京都工芸繊維大学の新学科設置構想に思う 〜攻める国立大学〜

両丹日日新聞 : 公立大学検討会議、学科変更への意見相次ぐ

 福知山市が設置している有識者による公立大学検討会議の第3回会合が13日、市役所で開かれた。前回に引き続き、市が成美大の校舎などを活用し、16年4月の開学を目指している市立大学の基本構想(素案)を議論。これまでに提示した学部と学科の名称を変更し、現行の2学科を1学科にする-という市の案について、委員から「時間に余裕がないので、学部、学科名ともに現行のまま公立化するべき」との意見が相次いだ。

 成美大学の公立大学法人に関するニュースが出ていました。私立大学の公立大学法人化への動きは昨年度からけっこう盛んになっており、弊BLOGでも2014年を振り返った際のトレンドとして指摘したところです(2014年の大学業界を振り返る)。

 成美大学のウェブサイトには、本件について継続的に情報が掲載されています。

本学の公立化を目指す動き(3) -福知山市「公立化へ構想案提示」-

本学の公立化を目指す動き(3) -福知山市「公立化へ構想案提示」-

全国の受験生の皆さん、センター入試も終わり、最後の追込みに全力をあげていることと思います。本学は教育や地域貢献の拡充を図るため、市民の皆さまと一緒に公立大学化を目指していますが、その最新動向をお知らせいたしますので、是非とも本学の受験を検討ください。

 このニュースの中で驚いたのは、国立大学法人京都工芸繊維大学が分校を設置する計画であるという点です。検索してみると確かに該当するニュースが出てきました。

両丹日日新聞 : 京都工芸繊維大が福知山に分校検討 市の公立大開学が条件

 福知山市西小谷ケ丘にある旧福知山女子高校の校舎を利用し、国立大学法人京都工芸繊維大学京都市左京区)が、16年度をめどに北京都分校(仮称)設置の検討を進めていることが分かった。市は、隣接する成美大に新たな市立大学を設置する方針案を示しており、「もし新大学設置の方向で進めば、文系と理系の2大学で連携し、幅広い視野と深い知識を持つ人材を育成したい」としている。

 どうも諸条件があるようですが、分校設置とは最近の国立大学ではなかなかない話だなと思っています。

 京都工芸繊維大学京都市に位置し、工芸学部のみを設置する単科大学です。学部学生数3,000名、教員数300名、職員数150名と比較的小規模な大学と言っていいでしょう。もともと工芸学部と繊維学部の2学部体制でしたが、平成18年度から両学部を改組し工芸学部としその中に3学域10課程を設け、融合的な教育研究を行っているようです。最近では、大学COC事業やスーパーグローバル大学創生支援事業の採択、センターオブイノベーションプログラムや戦略的イノベーション創造プログラムへの参画など、規模感の割にはかなり頑張ってるなという印象を受けています。(どうでもいいですが、この規模感でこれだけの事業をどのように回しているのかは気になるところです。)

 本ニュースにある「分校」というのが何を指すのか不明ですが、

 新学科を設置し、1回生から3回生前半までは、左京区のキャンパスで一般教育、専門基礎科目など専門的知識を学び、3回生後半から同分校で地域課題などをテーマに研究する構想

とあるところから判断すると、おそらく新キャンパスを開設しそこに新しい学科を設置するのでしょう。地域課題などをテーマとあるため、平成25年度に採択されたCOC事業に関連していることが推測できます。ただ、COC事業の構想図を見ても新学科に関する言及はなく、SGUの調書にも言及がないため、どのような学科を想定しているのか全く不明です。

 中期目標中期計画に明記がない以上は、本当にまだ構想段階なのでしょう。「攻める国立大学」の一翼である京都工芸繊維大学ですし、どのような構想なのか引き続き注視していきます。