再課程認定申請書作成に関する2,3の所感

 教職課程の再課程認定申請書の提出期間が終わりました。担当者の皆様におかれてはお疲れ様でした。

 再課程認定申請書作成時に感じた2,3の所感という名の愚痴をここに書き記しておきます。「嫌なら認可申請するな」「文科省に文句を言うなんて」と言う声もあるでしょうか、声を上げなければ大学側に不満はないものと認識される可能性があります。私も文科省で働いていましたが、東京にいると日本各地の大学の状況を「わかったつもり」になりがちです。私には教職員課へのチャンネルはありませんので、健全な業務関係の構築の為にも、この場にて記録しておきます。

 「文科省がクソ」とか言う話ではなく、業務において互いに幸せとなるような持続可能な教職課程認定申請業務を構築していく為には、どのように省察と改善を繰り返していくかと言うことだと認識しています。教職課程認定申請の書類作成は単なる事務仕事であり、ある程度誰にでもできるようにしておく必要性を感じているところです。

1.様式の困難さ

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 上記の図は、再課程認定申請書の様式における各記載の関連を示したものです。線でつながっている箇所は同一内容を記載するところです。一目見て分かるとおり、様式を跨いで各事項が互いに関連し合う非常にリレーショナルな形式になっています。

 これに対して申請書の様式はそれぞれ独立して設定されており、緻密な関連性を維持することに苦労した担当者も多かったのではないでしょうか。作成者に多大なコストが発生するということは、それを確認する者にも同様のコストが発生するということです。関連性の緻密化は作成・確認コストが高まるだけですので、様式の簡略化やパッケージ化により大学側と文科省側のコストを下げる取り組みが必要なのではないかと感じました。申請書作成業務自体は教職課程の質向上にはほぼ寄与しませんので、その分のコストを別の業務に充てたいところです。

 そのほか、様式第4号(教員個人に関する書類)の作成が地味に厄介でした。

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 担当する授業科目に対応する業績を記載する欄が一つの行で形成されているため、各列の高さを合わせるためにはエンターキーやデリートキーを連打するしかありません。全国各地で教員や事務職員がキーを連打していたかと思うと、どれほどの時間が消費されたことでしょうか。大学教育の質向上が叫ばれる中、5年,10年後にも教職員がキーを連打しているのだとしたら、涙が出てきそうです。なお、私は様式を改変し、行を追加して一業績一行とするとともに罫線を無色にすることで、高さの調整等を少しでも容易にしていました。

2.情報提供の不正確さ・不親切さ

 今回の再課程認定においては、一年ほど前から説明会が開催され、質疑応答集や手引き、メールでの連絡などにより文科省から情報が提供されてきました。特に、提出時に多い注意点として2度程メールでの連絡があったのはありがたかったです。しかし、手引きに記載された例示等が適切ではなく、メールでの連絡においても「手引きを熟読してください」と言いつつも手引きに記載された例示は無視するような記載があり、何かのコントかと思いました。また、手引きの記載自体も決してわかりやすいものばかりではないと感じました(私は未だに手引きP8-17の表がいまいち理解できていません)。かなりの機関の申請書が再提出になったことはその証左であると考えています。

 基本的には、当該業務に関するエフォートが高い者や理解度・当事者性が高い者から低い者へ適切に情報が提供されることで、円滑な業務が可能になるのだろうと考えています。その意味では、文科省から各機関への情報提供は命綱であったとも言えます。官僚の無謬性もあるのでしょうが、手引きに関する不正確な記載箇所の正式な訂正連絡や差し替え文書等が送付されていないことは残念です。弊ブログでも私が理解できる範囲で情報提供をしてきましたが、少しでもお役に立っていたのならば幸いです。

3.大学側との意見交換の有無

 私が記憶している限り、説明会等で「大学側と意見交換しながら進めていきたい」という発言を何度か聞いたように思います。ただ、今回の申請にあたり、それがどれほど成されたのかを私は知りません。単なるリップサービスだったのか、実際に何かしら意見聴取等が行われたのか、教職課程においては教職員課とパイプを持つ職員もいるとは思いますので彼らと意見交換を行ったのかもしれません。なんにせよ、申請側と認定側が適度な距離感を保ちつつ、互いに業務を高度化させていくこということが大切だと思いますので、大学側との意見交換が行われたのか、それがどのように反映されたのかは気になるところです。