教育職員免許法第5条第2項(所要資格を得た日から10年以上を経過した者への免許状授与)に関する整理

 今回は非常にニッチな話題であり、個人的な整理文章です。

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教育職員免許法

第五条 普通免許状は、別表第一、別表第二若しくは別表第二の二に定める基礎資格を有し、かつ、大学若しくは文部科学大臣の指定する養護教諭養成機関において別表第一、別表第二若しくは別表第二の二に定める単位を修得した者又はその免許状を授与するため行う教育職員検定に合格した者に授与する。ただし、次の各号のいずれかに該当する者には、授与しない。(略)

2 前項本文の規定にかかわらず、別表第一から別表第二の二までに規定する普通免許状に係る所要資格を得た日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日を経過した者に対する普通免許状の授与は、その者が免許状更新講習(第九条の三第一項に規定する免許状更新講習をいう。以下第九条の二までにおいて同じ。)の課程を修了した後文部科学省令で定める二年以上の期間内にある場合に限り、行うものとする。

 教育職員免許法第5条第2項の規定には、以下の2つの場合が考えられる。

1.失効した免許状を再取得する場合

1−1.新免許状所持者の場合

  • 更新手続きを行わずに有効期間の満了日を過ぎた場合、保有する全ての免許状が効力を失った状態(失効)となる。
  • 教育職員免許法第5条第2項により、免許状が失効となった場合でも、教員免許状更新講習(以下、「更新講習」と言う。)を必要な時間数修了し免許管理者へ申請を行えば、新たな有効期間が定められた新たな免許状が授与される。
  • この場合、失効後に受講する更新講習の受講資格としては、免許状更新講習規則第9条第2項のいずれかが該当すると思われる。

1−2.旧免許状所持者の場合

  • 教育職員免許法附則第2条第5項により、旧免許状所持現職教員が修了確認期限までに免許管理者による更新講習修了確認を受けなかった場合には、保有する全ての免許状が効力を失った状態(失効)となる。

    旧免許状所持現職教員(知識技能その他の事項を勘案して免許状更新講習を受ける必要がないものとして文部科学省令で定めるところにより免許管理者が認めた者を除く。)が修了確認期限までに更新講習修了確認を受けなかった場合には、その者の有する普通免許状及び特別免許状は、その効力を失う。

  • この場合、教育職員免許法附則第2条第6項により、当該免許状を免許管理者へ返納しなければならない。

    前項の規定により免許状が失効した者は、速やかに、その免許状を免許管理者に返納しなければならない。

  • 教育職員免許法附則第2条第1項により、旧免許状所持現職教員が免許状を失効した場合、教育職員免許法第5条第2項が適用される。よって、新免許状所持者と同様に、更新講習を必要な時間数修了し免許管理者へ申請を行えば、有効期間が定められた新免許状が授与される。この段階で、当該者は、旧免許状所持者から新免許状所持者となる。
  • この場合、失効後に受講する更新講習の受講資格としては、免許状更新講習規則第9条第2項のいずれかが該当すると思われる。
  • なお、現職教員(受講義務者)ではない旧免許状所持者が修了確認期限までに免許管理者による更新講習修了確認を受けなかった場合、教育職員免許法附則第2条第7項により、免許状は失効せず、免許管理者による更新講習修了確認を受けなければ教育職員になることができないこととなる。

    旧免許状所持者(旧免許状所持現職教員を除く。)が更新講習修了確認を受けずに修了確認期限を経過した場合には、その者は、その後に、第三項第三号に規定する免許管理者による確認を受けなければ、教育職員になることができない。

2.初めて免許状を取得する場合

  • 教育職員免許法第5条第2項により、普通免許状に係る所要資格を得た日の翌日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日を経過した者が初めて免許状を取得する場合、免許状を取得する前に更新講習を必要な時間数受講・修了しなければならない。なお、この場合の所要資格には、教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目及び介護等体験は含まれない。
  • 一般的に、更新講習は現在所持している免許状の効力を更新するために行われるものである。そのため、免許状を所持していない者が更新講習を受講できるのか、受講できる場合はどのような根拠によるものか、受講する場合はどのような対応が必要かを整理しておく必要がある。

 

 前述の通り、免許状を所持していない者に係る更新講習の受講について、以下の通り整理する。

1.根拠法

  • 更新講習の受講者は、教育職員免許法第9条の3第3項並びに免許状更新講習規則第9条第1項及び第2項により規定されている。
  • 免許状更新講習規則第9条第1項及び第2項には、受講対象者として、

    普通免許状若しくは特別免許状を有する者、普通免許状に係る所要資格を得た者、教員資格認定試験に合格した者、免許法第十六条の三第二項若しくは第十七条第一項に規定する文部科学省令で定める資格を有する者又は教育職員免許法施行法第二条の表の上欄各号に掲げる者

    とあり、免許状を有する者のみを受講対象者としているわけではない。
  • よって、免許状を所持していない者であっても、所要資格を得ており、免許状更新講習規則第9条第1項及び第2項の各号に定められる立場にあれば、更新講習を受講することができる。

2.免許状を所持していない者が更新講習を受講する際の対応

2−1.受講対象者としての資格

  • 免許状を所持していない者は、その時点では教員としては勤務しておらず、免許状更新講習規則第9条第2項第2号又は第3号に定められるいずれかの立場にあるものと考えられる。
  • 教員免許更新制の実施に係る関係省令等の整備について(通知)により、講習開設機関は受講資格の確認が必要であるため、当該者の受講資格やその証明先について、当該者及び都道府県教育委員会と十分に調整する必要がある。

    免許状更新講習の開設者は、受講申込時に、受講申込を行う者が更新講習規則第9条に規定する受講対象者に該当するか否かについて、証明者が証明した書類の提出を求めることなどにより確認すること。なお、証明者については受講申込を行う者が勤務する学校の校長等が考えられるが、各任命権者等により適切に運用されたいこと。

2−2.申し込み条件

  • webフォームで更新講習を申し込む際、所持する免許状の登録を必須事項としている場合は当該者が同フォームを使用して講習に申し込むことができない。そのため、当該者からの申し出により、柔軟に対応する必要がある。
  • 一方で、一度も免許状を所持していない者が更新講習を受講する事例は極めて数が少ないと考えられる。そのため、このような自体を想定しシステム改修を行うのではなく、運用において柔軟に対応できる方法を検討すべきであると考える。

2−3.講習内容

  • 一般に、更新講習は現職教員を主眼においた内容となっており、免許状を所持していない者の受講を想定していない。また、当該者は今まで更新講習を受講したことがないと考えられ、更新講習の内容や進行、修了試験などについての知識は乏しいものと思われる。
  • そのため、必要に応じて、当該者に対し、更新講習は現職教員を主眼においた内容であることや修了試験のことなどを説明しても良い。