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国立大学法人の職員採用に思う 〜多様化する採用形態〜

大学一般

一般社団法人 国立大学協会 <一般公開サイト> 国立大学法人等職員をめざす方へ

 国立大学法人等の職員採用について関心をお持ちいただきありがとうございます。国立大学は、平成16年4月から法人化し、文部科学省が設置する国の機関から国立大学法人へと生まれ変わりました。これに伴い、国立大学法人等の職員の身分は、国家公務員から非公務員型の法人職員へと移行したため、職員の採用方法は人事院が実施する「国家公務員採用試験」から国立大学法人等が合同で実施する試験を通じて行うよう変更されました。この試験は、北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の7つの地区で実施します。

 平成26年度国立大学法人等統一採用試験の一次試験が全国一斉5月18日(日)に行われます。ということで、今回は国立大学法人の職員採用について。なお、特別な言及がない限り、事務系職員の採用について述べていると思ってください。

 冒頭の国立大学協会HPにもあるとおり、国立大学の職員は平成16年度に国家公務員から非公務員型の法人職員へと移行しました。とは言っても、法人化を契機にこれまでの取組全てが刷新されたわけではなく、名前ややり方を変えながら国家公務員時代の取組を引き継いでいることも多いです。職員採用についても、統一試験の後に個別試験を行うなど、国家公務員採用試験の流れを汲んでいることは明らかだと考えています。実際、公務員試験等との併願者は相当数に上ると思います。それが一概に悪いと言うわけではなく、一定程度合理的効率的であるからこそ、このような形で実施されているのでしょう。

一般社団法人 国立大学協会 <一般公開サイト> saiyou 試験のながれ・統一採用試験を利用する機関

1.試験までのながれ

 平成26年度統一採用試験のながれは以下のとおりです。

 大まかに言って、統一採用試験は、各地区統一問題による筆記試験を行った後、その合格者が各法人による2次試験を受験し、法人毎に採用者を確定するという形式を取っています。一次筆記試験は統一的に行うとは言え、北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の各ブロックによって採用試験に向けた取組は若干バラエティがあるようですね。例えば、各ブロックにて行われる業務説明会等も、各ブロックによってその方法や回数などが異なるようです。また、各ブロックのHPも、基本的な情報は押さえられているとは言え、各ブロックにより情報密度に差があるとも感じています。

 一次筆記試験を突破した後は、各法人の採用試験が行われます。優秀な人材を確保しようという意図もあり、リクルート用HPを作成している法人もあります。

トップ | 東京大学職員採用情報

京都大学職員採用情報

2014 大阪大学職員採用サイト | コイっ!阪大

阪大のインパクトはすごいですね。

 各法人における採用試験も、集団面接と個人面接を組み合わせ複数回実施するところから、比較的少ない回数で面接を行い内定を出すところまで、様々という印象です。

 平成26年度国立大学法人等統一採用試験の一次試験の申込者数と採用予定者数をブロック毎に示します。なお、全て採用区分事務のみの数値です。

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 申込者が全て受験するとは限りませんし、公務員試験等の結果によっては途中で離れる者もいるでしょうから、現時点での倍率を以て単純に採用倍率と言うことはできません。ただ、40倍~110倍という倍率は、そこそこ高倍率なのかなと思っています。 

   ここまで、統一採用試験を基にした国立大学法人等職員の採用事情を見てきました。ただし、法人によっては、これに依らない採用(特に新卒採用)を行っている法人もあります。いわゆる「独自採用」を行っている法人です。 独自採用を行った先駆けは、東京大学福井大学だったと記憶しています。その後徐々に増え続け、現在リクナビで検索をすると、以下のとおり情報が出てきます。

【国立大学法人 広島大学 新卒採用】

【国立大学法人福井大学 新卒採用】

【国立大学法人 京都大学 新卒採用】

【国立大学法人 東京大学 新卒採用】

【国立大学法人 東北大学 新卒採用】 

 リクナビに掲載せずとも、大学HPに募集を告知している法人もあります。

三重大学 | 事務職員採用試験(本学卒業(見込)者対象)

 さらに、このようにweb上に公表されていなくとも、自大学卒業生予定者をターゲットとして、学内掲示のみで募集を行うケースもあると聞いています。実際、数年前にとある国立大学を訪問した際、何気なく壁に掲示がしてあったことを記憶しています。 国立大学法人等の事務職員採用形態は着実に多様化していますが、それはまだ端緒についたばかりであり、評価はなかなか困難だと感じています。例えば、(恐らく現在は行われていないとは思いますが)採用区分の違いによる特性に合った研修体系の違いや配置状況の違いなど、どのように在るべきか難しいですね。

 とある国立大学では、学内研究室推薦による職員採用を行ったところ、統一試験採用者との質の差異が明らかになったと風の噂で聞いたことがあります。話してくれた方は、どうやら各研究室で企業に内定を得られなかった者を大学職員に推薦したのではないかと推測しているようでした。もちろん、又聞きですし事実確認もしておらず、あくまで噂レベルですが。。。(容易に想像できる自分もイヤですね。)

  ここまで、全般的な国立大学法人等職員の採用状況を見てきました。独自採用を行った方が良いかは、採用コストなどとも関係もあり、一概に判断できません。ただ、職員の多様性を考えると、色々な採用手段があっても良いのかなと思います。職員採用については「専門性」という観点からも語ることができます。この点について、天野郁夫東京大学名誉教授は、平成18年時点で、以下のとおり述べています。 

(平成19年3月)独立行政法人 国立大学財務・経営センター[出版物]国立大学法人の財務・経営の実態に関する総合的研究

第5章 

国立大学法人の現実と課題

 しかし、法人化 2 年後の現状では、実際の職員の採用や研修のシステムが、そうした危機感を適切に反映したものになっているとは、いいがたい。法人化前にくらべて、たとえば職員採用の方針が変わったと答えた理事は半数強(57%)に過ぎず、専門能力を重視して採用していると答えた理事も2割にとどまっている。採用方針の変化があった大学で、その変更の具体的な内容として最も多くあげられているのは「専門性」の重視だが、それが現実に最重要の採用方針とされるようになるのは、まだ先の話と見なければなるまい。 (P81) 

 「まだ先の話」は、現状を見るに「まだ先」であることは間違いなさそうです。 採用の原則は「前年度よりも優秀な人材を採用する」だと思っており、基本的には後輩は自分よりも優秀であると思っています。もちろんこれは理想的な話ではあり現実的ではありませんが、少なくともそのような心意気で後輩に接していると言うことです。そのような優秀な人材は、採用時だけではなく入職後においてもどのように育成するかが重要なことは言うまでもありません。

 学生の入学から卒業までを見守るエンロールメント・マネジメントという言葉があり、それは概ね教学・学務系の部署が担当しているものと思います。同じように、入職から定年までどのように人材を育成していくか、その役割を担うべきなのは人事系部署でしょう。だからこそ、これまでの処理系業務のみではなく企画系能力を持った人事部署を育てていく必要があるなと考えています。