財政審の図は意味不明である。

www.mof.go.jp

 10月31日開催された財政制度等審議会財政制度分科会(以下、「財政審」という。)の資料が公表されていました。同審議会は、財務省設置法第7条に基づく財政制度等審議会令により設置されている審議会であり、幅広く国の財政・予算等について審議されています。文教関係についても度々審議されており、本年度は5月10日に文教関係について審議され、また、10月4日に有識者ヒアリングとして五神東京大学総長が講演されています。

 財政審の資料はグラフや表など数値をふんだんに混じえて作成されており、原因に対する論点がずれているところもありますが、今回の資料も数値で理詰め(に見えるように)作成されています。ただし、1スライドだけ非常に違和感を抱いたのが、以下に示す37スライド目です。

f:id:samidaretaro:20171101212740p:plain

 それまでの図表に比べこの図が唐突に現れてきた感があるうえ、記載されている内容も私にとっては意味不明なことばかりです。

 図中にある3者(大学、学生、企業)を繋ぐ矢印の意味や”好循環を阻害しないように”という文言の意味、産学連携等が”採用・待遇において大学教育の成果を勘案”に接続するの意味など、どのように考えれば良いのでしょうか。また、そもそも、”大学教育・研究の成果=「稼ぐ力」”とは誰がどのように決めたのでしょうか。これらに関連して、40スライド目の「検討の方向性:高等教育の経済的負担の軽減」にある

真に支援が必要な低所得世帯への負担軽減を進めていくに当たっては、

(略)

大学経営陣、教職員が教育の質を高めようとする大学改革を阻害しないようにすること、

(略)

といった課題に配慮した制度設計が必要ではないか。

という文言もよくわかりません。国が行うことに大学人は口を出すなということでしょうか。

 資料の前後の文脈からは無償化の対象となる者を厳選するという趣旨があるようですが、37スライド目の図は普段精緻な財政審資料からは想像できないほど曖昧な印象を受けますね。