免許更新制における旧免許状所持者と新免許状所持者の違い

勘違いで教員免許失効、失職 滋賀の小学校女性教諭 : 京都新聞

県教委によると、教諭は1995年に小学校の教員免許を取得した。この教諭の場合は2018年3月が免許更新の期限だったが、17年に特別支援学校教諭の免許を取得したことから、手続きをすれば27年10月まで取得済みの免許の有効期限を延期することができた。教諭は、特別支援学校の免許を取得すると自動的に有効期限が延長されると誤認。念のために相談した所属先の校長も同様に誤認したことから、延期の手続きをしなかったという。

 教員免許の失効に関するニュースが出ていました。期限の延長は、平成20年度以前に初めて免許状を取得した旧免許状所持者と、平成21年度以降に初めて免許状を取得した新免許状所持者で対応が異なります。その点が混同された結果として、このような事態が生じたのでしょう。

 以下に、旧免許状所持者と新免許状所持者の違いを整理します。なお、茨城県教育委員会のWebページには、旧免許状所持者と新免許状所持者の違いに関する資料が掲載されています。

教員免許> 教員免許更新制の概要 | 茨城県教育委員会

また、新免許状所持者と旧免許状所持者では、取扱いに違いがあるので注意が必要です。

新免許状所持者と旧免許状所持者の考え方【PDF:107KB】

  旧免許状所持者 新免許状所持者
初めて免許状を取得した日 平成21年3月31日以前 平成21年4月1日以降
期限 生年月日に応じた「最初の修了確認期限」が設定されている 免許状に「有効期間の満了の日」が記載されている
更新に有効となる講習 修了確認期限の2年2ヶ月前から2ヶ月前までに修了した講習 有効期間の満了の日の2年2ヶ月前から2ヶ月前までに修了した講習
更新できる免許状 複数の種類(教諭・養護教諭栄養教諭)を所持していても一括して更新する
ただし、選択領域講習において、いずれかの種類の履修認定対象職種の講習を18時間以上修了する必要がある
複数の種類(教諭・養護教諭栄養教諭)を所持している場合は、選択領域講習において、それぞれの種類の履修認定対象職種の講習を18時間以上修了する必要がある<
全ての種類の免許状を更新する必要はない
平成21年4月1日以降に新たに免許状を取得した場合の取り扱い 新たに取得した免許状であっても旧免許状とみなされるため旧免許状所持者となる
更新講習受講義務者(現職の教員など)であれば、免許管理者(都道府県教育委員会)に申請することで、修了確認期限を延長することができる
全ての免許状が、最も遅い有効期間の満了の日に自動的に統一される
免許失効時の取り扱い 返納しない 更新講習受講義務者(現職の教員など)であれば返納する
更新講習の免除手続き 更新講習受講義務者であり免除対象の職・事由があれば、免許管理者に更新講習の免除を申請できる 更新講習受講義務者であり免除対象の職・事由があれば、免許管理者に更新講習の免除を申請できる
更新後に免許管理者から授与される書類 更新講習修了確認証明書(次の修了確認期限が明記されている) 有効期間更新証明書(次の有効期間の満了の日が明記されている)

 なお、記事中の件に係る根拠法令等は以下の通りです。

教育職員免許法

(効力)

第九条 

5 普通免許状又は特別免許状を二以上有する者の当該二以上の免許状の有効期間は、第一項、第二項及び前項並びに次条第四項及び第五項の規定にかかわらず、それぞれの免許状に係るこれらの規定による有効期間の満了の日のうち最も遅い日までとする。

(有効期間の更新及び延長)

第九条の二 

5 免許管理者は、普通免許状又は特別免許状を有する者が、次条第三項第一号に掲げる者である場合において、同条第四項の規定により免許状更新講習を受けることができないことその他文部科学省令で定めるやむを得ない事由により、その免許状の有効期間の満了の日までに免許状更新講習の課程を修了することが困難であると認めるときは、文部科学省令で定めるところにより相当の期間を定めて、その免許状の有効期間を延長するものとする。

附 則 (平成一九年六月二七日法律第九八号) 抄

教育職員免許法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 前条第二号に掲げる規定の施行の際現に(略)授与された普通免許状又は特別免許状を有する者(当該普通免許状及び特別免許状が失効した者を除く。以下この条において「旧免許状所持者」という。)については、(略)第九条第四項及び第五項、第九条の二(略)の規定は、旧免許状所持者には適用しない。

4 免許管理者は、旧免許状所持現職教員が、新法第九条の三第四項の規定により免許状更新講習を受けることができないことその他文部科学省令で定めるやむを得ない事由により当該旧免許状所持現職教員に係る前項に規定する修了確認期限(以下この条において単に「修了確認期限」という。)までに免許状更新講習の課程を修了することが困難であると認めるときは、文部科学省令で定めるところにより相当の期間を定めて、当該修了確認期限を延期するものとする。旧免許状所持現職教員が、新たに普通免許状又は特別免許状の授与を受けたことその他の当該旧免許状所持現職教員に係る修了確認期限を延期することが相当であるものとして文部科学省令で定める事由に該当すると認めるときも、同様とする。

教員免許更新制の実施に係る関係省令等の整備について(通知):文部科学省

第1 教育職員免許法施行規則の改正の概要

2.有効期間の更新及び延長

(4)有効期間の延長及び修了確認期限の延期

 新法第9条の2第5項に規定する免許状の有効期間を延長することができる事由及び改正法附則第2条第4項に規定する修了確認期限を延期することができる事由について以下の通り定めることとしたこと。(施行規則第61条の5、改正省令附則第7条)

<新免許状を所有する者及び旧免許状を所有する者に共通する事由>

1~7
<旧免許状を所有する者にのみ該当する事由>

8~10