大学のガバナンスとは何なのか〜あるいは意思決定のショートカットについて〜

資料6 大学のガバナンスに関する閣議決定・提言等:文部科学省

 大学のガバナンスに関する議論が進められているところですね。主だった論点としては、学長のリーダーシップ、教授会の権限縮小、学長選考方法の改善などでしょうか。正直、使い古された論点だとは思いますが、逆に言えば毎度毎度論点が挙りつつもあまり変わってこなかったということでしょう。官邸や内閣府系の会議録を見ると、どうも「コーポレートガバナンス」に寄っている感がありますが、文科省系の会議において「ユニバーシティガバナンス」の構築に向けた検討を行ってほしいなと思っているところです。

 さて、話は少し変わって、学内の意思決定のお話です。大学には、教員系意思決定体系(以下「教員体系」)と事務職員系意思決定体系(技術・図書系含む)(以下「事務体系」)の2種類の意思決定体系があると考えています。事務体系はピラミッド型の官僚組織系ですが、教員体系は個々の点(教員)が緩く繋がり相互に通信するネットワーク型であり、これら2つの体系が重なり合って大学の意思決定を成しているというイメージです(うまく説明できていませんが、あくまでイメージです。)。私の実感上、理事・学長補佐・学部長等幹部系教員であったも、教員体系の意思決定を行っているという印象です。

 この2つが重なり合うと何が起こるかというと、意思決定のショートカットが可能になります。他部署に何か影響を与える場合、事務体系では階段を一段ずつ上がって他部署の上位者まで繋がった後階段を下りていく必要があります。しかし、教員体系においては、両部署に関連する一名の教員を介することであっという間に影響を与えられる可能性があります。

 もちろんピラミッド型の官僚組織系から見ると裏技も裏技であり、その多用や明示は避けるべきです。しかし、どうしてもやりたいことがある場合には、その裏技の使用を考えてみてもいいかもしれません。いつか来るそのときのためにも、教員とも日頃から意見交換しておいた方が良いですね。繰り返しますが、組織風土などによっては結構な劇薬ですので、用法用量をしっかり考えてお使いください。