転任先の労務管理にはご用心

 先日、4月から他機関への短期転任が決定している友人と会食をしていた折、こんなはずじゃなかったという話をいくつか聞きました。なかなか自分には無い視点だったので、本人の許可を得て、ここに書き記しておきます。(すでに転居を伴う異動は内示があったことと思うので、4月から異動先で働かれる方には有効性は少ないかもしれませんが…)

 結論から言うと、転任先の労務管理をよくよく確認した上で、異動希望を出したり異動した方が良いよ、と言うお話です。

1.出向と転任の違い

 一般的な言葉の定義はさておき、本稿では出向と転任を以下の通り整理します。

言葉 定義
出向 元機関に所属したまま他機関で業務を行うこと 文部科学省行政実務研修生
転任 一定の約束のもと、元機関を辞職して他機関で業務を行うこと 独立行政法人への短期転任

  簡単な違いは、給与がどの機関から支払われるか、つまり、労務管理がどの機関の責任において行われているのかですね。今回は、元機関を辞職し給与が異動先の機関から支払われる”転任”を取り上げます。

2.転任先の労務管理においてあらかじめ知っておいたほうが良いこと

 異動希望を出す前にあらかじめ知っておいた方が良かった(知っていたら希望を出さなかったかもしれない)と友人から言われたことを、以下の通り整理します。一部、私が考えたことも追記しています。

  1. 平均的な労働時間はどの程度か
  2. 休日勤務(公的自主的問わず)はどの程度か
  3. 繁忙期はいつか
  4. 繁忙期の労働時間はどの程度か
  5. 働いた分だけ超過勤務手当が支給されるのか
  6. 保険・年金関係や財形貯蓄等は全て引き継がれるのか

 これらは転任先の労務管理に関する事項です。独法や国の機関の場合、5.は保証されていない可能性が十分にあります。また、意外と6.などは影響がある方もいるのではないでしょうか。

3.情報をどのように手に入れるのか

 前項の情報をどのように手に入れるのかは悩ましいところです。まさか、いきなり転任予定先に電話をかけてそちらは残業代満額出ますか?と聞くわけにもいきません。同じ機関に転任したことのある者を学内で探す(あるいは人事担当者に紹介してもらう)か、人づてに学外者を紹介してもらうかにより経験者と接触し、実態を確認すると言うことが良さそうです。また、前項の5.については、元機関の担当者と十分な調整が必要でしょうね。