国立大学法人と文部科学省との人事交流の改革について

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 2月15日の文部科学大臣記者会見において、国立大学法人文部科学省との人事交流(いわゆる異動官職)の改革が打ち出されました。記者会見の文字起こしを、以下に掲載します。

わたくしは、就任以来、幹部職員の天下り問題や幹部職員の逮捕起訴事案などにより損なわれた文部科学省に対する信頼を一刻も早く取り戻すことが大変重要であると考え、文部科学省未来検討タスクフォースや創成実行本部からもご意見をいただきながら、わたくし自身が先頭に立って、省一丸となり、再発防止策の検討を行い、新生文部科学省の創成に向けて取り組んでまいりました。

その中で、私が特に重要と考えているのが、職員の意識改革と能力育成です。この観点から、文部科学省の人事政策、人材育成のあり方の見直しこそが急務であると考え、文部科学省全体の改革案の取りまとめに先立ち、本日、わたくしの案を提示させていただくことにいたしました。

内容は大きく2点あります。一つ目は、文部科学省における人事改革で、具体的には、教育改革を実行し、また、不祥事の再発防止の徹底を期すための組織人事の在り方自体の改革、採用区分や年次に囚われない適材適所の人事配置、女性若手一般職の積極的登用、若手の現場経験重視、自治体や民間との人事交流の促進などです。二つ目は、国立大学法人との人事交流の改革です。

具体的には、本年4月に交代となる理事出向者は半減を目指す、文部科学省からの理事出向は現在国会提出中の国立大学法人法改正案の施行日である2020年4月以降は学外理事が法定数確保されていることを前提とするなどです。この人事交流の見直しは、結果として国立大学法人の自律性を高める意義もあると考えております。この点については、しっかりと政治主導によって進めてまいります。今後、文部科学省創成実行本部や大学など関係の方々のご意見もお聞きした上で、速やかにとりまとめ、可能なものはこの4月の人事から実施したいと考えております。広くご意見をお寄せいただければと思います。

人事改革に関して、理事を半減するということを明言されていますが、そこの狙いを改めてお伺いしたい。

文部科学省の職員の国立大学法人の出向については、従来行われてきたわけなんですが、職員が現場の実情を熟知しそれにより培った現場感覚を文部科学行政に反映させるなど、行政官として基本的な素養を身につけるという意義はある反面、行政の透明性について疑義をもたれかねない面もあると考えております。こうしたメリットデメリットも踏まえ、まずは理事という役職に注目し、今回の人事改革案を踏まえ、本年4月人事から実行させていただき、その結果もよく分析したうえで、さらに今後どうするかということを検討していきたい。

各国立大学の実情も様々かと思いますので、適切に実施する必要はあると思います。この改革案の狙いとしては、国立大学法人の自律性を高め、戦略的な経営が一層できるように後押しをするということも含まれていることを付言させていただきます。

国立大学法人の人事交流について、私案なのか、文部科学省として取り組むことなのか。また、学外理事が一定する確保されていることについての理由を教えていただきたい。

私案ということで申し上げたが、文部科学省の一連の不祥事の再発防止を徹底するとともに文部科学省の創成を期するためには、やはり人事改革が不可欠である。ただ、現場から、あるいは創成実行本部の有識者の方々から、人事の透明性や柔軟性ということについて問題提議がされましたければとも、これを具体的にドライブしていくためには、政治主導であることが不可欠であると考えたことから、わたくしのプロポーザルということで問題提議をさせていただき、そのうえで、関係のステークホルダー、大学の皆様のご意見もお伺いする機会を設けたいと考えたわけです。

学外理事が法定数確保されていることを前提とするということは、要は文部科学省からの理事の出向、これまでもおそらく人事交流は若いうちは当然のことながら、国立大学も含めていろいろ行っていくと、これは今までと同じ方針ですけれども、そういった方を理事の段階で学外理事と扱うことがふさわしいのかという問題提議です。

正式にはいつ決まるのか。利益相反と透明性の確保についてわかりやすく話してほしい。

時期について、創成実行本部にわたくしからのプロポーザルとしてご提案し、3月中に検討しご意見をいただきたい。

従来の人事について、文部科学省国立大学法人との人事交流について、国民から疑念を持たれないように、できるだけ透明性を高めることが必要だと考えています。利益相反などにおいても、配慮する必要があります。一方で、国立大学法人運営費交付金については、一定のルールに基づいて、機械的に算定される経費などが大半を占めているわけですから、現役出向者からの働きかけによって運営費交付金が恣意的に配分されることは制度上はないと思っています。

やはり、意思決定のポジションにいる方がたとの利益相反ということに対して、国民の皆様に疑いをもたれないようにするということが、今民間でも利益相反に対する制度設計、社外取締役の確保なども進んでいるわけですから、ガバナンス改革の一環としてプロポーザルをさせていただいたということでございます。

 ポイントは、以下のとおりです。

  1. 国立大学法人への文科省からの理事出向者は半減を目指す。
  2. 早ければ2019年4月の人事から取り組んでいきたい。
  3. 私案であるが、政治主導で取り組みたい。

 異動官職については、幣BLOGでもたびたび言及してきました。主には、以下の記事です。

文部科学省出身の国立大学法人幹部に思う 〜異動官職の是非〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG

異動官職について思う - 大学職員の書き散らかしBLOG

 交流人事については、建前上は、学長から文部科学大臣への要請という形になっていたと思いますので、その整理をどのように付けていくのかが気になる点です。また、学外理事の確保との関係性は、この文脈ではわかりにくいですね。法人法が改正されるので、それに合わせて対応するという当たり前のことを言っている気がします。

 個人的には、

  1. 文科省若手職員の出向については、大学本部ではなく、学部研究科の事務長補佐クラスに配置する。
  2. 国立大学法人幹部職員については公募制とし、学内応募者や学外応募者とともに、文科省職員も面接等を受験し、選抜する。

 という形にならないかなと思っています。

 いずれにしろ、国立大学法人のマネジメントや職員のキャリアパスが大きく変わりそうで、ワクワクしますね。