国大協若手職員勉強会に思う 〜新しい勉強会の形とはなにか〜

一般社団法人 国立大学協会 <What's New> 平成25年度 国立大学法人等若手職員勉強会 - 見つけよう!一人ひとりの「強み」と「役割」- を開催(12/9-10)

 国立大学協会は、12月9日(月)・10日(火)の両日、一橋講堂(学術総合センター)において、平成25年度国立大学法人等若手職員勉強会を開催しました。本勉強会は、国立大学等の継続的な発展に貢献する若手職員の目的意識の改革及び資質向上と若手職員間の相互交流を目的として当協会が主催し、毎年実施しているものです。過去に本勉強会に参加経験のある国立大学法人等の職員10名が企画員となり、2日間のプログラムの企画・運営を行いました。概ね経験年数5~10年の国立大学法人等の若手事務職員を対象としており、今回は、各大学等から119名が参加しました。

 国立大学協会の若手職員勉強会が開催されたというニュースが掲載されていました。この勉強会は、(独)国立大学財務・経営センターにより平成19年度から開催されていた事業であり、平成24年度から(一社)国立大学協会に事業移管されたものです。

第1回実施要項:http://www.zam.go.jp/pdf/00000086.pdf

 勉強会の詳しい内容は記事からはわかりませんが、サブタイトルに「強み」とあることから、おそらく国立大学改革プランを加味した内容だったのではないかと考えています。

 全国規模で国立大学の若手職員が集まる場としては、平成19年度から開催されている「国立大学一般職員会議(コクダイパン会議)」があります。ちょうど今年9月に開催された第7回会議の報告書がアップロードされていますね。‎

国立大学一般職員会議(コクダイパン会議)

 この2つの大きな違いは、業務上の取組であるか有志の取組であるかだと認識しています。開催曜日からもわかるように、国大協勉強会は業務の一環であり旅費が所属機関から支給されている一方、コクダイパン会議は私費参加なのでしょう。ただ、コクダイパン会議の報告書を見ると、所属機関からの旅費等支援を受けている参加者が全体の75%であり、機関により事情が異なるとも考えられます。

 これは通常の出張にしてもそうなのですが、機関から旅費等支給されている場合つまり業務上である場合は、機関に還元できるような成果が機関から求められていると思っています。そう考えると、企画側にとってみれば、業務内の勉強会というのはだいぶ「重たい」ものですね。(もちろん、機関もそこまで厳密に成果を求めるものではないでしょうが、企画側が初めから成果を求められていないと意識することは誤りでしょう。)

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 ここまで考えて、簡単に勉強会の類型分類をしてみようと思い立ち作成したのが、表1です。表1は勉強会企画側から見て、業務内の取組か業務外の取組か、参加者は学内者のみか広く学外にも参加を募るのか、内容は専門的なスキルを涵養するものか「仕事への取組方」など職業意識に関連するものか、という3軸で勉強会を分けたものです。最後の内容面については、少し曖昧なところがありますが、議論等される領域が限定的(学務について、財務についてなど)であったり、よりノウハウに近いものであるという視点で考えています。

 各象限には、想定される勉強会等を当てはめています。学内者対象の象限は、各大学いろいろあるでしょうからなんとなく当てはめていますが、学内者学外者対象象限は実際にある勉強会等を当てはめています。各象限により、効果的なやり方や留意すべき点が違うでしょうから、このマトリクスで勉強会の企画手法や運営方法を整理できないかなと考えています。完成はまだ少し先になるかもしれませんが。

 さて、初めの話に戻りますと、このような短期間の勉強会の成果を参加者側がどのように出していくか、企画者側はどのように参加者に成果を出してもらう仕組みを作れるか、というのはとても難しいと思っています。このような短期間の勉強会というやり方は、大学職員の学び方として比較的難易度や効果が低いものだと思いますが、その対極にある難易度や効果が高い学び方とは大学院での勉強でしょう。この両者をつなぐ線上に、より成果を出しやすい新たな勉強会の運営に関するヒントがあるのではないかと考えています。

 例えば、半年後に再び集まることを前提として勉強会を開催し、半年後に解決する課題を特定するとともに、会終了後に参加者間で1か月ごとに進捗を確認しあいフィードバックを受けながら、半年後に再び集まった際に成功事例や失敗事例を発表し原因を検討する、といった運営方法や考えられます。この場合、特に「なぜ失敗したか」を皆で検討することに大きな意義があると思っています。少し長い期間で課題を解決を図り、それに対するフィードバックを受け続けるというのは、企画者参加者ともきつい部分もありますが、得られるものもあるのではないでしょうか。

 私の印象では、若手職員の勉強会を企画するのは参加者と同じ若手職員であるというケースが多いと感じています。勉強会の企画という取組そのものがOff-JTと認識されているためでしょう。確かに、私自身も企画の取組による能力の伸長を実感しているところです。しかし、参加者に対し終了後も細やかなフィードバックを行う場合、参加者とフィードバックする者が同じ若手職員であることは必ずしも適切ではありません。この場合のフィードバックとは、つまり教授(教える)関係の初期段階でもあると思いますので、ミドル層やそれより上の管理者層も巻き込んで企画を作る必要性も感じています。

 大学院での勉強とは、所謂「師」を作ることでもあると思いますので、それに少し近づいた勉強会の企画とは、今までとは少し違ったものになるのかもしれないと考えています。