大学ランキングに思う

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 TIMES Higher EducationのWorld University Ranking 2013-2014が発表されました。きっと、日本の大学がどうだこうだとかは他の方がお話しされるでしょうから、少し違ったことを書きます。

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 TIMES Higher EducationのWorld University Rankingは何がすばらしいかと言うと、各大学の情報を容易に比較できることだと思っています。アメリカとイギリスの一部の大学のみですが、いろいろな情報を見やすく比べられるようになっています。


 現在検討中の大学ポートレート(仮称)もこのような形になれば良いのですが、会議資料を見るとどうやら大学間の比較はできない仕様になりそうで、とても残念です。一部の私立大学が反対したためとも聞きますが、そもそも800近くある全大学を同じ土俵で見てくれという要望の方が無理があり、事実は事実として国民・受験生等が比較検討できる形で公表し、その上で各大学の良い点頑張っている点を広報していく方が良いのではないか、というのが私の考えです。悪目立ちしている指標があるのならば、それに対する対応策も同時に示しながら説明を続けていけばいいでしょう。その説明すらできないほど悪化指標を放置しているのであれば、それは戦略的な取捨選択か大学の怠慢かのどちらかです。
 なんにせよ、現在の大学ポートレート(仮称)構想では、元々の役割である「大学進学希望者やその保護者などの学費負担者をはじめとする大学教育に関係・関心を有する者に分かりやすく情報を提供すること」が果たせないのではないでしょうか。むしろ、大学ポートレートが動き出した後、有志の手によりそのデータを基にした大学比較サイトができるのではないか、とも思っています。

 話は変わって大学ランキングについてです。現在、大学ランキングと言われているものはたくさんあり、それぞれに順位付けするための指標が設定されています。よく大学ランキングで批判されるのは、「指標があいまいで単純に比較できない」ということです。それがどういうことか、実際に示してみます。

日本最大級の大学 新発見サーチエンジン「進学COM」

 最近新しくできた大学サーチエンジン「進学COM」です。ここでは、各大学の教育・研究、就職、環境などの要素を5点満点で数値化し、並び替えを可能にしています。対象エリアを「全国」とし、総合ポイントが高い順に並び替えた上位10校が以下のとおりです。
No.1 早稲田大学
No.2 東京女子大学
No.3 同志社女子大学
No.4 慶應義塾大学
No.5 東京理科大学
No.6 近畿大学
No.7 広島大学
No.8 関西大学
No.9 美作大学
No.10 愛知学院大学
 どうでしょうか。皆さんの考える「全国上位10校」と同じだったでしょうか。恐らく全く違うものではないかと思います。順位付けの基となった指標は「独自数値の偏差を元にします」と書かれていますが、数値の出典や指標算出式は書かれておらず、このランキングの妥当性が判断できません。


 このように、指標が変わるだけでランキングの結果は大きく変わってきます。気になってしまうのは仕方ありませんが、一喜一憂せずに、指標をしっかり判断して強み弱みを把握していく必要がありますね。