ものづくりを通じた大学職員の資質向上の可能性

 先ごろ公開した学校基本調査DataViewは好評をいただいているようでありがとうございます。素人仕事ではありますが、何らかお役に立てれば幸いです。もともとは自分自身あったら良いなと思って作り始めたのですが、もう一つ考えていることがあり学校基本調査DataViewを公表しました。それは、大学職員が学んだ成果を目に見える手に触れられる形にして皆の役に立ててもらうことはどのようなものならば可能なのか、ということです。

 例えばワークショップなどをした際は、付箋紙を貼った模造紙や宣言シートのようなもの、報告書などが成果物であるとは良く言われます。大学院など学術的なことでは、論文や起稿等が学習成果として該当するのでしょう。その他、日常業務でのちょっとした改善も何かを学んだ成果として十分にあり得ます。これらに取り組むのはもちろん素晴らしいものだと思いますし、そうでなくとも内面の変化なども能力開発や学習の成果として大切なことです。ただ、これらはなかなか他の職員に伝えようとしても実感できないものであり、もしかしたら自分自身ですら外化することは難しいものなのかもしないと考えています。もっとわかりやすく、ワクワクできる形であるもの、「プロダクト」を作るということを通じて職員が学ぶことができれば、一面のみではありますが学習の意義を実感しやすくなるとともに、それが他職員にも役立つものとして職員としての業務の質向上にもつながるかもしれません。

 IT業界などではハッカソンやアイデアソンというイベントがあります。ざっくり言うと、参加者がチームを組み短期集中でサービスやシステムをその場で作り出すイベントですね。大学職員に比較的関係のあるところでは、国立国会図書館で提供しているAPIを用いたツールやアプリを開発するハッカソンが行われました。このイベントの特徴は、初めて会った者がチームを組み決められた時間で各自の力を合わせてプロダクトを作ることだと思います。これを大学職員を対象として行うにはどのような可能性が考えられるのでしょうか。

 もちろん皆がプログラムミングや加工等ができるわけではないため、最終的なアウトプットはスマホアプリの画面遷移や要件定義、紙粘土などによるプロトタイプ作成、機能確定など、実際に製品にできる一歩手前くらいまでに留めた方が良いですね。例えば、大学職員の日常業務に役立つ文房具の作成やアプリの開発などをテーマとして、どのような者を対象とするのか、その者の日常業務における課題は何なのか、それをどのようにしたら解決できるのかなど、課題設定とその解決に向けた具体的な要件定義の検討を重ねプロトタイプを作り上げます。作り上げたプロトタイプはイベント終了後有志で製品まで作るか、アイデアを公表し製品化する者を募るなど、なるべくプロダクトにつなげられればいいですね。そのような中で、課題発見力や課題設定力、課題解決力などを身につけていくことも職員の能力向上に意義があるのかもしれません。

 個人的には今年はプロダクトを作ることを意識しながら活動していきたいと思っています。