点的な全学的支援を行うことによって国際的に卓越した研究拠点を形成・強化し、国内外の先端的研究拠点とのネットワークを構築して質の高い論文を増やす等国際的に高く評価される成果を生み出す。さらに研究IRやミッションの再定義等により把握した「強み」となる研究分野についても全学及び各研究科等による強化を行い、これら研究分野において国内外を牽引する。
●研究支援人材の強化等によりURAシステムを充実し、重点研究、若手研究者育成、産業連携研究等の多様な研究IRを継続実施、大型研究プロジェクト等の獲得に向けた融合研究や先端研究の企画立案に係る調整・支援、フォローアップ、アウトリーチ活動を活発化させる。
●産業連携研究IRを通じて、研究成果の産業界における実用可能性等について適切に評価するとともに、学内の研究シーズを発掘し、知財の適切なマネジメントとともに産業ニーズとのマッチングの強化及び産業連携共同研究を充実させ、ベンチャー創出支援等も含めて、研究成果を社会へ還元する体制を整備する。
東京医科歯科大学 ●また、学士・修士・博士課程アドミッションポリシーについてもIR機能を活用し、不断の見直しを行う。
●教育に関して客観性の高いIR機能による教員評価体制を構築するとともに、様々な教育技法の修得、教材作成技術の向上、講義のための英語力向上等を目的に、能力や属性に応じた教員研修やキャリア教育を実施する。
●入学前から卒業後までの学生に関するデータを一括して管理、分析する部署を設置し、個人情報管理を徹底しつつ教学に関するIR機能を強化する。また、学部・大学院の教育活動に関して、IR機能を強化して全学的な体制のもとで自己点検評価および外部評価を実施し、その結果を教育システムの改善に反映させるほか、海外の教育プログラムを調査し、各専攻の教育プログラムの改善に反映させる。
●学部生対象の学務システムと大学院生対象の修学システムを統合するとともに、健康管理システム等との連携を密にして、学生のトータルライフケアを推進する。また、教学に関するIR機能を充実・強化することにより、入学前から在学中、卒業後までの学生に関する様々なデータ(健康状況を含む)を集約、統合、分析、管理して、教育の場に還元できる体制を構築する。
●研究情報データベースやIR機能を活用して、国際的な研究者評価と国内における強みの分析を行うとともに、それらの評価に基づいた人員、研究費、研究スペースの重点化を行う。また、領域制を利用した分野協働、分野統合などによって大学としての研究の質の向上を推進する。
●IR機能を強化し、客観的な国際化指標を開発することで、データに基づく国際水準との比較を可能とする。それに基づいて国際水準を超えるカリキュラムを構築し、さらに、本学の教育研究成果を社会に発信する。
●平成29年度までに学内外の情報を収集・集約したデータベースの運用を開始するとともに、平成31年度までに学長企画室を拡充し、人的・物的・財的資源に係る資源配分機能を集中させる運用体制を導入する。さらに、IR機能を活用して学長が多角的に大学の現況を分析し戦略的な資源配分を行う体制を確立する。
東京外国語大学 ●アジア・アフリカ言語文化研究所では、所長を中心とした研究所のマネジメント能力を向上させるため、所長の下にIR機能をもつ委員会を組織し、知財管理のシステムや情報発信の意義・目的を含めた今後の戦略を策定し、その戦略に基づくPDCA活動を恒常化する。
●組織運営における学長の戦略策定機能を強化し、学長裁量経費等のより効果的な資源配分を実現するため、IRオフィスのデータに基づく経営情報分析体制を充実させると同時に、経営協議会の外部委員への意見聴取の機会を拡大する。
●複雑化・高度化する業務に対応するため、研究教育の国際展開の知識・経験を有する人材及び学内外の情報を分析するIR人材を確保するとともに、これらの知識・経験を有する人材を養成する。
●大学の諸活動を効果的に評価し、戦略的な経営に結びつけるために、点検・評価室とIRオフィスの連携を強化すると同時に、内部監査室と監事による業務監査によって得られたデータも活用しつつ、大学経営における改善点を明確にする。
東京学芸大学 ●HATOプロジェクトIR部門の取組等を踏まえ、学生の入学前の意向から、在学中、さらには卒業・修了後の諸データを収集・分析して、学生のニーズと動向を的確に把握する。そして、そのデータと社会のニーズの双方を見据えた効率的なカリキュラム運営を行う教学マネジメント体制を強化する。
●IRに基づいた教育と研究を戦略的に推進するため、従来のIR及びHATOプロジェクトIR部門の成果を統合した全学的なIR体制を整備し、IR機能を高める。また、適正な業務運営を維持するため、平成30年度までにFD・SD推進本部をPD推進本部に発展的に改編し、IRに基づいたPD(ProfessionalDevelopment)を体系的に実施することにより、教員と事務職員が協働しながら大学の運営に参加するための意識統一と職能発達を促進する。
東京農工大学 ●大学の機能を強化するため、IR機能の活用や学外有識者の意見を踏まえた法人運営組織の役割の検証等を行うことで、学内資源の再配分を含め、学長主導の意思決定を推進する。
東京芸術大学 ●学長のリーダーシップを強化するため、芸術系大学の特性を踏まえた大学経営を牽引するマネジメント人材の獲得・登用や計画的育成により、学長補佐体制やマネジメント機能等を総合的に拡充するとともに、大学の機能強化戦略や経営力強化戦略等に係る企画立案等IR機能を担う組織である戦略企画インテリジェンスの機能を強化することとし、監事や経営協議会外部委員等からの意見等を十分に踏まえた上で情報分析や検証等を総合的に行い、その結果を基に機能強化戦略を策定することにより、学長主導の下、機動的・戦略的な大学運営を推進する。
●戦略企画インテリジェンスユニットを中心とするIR機能の一環として、毎年度の中期計画の達成状況や平成29年度受審予定の機関別認証評価結果を効率的に評価・検証し、実績報告書等を取りまとめるとともに、評価結果を踏まえた機能強化戦略策定を行う。
東京工業大学 ●「情報活用IR室」を中心として,組織運営に必要な情報を収集分析する機能を強化した上で,既存の企画立案組織を一元的に統合し,戦略立案組織である「企画戦略本部」と,その下で戦術立案と実施を担う「教育・研究・広報の各マネジメントセンター(仮称)」を平成30年度を目処に設置するなど,学長のリーダーシップを十分に発揮できる運営体制を構築する。
●「情報活用IR室」を活用しつつ,財務状況の分析を踏まえ,予算執行状況とコストの分析・精査等を通じて,一般管理費比率を4.8%に抑制する。
お茶の水女子大学 ●平成29年度までに、教学比較IR(インスティテューショナル・リサーチ)のための大学ポートレートを補完・強化する仕組みとして、全国の大学における特定事項の細部にわたる学務情報(例えば、学事暦や時間割、GPA(グレード・ポイント・アベレージ)の方法/用途、学修成果情報の提供方法等)を横断的に構造化し、閲覧できるデータベースを構築して、公開・運用する。そのために、教学比較IRのデータ構築や共有を目指した大学間連携による協働体制を構築する。
電気通信大学 ●教育の質を維持・向上させるため、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に基づき、カリキュラムマップ、授業科目ナンバリング及び学修ポートフォリオ等を導入するとともに、学内外の様々なデータの収集、分析などを行うIR(インスティテューショナル・リサーチ)手法を取入れ、学士課程教育の体系化・実質化及び学修成果の可視化を行う。
●大学の運営が適正に行われるよう、経営協議会学外委員などの外部有識者からの意見や、監事監査報告、外部評価報告などを活用するとともに、経営戦略の立案及び実行のために、学内外の様々なデータの収集、分析及び可視化を行う「IR推進室」を創設し、学長の意思決定を支援する。
横浜国立大学 ●コンタクト教員制度や各種相談窓口等に加え、教学IR(InstitutionalResearch)を活用し、大学への適応に困難を抱える学生を早期に発見し、対処するなど学修・生活支援を強化する。
●人文系・社会系・理工系及びそれらの分野横断型の各研究分野に対して、社会のニーズや分野の特性を踏まえた評価指標を新たに導入し、研究IRを活用して戦略的に評価を行うことで研究意欲を高める。特に本学の研究における強みとしている特定分野においては、先端科学高等研究院に設置した研究ユニットを中心に海外との連携を積極的に行うことで、公表する英文論文のうち国際共著論文を30%以上とするとともに、成果が作品など論文数で評価が困難な分野においても、国際的なプレゼンスを向上させる成果を創出する。
●実践的学術の国際拠点形成のため、研究推進機構運営会議の開催を通じて、人文系・社会系・理工系の分野が一つのキャンパスにある優位性を活かした研究科・各研究院との連携を強化するとともに、研究IRによる評価を全学で共有する体制を整備する。
●助成事業を始めとする各種競争的外部資金の獲得を促進するため、IR機能を活用して、各種競争的外部資金事業の情報収集・分析及び本学の申請状況・分野等の分析を行い、それらを有機的に連結させることにより、今後も資金獲得が期待できる本学の強い分野及び申請数を増加させることによって資金獲得の増加が期待できる分野を洗い出し、重点的に申請を促す。
新潟大学 ●学長の構想を確実に実現するため,学長直轄下においた経営戦略本部を中心として,(インスティテューショナル・リサーチ)推進室から提供されたエビデンスに基づく経営戦略を策定し,教育研究等の機能強化を行う。
●IR推進室を中心に各組織と連携・協力しながら学内外のデータを集約・分析する体制を構築し,データ及び分析結果を各種評価や大学運営等に活用する。
長岡技術科学大学 ●研究戦略本部が中心となり、研究に関するIRの解析結果等を用いて、新しい研究展開の芽を見出し、学内分野融合や産業界等の研究者・技術者との連携研究へと展開する。
●学長のリーダーシップによる重点研究プロジェクトを推進するとともにIR推進室を組織し、その解析結果等を用いて、学長のリーダーシップによる研究企画・立案等を実施し、未来の安全・安心社会と地域創生を支える研究拠点を形成するとともに、重点研究領域プロジェクトや産学官連携活動等へ展開する。
●IR機能を強化するとともに、経営協議会、学長顧問会議及び学長特命アドバイザー会議等で得られた意見など、学外者の意見を法人運営に適切に反映する。
上越教育大学 ●教員就職に向けた全学的・組織的なキャリア教育や、InstitutionalResearch(以下:「IR」と表記)による学習成果等の分析に基づくきめ細かな就職指導により、学生の教職への意欲を高め、教員採用試験の受験率を向上させるとともに、進学者と保育士就職者を除く卒業生の教員就職率を80%以上とする。
●現職教員以外の学生に対しては、教員就職に向けた全学的・組織的なキャリア教育や、IRによる情報に基づくきめ細かな就職指導を行い、進学者及び外国人留学生を除く修了生の教員就職率を修士課程においては75%以上専門職学位課程においては100%とする。
●中期計画の進捗管理及び大学運営の改善に活用するため、本学の活動(学生の入学、就職、学習面)に関するIR機能を強化するとともに、監事による監査とも連携した評価を行う。
富山大学 ●学内情報の収集やIR(InstitutionalResearch)機能の構築や強化を,平成30年度までに行う。
福井大学 ●質の高い教育を実現するため、平成28年度に再編する教員組織・教育組織分離体制を有効に活用し、全学教育改革推進機構に設けたカリキュラム・授業評価委員会を中心として、カリキュラム・マネジメントを行う。さらに、InstitutionalResearch(IR)機能の活用を含め、教育の質保証システムを整備・運用するとともに、国際アドバイザー等による本学の教育全般の「国際的な水準」の検証を行い、教育の国際通用性や学位の質を保証する。
●IRを用いた意思決定支援機能を整備することにより、研究の質・量に関する多面的な評価システムを全学的に充実・強化して、先端的研究や強みとなる研究分野への財政的・人的支援を行うなど、戦略的な研究資源配分を行う。
●学長のリーダーシップのもと、本学の教育・研究・医療・社会貢献等の機能を強化できるようガバナンス体制の点検、見直しを継続的に行うとともに、IR体制を強化し、財務データの分析等により、戦略的・効果的な資源配分を行う。
●IR機能を強化して、財務情報を戦略的に分析し、経費を抑制するとともに経費抑制のための業務改善に取り組む。また、エネルギー経費や施設・設備の更新経費抑制に向けた戦略を策定し、実施する。
●教育研究等活動の更なる活性化や大学運営の改善に資するため、平成28年度末までに全学的にIR機能を整備し、業務の分析・評価体制を充実・強化する。さらに、分析結果を基にした資源配分を行う。
山梨大学 ●IR(InstitutionalResearch)機能を強化し、大学院総合研究部において、客観的指標に基づき戦略的な研究費の配分や教員人事を行う。特に、任期制と業績評価を活用したキャリアパスの構築等により、優秀な若手研究者の積極的雇用を進める。
●留学生OBネットワークを平成30年度までに整備して、入試広報及びIR活動に活用することにより、優秀な留学生を確保し、国際的な共同研究を促進させる。
●IR機能の強化による大学情報の的確な分析に基づき、毎年度の自己点検・評価を実施するとともに、第三者評価を定期的に実施し、それらの評価結果を踏まえた改善やそのフォローアップに取り組む。
信州大学 ●教育の質の向上を図るため,高等教育研究センターを中心として教学関連IRのデータの分析を行う体制を平成31年度までに構築する。
岐阜大学 ●大学全体の研究レベルを上げるため、IR分析を踏まえ、リサーチ・アドミニストレーター(URA)による個々の教員に適した支援や助言を含め全学的な研究支援を行うことにより、学術論文公表数を平成33年度までに平成27年度比で5%以上向上させる。
●地域企業のグローカル化に関するニーズ等を踏まえ、本学の国際化活動に関してIR分析を行い、地域社会のグローカル化支援に活用する。
●IR機能を積極的に活用し、学部・研究科の人材育成像、社会構造の変化等を踏まえた教育研究組織の点検・見直しを行う。
●保有データや分析結果の共有などを通じ、評価業務における評価室とIR室の連携を強化する。
●教育の質を保証するため、アウトカム検証、教学IRの結果に基づいて教育に関する3つの方針(アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー)を平成29年度までに見直すとともに、シラバス、教育方法、成績評価などに関する教学マネジメントの強化と新たなポリシーに基づく教育を平成30年度までに実施する。
静岡大学 ●全学教育基盤機構において、全学的な視点からの入試改革、教育課程の編成、入口から出口までの一貫した学生支援、教育のグローバル化に対応した教育環境づくり等の教育マネジメントを強化し、教学IR(インスティテューショナル・リサーチ)の確立を通して基礎となるデータの収集、分析に取り組む。
●重点研究3分野を中心とした組織的研究を推進するために、研究を推進するための会議やIR体制を整備し、研究IRを含む研究マネジメント機能を強化する。
●自己点検・評価に資するため、教育研究、管理運営に関する大学データを集約するIR機能を持った部署を設置する。
愛知教育大学 ●第2期では,大学における教育の成果を客観的に評価するために,「大学間連携による教員養成の高度化支援システムの構築」事業で配置された教学IR(教学に係る計画策定,政策形成,意思決定を支援するための情報を提供する目的で行われる調査研究)と連携し,GPA(学生の履修した授業の成績評点の平均値をデータ化したもの)による学修成績データ,教育実習の成績,教員採用試験結果の相関を調べた。第3期では,これらの結果を学生の学修指導,教員採用試験対策等に反映させ,授業改善や成績向上,教員採用率向上等の成果を得る。
●第3期には,アドミッション・オフィスを設置し,教学IR(HATOプロジェクトの教員養成開発連携センターIR部門)が集約してきた選抜方法ごとの入学後の成績や卒業後の進路データ等の提供を受けて,将来教職に就く者又は学校を支援する人材として活躍する者の能力,意欲,適性を多面的,総合的に評価する選抜方法を具体化して,その成果を分析検証し,次期へ反映させる。
名古屋工業大学 ●運営会議を中心とする大学業務の執行機能と、総合戦略本部を中核とする戦略立案機能を分割することにより、学長による機動的な大学運営を確保するとともに、URAオフィス、IR室等の専門組織の長を総合戦略本部へ参画させることにより、迅速かつ的確な情報に基づく意思決定システムを構築する。
●学長のリーダーシップを有効に発揮するため、総合戦略本部で策定した経営戦略に基づく資源配分を行う。特に、IR等を活用し、教員の教育研究・大学運営等における実績、学生や設備の配置状況など客観的な指標に基づき、戦略的な人員配置、研究費・スペースの配分を行う。
●社会に対する説明責任を果たしつつ自律的な大学運営を行うため、教育研究や社会貢献の状況、学長選考方法や大学内部の意思決定システム等のガバナンス体制についても監査を行い、その結果を大学運営に反映する。また、IR室がこれらについての調査・分析を行うことにより、業務監査における内部調査機能を強化する。
●IRを活用し、過去の契約情報をはじめとした財務情報の分析を行い、分析結果に基づき契約方法や管理的経費に係る予算配分方法を見直すことにより、さらなる経費の抑制及び削減を実施する。
●評価の客観性を担保するため、認証評価機関等の評価基準を参考としてIR室により設定した指標を用いて自己点検・評価を行うとともに、その結果に基づき内部質保証のPDCAサイクルを回す。
豊橋技術科学大学 ●学長のリーダーシップのもと,教学,研究,財務等の学内の様々な情報を把握・分析して数値化・標準化することにより,強みと問題点を把握し,その結果を教育・研究及び大学経営等に活用するIR(インスティテューショナル・リサーチ)機能を強化する。
三重大学 ●体系的な学士課程教育及び大学院課程教育を推進するために、教育会議に教学IRを担当する組織を位置づけ、多面的に教学情報を収集・分析し、学部・大学院の教育改善に向けてフィードバックする。
●学長のリーダーシップの下、自主・自律的な業務の運営と改善体制を充実するため、各部局と本部組織とのそれぞれの果たす役割を明確にし、一体的かつ機能的な運営体制の構築を図るとともに、IR体制の整備や戦略的な経費配分等により、学長のガバナンス体制を強化する。
滋賀大学 ●経営協議会、外部有識者会議及び教育学部滋賀県教育委員会との地域教育連携推進会議等において、大学全体または部局に対する地域社会も含めた外部からの意見を求め、適切かつ迅速に法人運営に反映させる。その結果を、経営協議会及び教育研究評議会に報告する。また、様々な会議等で出された意見や監査結果等については、教職員に周知徹底し、個々の改善に役立てる。さらに、学内外のデータを収集・整理・分析した結果を大学の意思決定や教育研究支援に活用し、データの公開を進めるIR(インスティテューショナル・リサーチ)活動を推進する。
滋賀医科大学 ●学長のリーダーシップの下、効率的な運営と意思決定を行うためのガバナンス体制を構築するため、高度専門職の配置やIR機能の充実等、学長の活動をサポートする体制を整備・強化する。
●大学運営の改革・改善による大学の活性化のため、IR機能を備えた学長戦略室を設置し、中期目標・計画と連動した大学経営に係る評価指標を年度毎に定め、進捗管理と結果分析を定期的に行い、その後の事業計画に反映させる。
京都大学 ●総長が迅速な意思決定を行えるよう、機動的なガバナンスの構築を目指し、IR機能の強化など継続的に体制を見直すとともに、本学の理念及び特色を反映した戦略を策定する。
京都工芸繊維大学 ●大学戦略の基礎となる情報の収集及び分析機能等を強化するため、学長をサポートするIR(インスティテューショナル・リサーチ)組織を整備する。
兵庫教育大学 ●国の制度改正を踏まえつつ、学内規則等を含めたガバナンスの総点検・見直しを行うとともに、権限と責任が一致した意思決定システムの確立、法人運営組織の役割分担の明確化、IR・総合戦略企画室(仮称)等による学長を支援する体制を強化する。
●IR・総合戦略企画室(仮称)による国の政策動向や学内情報を集約・分析した結果を活用し、教員養成の高度化を推進するため、ナショナルセンターの機能を有する教員養成高度化実践センター(仮称)を平成32年度内に設置する。
●自己点検・評価、法人評価及び認証評価等を適切かつ効率的に行うため、評価委員会の業務を見直し、エビデンスや指標に基づく評価を実施し、学長のもとに設置された教育改善推進室においてPDCAサイクルを機能させ、また、監事やIR・総合戦略企画室(仮称)と連携することにより評価の質向上と評価方法の改善につなげる。
神戸大学 ●学内外の最新の動向やデータ等に基づいた効率的かつ迅速な意思決定を行うため、企画評価室を改組しIR(インスティテューショナル・リサーチ)室の設置、戦略企画本部の拡充を行うなど、学長の補佐体制を見直す。
奈良女子大学 ●学生の成長力を適切に判定できる入学者選抜方法の確立に資するために、本学のIR機関である学長調査戦略室を中心に、一人一人の学生の入学前、入学後、卒業後の成長過程をデータを基に把握する。
和歌山大学 ●本学の教育研究に関する諸活動及び運営状況を客観的に把握・分析するためのIR(インスティテューショナル・リサーチ)を組織的に実施する。
●中期目標・中期計画管理システムの運用方法を改善し、システムを活用した進行管理を年に2回以上行い、自己・点検評価、外部評価の実施に活用する。また、IRを活用した多面的なデータ分析を行う。
鳥取大学 ●全学的な教育の内部質保証システムの体制として、教育関連のデータ収集・分析を行うIR活動、学生、教職員や学外関係者からの継続的な意見聴取の取組等の機能を強化する。
島根大学 ●IRデータや卒業生アンケートなどを活用し、キャリア系科目の教育内容等の点検と改善を行う。
●IRデータを活用した教員の客観的な指導によって、学生自身が自らの学修計画を遂行できるような支援体制を整備する。
●IRデータを活用した教育業績の評価方法・評価体制を見直し、それに基づく教員評価を実施する。
●全学IR室(仮称)を設置し、特に教育・研究等に関するデータを集積、分析し、大学運営に活用する。
●外部研究資金の増加を図るため、IRによる分析データの活用等により、競争力を高めるための学内予算配分の見直し等を行う。
●事務手続の簡素化・効率化、会議時間の短縮や電子化による資料削減を行うなど、徹底した業務量の削減に取り組むとともに、IRによる分析データの活用等により、学内予算配分の見直し等を行い、一般管理経費の抑制を行う。
岡山大学 ●教育の内部質保証のため,教育の状況・活動の実態を示すデータを適切に収集・分析して教育現場にフィードバックする教学IR(インスティテューショナル・リサーチ)システムを平成30年度末までに確立する。データに基づく教育戦略を毎年度末ごとに策定し,PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルによる不断の改善を図る。
●国内外から優秀な学生を受入れるため,国際バカロレア教育(IB)を受けた学生の受入を全学体制で拡充する。留学希望者向けの留学説明会を海外で実施し,海外で入学者選抜試験を実施して(第3期中期目標期間末までに5箇所以上),留学生の多様化を図る。入学者選抜に関わる調査・研究及び選抜方法ごとの追跡調査の結果に基づく教学IRシステムにより,入学者選抜方法の改善を行う。秋季入学の課題及び社会的ニーズ等を調査・分析し,秋季入学の受入体制を整備する。
●学内外のデータ等に基づいた意思決定を行うため,情報戦略(IR)に関する検討会での検討を踏まえ,学内の情報を可視化し,収集する体制を情報統括センター及び広報・情報戦略室を中心に構築する。併せて,大学情報の管理と分析(IRを含む)機能を強化することにより,大学の現状等に関する客観的な情報を迅速に提供し,情報戦略機能を確立する。
山口大学 ●教学に関する各種データの分析と可視化を図るため,平成28年度までに教学IR(InstitutionalResearch)組織を整備・強化し,実証データに基づく教育改善及び学修支援の充実に取り組むとともに,教学IR活動の評価検証を継続的に行いながら,教育の質の向上に繋げる。
●学長のリーダーシップにより,学長直属のIR室の機能を充実させるとともに,そのデータを活用し,大学の強み・特色を最大限に活かす事業を機動的に行う。また,そのために必要な学長戦略経費を確保し,事業効果の検証や経費配分の見直し等PDCAサイクルを確立する。
徳島大学 ●学内資源の重点配分を行うため,IR分析に基づく研究成果評価システムを整備することにより,外部有識者による研究評価を毎年実施するとともに,その研究評価結果に応じ教員ポスト,研究費,研究共用施設などの重点的な配分を行うシステムを構築する。
●学長が,大学自らおかれている教育,研究及び社会貢献に関する客観的な状況に基づき,戦略的な大学運営を行うため,学内情報の集約と分析を行うIRを実施し,課題抽出,運営判断及び学内資源配分等に活用する。
鳴門教育大学 ●平成28年度から,企画戦略室に機関調査機能(IR機能)を集約した「IRチーム(仮称)」を設置し,大学経営や教学マネジメントを支える情報提供を計画的に行い,大学の戦略的施策の企画立案に活用する。
香川大学 ●全学的な教務データと学生調査の分析結果を活用して教育の質向上に向けた取組を行うため、教育戦略室の下にIR部を設置して教育情報を一元化し、IR(インスティトゥーショナル・リサーチ)活動を行う体制等を整備する。
●学長による機動的な大学運営を確保するため、執行管理機能と戦略立案機能を明確化する。学長戦略室を設置し、週1回程度の会議を開催して大学運営の改善、全学のガバナンス体制の強化等に関する検討を行う。また、教育研究等の実績について分析を行い、その結果を大学運営に反映させるため、IR(インスティトゥーショナル・リサーチ)を行う体制を整備する。IR等の活用・分析を進め、教育研究・大学運営等における実績や、定量的・客観的なデータ等を基に、学長戦略室で策定する経営戦略に基づき、学内資源の再配分を行う。
●社会に対する説明責任を果たしつつ自律的な大学運営を行うため、監事が教育研究や社会貢献の状況、学長選考方法や大学内部の意思決定システムをはじめとした大学のガバナンス体制等についても監査を行う。また、IR(インスティトゥーショナル・リサーチ)や自己点検・評価の結果等の情報提供を通じて監事の調査支援を行うことにより、内部監査機能を強化する。
愛媛大学 ●学士課程と大学院課程の双方において,学生の学習成果を可視化するツールを開発して教学IR(InstitutionalResearch)によるデータ解析を行い,その評価結果を全学的に共有する。
●教職員能力開発拠点や四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)を通して,第3期中期目標期間中に延べ150校以上に研修講師を派遣するなど,本学で培った人材育成のノウハウを全国に発信するとともに,FD・SD(StaffDevelopment)・教学IRを専門的に担当する実践的指導者を育成するため,全国の高等教育機関の教職員を対象として学外で毎年2回の養成講座を開催し,学内外で延べ300人以上の修了者を輩出する。
●学長がリーダーシップをより発揮し機動的な大学運営を推進するため,教員ポイント制の導入により人的資源の再配分を行うとともに,IR機能等の組織の在り方を見直し,学長の補佐体制を強化する。
福岡教育大学 ●学長の企画立案を補佐する戦略企画室の長に副学長を充て、専任の職員を配置することにより、学長の戦略的な大学運営に必要な情報を収集・分析する体制を強化し、IR(InstitutionalResearch)に基づく学長の適時適切な判断を補佐する。また、戦略企画室との密接な連携の下、学長室は、機動的な企画立案を行い、実行する。
九州大学 ●教育研究活動等の改善を促進するため、毎年度2回の自己点検・評価や3年毎の教員活動評価(計2回)等の実施、Webサイト等を活用した自己点検・評価状況の情報公開及びIR(インスティテューショナル・リサーチ)活動の実施により、点検・評価活動を推進する。
九州工業大学 ●第2期に構築した学務・入試・就職等のデータベースを活用したIR(インスティテューショナル・リサーチ)分析等を入学者選抜方法の改善に活かす。
●これまで実施してきた研究戦略経費の学内公募、研究活動のIR分析等を通じて、特色ある研究活動の掘り起しを行うとともに、部局を超えた組織的な研究ユニットを5件以上選定して、第2期に整備したイノベーション推進機構「戦略的研究推進領域」に設置し、「産学連携・URA領域」等が研究計画立案や外部資金獲得等を重点的に支援する。
●第2期に整備したIR室によるデータ解析機能を強化するため、教務情報等の各種データの一元化を進める。さらに、情報分析結果の活用により、学長による各施策の決定や各企画室による企画立案等の機能強化を推進する。
佐賀大学 ●学長のリーダーシップの下で,学内マネジメント機能の強化の観点から,佐賀大学版IR機能を活用し,教員数の4%を学長裁量定数として確保するとともに,設備マスタープランに基づく設備整備費の確保など,学内資源配分を戦略的に編成する。その際,学長裁量経費は,国の提示額の110%以上を確保する。また,施設利用についても学長の戦略的・重点的な取組を推進するため,学長裁量スペースを確保する。
●IR室及び広報室が連携して,ステークホルダーが求める大学の取組の成果を体系化した経年データ等として情報発信を行うとともに,大学ポートレートを活用した情報提供を行う。
佐賀大学版IRを活用した研究マネジメント体制に基づく,研究基盤(人材•設備•資金•研究時間•スペース•情報基盤等)の整備を戦略的に推進する。
長崎大学 ●経営戦略の強化を図るため,IR室において,データ収集体制を整備するとともに,分析手法を開発するなど,平成30年度までにIR機能を確立する。
●基金を含めた外部資金を増加させるため,IR室の分析データを活用した取組を計画的に進める。
熊本大学 ●教学IRを導入・強化し、教育管理機能を有する新組織(大学教育管理運営センター)を中心に「学習支援」「教育支援」「教学評価」に活用する体制を平成29年度までに整える。各科目の成績評価方式であるGPA(GradePointAverage)の実質的な活用や履修登録できる単位の上限を設ける制度であるCAP制の導入、厳格な成績評価など、教育の質保証に関する明確な方針を定めるとともに、教育の現状の調査分析を行い、PDCAサイクル(↪Plan→Do→Check→Action↰)を通じて、大学教育の質を向上させる。
大分大学 ●戦略的・機動的な大学運営に資するため、IR機能を担う組織等において、学内外に散在するデータの収集・分析を行い、学内の意思決定や業務の改善などに活用する。
宮崎大学 ●志願者・入学者の追跡調査及びIR分析の結果を活用しつつ、外部試験の活用や「確かな学力」を総合的に評価可能な選抜方法を平成30年度までに検討し、第3期目標期間中に改善する。
鹿児島大学 トップダウンによる戦略テーマの決定や政策立案のための支援機能を強化するために、平成27年度に設置した「学長戦略室」を中心として、18歳人口動態、入学状況、在籍状況、卒業・就職状況、研究、社会貢献・国際化の状況、他大学の状況等のデータを戦略的に収集・蓄積・解析を行い、IR(InstitutionalResearch)機能の充実を図る。
鹿屋体育大学 ●教育企画・評価室が中心となり、学修成果の可視化等に関わる情報収集を行い、教学改善が図れる教学IR機能を強化するための体制を整備する。
●学長をトップとしたIR体制を整備し、再定義された本学のミッションに基づき、スポーツ分野における強みを活かした戦略的な法人運営を行う。
●事務機能が最大限に発揮されるように、業務全般の再点検・見直しをIR戦略室のデータを活用して行い、効率化・合理化を進める。また、事務の高度化やIR手法に対応するため、能力開発や専門的能力向上を目的とした研修を計画的に実施する。
●自己点検・評価及び第三者評価の評価結果を大学運営の改善に反映させるため、IR戦略室においてIRデータに基づき分析を行い、その結果を大学運営の改善に活用する。併せて、PDCAサイクルを確実に実施する。
琉球大学 ●学長のリーダーシップの下、大学情報の集約・分析等を担うIR推進室と連携し、財務諸表等の基礎データに基づく経営分析や各部局の取組実績の評価等を通して、大学資源を戦略的・機動的に配分する。
政策研究大学院大学 ●インスティテューショナル・リサーチ(IR)チームの設置など、学長の的確な経営判断を支えるマネジメント部門の機能の充実を図る。
総合研究大学院大学 ●教育研究の質を維持向上させるため、機構等法人と連係を協議しつつ、大学院教育研究に適合したIR(機関情報分析)評価指標を構築し、教員活動評価、学生活動評価を実施する。
●中期目標・中期計画の達成状況を適正に点検・評価し、個々の計画を効率的に実行するため、教育研究情報データベースを新たに構築する。教育研究情報データベースをIRで活用するとともに、内容の見直しと改善のためのPDCAサイクルを実施する。
北陸先端科学技術大学院大学 ●自己点検・評価等の評価活動を着実に実施するため、大学評価実施計画を策定し、InstitutionalResearch機能の充実によるデータの分析を踏まえた自己点検・評価等の計画的な実施を通じて、教育研究面での強みや特色、国際的な通用性を明確化し、社会に対し公表する。