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地域における国立大学の役割に思う その3

大学一般

 前回までの有識者調査結果の分析に引き続き、今回は自治体調査結果の分析を行います。なお、自治体調査は、各大学が設置されている県及び県内各市の中堅幹部(課長)を対象として行われました。

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 図9に、自治体調査における各大学の総合評価の結果を示します。なお、前回と同様に、集計方法の違いにより長崎大学は除外しています。

 図9から、前回示した有識者調査の結果(図4)とほぼ同様に、各大学が同様の傾向を示す設問と異なる傾向を示す設問があることがわかります。問2「優れた学生が全国から集まってきている」問4「卒業生は全国の第一線で活躍している」問5「研究のレベルは全国的にみて高いほうである」については、香川大学のポジティブ回答が比較的低い傾向にあり、有識者調査と同様に自治体においても香川大学がローカル志向な大学であると認識されている可能性が示唆されます。また、同設問において、岩手大学広島大学と同様の傾向を示しており、岩手大学がその規模感の割に自治体において評価されていることが想像できます。

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 図10に、自治体調査における各大学の社会貢献の範囲の結果を示します。図10から、各大学とも設置されている県への貢献がほぼ同じ程度で最も高く、それ以外は各大学の傾向に違いがあることが分かります。特に、「県」以降の「地方」「全国」「国際」と貢献範囲が大きくなるにつれ、香川大学のポジティブ回答割合が低下していることが分かります。ここでも、自治体では香川大学がローカル志向な大学であると認識されている可能性が示唆されます。また、前述のとおり、岩手大学が規模感のわりに頑張っているという印象を持ちました。

 自治体調査は各県及び各市の課長級を対象として行われているため、「県」より上位の範囲については実態に即した回答ではなくあくまでイメージである可能性があります。逆に言えば、実態を以て回答できるからこそ、「県」のポジティブ回答が最も高いのかもしれません。

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 図11に、自治体調査における各大学の地域貢献評価の結果を示します。図11から、各大学の傾向が少しつづ異なっていることが分かります。どちらかと言えば、多くの設問において、岩手大学香川大学広島大学の順でポジティブ回答割合が大きくなっており、その順で地域貢献が評価されている傾向にあると感じます。特に、全般的に岩手大学に対する評価が高いことが目に付きます。ここから、岩手大学が自治体と良い関係を築き地域貢献活動が行われているのだろうと推測できますね。岩手大学に関しては問11「地域の保健・医療・福祉に」が低い値となっていますが、恐らく同大学に医学部がないことが要因でしょう。また、図11でも香川大学が問8「地域における国祭交流に」が低い値となっていますが、他の設問が十分高い値となっていることから、やはり香川大学の認識のされ方なのだろうと推測できます。

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 図12に、自治体調査における大学と地域との交流の障害について大学側に問題があると回答した要因の結果を示します。図12から、有識者調査と同様に問5「教員の研究分野・研究課題が分かりづらい・PR不足」が最も高いポジティブ回答割合を示しています。また、問1「地域交流のビジョンが十分でない」問2「地域との交流をするためのノウハウやコーディネート機能が大学の側に欠けている」問3「教員に地域交流への関心が低く、必要性がないと思われている」問6「地元から見てまだ敷居が高いと思われている」は岩手大学が低いポジティブ回答割合を示しており、有識者調査と同様に、自治体においても岩手大学が地域貢献に関する取組が認識されていることが示唆されます。

 問6「地元から見てまだ敷居が高いと思われている」では広島大学が特に高いポジティブ回答割合を示していますが、有識者調査と同様に、大規模・研究志向になるにつれて敷居が高いと思われているのでしょう。ただ、どのような取組を行いどのような関係になれば「敷居が高くない」と思われるのかは、ちょっとイメージできないですね。一方、問7「地域が必要とする学部・学科・プログラムが十分ではない」について、大学の規模が大きくなるほどポジティブ回答割合が低下しており、これは有識者調査とは異なる傾向を示しています。大学の規模が大きくなるほど教育研究分野が拡大しますので、地域が必要とするプログラムが増加することは容易に想像できます。自治体はより具体的な地域の課題解決に役立つプログラムを求めており、それが如実に表れた結果なのでしょう。

(続く)