読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

国立大学事務職員はどの程度学務業務に従事しているのか。

職員と学生の関わりに思う 〜非学務系職員は学生と関われるのか?〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG

 以前のエントリーのとおり、私は学務系の業務に就いたことがありません。そのため学務系の業務に関する相場観がつかめないことが多いです。また、学生が大学職員を志望する理由として良くある「学生と接して〜〜〜」というのも、ピンとこないですね。私自身が今そのような職務では無いため、学生を接する以外の職務に就いた場合はどうするつもりなのだろうと思ってしまいます(ちなみに私が大学職員を志望したのは学生云々とは全く異なる理由からです)。このような背景意識もあり、前からずっと気になっていたことがあります。国立大学の事務職員ってどのくらい学務系に携わっているのでしょうか。

 専任事務職員の職務別統計が公表されていれば良いのですが、あいにくとそのような資料を見つけることができませんでした。そのため、相場観を把握することを目的として、少々強引な手段で学務に関わっている事務職員数を実証してみます。(独)大学評価・学位授与機構が実施する大学機関別認証評価の評価基準における観点3−3-①には、「教育活動を展開するために必要な事務職員,技術職員等の教育支援者が適切に配置されているか。また,TA 等の教育補助者の活用が図られているか。」という項目があります。ここでは教育課程を展開する上で必要な教務関係や厚生補導等を行う事務職員等の配置状況を分析することとなっており、総務、経理等の事務職員は含めないことになっています。大学によっては添付資料ではなく自己評価書本体に教務系事務職員の人数を掲載している場合がありますので、認証評価の自己評価書を用いて教務系事務職員数を抽出します。

 対象としたのは、平成26年度及び25年度に(独)大学評価・学位授与機構で大学機関別認証評価を受審した国立大学のうち、自己評価書中に教務系事務職員数が掲載されている29大学です。なお、事務職員数の計上方法は各大学によりバラバラであり必ずしも同様の業務に携わっている事務職員を計上したものではないということ、基本的には専任事務職員を抽出していますがその中には図書系や課長等管理職が含まれている大学含まれていない大学が混在していることに留意が必要です。つまり、めちゃくちゃ大きく異なるわけではないけれども、数値の厳密性は低いということです。まあ29大学もありますし、だいたいの割合を把握する分には大きな問題はないだろうと判断しています。
また、専任の事務職員数として大学基本情報の事務系本務職員数を用い、教務系事務職員比率を算出しています。

f:id:samidaretaro:20151020230916p:plain

 図1に国立大学における教務系事務職員比率を示します。図1から、本務事務職員、教務系事務職員数とも各大学により差があること、教務系事務職員比率は5%〜50%と各大学でかなり差があること、赤枠で囲った医学部附属病院を持つ大学が教務系事務職員比率が比較的低いこと、単科大学は教務系事務職員比率が比較的高いことがわかります。

 医学部附属病院を持つ場合は附属病院として事務職員を配置しているため、教務系事務職員比率が低くなると推測できます。また、単科大学についてはそもそも職員数自体が少なく、特に医科系単科大学以外は教務系事務職員比率が高くなることが推測できます。全体的に見ると、規模感の大きい大学ほど教務系事務職員比率が低いようにも見えますね。

 ただ、やはり懸念していたとおり、数値の計上方法による現実との不一致が発生しているように思えます。弘前大学宮崎大学はもっと教務系事務職員比率が高いと思えますし、浜松医科大学旭川医科大学とがこれほど離れているのは不自然ですね。単純に学務係の人数を計上しているような大学もありましたが、その他学部事務等の人数は計上されていないでしょう。「教務系」という言葉も各大学で解釈が異なりますので、前述の通り、厳密な数値と言うよりは、大きな目で傾向を把握する程度に留めておいた方が良さそうです。

 全体的な教務系事務職員比率の相場観としては、旧帝大等大規模大学ならば10%〜20%、医学部を持つ総合大学ならば20%〜30%、医学部を持たない大学や単科大学ならば25%〜40%程度といったところでしょうか。個人的な感覚とは一致する範囲であるため、まぁまぁこんなもんでしょう。なお、私立大学の教務系事務職員比率も調べたかったのですが、すぐにみつからなかったためあきらめました。予想では国立大学よりも高めなのではないかと思いますが、もしデータ等ご存じの方はご教授いただければ幸いです。

 数値を拾っていて思ったのは、非常勤職員が多いということです。大学によっては正規職員と同数程度の非常勤職員が教務系業務に従事しており、話には聞いていたことを実感することができました。このへんは経年変化も気になるところです。

 ここまで、認証評価のデータを用いて国立大学の教務系事務職員比率を見てきました。各大学の人事方針や人事異動もあるため、ずっと非教務系の職務を行うとは限りません。ただ、現実として、国立大学法人の事務職員が全員学務系業務を行うわけではないことは想像できます。つまり、新規採用者が採用後すぐに学生と関われる職務につけるとは限らないということはこの数値を以て理解してもらえると思います。もし国立大学法人職員への就職を希望される方で志望動機が学生云々だけの場合は、もう少し大学職員の仕事を広く考えてもいいかもしれませんね。