SDの成果に思う ~有体物を作り出すということ~

 引き続いて、SD関係の記事です。今回はSDの成果について。

 勉強会をやりましょう、人を集めましょう、やりました。では、その後は?どういう成果があったの?とは、勉強会を企画運営した方ならば、必ず聞かれることだと思います。また、それに関連して、その成果を基にどのように取り組みを評価するかはとても難しいことだとも感じています。以前、高等教育学会に参加した際、SD関係の研究発表をされていた方に、取り組みの評価方法について質問をしたのですが、明確な答えをいただくことはできませんした。

 考えてみると、達成度を基準に評価する前提においては、このような事態が生じることは当然のことです。たいていの場合、それぞれのSDには「このSDを受ければ~~できるようになる。」といった到達目標は定められていません。そもそも、職員に必要とされる職能とその水準自体が必ずしも明確になっていない現時点では、一部の取り組みを除き、SDそのものを達成度に基づいて評価することは困難であるといえます。

 では、SDの成果は必要ないのか、SDを評価をする必要はないのかといえば、それも違います。特に、業務時間内に行う勉強会や出張旅費が発生する休日の研究会出席など、参加者が機関からなんらかの援助を得ている場合は、企画運営者は参加者にどのような成果を得て機関に還元してもらうかを真摯に考える必要があります。

 SDの成果をどのように考えれば良いのか。これに関する私の考えは、「どんな些細なことでも良いので有体物を作り出し、共有していくこと」だと思っています。

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 お示した図は、学内の若手勉強会で作った「不在者席の電話応対フロー図」です。このときは、まずSPODのSD教材である新人職員向けDVDを鑑賞した後、現在どのように電話応対を行っているかを話し合いました。その中で、特に外線からの入電に関して参加者やその上司の電話応対方法がバラバラであることが判明したため、電話を掛けてきた学外者の視線に立って、応対のフロー図を作成しました。もちろん、フロー図以上の対応も予想でき、あくまで最低限の流れを示すことを意図したものです。小1時間程度で作成しましたが、完成したフロー図は参加できなかった職員とも共有しました。

 このような形や、あるいは議事録や体験文程度のものでも良いのですが、何らかの「有体物」を毎回少しずつ作成し、参加しなかった者とも共有していくことが必要だと感じています。こうすることで、それ自身がSDの成果となるとともに、その内容を開放することができます。

 ただ、このような方法をとったとしても、達成度評価であれ水準評価であれ、SDの取り組みを評価することはできません。そもそも、人材育成の取り組みに関する評価方法自体、あまり確立されていません。一つの手としては、以前紹介した職業能力評価基準を核とした能力評価があり得るかな、と思っています。

職業能力評価基準を核とした人材育成システム|厚生労働省

 長い目で取組実施・経過観察しながら、SDの成果や評価方法を考えていきたいです。