行政文書の管理に関するガイドラインが変更される見込みです。

配布資料 第57回公文書管理委員会 - 内閣府

 内閣府公文書管理委員会の資料が公表されています。それによれば、おそらく加計学園問題の影響により、行政文書の管理に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」という。)の変更が検討されているようです。国立大学が作成する行政文書も同ガイドラインに沿って管理されていますので、おそらく国立大学の業務にも影響を与えることになるでしょう。そのため、現在検討されている内容を確認してみます。

行政文書の管理において採るべき方策について

(1)作成する文書の範囲について

各行政機関においては、適正な行政文書の作成に当たり、以下の方策を講じる。

ア 公文書管理法第4条の趣旨を徹底する観点から、行政機関内部の打合せや行政機関外部の者との折衝等を含む、同条に掲げる事項及びガイドライン別表第1に掲げる事項に関する業務に係る政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等(以下「打合せ等」という。)の記録については、文書を作成することとする。

 各種打ち合わせに係る記録を作成するように記載があります。おそらく、現在よりも記録を作成すべき範囲が広がるのでしょう。ただし、どの範囲で記録を作成するのかは、必ずしも明確になっていないように感じます。

(2)行政文書の正確性確保について

国民への説明責任を全うするため、意思決定過程や事務及び事業の実績を正確に表した行政文書を作成する必要があり、そうした趣旨により作成する行政文書について、以下の方策を講じる。

ア 行政文書の作成に当たっては、正確性確保の観点から、その内容について原則として複数の担当職員による確認を経た上で、文書管理者が確認する。作成に関し、部局長等上位の職員から指示等があった場合は、その指示を行った者の確認も経ることとする。

イ 各行政機関の外部の者との打合せ等の記録については、行政文書を作成する行政機関の出席者による確認を経ることとし、可能な限り、相手方の発言部分等についても、相手方による確認等により、正確性確保を期するものとする。作成する行政機関において、相手方発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載する。

 現在のガイドラインには複数の者による記録の確認という扱いは明記されていませんが、記録の確認についても明記されるようです。また、外部の者との打ち合わせの記録についても可能な限り当該者の確認を経るようにとなっています。場合によっては、記録の作成遅延などなかなか業務上難しいところもあるかもしれません。

(2)電子文書の保存について

電子文書については、紙文書同様、適正に管理される必要があるが、その際、更新が容易である、複数の者によるアクセスがしやすいといった特性に留意する必要があり、以下の方策を講じる。

ア 行政文書に該当する電子文書(電子メールを含む。)についても、文書管理者による確認の上、共用の保存場所(共有フォルダ等)に保存する。

イ 紙文書同様、ガイドラインに沿って整理を行う。行政文書ファイル上の分類に従った階層構造にする等、共有フォルダの構成を行政文書として管理しやすい構造とする。また、必要に応じてアクセス制限を設定する。

ウ 共有フォルダ内において、組織的な検討や内容確認等を経て随時その内容が更新される行政文書については、「検討中」という名称のサブフォルダを作成する等、他の行政文書と区別して管理するとともに、常に検討等の進捗を的確に反映し、整理する。

エ 個人的な執務の参考資料等については、当該職員のみがアクセス可能な個人フォルダに置くことを徹底する。

オ 行政文書に該当する電子メールについては、保存責任者を明確にする観点から、原則として作成者又は第一取得者が速やかに共有フォルダ等に移す。

(保存方法の具体例)

① 長期保存の観点から、電子メールをPDF/A形式に変換した上で共有フォルダへ保存

② 紙文書として印刷した上で、紙媒体の行政文書ファイルへ編てつ

③ 利用頻度が高いもの(編集して再送等)については、電子メール形式を維持したまま共有フォルダへ保存

 現在のガイドラインには、電子メールに関する取り扱いについてほぼ言及されていません。しかし、今後はかなり具体的な形で取り扱いが明記される可能性があります。共有フォルダの構造など、業務手順にも影響を与えるかもしれません。

 テクノロジーが進歩し事務業務が変化している中、行政文書の作成保存についても、それに合わせて対応すべきということでしょう(そのきっかけとなった事案については、皆さんもご存知のとおりです)。これをきっかけに、学内統一的な共有フォルダの運用方法の提案など、業務改善も進められるかもしれませんね。