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国立大学法人運営費交付金に思う 〜なぜ定員管理をするのか〜

 国立大学の機能等について話をする際、税金が投入されているつまり多額の運営費交付金が国庫から支払われているということは、必ず話に上がります。また、運営費交付金総額が年々減少していることにより、国立大学の教育研究機能が年々低下しているという指摘も度々されています。

平成24年度国立大学法人運営費交付金等の概要

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/028/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2012/05/18/1320934_2.pdf

 ※以下、複雑な計算式に基づく話を簡略化するため、一部省略や内容の簡素化等をしています。イメージとして掴んでください。

 さて、ここで言われている「運営費交付金」について、その内訳を示します。なお、金額は平成24年度予定額であり、大学共同利用機関法人を含めた90法人の総額です。

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 図のとおり、「国立大学法人運営費交付金」は大きく4つに分けられます。今回はその中で「一般運営費交付金」についてお話しをしようと思いますので、その他については省略します。なお、「特別運営費交付金」については、各大学から申請のあった教育研究事業に基づき、文部科学省が事業を選定し支給する、ある意味で競争的な交付金ですが、その選定理由等は明らかにされていません。しかし、先行研究に依れば、「前年度配分が少ない大学に今年度配分するという財源保障型の配分が行われている傾向がある」と指摘されています。

国立大学財政システムのあり方についての考察 -運営費交付金の構造分析-

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/09j006.pdf

 図1に「一般運営費交付金」のイメージを示します。要は、支出予定から収入予定を引いた金額を一般運営費交付金として充足しているということです。支出予定とは、国立大学法人化以前の人件費や基盤的な教育研究経費を基に各種係数等を掛けた金額、収入予定とは授業料など次年度の学生納付金収入を計算した金額です。それらの差が一般運営費交付金となります。かなり複雑な算定ルールですので、詳細は以下京都大学第2期中期計画pdfファイルのP14以降を参照ください。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/operation/medium_target/documents/h22_keikaku-1.pdf

 なお、外部資金収入は運営費交付金対象外とされていますので、獲得した分だけ大学で経費使用できることになります。

 図1に示したとおり、学生納付金収入は学生定員数を基に算出されています。次年度の一般運営費交付金金額を決定するため、現員ではなく定員を用いた予測ということですね。一方、学生定員と言えば、文部科学省から定員管理がうるさく言われているのは大学関係者の皆さんが承知するところだと思います。

 私は、国立大学における定員は、運営費交付金支出に大きく関わっているために、特に厳密な定員管理が求められているのではないかと考えています。具体例を見てみましょう。

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 図2に、定員超過をした場合を示します。見て分かるとおり、定員超過したため学生納付金収入が予想よりも過大になり、事業費よりも収入が高まっています。つまり、税金の余分支払いが発生しているわけです。税金の無駄使いが指摘されている昨今では、どこからの攻撃とは言いませんが、格好の標的になりそうですね。

 また、図3に、定員過少だった場合を示します。学生納付金収入が予想よりも過少になり、事業費が不足しています。この場合でも、追加の交付金が来る訳ではなく、結果として大学の業務は適正に行われる(はず)です。支出した税金が少なく済んだため良いのではないかとも考えられます。しかし、学生が少なくとも適正な業務が行われるのであれば教員等無駄な人員が発生しており、そもそもの一般経費自体が過大であったのではないか、また、定員未充足とはそもそもニーズがないことの裏付けであり無駄ではないか、とどことは言いませんが言い出しかねません。

 以上はかなりざっくりとした私の考えであり、もちろん国がそのように考えているものではありません。また、運営費交付金自体は渡しきりの交付金であり、このような自体が発生したとしても直ちに返還を求められるものではありません。しかし、税金を配分する側から見れば、どのようなものであれ一定のルールに従い配分した金額が予想と異なる動きをしているときは、その無駄を考えてしまうものなのでしょう。

 このように、定員と運営費交付金とは密接な関係にあり、単純に定員管理を緩和しただけでは問題は解決できません。現員ベースに予算配分するにしても、どの時点の現員を基に金額を決めるのかなどの問題もあり、そう単純には物事は進まないなという思いです。国立大学法人の管理の根幹を成す部分であり、抜本的に変化させることも必要とも思いますが、ただ国立大学側からどのような働きかけができるか考え込んでしまう部分です。

 なお、次年度の国立大学の予算は、前年の年末に文部科学省から通知があるようです(ねじれ国会時は少し違ったようですが)。一部の人はクリスマスプレゼントとも言っていました。しかし、サンタクロースが1年間良い子にしてたご褒美にくれるプレゼントにしては、あまりにも夢がないものだな、と思ってしまいます。