まち・ひと・しごと創生基本方針2020の大学関連個所について

関係法令・閣議決定等 - まち・ひと・しごと創生本部

 まち・ひと・しごと創生基本方針2020が閣議決定されました。骨太の方針2020と関連する箇所がありますが、骨太の方針2020と同じように、大学に関連する箇所を以下に示します。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/r02-07-17-kihonhousin2020hontai.pdf

第2章 政策の方向

<今後の取組の進め方>

Ⅲ 強靭な経済構造の構築~危機に強い地域経済~

感染症の克服と強い地域経済の構築を進めるため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(以下「地方創生臨時交付金」という。)の活用や、地方大学の産学連携強化と体制の充実、リモートワーク推進等による移住の推進等に取り組むとともに、結婚・出産・子育ての希望の実現に向けた取組を推進する。

2.新たな日常に対応した地域経済の構築と東京圏への一極集中の是正

(2)地方への移住・定着の推進
①地方大学の産学連携強化と体制充実

東京圏の大学に進学する者のうち、東京圏外からの進学者は減少傾向にあるものの依然として約3割を占めており、また、地方大学に進学・卒業した者についても、地域によっては半数以上が地域外に就職する傾向があるとの調査もあることから、進学・就職それぞれのタイミングで、地方定着を促していくことが必要である。
地方大学には、地域「ならでは」の人材を育成・定着させ、地域経済を支える基盤となることが求められており、地域の特性やニーズを踏まえた人材育成やイノベーションの創出、社会実装に取り組む地方大学の機能強化を図ることが重要である。また、若者を惹きつけるような魅力的な地方大学を実現するためには、このような地方大学の特色を活かした優れた取組を重点的に支援することが重要である。
このため、地域の課題やニーズに適切かつ迅速に対応できる魅力的な地方大学の実現に向け、地方公共団体や産業界を巻き込んだ検討を行い、地方においても今後更にニーズが高まるSTEAM人材等の育成等に必要な地方国立大学の定員の増員やオンライン教育を活用した国内外の大学との連携等を盛り込んだ、魅力的な地方大学の実現とともに魅力的な雇用の創出・拡大のための改革パッケージを早急に取りまとめる。また、複数の高等教育機関地方公共団体、産業界等が恒常的に連携する「地域連携プラットフォーム(仮称)」の構築や、これを活用した地域産業の推進等に資するエコシステムの構築を推進する等、若者をはじめ地域の様々なステークホルダーにとって魅力的な地方大学を目指す。あわせて、地方大学・地域産業創生交付金により地域の中核的産業の振興に向けた研究開発や人材育成の取組に対して重点的に支援を行い、「キラリと光る地方大学づくり」を進めていく。
また、地方のサテライトキャンパスの設置の促進や、地方における魅力的なインターンシップを推進すること等により、就職先を決める前の段階で地方や地方企業の魅力を知る機会を創出するとともに、奨学金返還支援の取組を更に広げていくことで、若者の地方への定着を強力に促す。

第3章 各分野の政策の推進

1.稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする

(1)地域の特性に応じた、生産性が高く、稼ぐ地域の実現
地域資源・産業を活かした地域の競争力強化
ⅳ地域発イノベーション等の創出と地域産業の新陳代謝促進退
【具体的取組】
(a)地域発のイノベーションの創出の促進

地方公共団体と地方大学が緊密に連携して、中長期的な見通しの下、その地域の活性化及び地域社会課題の解決に必要な研究シーズの社会実装や、そのために必要な人材を将来にわたって確保するために必要な取組を進めることを支援し、もって地方創生に資する科学技術イノベーションが地域において自律的・継続的に創出されるエコシステムを構築する。(文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)

・企業ネットワークのハブとして活躍する大学等を選抜して伴走支援する「地域オープンイノベーション拠点選抜制度」において、新規市場の開拓や専門家の紹介等を支援する。また、地域企業によるイノベーション創出・生産性向上が進むよう、公設試験研究機関・大学等による企業支援体制を強化する。(経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ地域企業高度化推進課、産業技術環境局技術振興・大学連携推進課大学連携推進室)
・IoT・ビッグデータ・AI等の先進技術を活用して地域課題の解決を実現するとともに、地方の経済発展を推進する取組を「地方版IoT推進ラボ」として選定し、新事業の創出等を支援する。また、地域の中小企業・IT企業・大学等と高度なITスキルを有する人材をマッチングさせ、新たなビジネスモデルを創出する仕組みを構築する。(経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課)
(b)創業支援

・産学金官の連携により、地域の資源と資金を活かした創業や既存事業の新分野展開を後押しするローカル10,000プロジェクトを、事業の効果検証及び優良事例集の周知や効果的な広報を通じ、強力に推進する。(総務省自治行政局地域政策課)

・起業経験者の講師派遣等により教育現場での起業家教育の導入を推進するほか、学生を含む潜在的創業者を対象としたイベントを開催するなど、将来の創業者の育成や起業家となる人材の輩出に向けた創業機運を醸成する。(中小企業庁経営支援部創業・新事業促進課)
・外国人起業活動促進事業に関連する制度・運用の拡充や外国人留学生の大学卒業後の起業促進について、入国・在留管理等に係る制度・運用の見直し等を行い、留学生による我が国での起業の円滑化を実現する。(出入国在留管理庁政策課、経済産業省経済産業政策局産業創造課新規事業創造推進室)
③魅力ある地方大学の実現と地域産業の創出・振興等 【具体的取組】

(a)特色ある地方創生のための地方大学の振興

・「キラリと光る地方大学づくり」を進め、地域における若者の雇用機会の創出を促進する。2018年度に採択された事業については、取組が地域に根付いたものとなるよう資金面の自走化も含めて事業推進を加速する。また、新設した地方公共団体における計画作成の段階から支援する申請枠を通じ、製造業のみならず農林水産業、観光業、情報通信業、文化産業、スポーツ産業等において、特色ある取組を促す。(内閣府地方創生推進事務局)

・大学と産業界・地方公共団体との連携強化を推進し、地域のニーズを踏まえた人材育成等を促進するため、各地域における地域連携プラットフォーム(仮称)の構築や、これを活用した地域産業の推進等に資するエコシステムの構築を推進する。(文部科学省高等教育局高等教育企画課、科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)
・地方大学において、地域の特性やニーズを踏まえた人材を育成し、地域に着実に定着させるとともに、イノベーションの創出や社会実装により地方における新たな産業や雇用の創出を更に推進するため、STEAM人材の育成や分野融合の教育研究推進とその成果の社会実装等を強化する地方国立大学の定員の増員を含め、今後の地方大学の望ましい在り方を実現するための大胆な改革に向けた検討を速やかに行う。(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、文部科学省総合教育政策局地域学習推進課、高等教育局高等教育企画課、大学振興課、専門教育課、国立大学法人支援課、科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)

(b)学生等のUIJターンや地元定着の促進

奨学金返還支援事業に係る特別交付税措置の拡充等の支援策について情報発信等を行い、地域産業の担い手となる学生等のUIJターンや地元定着を促進する。また、各地の支援制度の活用を促すため、効果検証に係る調査研究を行うとともに、独立行政法人日本学生支援機構等とも連携し広報活動を強化する。(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、総務省自治財政局財務調査課、文部科学省高等教育局学生・留学生課)

・東京圏の大学等の地方へのサテライトキャンパスの設置を推進するため、地方公共団体と大学等との連携の強化等に取り組む。また、地方創生インターンシップに係る情報発信を行うとともに、質の高いインターンシップの実施に向けて研修会を開催し、学生が就職前に地方の魅力を知る機会を設ける。(内閣府地方創生推進室、文部科学省高等教育局専門教育課、私学部私学助成課)
(c)地域の専門人材の育成

高等専門学校の教育の高度化とともに、高等専門学校のシーズを地域の大学等及び地元企業等が活用できるようにすることで、地域課題の解決や地域産業の活性化を推進する。また、専門職大学専門職短期大学専門職学科について、開設する分野や地域の拡大を進め、実践的な職業教育や地域産業の振興を担う人材の育成を行う。(文部科学省高等教育局専門教育課)

・スーパーグローバル大学創成支援事業及び大学の世界展開力強化事業を通じて、地域の大学と海外の大学等との連携・交流を促進し、グローバルな視点を持ち、地域の振興に貢献できる人材を育成する。(文部科学省高等教育局高等教育企画課国際企画室)

4.ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

(1)活力を生み、安心な生活を実現する環境の確保
地域資源を活かした個性あふれる地域の形成
【具体的取組】
(d)スポーツ・健康まちづくり
・地域のプロスポーツチーム等と企業、大学等が連携したまちづくりや新たなサービスの創出を目指す地域版のスポーツオープンイノベーションプラットフォーム(地域版SOIP)の構築を促進する。また、地方公共団体を含む関係者との協働により、生活の中で多様なスポーツ機会を提供するための体制構築や、総合型クラブの登録・認証制度の整備、障害者、生活習慣病や運動器疾患等を有する住民等でもスポーツができる環境整備を行う。(スポーツ庁健康スポーツ課、参事官(地域振興担当)、参事官(民間スポーツ担当)、厚生労働省健康局健康課、社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室、経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループサービス政策課、国土交通省都市局まちづくり推進課、公園緑地・景観課、観光庁観光地域振興部観光資源課)

5.多様な人材の活躍を推進する

(1)多様なひとびとの活躍による地方創生の推進

・各省庁や大学、民間企業の協力の下、人材の派遣を行うとともに、派遣協力企業の専門分野等の情報をまとめた協力情報リストを拡充する。(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、内閣府地方創生推進室、総務省自治行政局地域自立応援課)

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 「魅力的な」「キラリと光る」「個性的な」などの文言が踊ります。文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課(いわゆる産地課)が「「組織」対「組織」の本格的な産学連携」とか言い出したときもそう思いましたが、何が「本格的」か、何が「個性的」か、何が「魅力的」かなどをお前らが決めるなよ、と感じますね。

経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針2020)の大学関連個所について

経済財政運営と改革の基本方針2020 - 内閣府

令和2年7月17日、「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針2020)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。

 骨太の方針2020が閣議決定されました。すでに報道されている各論もありますが、今後の政策にも大きく影響を与えるため、大学に関連する箇所を抜粋して示します。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/2020_basicpolicies_ja.pdf

第1章 新型コロナウイルス感染症の下での危機克服と新しい未来に向けて

4.「新たな日常」の実現

(ⅲ)「人」・イノベーションへの投資の強化

「新たな日常」の実現に向けた社会変革の推進力となる人材が従来に増して必要となっていることから、教育の充実により、課題設定・解決力や創造力を発揮できる人材育成を推進する。また、科学技術・イノベーションを加速し、生産性向上を通じた経済成長を実現する。

5.感染症拡大を踏まえた当面の経済財政運営と経済・財政一体改革

(2)感染症拡大を踏まえた経済・財政一体改革の推進

感染症拡大により東京一極集中のリスクが認識され首都圏において地方移住への関心が高まっているこの機を捉え、スマートシティの社会実装、地方大学のSTEAM人材育成や二地域居住・就業の促進など地方への新たな人の流れの創出により、多核連携型の国づくりを行う。

教育の質の向上に向けて、予測不可能な未来を主体的に切り拓くことができるよう、アクティブ・ラーニングや学びのデジタル化、外部人材の活用等を通じ、個別最適化された深い学びを実現し、課題設定・解決力や創造力のある人材を育成する。このため、教育研究の定量的成果等に応じた財政支援のメリハリ付けの強化を進める。また、科学技術・イノベーション政策では、創薬研究、デジタル化・リモート化やAI・ロボットなどの社会課題解決に資する分野を中核に据えて取り組む。その際、予算の質の向上を図りながら、官民連携による戦略的な研究開発投資を促進し、「世界で最もイノベーションに適した国」の実現につなげる。

第2章 国民の生命・生活・雇用・事業を守り抜く

(2)雇用の維持と生活の下支え

新卒者については、感染症の影響を踏まえ、多様な通信手段を活用した説明会・面接等の実施、柔軟な日程設定や秋採用・通年採用等による一層の募集機会の提供に加え、第二の就職氷河期世代を生まないとの観点から、中長期的視点に立った採用を進めるよう経済界等に対し積極的に働きかける。あわせて、自衛隊員の新規採用を積極的に行うほか、都道府県警察や消防本部の行う採用募集活動を積極的に支援する。

低所得のひとり親世帯や、子供たちの学びの保障、家計急変など経済的に困窮する高校生・大学生等に対する支援を着実に実施するとともに、不安を抱える妊産婦に寄り添った支援を行う。

第3章 「新たな日常」の実現

1.「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備(デジタルニューディール

(3)新しい働き方・暮らし方

③ 教育・医療等のオンライン化

高校・大学の遠隔教育について、単位上限ルール等の見直しを検討する。また、義務教育段階の遠隔教育やデジタル教科書・教材の整備・活用を促進するとともに、デジタル教科書が使用できる授業時数の基準の緩和を検討する。

2.「新たな日常」が実現される地方創生

(1)東京一極集中型から多核連携型の国づくりへ

① スマートシティの社会実装の加速

人口が集積し、大学も立地している政令指定都市及び中核市等を中心にスマートシティを強力に推進し、企業の進出、若年層が就労・居住しやすい環境を整備する。

② 二地域居住、兼業・副業、地方大学活性化等による地方への新たな人の流れの創出

また、地方回帰に資するテレワークの推進、地方移住にもつながるサテライトオフィスの設置、デジタル産業等の起業、地方での兼業・副業支援を強化する。地域おこし協力隊等を強化し、若者、民間・専門人材の地方移転、産学金官の地域密着・経済循環型事業を促進する。大企業等から中小企業への経営人材等の移動の促進に取り組む。

魅力ある学びの場と地域産業を地方に創り、若者の地方定着を推進するため、理工系の女性を含むSTEAM人材の育成等に必要な、地方国立大学を含めた定員増や地域雇用向けの地元枠の設定、若手・実務家教員の別枠定員での登用、大学間のオンライン教育での連携等、魅力的な地方大学の実現等のための改革パッケージを年内に策定する。首都圏の大学の地方サテライトキャンパスの設置を促進する。

3.「人」・イノベーションへの投資の強化 ― 「新たな日常」を支える生産性向上

感染症による学校の臨時休業により、公教育のオンライン対応の遅れが顕著になり、学びを止めないことが課題となった。学びにおけるデジタル化・リモート化を推進し、優れた取組の横展開とPDCAの実行により、教育の質の向上と学習環境の格差防止に取り組み、子供たちの学びを保障する。ICT化は子供たちに世界の扉を開き、可能性を広げ、教師が教え子に向き合いやすくする。経済社会の変化とその形成に積極的に対応できる資質・能力を育成する観点から、一つの正解を導き出す画一的・横並び的な教育を脱し、その自由度を高め、学習者第一の視点に立って、課題設定・解決力や創造力のある人材育成を強化する。

(1)課題設定・解決力や創造力のある人材の育成

② 大学改革等

STEAM人材の育成に向けて、教育・研究環境のデジタル化・リモート化、研究施設の整備、国内外の大学や企業とも連携した遠隔・オンライン教育を推進するとともに、データサイエンス教育や統計学に関する専門教員の早期育成体制等を整備する。医工連携をはじめとする分野融合人材の育成、高等専門学校の高度化・国際化、専門職大学、専門学校、大学院等における企業等と連携・協働した社会のニーズに応える実践的な職業教育や博士課程教育をはじめとする高度人材教育の構築等を推進する。

優秀な人材を日本に惹きつける国際的な頭脳循環、トビタテ!留学JAPAN、大学間交流協定による単位互換や共同研究、教育プログラムの国際連携などを拡大する。

国立大学法人改革について、戦略的な大学経営を可能とする新たな法的枠組みを検討し、年内に結論を得る。国と新たな自律的契約関係を結ぶ国立大学法人は、グローバルな評価・処遇制度の下、人事の独立性を確保し、学生定員を自律的に管理、デジタル化を活かした質の高い教育を実践、リモート留学生・教員も含めたグローバルキャンパスを実現する。あわせて、戦略的経営を促す財務・会計の在り方等について具体的な検討を行う。国立大学法人運営費交付金の客観・共通指標による成果に基づく配分対象割合・再配分率を順次拡大しつつ、第4期中期目標期間の新たな配分ルールを検討する。

大学の連携・統合の推進、地域に貢献する公立大学への地方財政措置を含めた支援の実施、私学助成のメリハリある配分の強化を図る。

感染症による影響を含め、高等教育無償化等の実施状況の検証を行い、中間所得層における大学等へのアクセス状況等を見極めつつ、その機会均等について検討する。

リカレント教育

遠隔・オンライン学習、働く個人向けの教育訓練給付や事業主向けの人材開発支援助成金の活用、大学等によるプログラムの拡充も進めながら、例えば40歳を視野にキャリアの棚卸しを行うことにも資するよう、いくつになっても再チャレンジできるリカレント教育を全国的に推進する。産業界との連携・接続を強化した幅広い分野の実践的プログラムやデジタル・デバイドを防止する生涯を通じたe-ラーニングを強化する。機械やAIでは代替できない価値創造人材を育成するため、最新のIT・テクノロジーや教育手法を駆使した教育プログラムの開発を支援する。STEAM・デジタル人材の育成に向けた人材投資を促進するインセンティブ措置を強化した制度の検討を進める。

(2)科学技術・イノベーションの加速

「世界で最もイノベーションに適した国」に向けて、人文科学の知見も活用して未来を変革し、世界を先導していく。

次期「科学技術・イノベーション基本計画」において、これまでの取組の進捗・評価を踏まえ、デジタル化等の社会課題解決に資する分野を中核に据えて、人材育成を含めた優先順位付けやインセンティブ措置の強化を行うとともに、リーマンショック後の投資停滞を繰り返さないよう、新たな社会課題に応えるイノベーションの促進に資する指標を設定し、官民で連携し、研究開発投資の拡大に取り組む。関係司令塔の一層の機能強化・相互連携を図り、以下の取組を推進する。

世界トップレベルの研究力を実現するため、博士課程の処遇の向上、大学における安定的ポストの確保、産業界のキャリアパスの拡大等により、博士課程学生を含む若手研究者支援を強化する。研究の人材・資金・環境の改革と大学改革を一体的に展開し、基礎研究をはじめとする研究力の更なる強化を目指す。世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学等の共用施設やデータ連携基盤の整備、若手人材育成等を推進するため、大学改革の加速、既存の取組との整理、民間との連携等についての検討を踏まえ、世界に伍する規模のファンドを大学等の間で連携して創設し、その運用益を活用するなどにより、世界レベルの研究基盤を構築するための仕組みを実現する。女性研究者の支援や研究者の移動の促進も重点化し、多様性を活かして人的資本を高め、国際協力を強化する。ムーンショット型研究開発及び創発的研究の支援により、破壊的イノベーションにつながる成果を創出する。知的財産利活用等の知財戦略を推進するとともに、官民が連携し、先端技術・システム等の機動的・戦略的な国際標準化に取り組む体制を強化する。また、官民連携による戦略的な研究開発投資について、企業による外部研究資源の活用や目利き人材によるマッチングなどの取組の支援、官民連携主体の外部化の検討、スタートアップ企業への投資促進支援、大企業とスタートアップ企業の契約適正化やスピンオフを含む事業再編を促進するための環境整備などを通じて、オープン・イノベーションを推進するとともに、イノベーション・エコシステムの維持・強化に向けた取組を推進する。

最先端の基盤的技術であるデジタル化・リモート化、AI・ロボット、量子技術、再生医療、バイオ、マテリアル革新力、革新的環境エネルギー、アルテミス計画等の宇宙探査、準天頂衛星等各省連携による衛星開発や基幹ロケット開発等の宇宙分野、北極を含む海洋分野の研究開発を戦略的に進める。効果的な治療法・治療薬やワクチンの研究開発等の感染症対策、防災・減災等の国及び国民の安全・安心に資する重要な技術分野への予算や人材等に重点化を図るとともに、シンクタンク機能を含む新たな体制の検討を進め、SDGs等の社会課題に対応した戦略的で質の高い研究開発を官民挙げて推進する。

研究開発への更なる民間資金の活用、世界の学術フロンティア等を先導する国際的なものを含む大型研究施設の戦略的推進、最大限の産学官共用を図るとともに、民間投資の誘発効果が高い大型研究施設について官民共同の仕組みで推進し、予算を効果的に執行する。また、科学研究費助成事業などの競争的研究費の一体的見直し、研究設備・機器等の計画的な共用の推進、研究のデジタル化・リモート化・スマート化の推進に向けた基盤の構築等を図る。

 国立大学においては、

  • 地方国立大学を含めた定員増や地域雇用向けの地元枠の設定、若手・実務家教員の別枠定員での登用、大学間のオンライン教育での連携等、魅力的な地方大学の実現等のための改革パッケージ
  • 戦略的な大学経営を可能とする新たな法的枠組みを検討
  • グローバルな評価・処遇制度の下、人事の独立性を確保し、学生定員を自律的に管理、デジタル化を活かした質の高い教育を実践、リモート留学生・教員も含めたグローバルキャンパスを実現
  • 戦略的経営を促す財務・会計の在り方等について具体的な検討
  • 国立大学法人運営費交付金の客観・共通指標による成果に基づく配分対象割合・再配分率を順次拡大しつつ、第4期中期目標期間の新たな配分ルールを検討

などと勇ましい言葉が並びます。定員増については、増加分の予算措置がなされるのかどうかが気になるところです。

「課題で大変」という学生への複雑な感情

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、各大学では遠隔授業が進められています。その際、学生からは「各授業で課題が出されるので、その対応で大変」ということをよく聞きます。これは、文部科学省からの通知*1等も踏まえ、遠隔授業への出席や理解度確認のために各授業で課題が出されているものと思います。

 率直に言って、この未曽有のコロナ状況下で他者との協力もなかなかできずに課題を進めていくことは実際に大変だろうと思いますし、何とかしてあげたいとも思います。一方で、そもそも大学での学びとはこのようなものだと思う気持ちもあり、複雑な感情を抱いています。

法令上の学習時間

大学設置基準の定め

 授業を履修し成績が評価されればその授業の単位が授与され、単位を集めることで卒業できるようになります(単位以外の卒業要件もありますが)。一部の例外を除き、多くの学生にとっては、ある意味では、授業は単位を取得するために履修していると言っても過言ではありません。

 大学設置基準第21条では、単位について以下のとおり定められています。

第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。

2 前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。

一 講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。

二 実験、実習及び実技については、三十時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。

三 一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合については、その組み合わせに応じ、前二号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。

3 前項の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。

必要な自学自習時間

 "一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容"とは、講義であれば、1回1時間×15週=15時間の授業時間に対し、事前事後学習1回2時間×15週=30時間(もっと単純化すれば予習1回1時間×15時間、復習1回1時間×15時間と言うこともできます。)を含むと考えられます。つまり、法令上は、単位の取得のためには講義時間と同じ時間の予習時間及び復習時間が必要になります。

 多くの大学では、90分又は100分で2単位の講義を展開しています。この場合、予習復習時間は180分(3時間)又は200分(3時間20分)となります。1回の講義を受ければ、講義とは別にその日のうちに(とは限りませんが)3時間以上の学習が必要です。これが、いわゆる「単位の実質化」の法令根拠です。このため、様々な調査にて大学生の学習時間が着目されています。

履修できる単位数の制限

 1日2コマの講義を受ければ6時間以上、3コマの講義を受ければ9時間以上の学習が必要です。実際にこの時間数を学習しようと思えば寝る間もないでしょうし、履修する授業の数によっては計算上一日24時間を超えてしまいます。そのため、各大学では、各学期等に履修できる授業の数を制限し、学生に過剰な学習時間を発生させないようにしています。これが履修単位制限(CAP:キャップ)です。例えば玉川大学では半期16単位のCAP制度を導入*2していますが、除外科目が多いとは言え、これはかなり厳しい(履修できる単位数が少ない)制度でしょう。

学習時間の実態

 一方、全ての大学の全ての大学生が全ての授業において法令上の1単位の学習時間を満たしているかと言われれば、そうとは言い難い状況が明らかになっています。文部科学省国立教育政策研究所が行った「大学生の学習実態に関する調査研究」(平成26年度調査実施)の報告書では、以下のように書かれています。

1〜3年生では,大学の授業の予習・復習などの平均時間はいずれも5時間程度であった。1・2年生では授業への出席時間の4分の1,3年生でも3分の1程度の時間にとどまっている。

同様の調査票を用いて2007 年度に全国の大学生を対象に東京大学大学経営・政策センターが実施した調査(東大CRUMP 調査)の結果によれば2,1年生の授業に関連した自律的学習時間は,「0時間」が10.9%,「1〜5時間」が57.5%,「6〜10 時間」が16.4%であり,今回(2014 年度)の結果とほぼ同じである。今回,国立教育政策研究所が実施した調査(NIER 調査)と東大CRUMP 調査では,調査対象者の抽出方法,調査の実施時期(実施月)が異なるので,厳密な意味での比較をすることはできないが,この7年間で授業に関連する自律的学習時間が大きく変化したとは言えないと解釈しても良いと思われる。

 また、昨年度に実施された文部科学省全国学生調査(試行実施)では、学部3年生(医学など6年制課程は学部4年生)の平均的な1週間の生活時間として、授業への出席が平均17時間、予習・復習などの授業に関する学習時間が平均5時間であることが報告されています。

 1単位の学習時間が不足していることは明確であり、国や各大学とも法令に応じた学習時間を確保しより学生の資質能力を高め、ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に応じた人材育成を加速しようとしています。

課題による学習時間の増加

 今回のコロナ状況下においては、結果として課題による自学自習時間が増加していると推測でき、1単位の学習時間が法令上の値に近づいていると思われます。ある意味では、法令で想定されている大学での学びに近づいているのでしょう。

 また、課題が多いのでなく、履修単位数が多すぎる可能性があります。小中高のように空き時間(1限から5限まで)を埋めるように授業を履修する「お弁当箱型履修モデル」では、前述の学習時間が飽和してしまいます。大学への学びの接続がなかなか難しいですね。

そうは言いつつもこの状況はどうにかしなければならない

 そうは言っても、コロナ状況下の遠隔授業やそこで出される「課題」の問題は、どうにか学生に寄り添った対応をしなければならないと考えています。その理由は以下の3点です。

1.突如としてこのような状況になったため

 大学教育における学習時間の確保については、それを徐々に学内に浸透させつつ、教育課程や各授業内容に合わせた形で段階的に進めていくべきものだと認識しています。そんな中、今回のコロナ禍が突如として起こり、特に新入生は大学への学びの接続や転換が全くできないまま、遠隔授業に突入しています。課題についてもただ宿題のようにこなすだけではなく、なんとか「大学教育はどのようなものか」を体感できる仕組みを設けなければならないと考えています。

2.学生の環境やそれへの支援が不十分であるため

 遠隔授業ではそれを受講する情報機器・通信環境も重要な要素ですが、必ずしもすべての学生が十分な環境のもとに遠隔授業を受講できているとは言えないかもしれません。また、情報機器・通信環境に限らず、学生で相談する環境構築の支援がなければ、孤立して学習を進めざるを得ず、普段よりも課題の学習に時間がかかるかもしれません。各種アンケート*3を見ても、遠隔授業において孤独感を持ちながら学習していることに不安を感じる学生が一定数見受けられます。十分な学習環境を提供できるよう、物的心的経済的を問わず、何らかの支援を考えなければなりません。

3.課題の量や質等を制御できていないため

 課題の量は多ければ多いほうが良いというわけではなく、やはり量や質、締め切りなどをある程度コントロールできることが望ましいでしょう。ただ、当然ながら各学生より履修している授業は異なるため、総体として課題をコントロール(マネジメント)することは至難の業(というかほぼ不可能)です。どちらかと言えば、各教員に必要な注意喚起を行いつつも、まずは課題を指示・提出するプラットフォームの整備や学生自身が課題取り組み状況を自己マネジメントできる方法の開発などを考えていきたいと思っています。

 

 これらの状況は、多くの大学で生じているのではないかと思っています。考えているうちにあっという間に前学期が終わってしまうため遅きに失した感は否めませんが、後学期や将来のデジタルトランスフォーメーションに向け、検討を進めていきたいと思っています。

いくつかの所感

45、124という悪魔の数字

 常々、大学設置基準にある1単位45時間の学習や卒業に必要な単位数124単位は、大学教育が縛られる悪魔の数値だなと感じています。特に、45時間の学習時間は「大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより」とあるにも関わらず、ほとんどの大学が到達できていないのではないかとも思います。

 前述した複数の学生調査においても、2007年、2011年、2019年と授業時間数に対する自学自習時間の比率は大きく変わっていないように見えます。この10数年間で大学教育はそれなりに変容してきたのではないかと思っていますが、にも関わらず自学自習時間は増えていないように見えるのは、そもそも大学生の生活様式上この程度の数値が上限値なのではないかとも感じてしまいます。全国大学生活協同組合連合会が毎年実施している学生生活実態調査を分析すれば、何か傾向がわかるかもしれません。

授業を詰め込むと安心するのかも

 履修する授業の数については、教育課程や学年進級、各種免許の教育課程との関係もありますが、なにより日本の雇用慣行(いわゆる就活)との関係が重要だと感じています。就活の各種行事や選考は平日に開催されることもあり、3年生になるまでに早めに単位を取得しておきたいと思い、授業を詰め込んでいるのかもしれませんね。

学習時間の確保には経済的支援が欠かせない

 学習時間を確保するためには、それまで何かに費やしていた時間を使用する必要があります。アルバイトをせずとも良いように、経済的支援は欠かせないでしょうね。

学生の居場所はどこにあるか

 今回のコロナ禍に限らず、履修する授業数を制限した場合、学生には授業がない時間帯(いわゆる空きコマ)が生じることが想定されます。その場合、学生はどこに居場所を確保すればよいのでしょうか。ラーニング・コモンズやワークスタディなど、学生がキャンパスに滞留できる仕組みも併せて考えたいと思っています。

各国立大学の学位記授与式及び入学式の実施状況について(3月15日時点)

 新型コロナウイルス感染症の国内感染の拡大を踏まえ、各国立大学の公式HPにて、各国立大学の令和元年度学位記授与式及び令和2年度入学式の開催状況を整理しました(3月15日時点)。

 空欄はHPにて特に言及されていないことを意味しています。なお、「中止」には全員参加の式典は中止するが各学部学科等での学位記伝達式は行う、という状況も含まれています。

 着色は前回(3月6日時点)から変更のあった箇所、又は、対応が決定した箇所です。各大学の実施詳細は各大学HPにてご確認ください。また、調べ切れていないところなど、誤りが含まれている可能性がありますのでご注意ください。

 広島大学は、学長等のみが登壇し入学生は配信動画を見るという「無観客入学式」を行うようですね。また、授業開始日を遅らせる国立大学がいくつか出てきていることも注目したいです。

  学位記授与式 入学式
北海道大学 中止 中止
北海道教育大学 中止 中止
室蘭工業大学 中止 中止
小樽商科大学 中止 中止
帯広畜産大学 中止 中止
旭川医科大学 中止 中止
北見工業大学 中止 中止
弘前大学 卒業生・修了生のみで開催 3月中旬に公表
岩手大学 中止 通常通り開催予定
東北大学 総代のみで開催 新入生のみで開催→中止
宮城教育大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
秋田大学 中止 中止
山形大学 中止 中止
福島大学 中止  
茨城大学 中止 3月18日までに決定
筑波大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催→中止
筑波技術大学 卒業生・修了生のみで学部単位で開催  
宇都宮大学 中止 3月第3週中に決定
群馬大学 中止  
埼玉大学 中止  
千葉大学 中止 中止
東京大学 代表者のみで開催 中止
東京医科歯科大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京外国語大学 中止  
東京学芸大学 中止  
東京農工大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京藝術大学 中止  
東京工業大学 代表者のみで開催 中止
東京海洋大学 卒業生・修了生のみで開催→中止 新入生のみで開催→中止
お茶の水女子大学 卒業生・修了生のみで開催  
電気通信大学 卒業生・修了生のみで開催  
一橋大学 卒業生・修了生のみで学部ごとに開催  
横浜国立大学 中止 中止
新潟大学 中止 中止
長岡技術科学大学 卒業生・修了生のみで開催→代表者のみで開催 新入生のみで開催
上越教育大学 中止 検討中→中止
山梨大学 中止 検討中→中止
信州大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催→中止
政策研究大学院大学    
総合研究大学院大学 中止 中止
富山大学 中止 3月下旬までに決定
金沢大学 代表者のみで開催  
福井大学 代表者のみで開催 代表者のみで開催
岐阜大学 代表者のみで開催 中止
静岡大学 中止 中止
浜松医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
名古屋大学 中止 中止
愛知教育大学 卒業生・修了生のみで開催 中止
名古屋工業大学 中止  
豊橋技術科学大学 代表者のみで開催 中止
三重大学 中止 中止
滋賀大学 中止 検討中
滋賀医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
京都大学 3月10日(火曜日)以降に公表予定→中止 3月10日(火曜日)以降に公表予定→中止
京都教育大学 中止  
京都工芸繊維大学 卒業生・修了生のみで開催→中止 新入生のみで開催
大阪大学 代表者のみで開催 中止
大阪教育大学 卒業生・修了生のみで開催→中止 中止
兵庫教育大学 中止  
神戸大学 中止 中止
奈良教育大学 卒業生・修了生のみで開催→中止  
奈良女子大学 卒業生・修了生のみで開催 中止
和歌山大学 卒業生・修了生のみで開催  
北陸先端科学技術大学院大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催
奈良先端科学技術大学院大学 開催予定→代表者のみで開催 開催予定→中止
鳥取大学 中止  
島根大学 中止  
岡山大学 中止 新入生のみで開催
広島大学 代表者のみで開催 新入生は入場せずに開催
山口大学 中止 新入生のみで開催
徳島大学 中止  
鳴門教育大学 中止  
香川大学 中止  
愛媛大学 中止 中止
高知大学 中止 3月17日までに公表
福岡教育大学 中止 3月中旬に決定
九州大学 3月9日を目処に決定→代表者のみで開催  
九州工業大学 中止 中止
佐賀大学 中止 中止
長崎大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
熊本大学 中止 3月19日に公表
大分大学 中止 中止
宮崎大学 全体式典は中止 延期
鹿児島大学 3月中旬までに対応を決定→中止 開催予定
鹿屋体育大学 卒業生・修了生のみで開催 開催予定
琉球大学 代表者のみで開催 延期

各国立大学の学位記授与式及び入学式の実施状況について(3月6日時点)

電気通信大学が欠落していたため追記しました。

 新型コロナウイルス感染症の国内感染の拡大を踏まえ、各国立大学の公式HPにて、各国立大学の令和元年度学位記授与式及び令和2年度入学式の開催状況を整理しました(3月6日時点)。

 空欄はHPにて特に言及されていないことを意味しています。なお、「中止」には全員参加の式典は中止するが各学部学科等での学位記伝達式は行う、という状況も含まれています。

 着色は前回(3月4日時点)から変更のあった箇所、又は、対応が決定した箇所です。各大学の実施詳細は各大学HPにてご確認ください。また、調べ切れていないところなど、誤りが含まれている可能性がありますのでご注意ください。

 学位記授与式の実施状況は概ね出揃いましたが、通常通り開催する予定なのは現時点の公表状況からは奈良先端科学技術大学院大学のみだと見受けられます。前回は3月4日時点の記事を公表しましたが、その時点の決定から変更になっている大学がいくつかありますね。また、宮崎大学及び琉球大学の「入学式は延期」が気になるところです。

  学位記授与式 入学式
北海道大学 中止 中止
北海道教育大学 中止  
室蘭工業大学 中止  
小樽商科大学 中止  
帯広畜産大学 中止  
旭川医科大学 中止  
北見工業大学 中止 中止
弘前大学 現在検討中→卒業生・修了生のみで開催  
岩手大学 中止 通常通り開催予定
東北大学 総代のみで開催 新入生のみで開催
宮城教育大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
秋田大学 中止  
山形大学 中止  
福島大学 中止  
茨城大学 中止  
筑波大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
筑波技術大学 卒業生・修了生のみで学部単位で開催  
宇都宮大学 開催予定→中止  
群馬大学 中止  
埼玉大学 検討中であり3月6日頃に公表予定→中止  
千葉大学 中止  
東京大学 代表者のみで開催  
東京医科歯科大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京外国語大学 卒業生・修了生のみで開催→中止  
東京学芸大学 中止  
東京農工大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京藝術大学 中止  
東京工業大学 3月6日(金)17時頃に公表予定→代表者のみで開催 3月6日(金)17時頃に公表予定→中止
東京海洋大学 卒業生・修了生のみで開催 開催予定→新入生のみで開催
お茶の水女子大学 卒業生・修了生のみで開催  
電気通信大学 卒業生・修了生のみで開催  
一橋大学 卒業生・修了生のみで学部ごとに開催  
横浜国立大学 中止 中止
新潟大学 中止  
長岡技術科学大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
上越教育大学 卒業生・修了生のみで開催→中止 検討中
山梨大学 中止 検討中
信州大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催
政策研究大学院大学    
総合研究大学院大学 中止 中止
富山大学 中止  
金沢大学 開催予定→代表者のみで開催  
福井大学 代表者のみで開催 代表者のみで開催
岐阜大学 代表者のみで開催 中止
静岡大学 中止  
浜松医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
名古屋大学 中止 中止
愛知教育大学 開催予定→卒業生・修了生のみで開催  
名古屋工業大学 開催予定→中止  
豊橋技術科学大学 代表者のみで開催  
三重大学 規模を縮小して開催→中止 中止
滋賀大学 中止  
滋賀医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
京都大学 3月10日(火曜日)以降に公表予定 3月10日(火曜日)以降に公表予定
京都教育大学 中止  
京都工芸繊維大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
大阪大学 代表者のみで開催  
大阪教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
兵庫教育大学 卒業生・修了生のみで開催→中止  
神戸大学 中止  
奈良教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
奈良女子大学 卒業生・修了生のみで開催  
和歌山大学 開催予定→卒業生・修了生のみで開催  
北陸先端科学技術大学院大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催
奈良先端科学技術大学院大学 開催予定 開催予定
鳥取大学 卒業生・修了生のみで開催→中止  
島根大学 中止  
岡山大学 中止 新入生のみで開催
広島大学 代表者のみで開催  
山口大学 中止 新入生のみで開催
徳島大学 中止  
鳴門教育大学 中止  
香川大学 中止  
愛媛大学 中止  
高知大学 中止  
福岡教育大学 中止  
九州大学 開催予定→3月9日を目処に決定  
九州工業大学 中止  
佐賀大学 中止 中止
長崎大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
熊本大学 中止  
大分大学 中止  
宮崎大学 全体式典は中止 延期
鹿児島大学 開催予定→3月中旬までに対応を決定 開催予定
鹿屋体育大学 卒業生・修了生のみで開催 開催予定
琉球大学 卒業生・修了生のみで開催→代表者のみで開催 延期

各国立大学の学位記授与式及び入学式の実施状況について(3月4日時点)

 新型コロナウイルス感染症の国内感染の拡大を踏まえ、各国立大学の公式HPにて、各国立大学の令和元年度学位記授与式及び令和2年度入学式の開催状況を整理しました(3月4日時点)。空欄はHPにて特に言及されていないことを意味しています。各大学の実施詳細は各大学HPにてご確認ください。また、調べ切れていないところなど、誤りが含まれている可能性がありますのでご注意ください。

 各大学のHPを見たところ、多くの大学では一目で対応状況が分かるページを設けているところが大半でした。ただし、千葉大学はそのようなポータルページが見つからなかったことと、政策研究大学院大学ではコロナウイルスに関する言及が全くなかったことが印象的でした。

 私個人としては、学位記授与式よりも入学式の開催可否の方が影響が大きいと考えています。その意味で、各大学は入学式の開催可否について早急に検討・公表すべきでしょう。また、今ならまだ新入生への通知も郵送物への封入で間に合う可能性があります。

 また、あまり語られない論点ですが、学生の課外活動についても対応がむつかしいところです。活動の自粛要請をしている大学も多いとは思いますし、各大学の管弦楽団など3月に定期演奏会や発表会などを行う団体は軒並み開催中止になっています。このまま4月の新歓時期にまで自粛が伸びると課外活動への影響は非常に大きいものになるでしょう。課外活動も大学や大学生としての活力の一つですので、正課ではないから、と単純に切り捨てることはできないと考えています。

  学位記授与式 入学式
北海道大学 中止 中止
北海道教育大学 中止  
室蘭工業大学 中止  
小樽商科大学 中止  
帯広畜産大学 中止  
旭川医科大学 中止  
北見工業大学 中止  
弘前大学 現在検討中  
岩手大学 中止  
東北大学 総代のみで開催 新入生のみで開催
宮城教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
秋田大学 HP接続エラー HP接続エラー
山形大学 中止  
福島大学 中止  
茨城大学 中止  
筑波大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
筑波技術大学 学部単位で開催  
宇都宮大学 開催予定  
群馬大学    
埼玉大学 検討中であり3月6日頃に公表予定  
千葉大学    
東京大学 代表者のみで開催  
東京医科歯科大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京外国語大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京学芸大学 中止  
東京農工大学 卒業生・修了生のみで開催  
東京藝術大学 中止  
東京工業大学 3月6日(金)17時頃に公表予定 3月6日(金)17時頃に公表予定
東京海洋大学 卒業生・修了生のみで開催 開催予定
お茶の水女子大学 卒業生・修了生のみで開催  
一橋大学 卒業生・修了生のみで開催  
横浜国立大学 中止 中止
新潟大学 中止  
長岡技術科学大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
上越教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
山梨大学 中止  
信州大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催
政策研究大学院大学    
総合研究大学院大学 中止 中止
富山大学 中止  
金沢大学 開催予定  
福井大学 代表者のみで開催  
岐阜大学 代表者のみで開催 中止
静岡大学 中止  
浜松医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
名古屋大学 中止 中止
愛知教育大学 開催予定  
名古屋工業大学 開催予定  
豊橋技術科学大学 代表者のみで開催  
三重大学 規模を縮小して開催  
滋賀大学    
滋賀医科大学 卒業生・修了生のみで開催  
京都大学 3月10日(火曜日)以降に公表予定 3月10日(火曜日)以降に公表予定
京都教育大学 中止  
京都工芸繊維大学 卒業生・修了生のみで開催 新入生のみで開催
大阪大学 代表者のみで開催  
大阪教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
兵庫教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
神戸大学 中止  
奈良教育大学 卒業生・修了生のみで開催  
奈良女子大学 卒業生・修了生のみで開催  
和歌山大学 開催予定  
北陸先端科学技術大学院大学 代表者のみで開催 新入生のみで開催
奈良先端科学技術大学院大学 開催予定 開催予定
鳥取大学 卒業生・修了生のみで開催  
島根大学 中止  
岡山大学 中止  
広島大学    
山口大学 中止  
徳島大学 中止  
鳴門教育大学 中止  
香川大学 中止  
愛媛大学 中止  
高知大学 中止  
福岡教育大学    
九州大学 開催予定  
九州工業大学 中止  
佐賀大学 中止  
長崎大学 卒業生・修了生のみで開催  
熊本大学    
大分大学 中止  
宮崎大学 規模を縮小して卒業生・修了生のみで実施 延期
鹿児島大学 開催予定  
鹿屋体育大学 卒業生・修了生のみで開催 開催予定
琉球大学 卒業生・修了生のみで開催  

職員が自大学のことを知る3つの方法(この時期だからこそできることを含む)

 先日、入職3年程度までの職員と会食していた際、勤務している大学のことを知るにはどのような方法があるのかという質問を受けました。幣BLOGでも何度か言及してきましたが、この時期だからこそできることを含め、以下の3つの方法を整理します。

1.教員が書いた書籍を読む

kakichirashi.hatenadiary.jp

 すでに幣BLOGでもお話しした通り、教員が書いた書籍を読むことで、各教員の教育研究内容を理解する手掛かりになります。自大学の図書館ならば配架していることも多いと思いますので、図書館を利用するのもよいですね。

2.一般向けの広報物を読んだりイベントに参加する

 職員と言えども、入職一年目などは一般の方と大きく知識が異なるわけではありません。そのため、まずは一般向けの広報活動を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

 各大学は、おそらく一般向けの広報物を発行しています。web上でも公開されていることと思いますので、過去発行分も含め、それを通読しましょう。また、HPなどで告知されている公開講座等一般の方向けのイベントにも、予定と興味関心が合えば参加してみてもいいでしょうね。そこから始めれば、学内会議資料や自己点検・評価報告書などの詳細な資料も読み解けるようになるかもしれません。

 各大学が行う公開講座は各大学のHPにて情報提供されていますが、一部の大学の講座は以下のサイトでも検索できます。

www.second-academy.com

3.最終講義に参加する

12月ごろから、退職する教員の最後の講演(いわゆる最終講義)の案内が始まることでしょう。

www.u-tokyo.ac.jp

 その教員が行う最終講義は、人生で一度あるいは数度しかありません。お世話になっている教員や興味関心のある分野などの最終講義は、教育研究内容だけではなく教員の人生観やなども聞くことができます。ゼミOBなどが対象でハードルが高いと思われがちですが、私が何度か参加した範囲では通常の公開講座と同じような進行でした(医学系はわかりませんが・・・)。

 最終講義はこの機会しか聞けませんので、予定と興味関心が合えば参加してみましょう。私も、今年もいくつか聞きに行く予定です。