引き際を見極める。

 いろいろな人と関わる仕事をしていると、対立構造を含む議論になることも多いです。こっちの言い分が通れば良いのですがいつもそんなケースばかりではなく、何らかの譲歩が必要な場合ももちろんあります。その場合はどの段階から譲歩を始めるのかどこまで譲歩するか、いわゆる引き際を見極めることになります。しばらく話をしていて、これはこのまま押すのは難しいなと感じだしたら、とりあえず以下の基準を踏まえ最低限の引き際ラインを頭の中で考え始めます。

1.現状よりも趣旨・目的に近づけられるか

 何らか提案等している以上は趣旨・目的があるわけで、たいていの場合それは現状に対する理想形なわけです。趣旨・目的に近づけられるのならば、まぁここはとりあえずこれでいいかと考えます。併せて、譲歩後の状態から再度趣旨・目的を完遂する手段も同時に考え、1年程度で物事を動かせそうなら今後の展開を踏まえOKとすることも多いですね。

2.こちらに実害や実務がどの程度発生するか

 譲歩した先に多大なコストが発生しては面倒なことになります。押し引きをしていく中でどの程度新しい実害や実務が発生するのかを推し量り、こちらの許容範囲を超えない程度ならば、あるいは趣旨・目的の完遂に向けたロードマップのためのコストならば受け入れることを考え始めますね。

3.交渉相手との関係性はどうか

 相手が直属の上司なのか、管理職なのか、教員なのか、学外者なのかなど、交渉相手の権限はどの程度まであるのか、今後も業務関係があるのなのかなど相手との関係性を考えます。職階もそうですが自分と相手との個人的な関係も踏まえ、今回は譲ってもらうか譲ってあげるのか、「その場合はこうしたらいいんじゃないですか」など同じ土俵に上がりながら妥協点を探り始めますね。場合によっては、交渉を上の役職同士の段階に上げることも考えます。

 大切なことは、想定した通りにいかなくとも気分を切り替えて新しいステージで何ができるかを考えることでしょう。例えわずかな変化であってもしばらくすればそれは新たな地平になり、新しい変化の土台になります。だからこそ、誰のために何のためにという趣旨・目的をしっかり考え、自分にとって何が一番価値があることは何なのかを同定し、そこに徐々に近づいていくことで物事が良くなっていくと考えています。