大学の都心回帰について思う

中日新聞:南山大も都心回帰 瀬戸の2学部を名古屋に:愛知(CHUNICHI Web)

南山大(名古屋市昭和区)は二十七日、瀬戸キャンパス(瀬戸市)にある情報理工と総合政策の二学部を、名古屋キャンパス(昭和区)に移すと発表した。情報理工学部は来年から理工学部に名称を変更した上で、二〇一五年四月に移転。総合政策学部は二年後の一七年四月に移し、全学部と大学院を名古屋キャンパスに統合する。(中略)県内では、愛知大が昨年四月に名古屋駅近くの「ささしまライブ24」地区に名古屋キャンパスを新設。愛知学院大は一四年四月に名城公園キャンパス(名古屋市北区)、名城大は一六年四月に同市東区のナゴヤドーム近くに新キャンパスを開設する計画を発表している。

 大学の都心回帰が進んでいます。記事は名古屋のことですが、東京では青山学院大学拓殖大学、関西では同志社大学立命館大学龍谷大学などが同様に郊外から中心都市へのキャンパス移転を計画しているようです。

 言うまでもなく、その背景には18歳人口減少に伴う学生募集の問題があります。「郊外では学生が集められない。ならば都心回帰だ。」というのは自然な考えでしょう。元々80〜90年代に郊外に建築したキャンパスの建物が老朽化してきたことも、その流れに拍車をかけているのかもしれません。また、社会人学生の受け入れを考えた場合、都心でないと難しいということも考えられます。

 少し違う視点から見ると、立地している土地の自治体との関係も重要かと思います。規模感にも寄りますが、大学はそこにあるだけで一定程度の人口循環を生み出し、購買力や労働力を生み出します。過去、大学の誘致を失敗したため辞職した市長がいたという話も聞いたことがあります。都心回帰を決定した大学が、地元自治体とどのような話し合いをしたのかは気になるところです。

(以下、参考文献)

CiNii 論文 -  大学移転に伴う周辺地域の変遷に関する研究 : 大学周辺地域のまちづくりについて

CiNii 論文 -  724 大学移転に伴う周辺地域の変遷に関する研究(都市計画)

CiNii 論文 -  7052 大学キャンパスの移転・撤退からみる大学と自治体の関係性(戦略的地域・大学の連携による地域再生の方向性(2),オーガナイズドセッション,都市計画)

UT Repository: 大学キャンパスが周辺地域に及ぼす影響 : 東京を事例として