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聞き耳というアンテナを立てるということ。

若手社員が育たない。: 「ゆとり世代」以降の人材育成論 (ちくま新書)

まじめで優秀、なのに成長が見られない。そんな若手社員が増えている。「ゆとり世代」とくくられる彼らは、なぜ育たないのか?成長する者と成長しない者の差はどこにあるのか?彼らが成長する秘訣は何か?本書はそんな疑問に答えるべく、若手社員の世代的特徴、現在の職場環境、大学での経験など問題の背景を探り、彼らが育つ改革プランを提案する。リクルートで学生・企業双方を長年研究してきた著者が成果をまとめた、渾身のリポート。

 最近、上記書籍を読みました。最近の若手社員の人材育成をめぐる問題がコンパクトにまとめられていて、サッと全体像を把握するにはちょうど良かったです。その中で、ちょっと気になるフレーズがありました。

 職場学習が困難になり「見よう見まね」ができなくなった要因として、

40代以降の方は、自分が若かりし頃の職場を、思い返してみてほしい。そこには「見聞きすることのできる情報」が溢れていたはずだ。(略)しかし、パソコン、メールの普及により、職場のあらゆる情報はデジタル化し、耳で聞こえる情報、目で見ることのできる情報は激減した。これは、学習環境としては危機的な変化だ。(略)仕事のできる同僚や後輩がいたら、その人の電話の声や机回りを観察していれば、仕事のやり方は盗めた。見よう見まねができる環境がかつてはあったのだ。そうした情報は、いまやすべてパソコンの中にある。情報のブラックボックス化だ。同僚・先輩の数は減り、学習機会は、ブラックボックスの中に取り込まれてしまっている。職場の学習環境は、この側面でも劣化してしまっている。(P95)

と書かれています。これはちょっと意外でした。私が入職したときはすでに一人一台PCがあったため昔の仕事の作法は知りませんが、グループウェアの普及や業務のIT化により職場の情報共有は進んでいると思っていたからです。ただ、よく考えてみると、本書の言っていることも確かにそうかもしれません。

 グループウェアを導入しても利用率が上がらない、業務ファイルがネットワークフォルダではなく各者のデスクトップのみにあって参照できないなどは、どこの職場でも聞く話です。また、コピー取りなどの機会が減少したことにより、他者が作った資料等を目にする機会も少なくなったのでしょう。それを職場の学習環境と呼んで良いのかはわかりませんが、何もせずに目にできる情報というのは確かに減少していると考えてよさそうですね。(適切に情報が紐付けられていれば業務上の問題はないとは思いますが。。。)

 そんな中、私が日頃からちょっと意識して行っているのが「聞き耳を立てる」ということです。同じフロアの者がどのような話をしているのか、どのような電話をしているのか、たとえ背面で見えなかったとしても聞こえてくる情報をキャッチしようとしています。自分自身が業務をこなしていても耳はあいていますので、文字を書きながらあるいは資料を作りながら、頭の片隅を使って声を聞いていますね。

 こうすれば各者が今のどのような仕事をしているのかがなんとなくわかりますし、特に声を出す状況とは相談事や質問などが多いですので、必要に応じて声をかけることもできます。上司から突然声をかけられたとしても、それまで話していたことの延長ならば、初動をスムーズに行うことも可能です。

 あまり趣味が良いとは言えませんが、業務上明らかにメリットがあるため、ひっそりと行っている次第です。打ち合わせの場を持つ、グループウェアの利用を促進するなど積極的な情報共有を図ることも必要だと思います。ただ、聞き耳を立てるような受動的な情報共有も、あまりコストを払わずにできるため、ちょっと意識してみても良いですね。先輩や上司がどのように働いているのか、後輩が困っていそうなことはないのか、少しづつ意識すると、新しい仕事の視点が得られるかもしれません。