平成30年度予算案が閣議決定されました。

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政府は22日、2018年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は97兆7128億円で、17年度当初予算(97兆4547億円)から2581億円(0.3%)増加し、6年連続で過去最大を更新した。高齢化で社会保障費が伸びたほか、防衛費も過去最大を更新し歳出全体を押し上げた。

 次年度の予算案が閣議決定されました。例年通り、クリスマス予算となりましたね。次年度予算における大学関連予算の状況を確認します。

平成30年度文教・科学技術予算のポイント

◆ 文教予算のポイント

4 高等教育(大学等)

(1)国立大学法人運営費交付金

国立大学法人運営費交付金

29年度   30年度  
10,971億円 10,971億円 (-)

 国立大学自らの改革への取組みを進めるとともに、前年度に引き続き実施する再配分等を加速し、メリハリある配分を実施する。

○国立大学経営改革促進事業

29年度   30年度  
    40億円 (新規)

 第4 期中期目標期間へ向けて、大学の経営改革を進めるため、「国立大学経営改革促進事業」を創設し、運営費交付金等に含まれる学長裁量経費と併せて施策の展開を図る。

(2)私学助成

○私立大学等経常費補助

29年度   30年度  
3,153億円 3,154億円 (+0.0%)

 教育の質に係る客観的指標による調整等の配分見直しを30 年度に先行導入、31 年度に本格実施することで、教育の質の確保とメリハリある配分を進める。

 また、定員割れ私立大学等への補助が近年増加していることを踏まえ、定員充足率を確実に反映するよう、定員未充足による調整を30 年度から強化する。

 更に、定員割れ私立大学への補助額増加等の要因となっている特別補助について、交付要件・対象や、審査方法・項目を見直すとともに、経営改善など、政策効果が認められない大学等を対象外とするなど、支援対象を重点化する。

(3)育英事業費等

○給付型奨学金の着実な実施

29年度   30年度  
70億円 105億円 (+50%)

 低所得世帯の子供たちの進学を後押しするため、29 年度に創設・先行実施した給付型奨学金を着実に実施する。

 具体的には、30 年度進学者について、国公私立の学生等(2 万人)を対象として、国公私の別、自宅・自宅外の別に設定した給付額(月額2~4 万円)を支給する。また、社会的養護が必要な学生等については、初年度に入学金相当額(24 万円)を別途給付する。

 これらの施策の円滑かつ着実な実施を図るため、30 年度においては、(独)日本学生支援機構に造成した学資支給基金に105 億円の積み増しを行う。

○無利子奨学金の拡充等

29年度   30年度  
885億円 958億円 (+8.3%)

 無利子奨学金については、29 年度から進められている①低所得世帯の子供に係る成績基準の実質的撤廃及び②残存適格者の解消について、30 年度においても着実に実施する。そのため、政府貸付金による新規貸与枠を拡充(+2.8 万人)するほか、財政融資資金を活用した利子補給方式による対応を行う(+1.6 万人)。

※  29 年度から導入した「所得連動返還型奨学金制度」について、貸与終了者からの返還が本格的に開始する31 年度に向け、29 年度補正予算において、奨学金業務システムの開発経費(14億円)を計上。

○授業料減免対象者の拡大 国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助金の内数

  29年度   30年度  
国立大学における授業料減免 333億円 350億円 (+5.2%)
私立大学における授業料減免 102億円 130億円 (+27.9%)

 経済的な理由によって授業料の納付が困難で、かつ、学業成績が優秀な者等に対する授業料減免枠を拡大する。これにより、対象者数は、国立大学は約0.4 万人増(約6.1 万人→約6.5 万人)、私立大学は約1.3 万人増(約5.8 万人→約7.1 万人)となる。

 特に、育英事業費等の増加が目立ちます。教育無償化や給付型奨学金など、政府の意向が大きく反映されているものと推測できます。

 やはり気になるのが、国立大学法人運営費交付金等です。こちらは、前年度と同額となっており、法人化以降進んでいた削減が下げ止まったように感じられます。さらに、新たに国立大学経営改革促進事業40億円が加わり、国立大学全体でみれば若干の上昇傾向にあると言っていいでしょう。ただし、この中から、基盤的な予算、競争的な予算と分かれていきますので、実質的にどのような配分になるのかはあまり楽観的にはなれないのかもしれません。

 

 科学技術予算でも、新規事業:オープンイノベーション加速のための体制整備等や世界トップレベルの研究拠点形成の予算増額など、大学に関連する予算が見て取れます。

 そのほか、内閣・内閣本府等関係予算でも、地方創生に関連して、大学関係予算が計上されています。

平成30年度内閣、復興、外務・経済協力係関係予算のポイント

2.地方創生の推進

○地方大学・地域産業創生交付金

29年度   30年度  
- 20億円 (新規)

 首長のリーダーシップの下、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行う優れた取組を支援。

※ このほか、地方創生推進交付金の活用分(50億円)、文部科学省計上分(25億円)及び関連事業(地方と東京圏の大学生対流促進事業、地方創生インターンシップ事業(内閣官房において計上)及び地方へのサテライトキャンパス設置に関する調査研究事業(内閣官房において計上)等5億円)を合わせ、地方大学・地域産業創生事業として合計100億円を計上。

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 あれっと思ったのが、ポンチ絵の事業イメージ文中にある

新たな交付金の対象となる大学においては、文部科学省計上分(国立大学法人運営費交付金及び私立大学等改革総合支援事業のうち25億円分)を内閣府交付金と連動して執行。

という記述です。私の記憶にある以前までの図にはなかった文章だと思いますし、この書きぶりでは内閣府交付金の対象となった大学に運営費補助金または改革総合支援事業費を支給するようにも読み取れます。どのようなスキームで予算配分が行われるのか、注視する必要がありますね。