学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会の概要 その2

(その1からの続き)


【国立大学の部】「学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会」(学校教育法改正の詳細について) - YouTube

  •  今後のタイムスケジュールについて。内部規則の総点検については、12月中旬に進捗状況調査を行い、4月末に総点検・改正結果調査を行う予定。内部規則運用見直しチェックリストに従い、4月末の調査の際には各大学に対応状況を説明いただくことになる。その際には、各大学の監事の所見も添付してもらう。今回は、施行通知に書かれた留意事項について説明する。
  •  副学長については、校務を所掌することができる。大学間協定の締結など、これまで学長名で行ってきた業務も副学長の最終的な決定で行うことができる。学長から指示を受けた範囲で校務を所掌することになるが、各大学で適切な手続きを整備してほしい。必ずしも業務分掌を伴うのではなく、従来とおり学長の補佐的な役割としての副学長も置くことができる。学外からも副学長の権限や責任が明らかになるように、文書で定めておいてほしい。
  •  教授会の役割について。学長に対し教授会が意見を述べる義務が発生するが、そうである以上は、学長が教授会の意見を聞く場を設けることは当然と考える。教授会が意見を述べる事項は、第3号のその他事項を教授会に周知してほしい。
  •  学生の退学等については、様々な場合があり、本人の希望を尊重する場合も当然ある。そのため、法律上審議を必須としていたこれまでの規定を改正した。ただし、懲戒に関する退学など学生に対する不利益処分については、制度上慎重に対応すべきという意見もあり、新たに学長が適切な手続きを定める条文を設定とした。(懲戒処分以外の)退学、転学、留学、休学、復学や再入学などについては、法律上の定めはないため、各大学において判断し必要に応じて手続きを定めてほしい。
  •  教育研究に関する重要な事項について。93条2項以外の事項については、例えば教育課程の編成や教員の資格審査が含まれていると解釈する。中教審答申でも同様の言及がある。その他の事項は、教授会の意見を参酌した上で、学長が定めてほしい。キャンパスの移転や大学の組織の再編は、教育研究に関する重要な事項に含まれうると解釈するが、それが軽微な場合も想定でき、各大学一律に判断することはできない。学長が判断してほしい。
  •  教育研究と経営を明確に切り分けることは困難であるとも考えられるが、教授会は教育研究に関して専門的な観点から審議してほしい。
  •  列挙された事項以外にも、教授会は審議できる。審議は決定権を含意していない。また、教授会は専門的な観点から審議するが、責任を持って遅滞なく審議してほしい。
  •  教授会が議決することはあり得るが、それが大学の最終的な決定であるのは別のこと。学長がNOと言えない決定をすることは問題である。
  •  教授会は意見を述べるが、学長がその意見に必ず従わなければならないということではない。ただし、教授会に対し意見を述べるという重い義務を課していることを考えると、学長の決定に際しその意見は慎重に参酌すべきものと考える。
  •  学長の求めがなければ教授会は意見を述べられないということではない。教授会が自律的行為として学長に意見を伝達することは何ら禁じられるものではない。
  •  教授会の設置単位は必ずしも学部や研究科という単位のみではなく、全学教授会や機能別の教授会の設置も可能と考える。
  •  教授会の役割を一般に知らせるためにも、個人情報が含まれる場合があるとは思うが、議事次第や議事概要の公表を各大学で検討してほしい。
  •  改正の基本的な考え方について。大学の学生や教職員、設置者のみに留まらず、広く社会的な責任を有している。学長が大学のミッションを踏まえ、責任を果たしてほしい。国立大学は国からの支援を受けており、学長が責任を有する対象は国民であるということを意識してほしい。
  •  権限と責任の一致について。学長が大学の総括的な責任者としての役割を担っているのは従前のとおりであり、今回の改正により新たに決定権を発生するものではないが、決定権を十分に発揮できるようにすることが今回の改正の趣旨。一方で、学長に対する評価についても、学長の業務の執行状況について学長を選考した組織や監事がしっかりと評価をしてほしい。
  •  学長と教授会の関係について。教授会の判断によって学長の判断が拘束されてしまう状態があるのであれば、それは責任と権限が一致していない状態であり、ガバナンスの在り方として不適切である。ただ、学長が一方的に様々なことを判断するのを是とするのではなく、教授会の意向を尊重した大学運営も一つの在り方だと考える。
  •  内部規則は大学により様々である。各大学において体系的に整理をし、改正等を検討してほしい。
  •  法改正の趣旨について学内に広く周知いただき、全学的な協力体制を敷いた上で、内部規則の総点検をしてもらうのが良い。内部規則の相互の関連性を整理してほしい。
  •  教育公務員特例法については、現在の国立大学には一切適応されない。
  •  今回の法改正によって、大学の自治の尊重は何ら変わるものではない。

(その3へ続く)