TED Talks 組織と協力に思う 〜義務と意欲と能力の重ね合わせ〜
クレイ・シャーキー「組織というシステムと協力というシステム」 | Video on TED.com
この先見的な2005年の講演で、クレイ・シャーキーは閉鎖的なグループや企業が緩やかなネットワークに取って代わられる様を説明しています。そこでは小さな貢献者たちが大きな役割を担い、融通の利かない計画は柔軟な共同により置き換えられています。
TED Talksとは、Technology Entertainment Designという団体が開催している講演会の模様を公開しているプロジェクトのことです。たまたま見ていたTED Talksでは、「組織というシステムと協力というシステム」というタイトルで、既存の組織としての枠組みを外れた個人間の恊働という仕組みを、Flickrなどを例えにあげて述べています。これを見て、今の仕事のやり方はどうなのかな〜とぼんやり考えてみました。
私はいつも、理想の姿を思い描いてから現実との間をどのように埋めていくか考えます。ということで、理想の仕事の在り方を考えてみました。その中で思い描いたのは、図1のように、その業務をやらないといけないという「義務」を持った人、その業務をやりたいという「意欲」を持った人、その業務ができるという「能力」を持った人の重ね合わせによって業務がなされるのが理想形の一つかな、と思っています。
もちろん、この3者が同一人物、つまり1人の者が義務と意欲と能力を兼ね備えていれば良いのですが、なかなかそうはいかないでしょう。そのため、基本的には3要素を持った各者の恊働体制で業務が行われるのが、理想でしょうね。
図2のように、一つの業務で義務を持った者が他の業務で能力を持った者であることも、考えられます。例えば、学務業務から財務業務に異動してきた者にとっては、財務業務について義務を持った者である一方、学務業務に対しては能力を持った者であることは容易に想像できます。もっと言うと、1人の者が、異なる業務に対する義務と意欲と能力を持つこともあるでしょう。
となると、自分自身がどのような義務を持ち、なにをしたいのかという意欲を持って、どういうことができる能力があるのか、この3要素を改めて自分自身で考えてみる必要がありそうですね。弊BLOGを見ていただいている皆さんは、ご自身の3要素をどのように捉えてらっしゃるのでしょうか。
この在り方では、必ずしも既存の部課制等に従わず、謂わば「組織主体型」から「業務主体型」「個人主体型」への仕事の転換があると考えています。近年、様々な国立大学にて、「機構」という全学横断的な組織や「フューチャーセンター」のような場が形成されています。
いわば、枠組みは出来つつあるという認識です。ただ、実質的に教職員が混じって場を形成というところまではなかなか展開できていないのではないか、ということも個人的に感じています。この在り方を実現するためにも、以前弊BLOG記事にも書きましたが、プロジェクト型業務というのが一つの鍵になるのではないでしょうか。
組織運営部会審議まとめに思う 〜ミドル層の学びをどう確保するか〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG
既存の業務との関係やプロジェクト型業務の留意点等については、また次回に。
PS 今回の図は、京都祇園にある「尾張屋」さんというお香のお店で販売されている「かおり丸」を見て思いつきました。素敵なお店ですので、近くにいらした際は是非御立ちよりください。