修学支援新制度説明会(国公立大学・高専向け)に参加してきました。

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高校生の進学先として支援措置の対象の学校となるのか、修学支援新制度における大学等高等教育機関に対する機関要件の確認が6月下旬から始まります。

申請開始に先立ち、国立大、私大や国立高専など、確認を受ける各教育機関の設置者である、国立大学法人、学校法人、国立高専機構を対象とした説明会を開催しました。併せて、公立大学や私立専門学校の要件確認を行う地方公共団体への説明会を開催しました。

  5月23日に開催された就学支援新設度に関する説明会(国公立大学高専向け)に出席してきました。会場となった文部科学省講堂は参加者で一杯であり、質疑応答により予定時間を大幅に超過し3時間半の説明会となりました。遠方の大学の方は途中で離席されていましたね。当日配付資料についても、公表されています。

高等教育の修学支援新制度説明会(令和元年5月):文部科学省

 以下に、当日の記録を記載します。なお、私が理解できた範囲でのみ記していますので、事実誤認等が含まれている可能性があり、内容を保証するものではありません。

副大臣挨拶>

  • 国立大学、公立大学、国立高等専門学校において、それぞれがわが国の高等教育の発展に重要な役割を果たしていることに感謝申し上げる。
  • 同法の成立により、生徒・学生の経済的負担の軽減を図り、少子化解消への貢献を狙っている。新制度では、給付型奨学金の確保等を行うことにより、学生が社会で自立し活躍できることを目指している。機関要件は、現在の取組を充実することで満たせると考えており、多くの大学が機関として認定されることを望んでいる。
  • 高校3年生の進路選択に資するように、9月中下旬には対象となる機関を公表したい。

文部科学省からの説明>

  • 現在政令案や省令案のパブリックコメントを実施しているところであり、本日は現時点の案について説明する。スケジュールは非常にタイトであるため、協力いただきたい。
  • 今回の趣旨は、低所得者世帯の修学に係る経済的負担を軽減し、少子化解消に貢献するものである。大学・短大・高専・専門学校が機関として、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が個人として対象になる。
  • 授業料減免について、定められた上限額まで授業料を減免し、減免に要した費用を国から各機関へ支払う形である。給付型奨学金については、現状のとおり、JASSOから支払われる。自宅か下宿か等により支援金額に違いがある。準ずる世帯にも、一定割合を乗じた金額を支給することになる。
  • 支援の対象となる個人及び機関の両方に要件を設定する。個人には、進学前の強い学びの意識や進学後の良好な学修状況を求めていく。機関においても、学問的教育と実践的教育のバランスや良好な経営状況などを求めていくことになる。
  • 現行の給付型奨学金について予約採用となっているが、今回の支援は進学後でも在学採用が可能となっている。また、在学中に家計が急変した場合でも、採用ができるようになっている。
  • 2019年度のスケジュールについて、高校生の予約対応と機関要件の確認の2つが進行していく。6月下旬には政省令を公布し、各学校に給付型奨学金に関する案内を配付する予定である。各学校で進学意欲の確認などを行い、8月上旬までにJASSOへ予約採用の申込を行う。JASSOは年内に審査を行う。
  • 機関要件の確認について、9月中下旬までには対象となる機関を公表したい。申請書の提出は6月の下旬から7月中旬としている。各大学等で作成中の申請書をメールで確認者に送信する事前相談を行う予定である。公立学校は設置者である自治体が対応することになるため、自治体に相談いただきたい。
  • 政省令の案について、説明する。まずは、政令案における授業料減免について、
  • 資料にある収入目安はモデル世帯の収入であり、政令に具体的な計算方法を示している。家族人数等により、判断基準となる世帯年収は変動する。JASSOがこれらの計算を行い、各機関と共有することになる。わかりやすくなるよう、JASSOでオンラインシミュレーターを準備していると聞いている。
  • 夜間主や通信教育についても、政令で対応を定める予定である。
  • 支援対象期間について、原則として標準修業年限の在学中であるが、過去に他大学で対象となり編入学する場合には上限年数まで延長することが可能である。
  • 入学金減免については、生涯に1回のみ対象となる。
  • 機関認定を不正な方法により得ていたことが判明し期間認定確認が取り消された場合、設置者自らが減免を行うことを明記している。
  • 給付型奨学金についても、対象となる世帯の計算方法が明記される。
  • 自宅と自宅外、設置者別において、支給される金額が異なる。
  • 支給期間も授業減免とほぼ同様である。
  • 無利子奨学金との重複支給について、給付型奨学金と授業料減免の合計が無利子奨学金より低い場合は、その差分を無利子奨学金として借りることができる。有利子奨学金については重複支給に関する定めはない。
  • 省令案について、個人要件と機関要件について定めている。
  • 個人要件について、家計の経済状況、学業成績・意欲、国籍・在留資格、修学までの期間について定めている。
  • 家計の経済状況について、収入のみではなく各家庭の資産状況も見て判断することになる。これはJASSOへの自己申告により確認する。
  • 学業要件について、まずは就業前の成績や意欲を確認する。3年生の夏に、申込時までの評定平均値が3.5以上あればそのまま申請、3.5未満であっても各高校が学習意欲を確認したうえで申請することとなる。高卒認定試験の場合は、高認試験に合格していることをもって意欲があるとしたい。
  • 大学2~4年生は前年度の成績を確認することになる。GPAの分布が上位2分の1であることを確認したうえで、そうでなければ修得単位数と学修計画書を確認することになる。海外の高校からの入学など4月すぐに手続きを開始しなければならない場合で高校の成績が確認できない場合は、入学試験の成績などで学習意欲を確認することになる。
  • 国籍・在留資格について、原則日本人が対象となっているであるが、特別在留者なども対象となる。
  • 進学期間について、高校卒業後2年間までに進学が認められた者が対象となる。また、高認試験が受けられるようになってから5年間まで、かつ 高認試験合格後2年の間に入学が認められ進学した者などが対象となる。
  • 個人要件の認定について、生徒本人からJASSOへ予約申請を行い、JASSOが要件を確認することになる。JASSOから支援区分等の結果が本人に通知され、本人はJASSOへ進学届けを提出する。その後、学生は各大学等に減免の申請を行い、大学で審査を行うことになる。
  • 資金の流れとして、国立大学は国から減免分の資金が支給される予定である。各支援区分の人数を算出し概算払いを行うことを考えており、学期中の変動は年度末に清算することを想定している。公立大学は各自治体に確認してほしい。
  • 在学中の支援要件(適格認定)について、学業成績・意欲や家計状況を確認することになる。それぞれ、年度末と年度途中で判断することになる。
  • 学業成績について、修業年限で卒業できないことが確定した場合や修得単位数が標準以下の場合、出席率が5割以下であるなど学習意欲が低いと機関が判断する場合などは支援を打ち切ることになる。また、警告を行う条件も定めており、2回連続で警告を受けたら支援を打ち切る。不正の申請があった場合や懲戒による退学、継続手続きを怠ったなどの場合も、支援を打ち切ることになる。
  • 家計条件についてはJASSOの基準と同様である。家計が持ち直し結果として支援が打ち切られた場合も今後家計が再度悪化する可能性があるため、一時的に支援を中断するという形にしたい。留学など長期の休学の場合、一時的に支援を中止し、復学後に再度支援を行うことになる。その場合、対象期間は延長されることになる。
  • 適格認定のスケジュールについて、入学後、夏に後期の減免希望申請を受け付けることになる。経済要件は夏に更新があり、JASSOがマイナンバーをもとに家計の確認を行い、大学等と結果を共有する予定である。短期大学など2年制学校や高専について、適格認定を半年後ごと行うことを考えている。後期についても、年末から年明けおいて、同様に対応することになる。ただし、後期は学業要件の適格認定のみ行うことになる。
  • 給付形奨学金と他の奨学金との供給調整について、あまり多くないケースだが、給付型奨学金の金額がゼロになる場合がある。
  • 省令案について、不正対応の手続き、家計急変時の確認方法等について、省令公布後に対応を明確にしていきたい。
  • 機関要件について、
  1. 実務経験のある教員による授業の配置
  2. 外部理事の登用
  3. シラバスや成績評価の厳格化
  4. 財務情報等の公表状況
  5. (私学のみ)経営状況

   を文科省自治体の確認を受けることになる。

  • 機関認定のスケジュールについて、説明会以降に事前相談の受付、6月下旬に省令制定、7月中旬までに申請書提出、基準適合確認後に機関名を公表することを予定している。各大学等においても申請書を公表いただきたい。
  • 要件確認は最初の1回のみとする予定であるが、毎年、申請書を更新し確認者へ提出いただきたいと考えている。まずは今年度の状況で申請書を作成してほしい。
  • 実務経験のある教員の授業科目の配置について、卒業に必要となる標準単位数の1割以上を求めている。これは設置基準上の必要単位数を指す。学生が実際に授業を受講することまで求めるものではなく、学生が希望すれば受講できるようになる環境整備を求めている。担当する授業科目に関連した実務経験が想定されるが、実務経験のある講師を招いたオムニバス科目なども該当する。
  • 全ての学部等の単位で要件を満たしている必要があるが、学問分野の特性により実践的教育がなじまない分野であれば合理的な説明を行うことで代えることができる。2020年度までに整備できる予定であれば、1割を満たしてなくともOKとする。学生が当該授業を受講できることが重要でありシラバスの中で教員の実務経験やそれを活かした授業内容であると明記することを求めるが、今年度についてはシラバスとは別の補足資料を用いて学生に対して説明していればよい。シラバスの作成ルール(作成過程や公表時期など)について、大まかに記載してほしい。
  • 外部人材理事の任命について、社会のニーズを教育に反映させるため、産業界などの人材を理事として複数名任命する必要がある。現行の国立大学法人等においても外部理事が明記されており、定義はそれと同様である。国立大学法人においては、法人法が改正されたところである。理事数3名以下の場合は外部理事1名でよい。本年度の状況を確認するが、来年度までに外部理事が採用される予定の場合は良しとする。法人化していない公立大学の場合は理事を置けないため、学校運営に関する会議体に外部者が複数名加わっていれば良い。外部理事は非常勤でも問題なく、担当する職務内容等欄も簡潔に記載してほしい。
  • 成績管理について、各授業のシラバスが作成・公表されているか、成績評価が適正な方法で行われているか、GPA等成績評価の指標を設定し分布状況を把握しているか、DPを定めて公表しているかを確認する。
  • 情報公開について、国公立大学は財務情報を公表しているとは思うが、財務諸表等が作成・公表されていることを求めている。また、教育活動の情報についても公表を求めるが、学校教育法施行規則に定める公表事項にも関連している。
  • 初年度(2019年度)のみの特例措置もいくつかあるため、確認してほしい。
  • 学部等を新設する場合、基本的には本年度の状況を申請することになるため、記載しない箇所もでてくる。次年度の申請書において、新設の学部等の状況を記載してほしい。
  • 機関要件の確認申請に関する指針を作成し申請書の作成方法等を示したので、よく確認して申請書を作成してほしい。DPについて、学部ごとに定められている場合は、対象となる学部すべてについて作成・公表してほしい。事業計画は任意記載事項となっているが、該当すれば記載してほしい。教員数等については、学校基本調査の数値を記載してほしい。標準修業年限内卒業者数などは任意記載事項である。

<質疑応答>

Q:①実務経験のある教員が担当する授業科目の配置について、申請書に全ての授業科目を記載しなければならないのか。②入学後の学修状況の確認について、各大学の裁量で決める要件もあるが、大学内で基準を策定し確認者に提出する必要があるのか。③情報公開の要件について「3つのポリシーの概要」とはなにか

A:①全ての授業を公表する必要はなく、要件以上の授業が公表されていればよい。②各大学で基準を定めていただきたいが、現時点ではそれを確認するまでは想定していない。関連する一部項目は公表事項となっている。③ポリシーの文章が長い場合は概要で良いという趣旨である。

Q:個人要件について、住民税の所得割で確認することとなっているが、現行の奨学金事務のように学校経由の事務は発生するのか。

A:引き続き検討していきたい。

Q:外部理事の任命について、国立大学法人では対象となる理事数に学長を含むのか。

A:理事の員数に学長は除く(法人法に定められた理事数が適用される)が、学長が外部人材であれば外部理事1名として計上することができる。

Q:支援打ち切り用件について、標準修得単位数はどのように考えれば良いのか。場合によっては、警告要件(修得単位数の不足等)により打ち切り要件(留年等)が発生することもある。

A:学内規程によっては、警告要件が打ち切り要件になる可能性があることは承知している。その場合、支援打ち切りとなる。

Q:①本件について大学で規程等を整備する必要があるのか。政省令の案は示してほしい。②現時点で学生に周知すべきなのか。

A:①授業料減免や成績要件などの規定は整備する必要があるかもしれない。政省令案は現在策定中である。Q&Aも参照いただきたい。②学生への広報について、文部科学大臣の文書を活用してほしい。高専の在校生にも案内する必要があると認識している。大学の在校生向けにも、移行の手続きを周知していただきたい。9月から10月に在校生向けの資料を作成し各大学に配付したいと考えている。オープンキャンパスの際に高校生にも周知いただきたい。

Q:①適格認定について、転学転入学は支援期間が延長するが、学内での転学部転学科の取り扱いはどのように対応すればよいか。②出席率について、GPAにより学習意欲をはかることは可能か。③GPAの分布は当該年度の全学生が分布対象なのか、前年度のGPA分布を用いることは可能か。

A:①転学部転学科の場合も転学転入学の場合と同様に取り扱う。②基本的には学習意欲の測定は各大学にお任せするが、GPAは他の要件に該当しており、他の要件以外のもの(課題への取り組み状況など)で対応してほしい。③GPAのタイミングは現在検討している。

Q:GPAの数値が全く同じであれば、どのように警告等を行う学生を決めればよいのか。

A:現在検討中である。

Q:支援の打ち切りに伴う返還について、返還対象となる金額や方法はどのように対応するのか。

A:現在検討中である。奨学金や授業料減免について個別の対応となることが想定され、授業料については各大学にて徴収してもらうことになる可能性がある。

Q:①入学金猶予について、複数の大学に合格していた場合の対応はどのように考えれば良いか。②.支援対象者が入学料を誤って支払ってしまった場合、どのように対応すれば良いのか。③入学金の減免手続きができなかった場合は、どのように対応すれば良いのか。

A:①入学金は1校分のみ対象となる。進学をした大学等の入学金のみ減免の対象となる。②対象者への還付方式もやむを得ないと考える。③入学金の減免手続きができなかった場合は、検討していきたい。

Q:①給付型奨学金と授業料免除がセットという考え方でよろしいか。②在学生について、本年秋頃と次年度に2回申請があるという理解でよいか。

A:①セットと考えてよいが制度的には直接結びついているわけではない。セットで進めていけるようにフォローしていきたい。②2020年4月からの支援に向け在学生への切り替えを秋ごろから進めてほしい。翌年度以降は、新規採用の手続きを進めてほしい。在学生へのフォローをお願いしたい。

Q:①芸術系教員の実務経験について、創作活動は実務経験に該当するのか。②任意記載事項は、該当するが申請書に記載しないということはあり得るのか。③支援打ち切り等は大学が公表しないといけないのか。

A:①学生に説明できるかどうかという点を考えてほしい。実践経験がいかに授業に反映できているかをシラバスに記載し、説明できるようにしてほしい。②任意事項であり、公表状況を追求するつもりはない。情報公開の趣旨に沿って対応してほしい。③個人要件の警告や打ち切りに係る公表方法は現在検討中である。

Q:①申請書について、募集停止の大学・学部等は該当するのか。②教員の学歴学位等の公表について、外部データベースで公表されていればよいのか。

A:①在学生がいれば対象となる。機関要件の申請の際は、現状に合わせて記載してほしい。特に、実務経験のある教員の授業科目については、基本的には当該年度の開設している授業科目を記載することになるが、募集停止している場合は過去の授業でも該当することとしたいと考えている。②問題ない。

Q:①年度末に行う更新作業は2019年度も発生するのか。②成績分布の資料は1年生の成績が該当するのか。本年度の申請書を提出する7月には、まだ成績はでていない。成績分布も公表することになるのか。

A:①更新は翌年度6月末程度を想定している。②成績分布の該当学年については検討する。成績分布状況に係る資料は公表の対象としない。

Q:大学と短期大学を併設していた場合、法人として機関認定申請を行えばよいのか。

A:機関要件は共通で行う。個人要件における成績評価の確認は短大が半期に一回行うことになる。

Q:①機関要件申請について、「その他納付金」は大学として徴収しない同窓会費などは記載するのか。②支援対象者が数ヶ月の停学を受けた場合半期ごとの授業料はどのように対応するのか。

A:①大学側にゆだねたい。情報提供の観点からは公表することが望ましい。学校教育法施行規則に合わせて記載することになる。整理して情報提供したい。②検討中である。

Q:個人要件にある標準修得単位数について、学部ごとに定めることは可能なのか。

A:一定のルールに沿って対応していきたい。

Q:公立大学への資金の給付について、地方交付税交付金など、どのような財源なのかなのか。

A:来年度予算編成に向けて総務省と協議していきたい。

Q:申請書の公表について、根拠資料も含めて全て公表しなければならないのか。webシラバスなどシステム上での公表以外に対応しなければならないのか。

A:様式2号を根拠資料なしで公表することを検討している。webシステムで公表されていれば良いが、実務経験については一覧表で示してほしい。あるいは、webシラバスで実務経験がわかるようにしてほしい。

Q:学生からの申請は紙面なのか、紙面の場合は統一様式なのか。様式において、JASSOのシミュレーターを確認するような形にしてもよいか。

A:授業減免については各大学で手続きを定めてほしい。統一的な申請様式も検討しているところである。直感的にはJASSOのシミュレーターの使用は妨げられるものではない。11月以降であれば、支援対象となっているのか、本人が分かっていると思う。

Q:現行の減免制度の運用はどのように考えているのか。

A:現行の減免制度との関係について、各大学で基準が定められてきたところである。現行制度と新制度の重複する部分については、同時進行が難しい部分もある。新制度とは異なる観点により、制度を充実させていきたい。

Q:①高専生3年生はどのように対応すればよいか。②高専専攻科はどのように対応すれば良いか。③高専機構は51校それぞれを申請すれば良いか。④本科と専攻科は同じ様式で記載するのか。

A:①現行の給付型奨学金と同様の取り扱いになると思う。②専攻科の入学金も減免の対象になる。③対応を検討するが、51校分提出してもらうことになるかもしれない。④同じ様式で記載することを想定している。

Q:支援の打ち切り要件である「標準修業年限で修了できないことが確定したこと」について、各学年で進級判定がある場合は、留年すれば打ち切りになると理解してよいか。家計状況を勘案することはできないのか。

A:現行では特例を設ける予定はない。

Q:文科省国立大学法人に対して事前審査は行うのか。

A:行う予定である。申請書をメールで提出いただく形式を想定している。

Q:編入学生も免除対象になるのか。その場合、編入前後の学校のどちらで手続きするのか。

A:入学金について1回のみ免除対象となる。授業料は免除対象となる。手続きは、進学後の学校にて手続きを行うことになる。入学料の猶予を連絡してほしい。編入学を予定している者があれば本件についてアナウンスし、進学先の学校での手続きを促してほしい。

Q:外部理事について、申請書上どのように記載すれば良いか。法人種が同じ(前職が他の国立大学法人である事例など)であれば分かりにくい。

A:相談させてほしい。

Q:①入学料の取り扱いについて、入学手続きを12月に行う場合、どのように減免の周知を行えばよいか②現行の授業免除状況調査の予定を教えてほしい。③奨学金の受給を受けている在学生が新制度を適用する場合、返還誓約書の取り扱いを教えてほしい。

A:①検討して連絡したい。②検討中である。概算要求の材料であるため、近々行いたい。③JASSOが検討する。

Q:①打ち切りの報告の期限はいつか。②適格認定について3年次編入学生の取り扱いはどのようにすればよいか。③無期限の停学が解除される場合はどのように対応すればよいか。

A:①現行の給付型奨学金と同様に対応することになると思われる。②入学先の学校種に合わせて対応してほしい。③検討したい。

Q:①支援対象者の適格認定について、短大は年2回の確認が必要であるが、学年暦とスケジュールとの関係をどのように折り合いをつければ良いか。②様式第2号3について学科ごとに作成すればよいか、別の部分で学科おごとに記載していれば全体の状況のみの記載でよいか。③実務経験のある教員による授業の一覧表について、複数の教員で授業を担当する場合はまとめて記載しても良いか。

A:①前期分の成績により測定してほしい。②学生の目線で見やすければ大学側に対応をゆだねたい。③学生に分かれば良い。学内で検討してほしい。

Q:在学申請する場合の選考について、大学で支援区分を決める場合の目安はあるのか。

A:JASSOで確認し、大学へ連絡する方法を検討している。4月当初から大学側に支給を開始することは難しいかもしれないが、なんらか手段を検討する。

Q:①新制度と現行の授業料免除制度は重複して申請できるのか。②編入学生について、入学料の徴収猶予と申請との関係はどのように考えればよいか。③打ち切り要件について、休学せずに留学した場合は打ち切りになるのか。

A:①学内の独自の旧制度との関係は、各大学で整理してほしい。重複している制度は、基本的には無くなるだろうと思われる。趣旨が異なる制度は残るかもしれない。②制度が進めば短大の方で採用になる者も増えて、入学料免除の対象にならない場合も増えてくると思う。③検討する。

Q:①卒業者数等の記載について、学部生のみでよいか。②GPAの対応について何月頃に公表されるか。③支援対象要件について、進学するまでの状況は年齢のみで判断すればよいか。④短期の留学への対応についてどのように考えればよいか。⑤大学で行ってきた減免の基準への対応について、どのように考えればよいか。

A:①学部生のみでよい。②検討中である。③然り。④検討する。⑤調査検討していきたい。

Q:機関認定の成績判定の基準について、旧来の基準にはどのように対応すればよいか。

A:個人判定について、新しい基準で判定いただくことになる。

Q:①入学料減免の手続き・スケジュールは大学の裁量で決められるのか。②JASSOから大学への通知はいつごろ届くのか。

A:①スケジュールを示すことは現時点では考えていないが、国等への交付申請期限は示すことになると思う。現行のスケジュールに沿って対応できるように検討していきたい。②予約申請については、進学先が決まらなければ対応できないだろう。

 

 この修学支援制度については、自分用の整理のため、引き続き記事としていきたいと思っています。

高等教育無償化(負担軽減新制度)は機関認定より運用の方が難しい。

高等教育段階の教育費負担軽減:文部科学省

文部科学省では、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、高等教育段階の教育費負担軽減のための取組みを進めています。

大学無償化法は対象外でも得をする?~専門学校・中間層などが間接影響も(石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース

2019年5月10日、高等教育の無償化に向けた大学等修学支援法、通称・大学無償化法が成立しました。これにより、2020年4月から低所得者層の学生が学費減免と給付型奨学金(返済不要)を受給できます。

 高等教育の無償化に向けた大学等修学支援法が成立しました。ここでは、一定基準の学生に対し、機関認定を受けた学校等で教育を受ける場合には、授業料等減免や給付型奨学金支給などが受けられるようなっています。各大学においても、事前に公表されていた機関要件の確認への対応のポイント案に沿い、かなり短期なスケジュールの下で、機関認定に向け対応していることと思います。改めて確認すると、機関認定を受けることよりも、その後の運用の方が難しいのではないかと思っています。

1.機関認定要件

 大学等における修学の支援に関する法律では、機関認定要件を以下のとおり定めています。

一 大学等の教育の実施体制に関し、大学等が社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

二 大学等の経営基盤に関し、大学等がその経営を継続的かつ安定的に行うために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

三 当該大学等の設置者が、第十五条第一項の規定により確認を取り消された大学等の設置者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その取消しの日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものでないこと。

四 当該大学等の設置者が法人である場合において、その役員のうちに、この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反した者又はこれに準ずる者として政令で定める者で、その違反行為をした日又はこれに準ずる日として政令で定める日から起算して三年を経過しないものがないこと。

 これらの具体的な要件については省令で定めらるところですが、機関要件の確認への対応のポイント案では、要件は以下のとおりとなっています。

  1. 実務経験のある教員による授業科目の配置
  2. 外部人材の理事への任命
  3. 厳格な成績管理の実施・公表
  4. 財務・経営情報の開示

 この要件を勤務校ベースで見たとき、意外とハードルは低いなと感じました。中~大規模校ならば、比較的申請書が書きやすいのではないでしょうか。

 1については、

各学校種の設置基準により、卒業に修得が必要となる単位数の1割以上、実務経験のある教員による授業科目が配置され、学生がそれらを履修し得る環境が整っていること

とあり、一見厳しい基準にも思えます。ただ、"授業科目が配置され、学生がそれらを履修し得る環境が整っていること”であり、必修科目である必要はありません。以前聞いた話では、入学から卒業までのあるタイミングで履修可能であればよいとのことでした。

 大学設置基準では、4年制学部の卒業単位数は124単位以上であり、この1割以上は13単位概ね7科目です。学部には多ければ数百と科目があると思いますので、その中でたった7科目と考えると、それほどシビアな基準とは言えないでしょうね。強いて言うならば、シラバスへの対応がネックになるかもしれません。

 3については、通常の教学マネジメントの範囲内にて対応していることも多いと考えます。ただ、後でも述べますが、支援対象者の要件確認において、困難さがあるなと感じています。

 4については、教育活動に係る情報も記載することになっています。自由記述である"FD(ファカルティ・デベロップメント)の状況"や"学生の学修状況に係る参考情報""大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること"などは、どこまで書くべきかという意味でちょっと書きにくいですね。

2.支援対象者要件

 大学等における修学の支援に関する法律では、支援対象者要件を以下のとおり定めています。

(確認大学等の設置者による授業料等の減免)

第八条 確認大学等の設置者は、当該確認大学等に在学する学生等のうち、文部科学省令で定める基準及び方法に従い、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものと認められるものを授業料等減免対象者として認定し、当該授業料等減免対象者に対して授業料等の減免を行うものとする。

また、同法では、支援対象者の認定の取り消しを以下のとおり定めています。

(認定の取消し等)

第十二条 確認大学等の設置者は、文部科学省令で定めるところにより、当該確認大学等に在学する授業料等減免対象者が偽りその他不正の手段により授業料等減免を受けた又は次の各号のいずれかに該当するに至ったと認めるときは、当該授業料等減免対象者に係る第八条第一項の規定による認定(以下この条において単に「認定」という。)を取り消すことができる。

一 学業成績が著しく不良となったと認められるとき。

二 学生等たるにふさわしくない行為があったと認められるとき。

 特に、認定の取り消し基準について、機関要件の確認への対応のポイント案では以下のとおり記載があります。

支援対象者の要件

・次のいずれかの場合は、直ちに支援を打ち切る。なお、その態様が著しく不良であり、懲戒による退学処分など相応の理由がある場合には支援した額を徴収することができる。

ⅰ 退学・停学の処分を受けた場合

ⅱ 修業年限で卒業できないことが確定したと大学等が判断した場合

ⅲ 修得単位数が標準の5割以下の場合

ⅳ 出席率が5割以下など学習意欲が著しく低いと大学等が判断した場合

・次のいずれかの場合には、大学等が「警告」を行い、それを連続で受けた場合には支援を打ち切る。

ⅰ 修得単位数が標準の6割以下の場合

ⅱ GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合(斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討)

ⅲ 出席率が8割以下など学習意欲が低いと大学等が判断した場合

 大学はこれらの判断ができるように、体制を整備しなければなりません。大きくは、

  • 各自の修得単位数
  • 各自の出席状況
  • 各自のGPAと分布中の位置

を一人一人常に(毎学期?)把握しなければならないでしょう。システムですぐに出せることも多いとは思いますが、個々にそれをモニターする手間はあなどれません。また、学生側もこれらの状況を知りたいでしょう。システム改修などで、これらの状況(特にGPAに関する情報)が容易にモニター・出力できるようにしたいところです。ただ、これらの”出席率”や”GPA”がどのような授業を対象にするのか、いまいち判然としません。この辺りは、来週以降に開催される説明会にて話されることでしょう。

 支援要件としては、”GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合”が学生にとって厳しいと感じます。下位4分の1は常に発生し、かつ、相対評価であるため頑張ったとしてもそれを脱却できるとは限りません。成績評価の異議申し立ても、不可に関する申し立てのみではなく、今まで少なかったであろう成績評価段階に関する申し立ても発生することが想定されます。各大学により支援対象者数も異なるとは思いますが、出席や成績に関する対応を迫られることでしょう。

3.教学マネジメントの一環として対応していきたい

 特に、支援対象者要件は、出席や成績など教育の質保証とも関係しています。負担軽減のためのみではなく、教学マネジメントの一環として対応していきたいと考えているところです。

 余談ですが、

(目的)

第一条 この法律は、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その修学に係る経済的負担を軽減することにより、子どもを安心して生み、育てることができる環境の整備を図り、もって我が国における急速な少子化の進展への対処に寄与することを目的とする。

を見て驚きました。

 高等教育の負担軽減は、少子化への対応だったんですね。

総務の規範がまだわからない

 人事異動により、事業系(教職課程・更新講習など)から総務系の担当者になりました。特命業務はいくつかあるものの、調査対応や簡単な人事労務管理など、まだまだ総務の規範は身についていません。大学事務の総務業務に関する先行研究も決して多くなく、ディシプリンが見えにくいという点も概説のしにくさに影響しているのかなと思っています。

 とりあえず、飛び込んできた調査依頼に対して10分で回答原案を作成することを目指しています。

学生をたらいまわしにしないために心がけているたった一つのこと

 用件を聞いて該当部署に送り出す前に、該当部署に電話をかけ、「~~という件で~~という学生がこれから行くのでよろしく」と学生の前で電話をかけます。もし部署が違った場合も、誤った部署に誘導してしまうことを予防できます。

「研究力向上改革2019」への2,3の所感

研究力向上改革2019:文部科学省

我が国の研究力の現状は、論文の質・量双方の観点での国際的な地位の低下、国際共著論文の伸び悩み等にみられるように、諸外国に比べ研究力が相対的に低下していることが課題となっています。

このような現状を一刻も早く打破するため、文部科学省では、2月1日に公表致しました高等教育・研究改革イニシアティブ(柴山イニシアティブ)を踏まえ、省内に研究力向上加速タスクフォース(座長:永岡副大臣)を設置し、我が国の研究力の向上を図るための具体的方策を検討してまいりました。  

このたび、当該タスクフォースの審議を経て、研究「人材」「資金」「環境」の改革を「大学改革」と一体的に展開する「研究力向上改革2019」を取りまとめましたので、お知らせいたします。

 文部科学省から「研究力向上改革2019」なるものが公表されています。高等教育・研究改革イニシアティブ(柴山イニシアティブ)のもとに策定されたもののようです。研究関係は継続的にウォッチできていないのですが、大学運営にも関係する事項ですので、この機会に内容を確認します。

1.気になる取り組み

 おおむねどこかで聞いたことのある内容だと感じています。構造的には、柴山イニシアティブと同じように、既存の施策をまとめたのでしょう。個人的には、以下の点が気になる(評価できる)取り組みだと思っています。

1-1.一定割合を自らの研究や教育研究・マネジメント能力向上のための時間へ充当可能に(専従義務の緩和)

 特定の財源で雇用されている者が科研費などに応募しようとする際、専従義務との関係がむつかしかったところもあると思います。その点で、専従義務の緩和は期待できるところです。

1-2.・ファイナンシャルプランの提示

 修士・博士課程の学生に対して、ファイナンシャルプランを提示することで、経済的不安の解消を果たすとしています。4月23日に開催された中央教育審議会大学分科会大学院部会では、大学院設置基準の改正として、経済的支援や学費等に対する見通し(ファイナンシャル・プラン)を示すことの努力義務化が示されています。

大学院は、学生の経済的負担の軽減を図るための措置及び授業料、入学料その他の大学が徴収する費用に関する情報を整理し、学生及び入学を志望する者に対して明示するよう努めるものとする。

 個人的には、研究者になった場合の一般的な意味のファイナンシャルプラン(収入支出を踏まえた人生設計)をいくつか例示してもよいのではないかと思っています・

1-3.競争的資金の直接経費から、研究以外の学内業務の代行経費(人件費等)の支出を可能に(バイアウトの導入により、研究専任教員や教育専任教員等の配置も可能に)

 PIが研究に専念できる環境の整備(研究時間の確保)として施策が示されています。実際に人が雇用できるほど競争的資金を獲得できるのかという点もありますが、使途が多様化するのは(煩雑化する処理もありますが)良いのではないかと思っています。

2.いまいち内容が不明な点

 無理やり数枚のポンチ絵に押し込んだため、いまいち内容が不明な点や整合性がない点が散見されると感じています。

2-1.誰がどのように作ったのか

 このプランは文科省内に設置された研究力向上加速タスクフォース(座長:永岡副大臣)が策定したようです。ただ、誰が参加したのか、どのような手順で策定されたのかは明らかにされていません。現状では、現場を見ずに内輪で作ったと言われても仕方がない状況でしょう。

2-2.「不断の見直し」が研究力低迷の一因ではないか

 P1の左下に小さく「産学官を巻き込んだ不断の見直し→進化し続けるプラン」とあるのを見て、安穏たる気持ちになりました。この「不断の見直し」こそが研究力低迷の一因であることを作成者は理解していないのでしょう。

 言うまでもないことですが、年々変わる文部科学行政の施策により、大学の教育研究経費や環境は安定的に運用できていない状況です。これにより、学生への教育環境の提供や若手研究者の雇用などが困難になっている一面もあります。「不断の見直し」を止めなければ、同じページにある「若手研究者の「安定」と「自立」の確保」は困難でしょう。せめて、「中長期的な研究環境や研究成果の向上状況を踏まえ、産学官により、更にプランを進化させる」程度の記載が適切ではないでしょうか。

2-3.「日本の研究者を取り巻く主な課題」の原因がわからない

 P1には「日本の研究者を取り巻く主な課題」として3区分10点が挙げられており、それを解決することで研究力向上に資する基盤的な力の更なる強化を果たすこととしています。ただ、「日本の研究者を取り巻く主な課題」の原因は書かれておらず、本当に提示されている解決策に効果があるのかは不明です。

 特に国立大学における研究力低迷の大きな原因は、研究成果産出のインフラである安定的な運営経費(何もせずとも決まった金額が毎年配分される経費)の削減であろうと思います。それに言及しない中での施策は、足場の悪いところで全員がアクロバティックなダンスを踊ることと同義だと感じています。

 

 とりあえずよくわからない点を3つだけ挙げてみましたが、そのほかにも、文系の研究力向上にはあまり言及されていないことや大学院教育との関連が不明なこと、民間企業における研究力向上との関係や「ラボ改革」「ラボ革命」が混在していることなども気になりますね。
いずれにしろ、今後、科学技術・学術審議会等で個別具体な施策の検討が進められていくことでしょう。

こんなことを言う上司はクソだと言う経験則

「この事柄については法令に明記されており相手方も当然に対応しているはずなので、わざわざ通知文書に記載することない。」

    私の経験則として、この手の輩は責任を取る気はありません。

    こう言われたら

「その理論に則れば、道路交通法令に様々な交通ルールが明記されており各者は当然に対応しているため交通事故は発生しないものと思われます。ただ、実際には交通事故は多数発生しているため、やはり注意喚起と言う意味でも、通知文書への記載は必要ではないでしょうか。」

と返しましょう。確実に煙たがられます。

設置計画履行状況等調査の結果は他人事ではない。

設置計画履行状況等調査の結果について(平成30年度):文部科学省

この調査は,文部科学省令に基づき,大学等の設置認可及び届出後,原則として開設した年度に入学した学生が卒業する年度までの間,当該設置計画の履行状況について,各大学の教育水準の維持・向上及びその主体的な改善・充実に資することを目的として,大学設置・学校法人審議会大学設置分科会において実施しています。このたび,平成30年度の「設置計画履行状況等調査」の結果を取りまとめましたので,お知らせいたします。

 設置計画履行状況等調査の結果が公表されました。設置審査・認定を受けた大学等が該当しますが、ここでの指摘は教学上の示唆を与えるものです。

大学設置基準

(趣旨)
第一条 大学(短期大学を除く。以下同じ。)は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)その他の法令の規定によるほか、この省令の定めるところにより設置するものとする。

2 この省令で定める設置基準は、大学を設置するのに必要な最低の基準とする。

3 大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めなければならない。

 そもそも、大学設置基準は最低限の基準であり、向上に努めなければならないものです。教学の改善に生かすため、指摘内容を確認します。

区分 内容
指摘事項(是正) 相手国の学生も履修する一部の科目のシラバスが日本語のみになっており,相手国の学生が科目選択をする際に支障をきたしているため,全てのシラバスについて,少なくとも日本語と英語で作成すること。併せて,シラバスの授業計画項目の記載については,各回の内容が分かるよう適切に改めること。
指摘事項(是正) 専任教員数が認可時の計画から減少している専攻分野がある。このため,学外実習において専門分野以外の教員が学生指導の補助を行うほか,学期の途中で授業の開講日時が突然変更されるなど,教育課程が適切に運営されていないため,専任教員の補充や実習補助者の導入を行うなど,教育課程の実施に必要な体制を確保すること。
指摘事項(是正) 専任教員数が認可時の計画から減少し,速やかに補充もなされなかったため,学外実習において専門分野以外の教員が巡回指導を行うほか,学期の途中で授業の担当教員や開講日時が突然変更されるなど,教育課程が適切に運営されていない。設置計画に示されている専任教員数の確保や実習補助者の導入を行うなど,教育課程の実施に必要な体制を確保すること。なお,今後,新たに教員の採用及び昇格の選考を行う際には設置計画履行状況等調査における教員審査を受審すること。
指摘事項(是正) 認可時の計画から公衆衛生及び在宅看護分野をはじめとして専任教員数が減少しているため,授業,学生指導などの教育の質の低下が危惧されるとともに,多くの教員が辞任するなど(4年間で延べ17名)し,入れ替わりが生じることによる学生の混乱も生じている。設置計画に示されている専任教員数を確実に補充するほか,教員の定着率の向上に努めること。なお,今後,新たに教員の採用及び昇格の選考を行う際には設置計画履行状況等調査における教員審査を受審すること。
指摘事項(是正) 「卒業演習」について,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の教育課程として配置しているが,シラバスの授業目標の一部に掲げられている「国家試験を見据えて試験方式で知識・技術のエビデンスを自己評価できる」との内容は,授業目標の設定として不適切であるため,是正すること。
指摘事項(是正) キャリアプランニング(1),A,B,C」の到達目標が就職対策に向けた設定となっており,卒業要件単位に含める授業科目としてふさわしくないため,是正すること。
指摘事項(是正) 本学科の特色となる「活動推進学期」(2年次3学期)に関する学生への履修指導が十分に実施されておらず,設定された「海外セミナー」,「地域援助実践体験」及び「心理学とキャリア形成」のいずれも履修しない学生が多数生じているほか,受入先の充実等に向けた取り組みも不十分である。これらの状況は,設置計画及び認可時の留意事項の不履行であるため,提示された改善方針を確実に履行し,教育の質の向上に努めること。
指摘事項(是正) 「海外セミナー」によって海外大学で取得した単位の認定方法が適切でないため,是正すること。
指摘事項(是正) 留学生選抜入試について,抽象的な評価項目により学生選抜が実施されており,日本語能力を的確に判定できるものとなっていないほか,平成30年4月に入学した全81名の入学者のうち日本人学生は1名のみで,他は全て外国人留学生等となっている。これらの状況は,設置計画及び認可時の留意事項の不履行であるとともに,学生数の確保という観点で安易に留学生等を受入れているものであるため,是正すること。
指摘事項(是正) 複数の科目の定期試験について,シラバスで明示された到達目標を確認する内容になっていないものや,大学教育の水準に照らしてふさわしくない内容のものがあった。また,多くの科目のシラバスで事前・事後学修が明示されていないものもあった。これらについて,是正すること。
指摘事項(是正) 留学生一人ひとりへの日本語能力の向上を含む学修面や生活面の支援が十分に実施されているとは認められないため,改善すること。
指摘事項(改善) 講義等においては,留学生の学修効果・成果の向上のため,英文の配付資料や説明資料等の活用・充実に努めるとともに,その内容を事前に学生に対して共有し,事前学修が行えるよう配慮に努めること。
指摘事項(改善) 授業科目の評価基準については,シラバス等にあらかじめ明示されているものの,一部の授業科目において評価基準が学生にとって分かりにくいものとなっているため,分かりやすい明示に努めること。
指摘事項(改善) 資格取得に係る取り組みがアシスタントマネージャー養成科目の設定のみに留まり,不十分なため,スポーツコーディネーターとして活躍するために有益となる様々な資格取得に向けた学生へのきめ細やかな履修指導に努めること。
指摘事項(改善) 通学課程と通信教育課程の情報が混在した「大学案内」が受験生等に配付されているが,正しい理解に基づき学生が入学できるよう,両課程に関する適切な情報の掲載に努めること。
指摘事項(改善) 設置計画で示された学生による授業評価の実施が,一部の科目のみに留まっている。FD活動が充実されるよう,全ての科目で学生による授業評価が実施できるよう努めること。
指摘事項(改善) 学生の履修指導に活用している履修系統図が学科間で記載方法が異なるため,学生が混乱しないよう学部として記載方法の統一に努めること。
指摘事項(改善) 学生が講義後に図書館を利用して学修を行えるよう開館時間の配慮に努めること。
指摘事項(改善) 休講や授業時間の変更連絡が,変更当日に学内の掲示板で掲示されるのみで学生の履修に支障が生じている。休講や授業時間の変更の際は,期間に余裕をもって周知するとともに,急な変更時は速やかに学内ホームページやメール等を活用すること。
指摘事項(改善) 教員のオフィスアワーが学生に適切に周知されていないため改善すること。
指摘事項(改善) 成績評価に対する学生からの不服申し立て制度を整備した上で,学生に周知することが望ましい。
指摘事項(改善) 担当教員の退任等を理由に科目を未開講・廃止とし,代替科目を設定しているが,一部の科目で代替科目が設定されておらず,教育の質の低下が危惧されるため,速やかに設定するとともに,代替科目に関する学生への周知を充実すること。
指摘事項(改善) 地域実習を今後も継続させるために,統括責任者である教務主任等の特定個人に過度に業務負担が集中することなく,組織として安定して運用できる体制の整備に努めること。
指摘事項(改善) 学生アンケートにおいて必修科目である「初級プログラミングI」,「初級プログラミングII」の授業評価が低いほか,「初級プログラミングI」は単位認定試験の合格者が約3割に留まっているため,授業内容等を検証した上で,学生の理解が深まるよう授業内容の改善に努めること。
指摘事項(改善) ディプロマ・ポリシーに掲げる能力を身に付けた人材の育成に努めつつ,広報活動や学内奨学金制度の更なる充実,教育委員会との連携等による教職大学院に進学するインセンティブの向上等を通じて,入学定員充足率の改善に努めること。
指摘事項(改善) 退学や留年となる学生に対する対応策を確実に実施し,学修指導体制を充実すること。
指摘事項(改善) 入学定員を超過して学生を受入れたことにより,講義室等が学生数の規模に対して手狭になっている懸念があることから,適切な定員管理に努めるとともに,学生の学修環境の改善に努めること。
指摘事項(改善) 図書館に設置された文献検索用パソコンが数台に限られており,学修への支障が懸念されることから,台数の増加や,学内無線ネットワークの整備など,学修環境の向上に努めること。
指摘事項(改善) 学生の就職活動を組織的に支援する体制が整備されていないため,適切な体制の整備に努めること。
指摘事項(改善) 学生からの授業アンケートの結果や教職員・学生からの意見・要望などを大学全体で情報共有できる仕組みが整備されていないため,適切に周知ができるよう努めること。
指摘事項(改善) 学長を補佐する役職者を設けるなど大学組織が適切に機能する取組に努めること。
指摘事項(改善) 複数の実習科目において,助手の未配置や大幅な減少が生じており,教育の質の低下が危惧される。設置計画で示されている助手数を確保し,実習に必要な指導体制の整備に努めること。
指摘事項(改善) 専任教員数が届出時の計画から減少しており,専任教員が担当することとしていた行政法・労働法に関する科目を兼任教員が担当しているなど,教育の質の低下が危惧される。提示された教員の採用計画を確実に履行するとともに教員配置の充実に努めること。
指摘事項(改善) 「キャリアカウンセリングⅥ」において,シラバスの授業計画に「履歴書の作成」や「エントリーシートの作成」など,本科目の到達目標に掲げた生涯にわたるキャリア形成に必要な意欲・態度を身に付けることとは整合してない計画が含まれているため改善すること。
指摘事項(改善) 「小児看護学実習Ⅰ」,「小児看護学実習Ⅱ」について,科目の体系性の観点を含めた教育効果がシラバスで明示されていないため記載の充実に努めること。
指摘事項(改善) 図書館の開館時間が短く,学生が利用できる時間が限られているなど,教育研究活動を行う上で,不十分な図書館の運営体制となっている。開館時間の見直しや専門的職員の配置の充実など,本学の教育研究が促進されるよう図書館の運営体制の改善に努めること。
指摘事項(改善) 規定された3つのポリシーの内容が不十分なため,法令等を踏まえて適切に修正すること。

 特に、定員や教員年齢以外で教学等に関連する指摘事項を抽出しました。

 どのようなレベルで指摘されたのか、学部か大学院かにもより考え方が異なるため、これだけではなんとも言えません。ただ、現在運営されている大学にも当てはまる指摘があるのではないかと思っています。大学設置審査も年々変化しており、審査当時はよかったとしても現在では適切ではないことはたくさんあります。設置計画履行状況等調査の結果を確認し現時点の観点・論点を理解することにより、大学教育の水準の向上に役立てていきたいですね。