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国立大学法人のベンチャーキャピタルに思う 〜それは「出資」なのか〜

大学一般

国立大、相次ぎベンチャーキャピタル 計1000億円投資 :日本経済新聞

 国立大学が再生医療やロボット開発など自らの大学の研究成果を生かした起業を支援するベンチャーキャピタル(VC)を相次ぎ立ち上げる。京都大と大阪大が第1弾となり、今夏にも政府が承認する。東京大なども年内に申請する見込みで、合計1000億円規模となる。基礎研究を得意とする大学と投資マネーを結びつけ、経済成長の基盤となるイノベーション(技術革新)を促す。

 国立大学のベンチャーキャピタル設置に関する記事が出ていました。国立大学の出資可能範囲を広めるということですね。この件は前々からいろいろと動きがあったものですので、時系列を整理しながら考えてみたいと思います。

 元々、国立大学法人の出資可能範囲はかなり限定的に設定されており、承認を受けた機関いわゆるTLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)が実施する特定大学技術移転事業へ対してのみ許されたものでした。

国立大学法人法※改正前

第二十二条  国立大学法人は、次の業務を行う。
六  当該国立大学における技術に関する研究の成果の活用を促進する事業であって政令で定めるものを実施する者に対し、出資を行うこと。
2  国立大学法人は、前項第六号に掲げる業務を行おうとするときは、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
3  文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

国立大学法人法施行令

第三条  法第二十二条第一項第六号 及び第二十九条第一項第五号 の政令で定める事業は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律 (平成十年法律第五十二号)第四条第一項 の承認を受けた者(同法第五条第一項 の変更の承認を受けた者を含む。)が実施する同法第二条第一項 の特定大学技術移転事業とする。

大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律

第二条  この法律において「特定大学技術移転事業」とは、大学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学及び高等専門学校並びに国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第四項に規定する大学共同利用機関をいう。以下同じ。)における技術に関する研究成果(以下「特定研究成果」という。)について、特定研究成果に係る特許権その他の政令で定める権利のうち国以外の者に属するものについての譲渡、専用実施権の設定その他の行為により、特定研究成果の活用を行うことが適切かつ確実と認められる民間事業者に対し移転する事業であって、当該大学における研究の進展に資するものをいう。

 そんな中、研究成果の社会還元や産業振興の観点から、国立大学法人等の出資制限緩和に係る提言が出てきました。

これからの大学教育等の在り方について(第三次提言)(平成25年5月28日教育再生実行会議)
2.社会を牽引するイノベーション創出のための教育・研究環境づくりを進める。
○ 産学が一体となって新産業の創出を図るため、国は、研究開発の事業化やこれを目的とした投資会社及び大学発ベンチャー支援ファンド等への国立大学による出資を可能とするなど、制度面の整備を行う。

日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定
2.雇用制度改革・人材力の強化
・大学改革
イノベーション機能の抜本強化と理工系人材の育成
・今後10年間で20以上の大学発新産業創出を目指し、国立大学のイノベーション機能を強化するため、国立大学による大学発ベンチャー支援ファンド等への出資を可能とする。このため、所要の法案を速やかに国会に提出する。

第二期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定
27−1 国立大学の機能強化に向けた改革の推進
・(略)また、出資金を活用し,実用化に向けた国立大学と企業との共同の研究開発を推進するとともに,その実施状況を踏まえつつ、国立大学による研究開発成果の事業化及びこれを目的とした投資を行う子会社の設立、大学発ベンチャー支援ファンド等への出資を可能とする制度改正について検討する。

 これらの背景もあり、平成25年12月に産業競争力強化法が制定されるとともに国立大学法人法が改正され、国立大学法人等が行える出資の範囲が拡大しました。

産業競争力強化法

第一条  この法律は、我が国経済を再興すべく、我が国の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させ、持続的発展の軌道に乗せるためには、経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であることに鑑み、産業競争力の強化に関し、基本理念、国及び事業者の責務並びに産業競争力の強化に関する実行計画について定めることにより、産業競争力の強化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための態勢を整備するとともに、規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置、株式会社産業革新機構に特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置及び中小企業の活力の再生を円滑化するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
第二条  
7  この法律において「特定研究成果活用支援事業」とは、国立大学法人等(国立大学法人法 (平成十五年法律第百十二号)第二条第五項 に規定する国立大学法人等をいう。第二十二条において同じ。)における技術に関する研究成果を、当該国立大学法人等と連携しつつ、その事業活動において活用する者に対し、当該事業活動に関する必要な助言、資金供給その他の支援を行う事業であって、当該国立大学法人等における研究の進展に資するものをいう。

第二十二条  国立大学法人等は、当該国立大学法人等における技術に関する研究成果の活用を促進するため、認定特定研究成果活用支援事業者が認定特定研究成果活用支援事業計画に従って実施する特定研究成果活用支援事業の実施に必要な資金の出資並びに人的及び技術的援助の業務を行う。

国立大学法人法※改正後

第二十二条  国立大学法人は、次の業務を行う。
六  当該国立大学における技術に関する研究の成果の活用を促進する事業であって政令で定めるものを実施する者に対し、出資(次号に該当するものを除く。)を行うこと。
七  産業競争力強化法 (平成二十五年法律第九十八号)第二十二条 の規定による出資並びに人的及び技術的援助を行うこと。
2  国立大学法人は、前項第六号に掲げる業務及び同項第七号に掲げる業務のうち出資に関するものを行おうとするときは、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
3  文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

TLO(技術移転機関)とは : 一般社団法人 大学技術移転協議会

TLOとは、Technology Licensing Organization(技術移転機関)の略称です。大学の研究者の研究成果を特許化し、それを民間企業等へ技術移転(Technology Licensing)する法人であり、産と学の「仲介役」の役割を果たす組織です。

 TLOと特定研究成果活用支援事業の違いは、TLOが主に研究成果や知的財産などの活用を担うのに対し、特定研究成果活用支援事業資金等の支援を行うという点でしょうか。だからこその「出資」なのだろうと思います。

 なお、国立大学法人法第22条にあるとおり、国立大学法人はその業務範囲が法律で定められています。つまり、学校法人がよく収益事業として行っている直接教育研究とは関係が無い事業(駐車場経営など)はできないということです。国立大学法人における収益事業については、以下の論文に整理されています。

(平成22年12月)独立行政法人 国立大学財務・経営センター[出版物]「大学財務経営研究」第7号

国立大学法人の収益事業の可能性 斉藤 徹史

 法整備により、国立大学法人は出資ができるようになりました。冒頭記事では、まず国立大学法人からベンチャーキャピタルに出資し、そのベンチャーキャピタル大学発ベンチャー企業等に出資するようですね。大学発ベンチャーという言葉は国立大学法人か前後から聞かれていたようですが、実際の状況はどうなのでしょうか。

 近年行われた大学発ベンチャーに関する調査は、比較的規模の大きい以下の3つが挙げられます。

大学発ベンチャー企業の実態調査 | 帝国データバンク[TDB]

NISTEP Repository: 大学等発ベンチャー調査2011

大学発ベンチャーに関する追跡調査」実施報告書平成23年5月東京大学経済産業省http://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/fy23vn.pdf

 各報告書とも、母数や質問項目、分析が異なりますが、総じて、設立件数は減少しているものの黒字化などが進行しており、ポジティブな結論になっていると感じました。大学発ベンチャーの黒字化については、一部BLOGでも言及があったところです。

「大学発ベンチャーの過半数が黒字」というのは効率的な投資を意味するか? | ZUU online

 また、大学発ベンチャーの課題については「大学発ベンチャー政策シンポジウム」のパネルディスカッション資料(配布資料等 |大学発新産業創出拠点プロジェクト)に整理されています。

 大学発ベンチャーキャピタルと聞いてぱっと思いつくのは、東京大学エッジキャピタル-UTEC- 阪大イノベーションファンド早稲田大学WERU Investment Ltd. - Empowering Innovationなどでしょうか。各ファンドの詳しい内容は、少し古い内容ですが「大学発ベンチャー支援ファンド等の実態調査並びにベンチャー支援のあり方について」第2章(報告書 その他報告書)や、大学等の研究成果の事業化推進のためのファンド制度に関する実態調査 | 公益財団法人 未来工学研究所に掲載されています。

 また、政府の投資ファンドとしては、株式会社産業革新機構が2009年の設立以来初めて最終黒字になったニュースが出ていました。

革新機構、含み益400倍 14年3月期、初の最終黒字に :日本経済新聞

 官民ファンド産業革新機構は投資先の再建が進んで保有株式の含み益が大幅に拡大している。半導体大手のルネサスエレクトロニクスなどの株価が支援決定時に比べて値上がりし、2014年3月期末の含み益は8200億円と、前の期の21億円から400倍近く増えた。保有株を一部売却して最終損益も初の黒字となり、政府へ配当を支払う。

 一般的なベンチャーキャピタルについては、以下のHPにて理解が進みます。

ベンチャーキャピタル(VC;Venture Capital) - WISDOM

 ベンチャーキャピタル(VC;Venture Capital)とは、株主としてベンチャー企業に資本参加することです。資本参加する目的は、ベンチャー企業を育成して、中長期的に企業価値を高め、保有株式を売却することによって高いリターンを得ることにあります。なお、ベンチャーキャピタルを推進する企業体も、ベンチャーキャピタルといいます。

 利益を得る手段は、IPO(株式公開)やM&Aなどのようです。これらの手段により、投資額を上回る利益獲得を目指すということでしょうか。

ベンチャーキャピタル(VC)の成功率は、わずか10%

 リサーチによれば、シリコンバレーベンチャーキャピタルから出資を受けている企業の内60%は、出資額を割る結果に終っているそうです。そして、ポートフォリオのわずか10%がベンチャーキャピタル業界の利益となっているそうです。

 何を以て成功かは想像し難いところですが、シビアな業界であることは言うまでもなさそうです。ベンチャーキャピタルの現状と課題については、ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会(第3回) 配付資料の資料3に整理されています。

 ここまで、法改正や大学発ベンチャーの状況などを確認しました。このような経緯もあり、国立大学法人としてベンチャーキャピタルを創設するようです。なお、出資金は、平成24年度補正予算である1,000億円(東京大学437億円、京都大学272億円、大阪大学166億円、東北大学125億円)を原資としています。ついこの間法改正があったのに、それの基となる資金は既に配分されていることは、どうにも理解できません。予算がとれるタイミングがそこしかなかったのでしょうか。この件は、国会でも取り上げられています。

第183回国会・参・予算委員会(平成25年2月21日)

Q:お手元の資料をお配りしましたが、この資料Aで御覧いただきますと、今回の補正予算案十兆円強のうち、独立行政法人などへの出資金が約八千億円計上されております。その中でも、国立大学法人資金一千億円というのがございます。補正予算ですから、当然、緊急性の必要性がある事業に限って計上するのが筋だと思います。この国立大学法人資金というのはどのように使われるのか、文部科学大臣、お伺いしたいと思います。

A:今回の国立大学法人資金は、研究力の高い国立大学が事業化を目的として産業界との共同研究を推進し、世界に通用する日本発の新しい価値や需要を創出しようとするものでございます。本出資金の活用により、企業との共同研究が事業化に結び付いた場合には、所要経費や収益を回収することとなります。本出資金は、共同研究のための施設の整備や人件費を含む研究費に充てることとなります。

Q:出資金は、補助金とか助成金と違いまして使用の用途の制限がございません。昨日、文科省の役人の方にお伺いしましたら、年度内に使い切ることは必要はないと、十年掛けて使っていくというふうにおっしゃられていましたが、本当でしょうか。

A:国立大学法人と民間企業との共同研究の実用化でございますので、その内容によっては年数が掛かるということになってくると思います。

第185回国会・衆・本会議(平成25年10月29日)
Q:次に、国立大学法人等によるベンチャーファンドへの出資についてもお尋ねします。今回の法案の中には、大学発のベンチャー支援策も含まれています。過去の大学発ベンチャーの設立数の推移を見てみると、いわゆるTLO法の施行から五年後の二〇〇三年、年間六十社強をピークとして、近年では二十社以下と、じり貧状態が続きます。また、既存の大学発ベンチャーの約七割が、売り上げ一億円以下とも言われます。茂木大臣、第三の矢を放つに当たって、こうした大学発ベンチャー低迷の原因は明らかになっているのですか。今回の法案に含まれる施策がこの低迷している現状を打破できるという自信はどの程度おありか、そして、その理由もあわせてお答えください。

A:最後に、大学発ベンチャー低迷の原因や、本法案における対応についてでありますが、大学発ベンチャーが低迷している原因としては、技術シーズをベースとしたベンチャーが多く、技術の開発に特化する余り、人材やノウハウの不足、資金面での手当てが不十分なケースが多いためと考えられております。今回の法案は、高い技術力を有する国立大学法人等と密接に連携しながら、大学発ベンチャーに対して経営上の助言を行うとともに、必要な資金も一体的に提供するベンチャーキャピタルに対して、国立大学法人等からの出資を可能とするものであります。経済産業省としては、今回の制度改正による支援措置などを活用することにより、大学発ベンチャーを取り巻く課題の解決を図っていく所存であります。

第185回国会・衆・経済産業委員会(平成25年11月15日)
Q:ニーズの部分というのは、研究機関もしくは大学ということになります。今回の産業競争力強化法案で、国立大学法人等によるベンチャーファンド等への出資というのが施策の中にございますが、最後の質疑なので確認になるのですけれども、まず、この具体的施策を整理してもう一度御説明いただけますでしょうか。

A:大学発ベンチャーと申しますのは、技術シーズをもとにしたベンチャーが多いわけでございまして、技術の開発に特化する余り、人材やノウハウが不足する、あるいは資金面での手当てが不十分であるというケースが多いと考えております。今回の国立大学法人等からのベンチャーキャピタルへの出資は、これらの課題を解決し、大学発ベンチャーを発展させる上で重要なステップとして位置づけております。具体的には、今回の法案は、国立大学法人等と密接に連携しながら大学発ベンチャーに対して経営上の助言等を行うベンチャーキャピタル、そういうものを認定いたしまして、国立大学法人等からの出資を可能とするものでございます。これによりまして、大学発ベンチャーは、実用化に向けた研究開発段階から、大学からは技術支援を受ける、同時にベンチャーキャピタルからは経営面でのサポートや必要な資金の供給、そういった形で一体的に支援を受けることができるようなものになる、そういうふうに考えております。

Q:国立大学法人等によるベンチャーファンド等への出資に関する施策そのものが悪いと指摘したいわけじゃないんです。資金不足とか、人材、ノウハウのことでサポートする、そして助言をということなんですけれども、実際に資金面のことでアドバイスを受けて、大学のスタッフも研究者たちも、我々がイニシアチブを持ってできるということで評判はいいんです。盛り上がりも見せているんですけれども、一方ではやはり、経営の素人である自分たちにできるであろうかという不安の声も上がっております。

A:今回の法案で認定されるベンチャーキャピタルですけれども、助言と説明しましたけれども、その助言には、おっしゃるようなCEOに適した経営人材を探してきて、そこの新しいベンチャーのCEOに据えるというような形での、非常にハンズオンのきめ細かな支援も期待しております。

Q:新たに別の法人を大学内につくる、もしくはベンチャーキャピタルの法人をつくるということでは、要するに、資金面と経営面を一緒にしてハンドリングするのか、分けてやるのか、そのあたりはどういうことですか。

A:大学発ベンチャーが大学の技術を使って新しい事業を起こすということでございますので、技術開発、マーケティングについては新しい大学発ベンチャー企業で行われるものでございます。それに対して、大学サイドからはさまざまな技術的支援を行う、今回の認定されたベンチャーファンドからは先ほどお尋ねのような経営人材を探してくるということも含めてさまざまな支援を行うということでございまして、実際に事業を行うのは大学発ベンチャー、個々の企業が技術開発、事業化、さらにはマーケティングというものを一体的に行うことになります。

 長々と書いてきましたが、この事業については、いくつか疑問があります。

 まず、大前提として、これは「出資」であるということを確認しておきたいです。つまり、融資や借金のような元本返済義務がなく、かつ出資元は出資先からのリターンを求めるというスキームを前提に考えて良いかという点です。

 二つ目として、リターンをどのように求めるかということです。前述のとおり、IPOなどによりリターンを得ていきますが、どの程度の回収率や回収スパンを想定しているか明らかではありません。先日、起業経験がある方と話した際、「なぜ行政のベンチャー支援等は出資数を目標にするのですか?出資したベンチャーの収益や株価を目標にした方が良いと思うのですが。」と言われました。それは事業の役割でないとか言い訳がましく話してしまいましたが、ベンチャーキャピタルに出資する以上は投資収益率を指標にしてもいいのかなと思います。

 最後に、1点目と重複しますが、事業全体のスキームについてです。下図に、文部科学省が示した事業の運営図(官民イノベーションプログラム部会(第2回) 配付資料の資料2より抜粋)を示します。

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 これを見る限り、大学発ベンチャー等から国立大学法人等への矢印「共同研究その他連携」により、出資金が還流するように感じます。元々共同研究の企画等はスキームの中に含まれており利益相反などはしっかりやるようですが、結果として、出資金の少なくない程度が大学側に流れるのではないでしょうか。

 以上、3点から、当該事業資金を支援し株式等でリターンを求める「出資」ではなく、長期・基金的な「補助事業」ではないかと思います。その場合、複数年度にまたがるとは言え、年間国家予算の約0.1%にあたる金額を配分し、しかもその投資回収率は非常に低いものになると予想できることから、税金の使い道としてどうなんだという思いもあります。そもそも事業目的自体がリターンを求めずただの産業振興策であるというのなら、「出資」という言葉は紛らわしすぎるという印象です。

 ここまで非難がましく書いてきましたが、当該事業には期待しているところもあります。ベンチャーキャピタルをしっかり作り良い人を連れてこれば(これが一番難しいでしょうが)、リターンまでは期待できずとも良い成果がでるのではないかと思っています。

 また、どのような形にせよ、国立大学法人の収入確保の道が新たにできることは、運営費交付金が削減されている現状で歓迎すべきことでしょう。(個人的には、さまざまな法律等は置いて、駐車場経営やマンション経営などしても良いのではないかと思っています。そのくらい、収入経路の確保については切実に感じています。)

 うまくいったかどうかは5年後10年後にわかることでしょうか。現在の大学発ベンチャーキャピタルはなかなか成功の程度がわかりませんが、ベンチャーキャピタルを通じ大学にも十分なメリットが発生することになれば良いなと思っています。