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京都大学の学長候補者国際公募に思う 〜選択肢は増えるが・・・〜

京大、学長を国際公募…しがらみ離れ指導力期待 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 京都大学の総長(学長)選考会議は、次期学長について、国内だけでなく世界から公募する方針を決めた。世界中の優秀な研究者や学生が集う大学を実現するために、学部など部局のしがらみから離れた強いリーダーシップを発揮できる人材が必要と判断した。文部科学省によると、国立大学が学長を国際公募する例はなく、日本トップクラスの京大の判断が他大学に与える影響は大きい。

 京都大学が学長を国際公募する旨のニュースが出ていました。本件について、京都大学HPにはまだアナウンスがありません。

 記事中

国立大学が学長を国際公募する例はなく

とありますが、国際公募に限定しなければ、初めて学長を公募した国立大学は、鹿屋体育大学です。

新首都圏ネットワーク

毎日新聞』2004年4月23日付

鹿屋体育大:国立大学法人初の学長公募

 鹿児島県鹿屋市国立大学法人・鹿屋体育大(芝山秀太郎学長)が、7月31日に任期満了を迎える学長の選考に公募・推薦制を導入する。大学側は「人材を広く求めると同時に選考の透明性を高めたい」と話している。文部科学省によると、国立大時代を含めて国立大学法人の学長公募は初。

 この時は、次期学長として学内教授が選考されたようですね。明確に「国際」となっていなくとも、学長候補者を公募している国立大学は今もいくつか存在します。以下は、HP上に学長候補者の公示があった例です。

国立大学法人宮城教育大学学長候補者の公募について|宮城教育大学

学長候補者選考の公示|国立大学法人山口大学

 国内の大学における外国人学長と言えば、南山大学元学長のハンスユーゲン・マルクス氏や横浜市立大学元学長で現テンプル大学ジャパンキャンパス学長のブルース・ストロナク氏が思い浮かびます。ブルース・ストロナク氏は、横浜市立大学学長の経験から、日本の大学について以下のとおりコメントしています。

機敏に自己革新を 外国人教員を教授会メンバーに B・ストロナク 米テンプル大日本校学長 :日本経済新聞

 米国の州立大学、テンプル大日本校のブルース・ストロナク学長は過去に横浜市立大学長も務め、日米双方の大学事情に通じる。インタビューでは日本の大学について「意思決定がうまくない」「人事がグローバルでない」などの課題を指摘。東京大の秋入学構想を「間違いなくよい」と評価しつつ、教員評価の充実、高校教育改革などの必要性を強調した。

 海外の大学ではどうなのでしょうか。

 韓国の大学における学長選考については、以下のとおり言及しているコラムがありました。

私学高等教育研究所 :アルカディア学報|日本私立大学協会

 全国38校の国立大学についても政府が評価を行い、下位5校を「構造改革重点推進国立大学」に指定し、総長直接選挙制の廃止、学科の統廃合や改編、大学間の統廃合などの構造改革を求め、これを履行しなければ最悪の場合、入学定員の削減や予算減額などの措置を行うことになっている(ハンギョレ新聞、2011年9月23日)。

 成均館大学をはじめ、相当数の私立大学が総長直接選挙制を廃止し、間接選挙制(直接選挙で代議員や推薦委員を選び、彼らが総長選任権を委任する方式)や折衝制(政府や理事会が複数の候補者を決めたうえで教授団が選挙する方式、あるいは教授団が複数の候補を選出し、政府や理事会が1名を決定する方式)を導入するようになっている(聯合ニュース2011年8月5日)。

 アメリカの大学は、The Chronicle of Higher Educationにて学長の公募が行われるところもあります。

Find Jobs | Vitae

President | Vitae

 国内や海外の大学の学長選考等の状況については、少し古いですが、以下の文献にまとめられています。

(平成19年3月)独立行政法人 国立大学財務・経営センター[出版物]国立大学法人の財務・経営の実態に関する総合的研究

第Ⅱ部 組織運営

第6章 国立大学の法人化と学長職の変容

 さて、冒頭の記事についてですが、選択肢を増やすという意味では良い取組だと思っています。ただ、私自身「大学長の姿・役割」が今ひとつ確証を持っていませんので、単純に外国人が学長になれば良いのかということは分かりません。弊BLOGでも何度も言及していますが、国立大学においては学長と理事長が不可分になっていることが様々な問題の一因となっていると感じており、本件についても理事長職の国際公募ならばまだすんなり腹に落ちるなと印象があります。所謂Provost的職位(理事や副学長など)に外国人を採用するということも、学長選考までいかずとも取れる手段ではあると思っています。

 少し本筋とは外れたところでは、国際公募を取り回す事務職員の動きも気になるところです。大抵の大学では、学長選考は大学本部の総務系部署で行われていると思います。総務系部署に国際系に強い職員がいるのかどうか、あるいは総長室に人員を集めそこが国際折衝の窓口になるのでしょうか。

 職員サイドがどのように動くかという点も、気になるところです。