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私立大学等改革総合支援事業に思う 〜改革状況のルーブリックになりうるか〜

私立大学等改革総合支援事業:文部科学省

 文部科学省では、平成25年度より「大学力」の向上のため、大学教育の質的転換や、特色を発揮して地域の発展を重層的に支える大学づくり、産業界や国内外の大学等と連携した教育研究など、私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する「私立大学等改革総合支援事業」を、日本私立学校振興・共済事業団と共同して実施します。

  私立大学等改革総合支援事業の概要が文部科学省HPに掲載されています。一読したところ、これまでの私学向け補助金等とはだいぶ違う趣きだなと感じたので、少し記録しておきます。

 まず、GP等の事業申請ではなく機関申請であるという点は、COC事業や研究力強化推進事業と同様に、本年度の(あるいはこれからの)トレンドですね。特に、地域特色型について、都市圏にある大規模大学を申請対象外としている点も併せて、大学としての機能別分化を推進していることは明らかです。申請する私立大学にとっては、「建学の精神」との兼ね合いが求められるとともに、自身の立ち位置をより明確にすることが必要でしょう。

 また、申請の前提として、各大学の取組を点数化し選定するという点も、これまでにない取組だと思います。それぞれの項目に重み付けをしていることも、より良い成果を目指した結果でしょう。特に気になった項目は、以下の通りです。 

 大学等内にIRを専門で担当する部署を設置し、専任の教員又は専任の職員を配置していますか。

 この場合の「IR」とは、いわゆる「教学IR」のようです。これまで、文部科学省としてIRへの言及はそれほど多くなかったと思いますが、このように明記されるということはその重要性を認識しているということでしょう。

 昨年度又は本年度に、教育の質的転換に関するSDを実施していますか。

 補助金等の申請において、ここまであからさまにSDに言及されたのは、私の記憶では初めてです。画期的なことだと思います。しかし、「教育の質的転換に関するFD」ではなく「SD」というのは、まさに職員としてどのように教学に関わっていくかということが問われており、このような時代になったんだなと深い想いを抱いてしまいます。

 シラバスの記載内容が適正か否かについて、担当教員以外の第三者がチェックしていますか。

  この場合の「第三者」とは、「記載内容の改善等を担当教員へ要望することについて、組織的に認められている者」であり、事務職員が様式適合性についてのみチェックすることは該当しないようです。誰がこの役割を担うのか、職員が担えるのか、考えただけでもワクワクしてきます。

 さて、このような点数化の取組ですが、一律に点数化することへの非難は予め想定されているようで、Q&Aには以下の質問が記載されています。

Q4.選定に際し、調査票に記載されていない取組は、一切、評価されないのか。大学改革を推進するには、多様な手法が考えられ、特に、私立大学については、建学の精神を踏まえた多様な取組が評価されるべきではないか。

 回答はQ&Aを見ていただくとして、基本的には税金が投入される以上、このように各大学の取組を点数化を通じて明確にすることは必要だと私は思います。端的に言うと、点数化が嫌ならば、お金をもらわなければ良いということになります。たぶん公表されないでしょうが、申請大学の点数内訳一覧を分析するとおもしろいかもしれません。また、今回は教育研究活動のみを点数化していますが、いずれ大学ポートレート(仮称)への参加や教職員給与水準等も点数化され、事業費選定の前提材料にされるかもしれませんね。

 今回の私立大学等改革総合支援事業は、総じて、かなり良い申請手順だと感じています。国立大学にも同様の手順を導入すると、外圧的に物事が進むかもしれません。この調査票項目は、今後の国立大学にとっても十分に参考になります。取組事項と対応状況に合わせた点数があるため、ある意味で改革状況のルーブリックになりうるなと思った次第です。