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組織運営部会審議まとめに思う 〜ミドル層の学びをどう確保するか〜

大学一般

組織運営部会(第7回) 配付資料:文部科学省

 文部科学省のwebページに中央教育審議会大学分科会組織運営部会(第7回)の配布資料が掲載されています。資料2-2には、最終的なアウトプットになるであろう審議まとめ(案)が出されています。特に気になったのは、以下の部分。

(事務職員の高度化による教職協働の実現)

◯ 事務職員については,従前は,大学間の人事交流が活発であった国立大学も含めて,同一大学内での勤務が続き,様々な職務環境において新たな知識やノウハウを学ぶ機会が少なくなる傾向にあると指摘されている。また, 2年程度の短期間で様々な部署を異動することが多いため,専門性の高いスタッフを養成していくことが困難との意見もある。

◯ 今後,各大学による一層の改革が求められる中,事務職員が教員と対等な立場で「教職協働」で大学運営に参画することが重要であり,企画力・コミ ュニケーション力・語学力の向上,人事評価に応じた処遇,キャリアパスの構築等についてより組織的・計画的に実行していくことが求められる。例えば,国内外の他大学,大学団体,行政機関,独立行政法人,企業等での勤務経験を通じて幅広い視野を育成することや,社会人学生として大学院等で専門性を向上させることを積極的に推進すべきである。

 事務職員の高度化と教職恊働の実現は直ちに接続しているわけではないとか、同一大学内では新たな知識やノウハウは学べないのか、とかいろいろ言いたいことは多いですが、書いてあることの意味は概ね分かります。特に、最後の部分「社会人学生として大学院等で専門性を向上させることを積極的に推進すべき」というのは、大学に務めるものとしてもっと広まっていってほしいと思っています。

 他機関への異動を経ないと新たな知識を得られないということは、自らの学びを外部環境変数のみで制御されているということであり、厳しく言えば、自律的に学習できない者であると白状しているようなものだと思っています。この件については、以前にも他記事に書いたとおり、「執務席に座って与えられた仕事をこなしているだけで専門性が身に付くと思ったら大間違い」という認識です。

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 しかし、文部科学省国立大学法人として個々の法人にミッションの再定義とその役割を果たすことを求める一方で、職員の機関異動や教員の流動性を求めるなど構成員の機関定着率を下げるようなことを言っていることは、全く論理的ではないと思っています。定着率が高い方が組織のミッションへのコミットメントも高くなると考えるのが自然ですし、その結果ミッションの達成もより早期に効率的に行われると考えます。少し論点が違うかもしれませんが、企業も社員の離職率低下はミッション達成にとって重要な要素であると考えているようです。

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 結局、職員としてどのように学び続けるのかということだと思いますが、ここまで考えて一つ思い当たることがありました。私は大学行政管理学会や大学マネジメント研究会など、所謂「学外勉強会」というものに参加することもあるのですが、そこで私立大学の部課長さんや事務局長さんとお会いすることはあっても、国立大学の部長さんや事務局長さんとお会いしたことがほとんどありません。ミドル層である課長係長さんとの出会いもあまりないなという印象です。この状況は常々不思議に思っていました。特に、休日に行われる会においては、皆無といっていいかもしれません。

 もちろんこれは私個人の事例ですので、直ちに一般化することはできません。ただ、国立大学及び異動官職の出向元である文部科学省では、これまでは基本的には業務時間内の学びのみを重視しており、業務時間外で自ら学ぶということが希有であったのかもしれません。しかし、国立大学法人化や大学を取り巻く環境の変化に伴い、職員の求められるものがダイナミックに変化し続けている今では、そのような悠長なことを言ってられません。これについては、大学経営人材という概念を打ち出された山本先生の論文に対し思いを述べた記事でも、お話ししたところです。

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 そうは言いつつも、実際に休日にミドル層が勉強会に出かけるというのは、なかなか難しいなとも思っています。業務内容や家族環境などライフステージが変化する中でどのように学びを確保するかということは、大学院に通学している職員からも色々と聞いており、モチベーションの確保とも相まって、かなり苦労しているなという印象です。

 では、ミドル層の学びをどのように確保していけば良いのでしょうか。一つの解決策として、学内でのプロジェクト型業務の拡大を考えています。学長や理事などが指定した課題に対し、教員職員や部署、役職、年齢を超えてチームを組み、期間を設けて解決に当たるということがあれば、新たな学びをきっかけになるのではないのでしょうか。さらに教職恊働にもなり、一石二鳥です。もちろん、そのためには効率化等により平常業務を時間を削減するとともに、空いた時間をプロジェクト型業務にあてる必要があります。これについては、業務改善に関して以前記事にしたことと関連してきます。

業務改善のジレンマ - 大学職員の書き散らかしBLOG

 実際、このやり方で全てが解決するとは思っていませんが、このように「自分の担当業務外の業務に触れる機会を増やしていく」ということは、今後人材が少なくなっていく中では大切なことなのではないかと思っています。私も会う人会う人に「なんでもするんで何かあれば言ってください。すぐ対応しますから。」といっており、実際にこれまで触れたことのなかった課題に対し、教員とともにゼロから対応したことがあります。

 なんだか今回はBLOG内記事を引用してばかりで、お手盛り感が満載ですね。考えていることが首尾一貫しており、全てが繋がっているということで勘弁してください。