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3つのパブコメが出ています。

 大学関係のパブリックコメントが3件でています。中央教育審議会大学分科会大学教育部会の審議が一段楽したので、審議していた3案件についてまとめてパブコメにかけたのでしょうね。なお、これらは行政手続法第39条に定める意見公募手続に則ったものです。

行政手続法

意見公募手続
第三十九条  命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

1.三つのポリシーの策定・公表に関する学校教育法施行規則の改正

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

1.三つのポリシーの策定の義務化

・ 大学(短期大学及び高等専門学校※を含む。大学院については,入学者の受入れに関する方針のみを適用。以下同じ。)は,当該大学,学部又は学科若しくは課程(大学院にあっては,当該大学院、研究科又は専攻)ごとに、その教育上の目的を踏まえて、次の1~3の方針を定めるものとする。

高等専門学校には,大学に関する規定を準用。

  1. 卒業の認定に関する方針
  2. 教育課程の編成及び実施に関する方針
  3. 入学者の受入れに関する方針

・ 2の方針を定めるに当たっては,1の方針との一貫性の確保に特に意を用いなければならない。

2.三つのポリシーの公表の義務化

・ 大学は,上記1により定めた三つのポリシーを公表するものとする。

3.その他

・ 本改正の施行日は,各大学における三つのポリシーの策定・見直し作業に要する期間を考慮し,平成29年4月1日とする。

 アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーのいわゆる3つのポリシーを定めて公表せよという内容です。とは言いつつも、現行の大学機関別認証評価の評価基準におけるポリシーへの言及もあり、ほとんどの大学で3つのポリシーは策定され公表されています(詳細は大学教育部会資料を参照。)。

 ただし、今回の改正は単なる現状追認というよりは、3つのポリシーを見直しよりそれに沿った大学教育を展開せよということだろうと思います。それは、施行日の設定における「見直し」という文言及び大学教育部会での3つのポリシーの策定及び運用に関するガイドライン検討ということからも明らかでしょう。事実、各国立大学法人の第3期中期目標・中期計画には3つのポリシーを見直すというフレーズがちらほら見られます。認証評価における3つのポリシー周りの評価も、策定予定のガイドラインを踏まえて行われるのではないかとも想像できますね。

 各大学では様々な憲章や方針、ポリシー、目的、目標、計画などが作られているとは思いますが、これらを作るには本来は相当のロジックやテクニック、知識経験やコストがかかるものです。先日の福島さんの講演からは熱意も必要だということを感じました。言い出し始めて10年経ったということを考えると、見直すタイミングはこの辺りということでしょうね。

 ちょっとよくわからないのが、大学や学部、学科”それぞれに”作る必要があるのか、どこを策定単位とするのかです。ガイドライン(素案)では、

三つのポリシーの策定単位については,具体的には各大学で適切に判断すべきものであるが,「我が国の高等教育の将来像」(平成 17 年1月 28 日中央教育審議会答申)等において,今後の大学教育については,学位の取得を目指す学生の視点に立って,学位取得のために求められる知識・能力をあらかじめ明示し,学生が当該知識・能力を身に付けるための教育課程を体系的に整備することが提言されていることなどを踏まえれば,三つのポリシーの策定単位の基本は,授与される学位の専攻分野ごとの入学から卒業までの課程(以下「学位プログラム」という。)とすることが望ましいと考えられる。(P4)

とあります。ポリシーを用いた教育改善となると、結局は入試単位ごとになるかなとも思いますね。

2.認証評価基準等に関する細目省令の改正

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

I.改正の概要

(1)評価内容の充実

 認証評価機関(以下「機関」という。)が定める評価基準(「大学評価基準」)に共通して定めなければならない内容等として新たに次の事項を規定する。

(評価項目)

1 大学における教育研究活動等の見直しを継続的に行う仕組み(以下「内部質保証」という。)に関すること

2 卒業の認定に関する方針、教育課程の編成及び実施に関する方針並びに入学者の受入れに関する方針に関すること

(重点評価項目の設定)

3 内部質保証の機能に関することについては評価において重視すべき事項とする こと

(その他)

4 設置計画履行状況等調査における「警告」「是正意見」等への対応状況を把握すること

(2)評価の質の向上

 評価の質の向上に向けて機関の体制及び評価方法として次の内容を規定する。

1 機関は、評価に関する規定や組織の運営状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表することとすること

2 評価において改善等を大学に指摘した場合、当該大学からの求めに応じ、再度評価を行うよう努めることとすること

3 評価の過程において高等学校、地方公共団体、民間企業等の関係者から意見を聞かなければならないこととすること

(3)高等専門学校への準用

 高等専門学校の機関別評価においては、従前、大学の機関別評価の内容を準用している ことから、上述の(1)、(2)の内容についても、高等専門学校の機関別評価に準用することとする。

II.施行日 平成30年4月1日とする。 (機関における新たな評価基準等への改訂及び新基準の各大学への周知(平成28年度)、 評価受審前年に行う各大学の自己点検・評価(平成29年度)の期間を考慮。)

 認証評価の基準等に関する事項を定めた省令、いわゆる細目省令の改正です。3つのポリシーに関することや内部質保証に関することが追加になっています。現行の細目省令はかなり大まかにしか基準の内容を示しておらず、各認証評価機関ではすでに3つのポリシーや内部質保証に関する評価基準が運用されているので、大きな基準の変更等はないのではないかと想像しています。また、今回1番目に紹介している3つのポリシーに関するパブコメを認証評価の面から担保しているとも捉えることができますね。当初の方向性では高大接続一体改革に合わせ「入学者選抜に関する評価」も細目省令に加えるものだったと覚えていますが、それは無くなったようです。

 この段階ではあまり具体性のある記述ではありませんが、内部質保証の機能を重要項目に設定するとあります。大学の質保証とは何かでは、内部質保証を

改革サイクルが組み込まれた教学マネジメント(P13)

とし、

そのため、これらの部分(補註:体系的なカリキュラムの開発と運用状況の評価、学修成果の持続状況の確認など)を対象とする質保証の責任は全て個別大学に委ねられることになります。ここでの認証評価機関の役割は、各大学が、内部質保証の枠組みを構築し、その枠組みの中で、教育改善の取り組みを効果的に成し得ているかどうかを、「間接評価」の評価手法を通じて確認することにあります。(P14)

とあります。認証評価では、うまく改善サイクルが回っているのかということを重点的に見るということでしょう。(重点的にというのならば、一方で「これは文章ではなく数値だけで確認する」みたいなコストを下げる手段も併せてとってほしいところですが。。。)

 施行も平成30年度からということで、ちょうど認証評価の第3サイクルが始まるタイミングですね(逆に言えば、このタイミング以外ありえないのですが。)。来年度あたりに各認証評価機関から基準改定に係る意見募集が出されることでしょう。

3.スタッフ・ディベロップメント(SD)に関する大学設置基準等の改正

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

1.SDの義務化

・ 大学は,当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため,その職員※1に対し必要な知識及び技能を習得させ,並びにその能力及び資質を向上させるための研修※2の機会を設けることその他必要な取組を行うものとする。

※1 「職員」には,事務職員だけでなく,教員や技術職員を含む。

※2 第25条の3に規定するファカルティ・ディベロップメントを除く。

・ ほか,短期大学,大学院,専門職大学院及び高等専門学校についても同様に規定。

2.その他 ・ 本改正の施行日は,各大学における研修の計画・体制整備等に要する期間を考慮し,平成29年4月1日とする。

 SDを義務化するための大学設置基準の改正です。なお、大学設置基準は「大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めなければならない。」ものですので、新設の大学等だけではなく既設の大学等にも適用されます。

 当初は高度専門職の設置基準への位置付けということも視野にあったとは思いますが、8割程度の大学がSDを実施していることも踏まえ、無難なところに落ち着いたという印象です。 気になるのは従来から行われているFDとここで言われているSDとの区分ですね。内容として重なる部分もありますし、どのように考えるのかはいろいろと切り口がありそうです(「参加」ではなく「機会を設ける」に留まっていることもポイントだとは思いますが。。。)。

 もっと言うと、これはSD全般に言えることですが、ここで言われているSDが何を指すのかもはっきりしないとも感じます。各種法令や規則等に年1回の開催が定められている講習会や研修会はSDに該当するのか、個人的にはどうでも良いとも思いますが、うまく整理できないところです。

 以上、3件のパブコメを紹介しました。併せて、指定国立大学法人や余裕金の運用に関する国立大学法人法の一部を改正する法律案も国会に提出されていますので、こちらも注目しています。