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NEWS23「国立大学改革に疑問...」を見ました。

大学一般

 平成27年7月8日(水)夜に放送されたJNN-NEWS23の「国立大学改革に疑問...」を見ました。7分間程度のミニコーナーといった感じでしたが、概ね今まで報道等で言われているような「国立大学から文系"廃止"!?」といった内容でした。おおまかな放送内容の流れは、以下のとおりです。

  1. 文部科学省からの通知(国立大学法人の組織及び業務全般の見直しについて)の紹介
  2. 地方国立大学から都内私立大学へ赴任した教員へのインタビュー「人文系の教員の居心地が悪くなっている。後任も補充されなくなっている。」
  3. 滋賀大学長へのインタビュー「人文社会系の学者は体制を批判するために排斥され、その結果必ずその国は全体主義国家になると言ってもいい。運営費交付金の配分は文科省の裁量であり、各大学なんとか交付金を増やそうとしている。」
  4. 文部科学省国立大学法人支援課長へのインタビュー「学生に身につけさせる力を考えた時には人文科学系やリベラルアーツの力は大変大事だが、そのような力を身につけさせられるような教育の質の転換ができる組織になっているのか徹底的に見直してほしい。学生の教育環境が狭まるのではないかという懸念に対しては、各大学でどういう教育研究を進めていくかという大学の方向性の決めの問題であり、それは大学にお任せをする。」
  5. 国立大学協会長へのインタビュー「国が型にはめた教育などを押し付けると、大学の多様性が損なわれ、国家的な損失につながる。そのようにならないようにしてほしい。」
  6. スタジオトーク「国立大学は人材の育成機関であり、今あるニーズがいつまで保たれるかわからないため、広い視野を持った人材を育成することが大事。大臣の通知は唐突な感じがする。気になるのは、現政権の方向性と今回の通知は関係があるのかということ。」

 例えば国立大に文系不要? 「すぐ役立つ」は息苦しい 論説 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト高知新聞:高知のニュース:社説:【国立大改編通知】維持したい学問の多様性など、今まで報道されていることと概ね同じ内容でしたね。

 一部事実誤認につながりかねない内容があったので、その指摘から。

 まず「後任が補充されない」ことですが、これは人件費などに使える一般運営費交付金が毎年度1%づつ削減されていることに関係します。人件費総額をむりやり削減されているため、各国立大学は退職教授の後任に准教授を充てるなどの人件費削減につながる対応を行っています。各大学すべての対応を承知しているわけではありませんが、全ての学部等から均等に1%づつ削減している場合が多いと推測できますので、必ずしも人文系学部のみ後任補充がなされないわけではなく、各学部等しく後任補充が適切に行われていないと考えた方が現状にあっているだろうと思います。(それはそれで危機的な状況だと思いますが。。。)

 また、「運営費交付金の配分は文科省の裁量」については、半分正しくて半分誤りという印象です。以前弊BLOGでも言及した通り、運営交付金は大きく分けて一般運営費交付金と特別運営費交付金に区分でき、前述のとおり一般運営費交付金は機械的に1%づつ削減されています。一方、特別運営費交付金文科省が配分する予算であり、各国立大学から提案のあった特徴的な教育研究等活動から文科省が選定・予算配分します。後者は特に政策誘導的予算という性質もありますので、各大学が国立大学改革強化促進事業などの予算を獲得するために様々な努力をし、削減された一般運営費交付金の分を少しでも取り返そうとしている構図ですね。

 内容自体は、各自の言い分について、まあそのとおりなんだろうなという思いを抱きました。一方、以前弊BLOGでも言及したとおり、私自身は本件について社会保障費増大に伴う財政健全化や私学セクターとのバランスを考慮した上での国家予算配分の問題が大きいと考えていますので、お金の面にほとんど触れらなかったことには違和感を覚えました。スタジオコメンテーターは年配の方のように見受けられましたが、自身の年金支給額を削減して国立大学の予算に回すことに賛同いただけるのでしょうか。また、今回の話が出て以降、国立大学人文社会科学系に対する国民からの形ある支援、つまり寄附金はどれほど集まったのかは気になるところです。

 なんにせよ、国立大学を取り巻く状況や問題が社会に認知されることは良いことですし、今回のような特集が増えていけば良いですね。