私立大学等改革総合支援事業タイプ5は地方私立大学再編も視野に入っているのではないか

平成29年度 私立大学等改革総合支援事業(タイプ5)に係る調査について(依頼):文部科学省

私立大学等改革総合支援事業について、今年度からはタイプ5としてプラットフォーム形成が加わります。当事業タイプ5の支援を希望される場合は、別添1「私立大学等改革総合支援事業について」、別添2「私立大学等改革総合支援事業タイプ5の趣旨等について」及び別添3「平成29年度私立大学等改革総合支援事業タイプ5について」を参照の上、下記により必要書類を提出願います。

 私立大学等改革総合支援事業タイプ5(以下、「本事業」という。)に係る調査が行われています。本事業は本年度から新設されたものであり、平成29年度概算要求の段階では「地域を支える私立大学等連携プラットフォーム形成支援事業」として私立大学等改革総合支援事業とは若干異なる枠組みで予算立てされていたものです。

 本事業では、特定の地域の高等教育機関(75%以上)及び地方自治体並びに産業界等がプラットフォームを形成し、地域の高等教育に関する中長期計画(5カ年以上)の策定・実行・評価を通じ、大学改革や資源の集中・有効活用等を推進する大学等を支援することとしています。

 そもそも、自治体の助言を受けるとはいえ、大学等が地域の高等教育に関する中長期計画(各高等教育機関に関する中長期計画にあらず)を策定すること自体私にはその趣旨が理解できません。また、地方の高等教育には国立大学が果たす役割がかなり大きいと思うのですが、国立大学の参画は必須ではなく、どの程度の計画を求められているのかなかなか読めません。本事業の調査票の中には

プラットフォームにおける、特定の地域のリスクマネジメントについての検討に参画していますか。

本設問においては、共通設問㉗で「1」に該当していることを前提とする。リスクマネジメントについての検討とは、災害、事件・事故、大学等の経営破たん等の発生時における、大学等、地方自治体及び産業界との間の連携に向けた協議が行われていることを指す。

 という設問があります。配点は1点なのでそれほど重要度は高くないとはいえ、大学の経営破綻における対応という点もプラットフォームでの対応に含まれています。これを踏まえると、大学等の自発的な再編に向けた場として活用されることも想定しているように思えます。

 本件については、すでにid:as-daigaku23さんが言及されています。

as-daigaku23.hateblo.jp

 その前提にたつと、地方自治体ではなく私立大学等の高等教育機関が中長期計画を策定する意味も若干は理解できることです。法人合併等を伴う場合を踏まえると、地方自治体では策定し得ない計画であることが想像できます。23区内の定員抑制の件も含め、まずは自発的な再編を促すといった段階でしょうか。

 正直言うと、本事業の狙いはあまりよくわかりません。色々と対応も進めているのですが、調査票の細かい取り組みに気がとられ、事業としての大義が見出しにくいようにも感じますね。